プロテインは強く振るほどよく溶ける?混ぜる力と粉が濡れる段階を分けて読む

プロテインのダマが残ると、もっと強く振りたくなる。だが乳粉の研究では、粉が水に濡れる過程と液体に散る過程で、ホエイとカゼインの違いが現れる。製造時の粒のまとめ方、工場の撹拌実験、泡の安定性を読み分け、家庭のシェイカーで何を観察して混ぜ方を比べるかを考える。

朝食の皿の横で、シェイカーを振る。腕は働いたのに、ふたを開けると粉のかたまりが見える。もう少し強く振ればよかったのか。それとも、この粉には別の難所があるのか。

答えの芯は、混ぜる強さだけで「溶けやすさ」を決めないことだ。乳粉を調べた実験では、ホエイの粉は濡れにくい一方、濡れた後はすぐに散った。カゼインの粉は濡れるのが速くても、その後の分散が遅かった。同じようにダマが見えても、進みにくい段階には違いがある。[4]

本記事は、振る力と粉の状態の関係を考える読み物である。投入順の話は既存記事「プロテインは水と粉のどちらを先に入れる?投入順とダマの観察点を研究で読む」に譲る。ここでは、力を足す前に、濡れ方、かたまり、液体の状態をどう分けて見るかに焦点を置く。

既存記事「女性のプロテインは塩分で溶け方が違う?混ざりやすさと消化を分けて研究で読む」は液の配合を、「女性のプロテインは作ってすぐ飲むべき?混ぜた後の時間と溶け残りを研究で読む」は経過時間を扱う。本記事では、混ぜる作用を評価するときに、どの現象を測っているかを中心に読む。

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「溶けた」の手前には、濡れる段階と散る段階がある

普段の会話では、コップの中が均一に見えれば「溶けた」と表現する。しかし、粉に水が触れることと、粉のまとまりが液体に散っていくことは、研究では区別して追える現象だ。乳粉の再水和、つまり乾いた粉を水のある状態へ戻す過程を調べた実験では、撹拌する容器に濁りを測るセンサーを設置した。濁りの変化を追うことで、その過程を観察したのである。[4]

この実験の面白さは、ホエイとカゼインの対照にある。ホエイ粉では濡れにくさが難所になり、カゼイン粉では濡れた後の遅い分散が全体の時間を長くした。ホエイもカゼインも乳由来のたんぱく質だが、同じ乳由来という分類だけで、水に戻る振る舞いまで同一には扱えない。[4]

したがって、振った直後の見た目だけで「混ぜる力が不足した」と判定するのは早い。水との接触が進んでいない状態を考えるのか、濡れたかたまりが残る状態を考えるのかで、問う内容が変わる。実験で得られた濡れと分散の区別を、台所では観察の区別として使うのがよい。[4]

たとえば、自分の記録に「ダマあり」とだけ書くより、「表面に粉らしい部分が見えた」「液体の中にまとまりが見えた」と書く方が、次に比べたい点が定まる。これは家庭で分子の状態を測る方法ではない。あくまで目で見たことを残す方法だ。見え方に名前を付けることと、原因を確定することは分けておきたい。

研究の対象は乳粉であり、人を対象とする試験ではない。18〜39歳の女性が使う製品や振り方にそのまま当てはめるには、粉の組成や混合条件を照らし合わせる必要がある。[4] 混ざった見た目の評価から、そのまま筋肉への働きを順位付けする必要もない。朝のシェイカーで知りたいのが「飲む前のかたまりを減らせるか」なら、まずはその問いに絞る。栄養の評価まで背負わせると、台所の観察に仕事を頼みすぎる。

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粒をまとめる加工は、いつも逆効果ではない

粉が固まると聞くと、細かくばらけた粉の方が混ざりやすいように感じる。ところが、乳粉の実験では、粒をまとめる造粒によってホエイ粉の再水和時間は改善し、カゼイン粉では逆に遅くなった。造粒の効果の向きが、たんぱく質の種類によって逆転したのである。[4]

この結果は、濡れる段階と散る段階の違いにつながる。研究者らは、ホエイでは濡れる段階が、カゼインでは分散する段階が全体の速さを制限することと、造粒の逆方向の効果を関連付けている。粒が大きそうに見えるから難しい、細かいから簡単という見た目の直感だけでは、実験結果を説明できない。[4]

さらに、カゼインとホエイの割合を同じにしても、混ぜる時点で結果が変わった。カゼイン80%とホエイ20%を噴霧乾燥の前に混ぜたものは、カゼイン粉だけの場合より再水和時間が大きく改善した。一方、噴霧乾燥を終えた粉同士を同じ割合で混ぜると、再水和の性質は大きく悪化した。[4]

ここでの噴霧乾燥は粉を製造する工程である。この結果を、家庭で別々の粉を混ぜれば同じ改善が得られるという話にはできない。同じ配合比でも、粉になる前から一緒に処理された場合と、粉になってから合流した場合では違った、という製造実験の結果として読む必要がある。[4]

