
むくむ場所の水分と、全身の脂肪を混ぜない
規則的な月経のある女子大学生29人を調べた研究は、全身の数値だけでは見えにくい点を示す。卵胞期初期、黄体期中期、黄体期後期に、自覚するむくみと体組成計による体重や水分量を評価した。周期内の異なる時期で、自覚と測定を照らし合わせた研究である。[5]
体重と総体水分には、周期を通して有意な差がなかった。一方で、体幹と右腕の水分量は、卵胞期初期より黄体期中期と後期で多かった。全身の水分という合計欄と、部位別の水分という内訳欄が、同じ結論を返さないことがある。[5]
この研究で周期差が見つかったのは、体幹と右腕という内訳だった。全身をまとめる評価と、部位を分ける評価を併用したことで、変化の場所が具体的になる。右腕の結果は右腕のものとして記録し、全身の水分量と部位別水分量を別の欄に置くと、研究が捉えた違いを保てる。[5]
また、自覚するむくみの場所や時期は、客観的に測った結果と異なる可能性が示された。この研究は、本人が感じる張りと、装置が評価する水分を別に調べる意義を示している。むくみの感じ方そのものの詳しい検討は、隣の記事「生理前のむくみは感じた強さで測れる?張りの自覚と体液の記録を研究で読む」に譲る。[5]
水分に違いがあった研究も見ておきたい。正常な周期の女性38人を対象とする非無作為化研究では、卵胞期より黄体期に総体水分と細胞外水分が増えた。細胞外水分とは、細胞の外側にある水分を指す。細胞内水分や、その他の評価項目に有意な変動はなかった。[19]
ここで、水分の量と比率を区別しておく。女性21人の観察研究で変化した細胞外水分比は、卵胞期初期の0.376から黄体期中期の0.374へ低下していた。これはリットルで表した水分量とは異なる指標だ。同じ比較では位相角という電気的指標も5.85から5.98へ上昇し、体脂肪率の推定値は安定していた。水分に関連する指標が動いても、脂肪の推定が同じ方向に動くという連動は観察されていない。[4]
この区別を日常に戻すなら、記録欄を一言で「太った」にしないことだ。体重の表示、体脂肪率の表示、服や指輪のきつさは、それぞれ別の情報として残す。合計と部位、自覚と測定が一致しないことのある研究を踏まえると、異なる情報を無理に一つの理由へ押し込まない記録になる。[5]
水分と体重の関係を考える補助になるのが、女性30人を対象としたクレアチン補給の無作為化比較試験である。自然月経の女性とホルモンによる避妊をしている女性を含み、周期の時期を入れ替えて比較した。黄体期に補給した後には、総体水分や細胞内外の水分に変化が観察されたが、体重の変化には明確な群間差がなかった。[2]
黄体期の補給前後における総体水分の変化は、クレアチン群で0.83 L増、対照群で0.62 L減だった。細胞外の水分はそれぞれ0.46 L増と0.19 L減、細胞内の水分は0.74 L増と0.02 L減である。研究では各区分を別々の評価項目として解析している。全身の合計だけでなく、水分が細胞の内側か外側かという区分にも注目すると、この介入が何を測ったかが分かる。[2]
この試験は補給という条件を加えて、水分の分布を調べたものだ。日常の生理前の変化を説明するには、介入なしの観察研究と分けて読む必要がある。ここでの数値は体組成計を補正するための換算値ではなく、水分量と体重を別々に評価した実験結果である。補給や飲水の操作を勧める根拠としては用いない。[2]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
同じ周期で比べる工夫は、何を解決するのか
周期をそろえる提案の目的は、測定のたびに完璧な値を得ることではない。前回と今回で違う条件のうち、周期の時期という条件をそろえて比較しやすくすることにある。個人差の大きかった研究の著者らも、反復測定を同じ時期に行うよう提案している。[9]
たとえば、月経後の記録と次の生理前の記録を並べ、間に続けた運動の成績表にしてしまう場面を考える。そこで表示が動いても、研究で観察された周期内のばらつきと、自分の長期的な変化を切り分けられない。次に比べるときに周期の時期をそろえることが、判断を急がない具体策になる。[9]
測定日が予定とずれたときは、その日の周期の時期を添えて残せばよい。自然月経群と経口避妊薬使用群を調べた研究には、電気を使う方法の体組成推定が周期を通じて安定していた結果もある。測ることを禁止する規則としてではなく、変化に迷ったときの比較の工夫として位置づけたい。[12][14]
周期のどの日なら必ず正しいかを決めるより、前回はどの時期だったかを分かるようにする。研究で比較されたのも、卵胞期初期と中期と後期、黄体期中期など異なる時期だ。単に「生理前」という言葉でくくると、それぞれの研究が比べた条件まで同じだと思ってしまう。[4][9][12]
装置の違いにも注意が要る。電気を使う測定とDXAで周期差の出方が異なった研究があるため、前回と別の方式で測った値を、同じ連続した記録として単純につなげないほうがよい。検査の名前が違えば、研究結果の適用範囲も確かめ直す必要がある。[12]
研究から家庭の記録へ移す際の限界は、ここにまとめておく。統計的に有意な差がないという結果は、集団で明確な差を検出しなかったことを示す。個人の変動幅までゼロとする保証ではない。さらに、対象の運動習慣、自然月経か経口避妊薬使用中か、比較した時期、測定方法によって結果は異なる。家庭の表示だけで脂肪の増減や水分移動の原因を確定することはできない。[4][9][12][14]

よくある誤解
