
体へ集中するほうがよい課題もある
ここまで外的注意が有利な結果が並ぶと、体の感覚を追うことをやめたくなるかもしれない。しかし、注意の研究には逆向きの結果もある。手の動きと、画面に映るカーソルの動きが食い違う状況へ適応する実験では、内的注意群が外的注意群より大きく動きを調整した。[12]
この実験では、外的注意群33人がカーソルへ、内的注意群31人が手へ注意を向け、対照群33人には注意の向け先を指定しなかった。カーソルは実際の手の動きに対して時計回りに40度回転する設定だった。見えている方向と、手を動かしている感覚が一致しない課題である。この結果だけで18〜39歳の女性の前屈に適した指示を選ぶことはできない。[12]
研究者は、内的注意によって手の位置や動きの感覚の処理が高まった可能性を挙げている。ただし、これは説明の候補である。練習後に評価した、意識的な戦略による適応と意識によらない適応では、群間に有意差はなかった。練習中に大きく調整したことと、練習後の評価で差が残ることも分けている。[12]
ここで内的注意を「考えすぎ」、外的注意を「自然な動き」と性格づけると、この結果を説明しにくくなる。研究で変えているのは注意の対象であって、真面目さや気持ちの強さではない。体が硬い人を、集中が下手な人として分類する試験でもない。[4][6][12]
体が硬いことと柔らかいことの違いを、メンタルだけで説明するのも同じ飛躍である。足首を装具で制限した実験では、機械的な制限と注意の影響を組み合わせて調べていた。体に生じている制限があることと、注意で動作が変わることは両立する。気の持ちようという言葉で片方を消す必要はない。[6]
たとえば講師の説明を聞いて動きが変わった日には、「言葉で変わるなら、今までの硬さは思い込みだった」と結論しない。実験で股関節の動きが変わっても、足首に加えた制限が消えたわけではなかった。声かけの手応えは、体の状態を否定する材料にするより、動きの選択肢を知る手がかりとして扱いたい。[6]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
指示の順番と、頭の忙しさは結果を変えるか
注意の向け先だけでなく、それを伝える順番も検討されている。健康な成人28人が揺れる板に立ち、仮想現実の映像と体の動きが食い違う環境でバランスを取った無作為化クロスオーバー試験である。映像が動く方向と体の反応の関係から、視覚への依存も調べた。健康な成人のバランス課題であり、18〜39歳の女性のストレッチに同じ順序が役立つかは別の問いになる。[1]
先に板を水平に保つよう指示され、その後に両足を水平に保つよう指示された群は、逆の順番の群より、セッション全体で視覚への依存が低く、姿勢が安定していた。注意を外へ向けてから内へ向ける順序に利点が見られたわけだが、これは感覚が食い違うバランス課題の結果である。[1]
したがって、どのストレッチでも外から内の順に説明すべきだという規則にはしない。一方で、同じ言葉が両方の条件に含まれていても、順番を抜いて「どちらの注意がよいか」だけを比較すると、結果の背景を落としてしまう。自分の練習を振り返る際にも、どの声かけの後で動きが変わったのかを言葉にすると、相談の焦点が定まる。[1]
また、注意をそらすことと、外的注意も同じではない。外的注意の実験では、板やカーソルなど、その課題に関係する対象へ注意を向けている。動作の目標へ意識を置くことと、動作とは関係のない用事を頭で処理することは、別々の条件として考える必要がある。[1][12][15]
背骨を繰り返し曲げ伸ばしした16人の実験では、手への外的な感覚刺激、あるいは認知と運動を同時に行う別課題で注意をそらした。認知と運動の別課題では、感じる精神的な負担が増えた。一方、手への感覚刺激では同じような負担の増加はなかった。背骨の反復運動を行う参加者の結果で、18〜39歳の女性の前屈時の柔軟性にそのまま当てはめることはできない。[15]
この研究は、注意をそらしても腰の局所動的安定性には悪影響を及ぼさないと結論している。局所動的安定性とは、繰り返す動きの小さな変動に対する安定性を分析した指標である。測定した連続動作は30回で、統計的な差が出たのは、別課題の条件と、その後の基準条件との比較だった。[15]
