生理前のむくみで体脂肪率も上がる?体重増加と体組成計の推定を読み分ける

生理前のむくみや体重増加とともに体脂肪率が動くと、脂肪が増えたのか気になる。月経周期ごとの体組成を比べた研究から、水分の指標と脂肪の推定値の違い、平均では変わらなくても個人差が残る理由、同じ周期の時期で記録を比べる意味を読む。家庭の数字を食事や運動の採点にしないための記事である。

生理が近づく朝、体組成計の体重欄を見てから、体脂肪率欄へ目を移す。どちらも前回と違うと、記録帳に「脂肪が増えた」と書きたくなる。だが、画面には脂肪そのものと、電気的な測定から計算した値の区別までは表示されない。[4]

生理前のむくみと体脂肪率の上昇は、別々に確かめる必要がある。若い女性の周期内比較では、体重が変わっても体脂肪率や脂肪量に有意差が出ない研究がある。一方で、反応の個人差が大きい研究もあり、表示の変化だけで実際の脂肪の増減を決めるのは早い。[4][9]

既存記事「女性の体脂肪率はトイレの前後で変わる?体重と体組成の数字を読み分ける」には排尿前後の比較を譲る。「月経周期と体重の揺れを論文で読む 食欲と運動を数字だけで決めないために」の食欲や運動の話とも分け、ここでは周期の違う日に測った体脂肪率を、同じ物差しとして比べてよいかに絞る。既存記事「体脂肪率はどこまで本当か 家庭の体組成計とDXAのずれから数字の読み方を学ぶ」の測定精度全般も扱わず、周期内の比較を追う。

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体重、水分、体脂肪率は同じ答えを返さない

体組成とは、体を脂肪や脂肪以外の成分などに分けて捉えることだ。生体電気インピーダンス法は、体の電気的な測定を利用して体組成を推定する方法である。研究では体脂肪率だけでなく、総体水分、細胞の外にある水分、脂肪を除いた成分など、異なる項目が評価されている。[2][4][14]

表示欄に並ぶ項目には、それぞれ異なる変化が現れる。自然な月経があり身体活動をしている女性を対象とした反復測定の観察研究では、周期によって体重や水分に関係する指標が変わった一方、推定された体脂肪率と除脂肪量には有意差がなかった。除脂肪量とは、脂肪以外の成分の量である。[4]

この研究で測ったのは、月経のある卵胞期初期、排卵期、黄体期中期だ。卵胞期は排卵前、黄体期は排卵後の時期に当たる。月経開始と尿の黄体形成ホルモン検査を使って測定日を設定しており、単にカレンダーの同じ日付を比較した研究ではない。[4]

参加者は自然月経のある活動的な女性21人、平均年齢は24.9歳だった。体重の平均は卵胞期初期の65.2 kgから黄体期中期の64.9 kgへ低下した。生理前に近い時期ほど必ず重い、という一直線の図にはならない結果である。[4]

体重の差は0.3 kgで、統計的には有意だった。しかし、そのことと脂肪が有意に減ったことは同じではない。著者らは、体重や電気的指標の揺れは組織の構成変化より、水分状態の変化を反映する可能性があると解釈している。観察研究なので、水分の移動が原因だと確定した結果としては読まない。[4]

生活の記録では「前回より増えた」という一言で済ませがちだが、何が増えたのかで意味が違う。体重欄の上昇を脂肪量欄の上昇と読み替えず、体脂肪率欄が動いたときも別の項目まで変わったと補わない。この区別が、周期をまたぐ比較の出発点になる。[4][9]

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体重の増減方向は、比較する時期で異なる

余暇に運動をする若い女性30人を対象とした研究では、卵胞期中期と黄体期中期の体組成を比較した。電気を使う方法に加え、異なる方式の検査である二重エネルギーX線吸収測定法も使っている。この検査は略してDXAと呼ばれる。[9]

黄体期中期の体重は卵胞期中期より高かった。しかし、総体水分、全身と部位別の脂肪量、体脂肪率は、両方の測定方法でおおむね同様だった。つまり、体重が高い時期を確認できた研究でも、その差をそのまま脂肪の差としては扱えなかったのである。[9]

同じ研究では、個々の女性の反応に大きなばらつきが認められた。そのため著者らは、繰り返し測るなら同じ月経周期の時期に実施することを勧めている。集団の平均として差がないことと、全員の測定値が毎回同じであることは別だ。[9]