「生理前は水分が増えるのだから、体脂肪率も必ず高くなる」という理解は成り立たない。黄体期の体重が高くても脂肪量や体脂肪率は同様だった研究があり、黄体期に体重が低かった研究でも体脂肪率に有意差はなかった。方向を決めつけず、何の数値が変わったかを読む必要がある。[4][9]
「体組成計の値が変わらなければ、むくみもない」という理解も飛躍である。女子大学生の研究では、体重と総体水分に有意差がない一方、体幹と右腕の水分量には周期差があった。全身の合計が安定していることだけで、部位ごとの水分状態や本人の感覚まで否定できない。[5]
「DXAに替えれば、周期の問題は必ず消える」という説明には反証がある。複数の測定方法を並べた研究では、電気を使う方法で有意差がない一方、DXAの体脂肪率などには時期による差が認められた。検査を替えることと、比較条件をそろえることは別の話である。[12]
このような誤解に共通するのは、数字の一部から体全体の変化まで一足飛びに決めてしまう点だ。体重、総体水分、部位別水分、脂肪量、体脂肪率は、研究でも別々に評価されている。家庭の画面でも、欄が分かれている意味を残して受け取るほうが、研究結果に沿っている。[4][5][9]
今日からできること
- 体重と体脂肪率を別の欄として読む。女性21人の研究では体重が65.2 kgから64.9 kgへ変わっても、推定体脂肪率には有意差がなかった。[4]
- 比較に迷ったら、次は同じ周期の時期に測る。女性30人の研究で示された個人差と、著者らの反復測定への提案を生かす工夫である。[9]
- 測定の記録に周期の時期を添える。卵胞期初期、排卵期、黄体期中期を比べた21人の研究のように、値と時期をセットで扱う。[4]
- 全身の数字と部位の張りを分けて記録する。女子大学生29人では総体水分に有意差がなくても、体幹と右腕の水分には差があった。[5]
- 測定方法も記録に残す。自然周期の女性22人と経口避妊薬使用中の女性30人を登録した研究では、電気を使う方法とDXAで結果の出方が異なった。[12]

オンザショアで、通う時間を生活に置く
体組成計の表示を運動の採点にするより、続けられる時間を生活に置きたい。オンザショア立川店は8:00〜23:30、全曜日同じ営業時間で年中無休である。朝や仕事の後など、日常の予定から通う時間を考えられる。体脂肪率の上下を見てその都度予定を変えるのではなく、営業時間と自分の都合を照らし合わせる。通う仕組みとして店を見る、という選び方だ。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fに位置する。
溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングを選べる。女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITも扱い、ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
店の案内で種目、料金で通い方を確認できる。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験予約では、自分の生活に置ける時間を探すところから始めたい。
参考文献
[2] A Randomized Controlled Trial of Changes in Fluid Distribution across Menstrual Phases with Creatine Supplementation — Moore SR, Gordon AN, Cabre HE, Hackney AC, Smith-Ryan AE., 2023, Nutrients. DOI: 10.3390/nu15020429
[4] Menstrual Cycle Phase Is Associated With Changes in Body Weight, Bioimpedance, and Carbohydrate Intake, but Not in Resting Metabolic Rate in Physically Active Females — Wagner M, Wagner A, Löfberg I, Farkašová N, Zlámal F, Hurtová A, Gimunová M., 2026, International journal of sport nutrition and exercise metabolism. DOI: 10.1123/ijsnem.2026-0015
[5] The difference between subjective symptoms and objective symptom of edema during the menstrual cycle — Takano Y, Shirai T, Tanaka Y, Sakamoto K, Yokota H, Hirabayashi R, Ishigaki T, K, 2026, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-026-55554-1
[9] Whole and segmental body composition changes during mid-follicular and mid-luteal phases of the menstrual cycle in recreationally active young women — Koşar ŞN, Güzel Y, Köse MG, Kin İşler A, Hazır T., 2022, Annals of human biology. DOI: 10.1080/03014460.2022.2088857