買い替えた粉を以前と同じように振ったのに、見た目が違う。その場面で、自分の振り方だけを疑う必要はない。乳粉の実験は、組成だけでなく粉を作る工程も再水和に関わることを示すからだ。[4] ただし、それだけで目の前の製品の原因まで言い当てることはできない。研究が教えるのは原因の候補の広さであり、特定の袋に対する鑑定結果ではない。

シェイカーの形を選ぶ前にも、この区別は役に立つ。「この容器なら全部の粉が同じように混ざる」という期待をいったんほどけるからだ。容器を比較したいなら、まず使う粉をそろえる。粉も容器も変えた記録からは、どちらに注目すべきか整理しにくい。購入の判断と、粉の性質の理解を急いで一緒にしない方が、比較の目的が明確になる。

工場の「混ぜる力」は、腕の勢いとは別の条件だ

濃縮した乳たんぱく質の粉を脱脂乳に加え、混ぜ方を調べた実験がある。対象はミセル状カゼイン粉と乳たんぱく質濃縮粉で、脱脂乳のカゼイン濃度を重量比4.5%に調整した。研究者らは回転部と固定部を使う装置や高圧ホモジナイザーで処理し、せん断の条件と粒の大きさ、さらに凝乳酵素によるゲルの性質を評価した。[2]

せん断は、流れの中でずれるように作用する力を考える言葉である。この実験では、せん断速度に応じた粒の大きさと、凝固にかかる時間、ゲルの強さなどを組み合わせて調べている。「よく混ざったか」を、単に液体が一様に見えるかだけで済ませていない点が大切だ。[2]

再水和が不十分な粉は、凝固までの時間を長くし、より柔らかく弱いゲルにつながった。また、できたホエイ側に回収されるカゼインマクロペプチドとホエイたんぱく質の量も低かった。カゼインマクロペプチドとは、この凝乳過程で評価されたたんぱく質由来の成分である。粉の戻り方の違いは、その後の食品加工の性質にも現れた。[2]

この実験の対象はチーズ用の乳であり、人ではない。18〜39歳の女性が家庭でホエイ飲料を手で振る場面にそのまま当てはめるには、食品も装置も異なるという限界がある。[2] 工場の装置で調べた関係を、そのまま「腕を強く動かすほどよい」という合図に変えてはいけない。評価している食品も、混ぜる仕組みも、良し悪しを決める指標も異なるからだ。

この研究から持ち帰りたいのは、混ぜ方を考えるときに、処理条件と評価対象を一緒に見る姿勢である。[2] 家庭なら、まず目的を「目に見えるかたまりをどうするか」と書いてみる。飲む前の見た目を比べたいのに、チーズのゲル強度を根拠として最強の振り方を決めると、途中で問いが入れ替わってしまう。

装置の名前が難しいほど、答えが確実に見えることもある。しかし、難しい装置を使った結果であることと、自分のシェイカーにそのまま使えることは別だ。研究を暮らしに近づけるには、条件を省くより、どこが違うかを短く残す方がよい。今回は乳粉の加工実験から、観察する項目を借りる。家庭の万能な操作手順まで借りたことにはしない。

せん断を調べた実験では、粒の大きさだけでなく、ゲルを変形させたときに構造がどれだけ失われるか、液がどれだけ離れるかも評価していた。[2] 同じ試料でも、粒に注目する測定と、食品全体のまとまりに注目する測定では、答える内容が違う。粒が小さくなったという説明を読むなら、その後に目指す食品の性質が何だったのかまで追いたい。

また、濁りの測定で再水和を追った実験は、混ざる途中の変化を時間に沿って見る設計だった。[4] 混ぜ終えて撮った写真だけで比べる場合とは、得られる情報の形が違う。台所で比較するなら、同じ場面で観察したかをメモできる。振る途中を見た日と、飲む直前だけを見た日を同じ欄に書けば、観察の時点まで混ざってしまう。

食品の研究には、均一に散らしたい場合もあれば、狙った構造を作りたい場合もある。凝乳の実験がゲルの強さを追い、泡の実験が泡の安定性を追うのは、そのためだ。[2][15] 「よく混ぜる」という作業名だけを抜き出すより、何を仕上げるための操作だったかを残す方が、結果の使い道を誤りにくい。

数字で読む粉と混ぜ方

カゼイン80%・ホエイ20%:同じ比率でも、乾燥前に混ぜる場合と乾燥後に粉を混ぜる場合では再水和の結果が異なった。[4]

カゼイン4.5%:せん断条件とゲル形成を調べた実験で、脱脂乳に粉を加えて調整した重量濃度である。[2]

水分散性94g/100g超:ホエイと多糖類で作った特定の色素用粉末の値であり、市販のプロテイン全般の成績ではない。[3]

ペクチン0.2%以上:特定の加熱処理とpH条件下で、ホエイとの複合体の泡から液が抜けることへの完全な抵抗が観察された条件である。[15]

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