この比較では、全身だけでなく部位別の脂肪量も評価している。体重という全身の合計、脂肪量という成分の量、体脂肪率という割合を別々に照合した点が重要だ。体重の差が認められても、全身と部位別の脂肪の評価はおおむね同様であり、体重計の変化を脂肪の増加に読み替える根拠にはならなかった。[9]

先ほどの女性21人の研究では黄体期中期に体重が低く、こちらの30人では高かった。対象や測定する時期が違う研究を合わせると、「黄体期だから必ず増加」という決め方はできない。それでも両研究は、体重の変動と体脂肪率の変化を直結させない点で共通している。[4][9]

中央線の車内で昨月のグラフを開くと、線の上下には理由を付けたくなる。だが、卵胞期中期と黄体期中期を比べているなら、時間の経過と周期の違いが同時に入っている。自分の傾向を確かめたいときは、まず比較する時期の名前をそろえる、という研究の提案が役に立つ。[9]

周期を気にせず測れるという研究もある

同じ時期での比較を勧める研究がある一方、電気を使う体組成測定なら周期を必ずしも考慮しなくてよいとする研究もある。よくトレーニングされた女性を対象とした研究では、自然月経のある52人と、単相性の経口避妊薬を使用する33人が参加した。[14]

自然月経の群は卵胞期初期、卵胞期後期、黄体期中期に、経口避妊薬の群は休薬に伴う時期と服薬中の時期に測定した。体重、脂肪量、除脂肪量、総体水分などに有意差はなく、効果量もごく小さいか小さい範囲だった。著者らは、この対象では周期のどの時点でも生体電気インピーダンス測定を行えるとしている。[14]

十分にトレーニングされた女性を対象とするこの結果は、「生理中や生理前の測定はすべて無効」という決めつけを支持しない。18〜39歳の女性全般にそのまま当てはめられるかは、運動習慣の違いも踏まえて検討する必要がある。対象者の特徴を添えて読むことで、測定を続ける際の参考になる範囲が明確になる。[14]

別の研究では、自然周期の女性22人と経口避妊薬を使う女性30人を登録し、周期内の異なる時期に複数の方法で測った。自然周期群ではホルモン分析に基づき5人を除外したうえで解析している。電気を使う方法、皮下脂肪の厚みを測る方法などには有意な変化がなかった。[12]

ところがDXAでは、自然周期群の卵胞期後期の体脂肪率と脂肪量が、黄体期中期より低かった。経口避妊薬の群でも、時期によってDXAの体脂肪率や除脂肪量に差が出た。測定方法が違えば、周期の影響の見え方も異なる結果である。[12]

この研究は電気を使う方法について周期を考慮せず測れる可能性を示しながら、DXAの反復測定は同じ周期の時期が望ましいとしている。「周期の影響があるか」という問いには、対象だけでなく、どの方法のどの出力かまで添える必要がある。[12]

もう一つ、平均年齢26歳の女性39人を対象とした比較研究では、月経中と推定排卵前の時期に測定した。ホルモンによる避妊をしている15人と、していない24人を含み、DXAと空気の置換を使う方法、複数の生体電気インピーダンス測定を用いている。どちらの群も、体脂肪率と総体水分の推定値に有意差はなかった。[13]

この研究で比較したのは月経中と排卵前であり、生理直前の黄体期後期ではない。「月経中でも推定は安定していた」という結果を、「生理直前のどんな変化も影響しない」という説明には置き換えられない。周期の影響という同じ見出しでも、測定日が違えば答えている問いが少しずつ異なる。[13]

興味深いのは、ホルモンによる避妊をしていた群では、月経中に体への満足度が低かった点だ。体脂肪率や総体水分の推定に有意差がないことと、本人が体をどう感じるかは一致しなかった。体への評価が厳しくなる日にも、表示された体脂肪率がその評価の根拠になっているかは、分けて確かめたい。[13]

数字で読む周期と体組成の比較

21人:活動的な自然月経の女性を反復測定し、体重と電気的指標の一部に周期差が出た研究の人数である。[4]

65.2 kgと64.9 kg:卵胞期初期と黄体期中期の平均体重。推定体脂肪率には有意差がなかった。[4]

30人:卵胞期中期と黄体期中期を比較し、個人の反応のばらつきが大きかった研究の人数である。[9]

52人と33人:よくトレーニングされた自然月経群と経口避妊薬使用群。測定した体組成項目に有意差はなかった。[14]

29人:部位別水分も調べた女子大学生の研究。体重と総体水分に有意差がなくても、部位による差が認められた。[5]

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