[12] The acute effect of the menstrual cycle and oral contraceptive cycle on measures of body composition — Thompson BM, Hillebrandt HL, Sculley DV, Barba-Moreno L, Janse de Jonge XAK., 2021, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-021-04771-9
[13] A Comparison of Body Composition Across Two Phases of the Menstrual Cycle Utilizing Dual-Energy X-Ray Absorptiometry, Air Displacement Plethysmography, and Bioelectrical Impedance Analysis — Hicks CS, McLester CN, Esmat TA, McLester JR., 2017, International journal of exercise science. DOI: 10.70252/hrea6128
[14] Body Composition Over the Menstrual and Oral Contraceptive Cycle in Trained Females — Rael B, Romero-Parra N, Alfaro-Magallanes VM, Barba-Moreno L, Cupeiro R, Janse d, 2021, International journal of sports physiology and performance. DOI: 10.1123/ijspp.2020-0038
[19] The oral contraceptive containing 30 microg of ethinylestradiol plus 3 mg of drospirenone is able to antagonize the increase of extracellular water occurring in healthy young women during the luteal phase of the menstrual cycle: an observational study — Fruzzetti F, Lello S, Lazzarini V, Fratta S, Orrù M, Sorge R, Minerba L, Ricci C, 2007, Contraception. DOI: 10.1016/j.contraception.2006.10.011
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- 姿勢のよい座り方は画面を目の高さにする?首の角度と目の乾きを分けて読む
- 体力をつける暑い日の運動は肌に水をかける?湿度と汗で変わる冷却の読み方
- 更年期の筋力低下は力加減にも表れる?最大の力と一定に保つ力を分けて読む
- 筋力低下は握り続けると早く起こる?力を抜く間隔と筋肉の血流を研究で読む
- すぐ疲れる人の体力づくりは脳だけで決まる?食事試験で比べる疲労感と持久力
- 朝の運動で疲れるのはアンモニアのせい?糖質不足と血中濃度を分けて読む
- 体が硬いのは子供の頃から同じまま?柔軟性の順位と成長後の記録を分けて読む
- バランス能力はまばたきの間にも変わる?短い閉眼と立つ揺れを分けて読む
- バランス能力は足裏が冷たいと落ちる?高齢者のふらつきと脚の力を分けて読む
- バランス能力は頭を横へ傾けると変わる?傾きの情報と高齢者の訓練を分けて読む
- 運動後の疲れは炎症の数値で分かる?筋肉が出す物質と回復の実感を読み分ける
- 運動後に眠くなるのはアデノシンの働き?睡眠圧の仮説と脳の証拠を分けて読む
- 体力をつける暑い日の運動は顔を冷やす?脈が下がっても体の熱は同じかを読む
- 運動のストレス解消は暗めの部屋でも同じ?照明の明るさと気分を分けて読む
- 運動のストレスは風を感じると軽くなる?涼しさと体温、息苦しさを分けて読む
- プロテインのコラーゲンはゼラチンと同じ?溶け方だけで選べない加工と飲み方
- プロテインは包む加工でゆっくり届く?徐放性の表示と摂取時刻の距離を読む
- 睡眠不足のほてりは耳の温度で分かる?運動前の注意力と体温を分けて読む
- 睡眠不足なのに眠くない朝は香りでリセット済み?運動前の覚醒感と注意力を読む
- 生理前のむくみがひどい日はどう測る?張りの自覚を体液量と取り違えない読み方
- 生理前のむくみは手と脚で同じ?指輪のきつさと脚の体積を分けて研究で読む
- 生理前のむくみは塩分が残るから?黄体期のホルモン値と尿の変化を読む
- 生理前のむくみとマグネシウム|翌朝より月経ごとの症状日記で考える補給
- 基礎代謝を上げる辛い食事は冷房でも同じ?室温と熱を作る反応の境界を読む
- 基礎代謝を上げる食事は口で変わる?液体を味わう実験と食後のガムの差
- 睡眠不足と熱中症の関係は暑さで分かる?汗の量と自覚のずれから判断を考える
- 生理前のむくみがあると水は控える?渇き始める境目と血液の浸透圧を読む
- 基礎代謝を上げる食事回数は?小分けの熱産生を何時間測るかで考える
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2