この結果から「頭が忙しいほど体も不安定になる」と一括りにはできない。逆に、頭の忙しさが増えても測定した安定性への悪影響がなかったから、どんな動作でもよそ事をしてよいとはならない。負担の感覚と動作の指標を別々に測ったことが、日常の印象だけでは見えにくい点である。[15]
夜のスマホを気にしながら前屈した日に、伸びへ集中できなかったことを失敗の理由にしてしまうかもしれない。だが、その日に感じた集中のしにくさと、柔軟性の変化は別の記録である。腰の実験が安定性を測ったように、何を比べるのかを先に決めるほうが、気分の評価で体を採点せずに済む。[15]
さらに、バランスの試験では脳波も分析していたが、分析した電極ごとの結果に群間差は出なかった。姿勢が安定したことから、測った脳波もすべて良い方向へ変わったと想像で補わない。動作が変わる仕組みへの関心と、実際に差が確認された項目を区別すれば、声かけの効果を必要以上に大きく語らずに済む。[1]

よくある誤解
「伸ばす筋肉を見つめるほど柔らかくなる」という考えには、視線、注意、柔軟性をひと続きにしている問題がある。注意を足へ置くか板へ置くかを比べた試験は、目で筋肉を見ることの優劣を測った試験ではない。着地の角度が変わった結果も、見つめるストレッチの効果とは区別する。[1][6]
「外的注意ならどんな人にも正解」という理解も行きすぎである。男性選手の練習では外的注意に利点があったが、手とカーソルのずれへ適応する課題では内的注意群の調整が大きかった。対象だけでなく課題の違いにも目を向けないと、反対方向の結果を都合よく取り落としてしまう。[4][12]
「動く角度が増えたら、すべて柔軟性の改善」という読み方にも注意したい。着地では、装具で足首の動きを制限すると股関節の曲がる範囲が増えた。別の関節の動きが増えることと、制限された関節が動きやすくなることは同じではない。ポーズ全体の見た目だけを、特定の部位の評価にしないための例である。[6]
同じ理由で、練習中の変化を、そのまま後に残る変化とみなすのも避けたい。手の適応実験では練習中の群間差があっても、練習後の意識的・無意識的な適応には有意差がなかった。今日の手応えは今日の手応えとして残し、定着まで確認した研究なのかを読み分ける。[12]
今日からできること
- 声かけを受けたら、体の部位と動作の結果のどちらへ注意を向ける説明かを確かめる。28人のバランス試験で使った「足」と「板」の区別が、用語を理解する手がかりになる。[1]
- 前屈の記録には、届いた場所だけでなく、受けた説明も添える。股関節の動く範囲が3.8〜4.6度変わったのは着地の実験であり、到達距離と関節の角度を同じ記録にしない。[6]
- 集中できたかより、何を行ったかを言葉にする。16人の腰の実験では精神的な負担と安定性の結果は同じ動きではなかった。頭が忙しかったという感想だけで、練習全体を失敗と採点しない。[15]
- 前屈するときは、「もも裏へ意識を向ける」と「手を床へ近づける」のどちらで動きを理解しやすいかを言葉にしてみる。注意の向け先を整理するための試し方であり、前屈を深める効果が確認された方法という位置づけではない。使った言葉とその日の手応えをメモし、次のレッスンで講師へ伝える。8週間の男性選手の練習結果と、その場の感覚は分けて記録する。[1][4]
- 自分に合う説明を相談するときは、「体の感覚を追うと分かりやすい」など、受け取った感覚を伝える。手の課題では内的注意群31人が外的注意群より大きく調整しており、内側への注意を一律に捨てる必要はない。[12]

オンザショア立川店で、説明を聞く時間を予定に置く
「もも裏を意識する」と「手を床へ近づける」。説明の受け取りやすさを相談するなら、どの言葉で動きを理解できたかを持っていきたい。オンザショア立川店を練習の予定に組み込むときも、前屈の深さだけを目標にせず、説明を聞いて動く時間として考えられる。
同店は溶岩プレートを敷いたスタジオでホットヨガを行い、常温のヨガやピラティスも扱う。ヨガのレッスンは25種類以上ある。妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加する種目は店のトップで、費用は料金で確認できる。
営業時間は8:00〜23:30、年中無休。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fで、JR立川駅北口から徒歩1分にある。ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。体験の予約では、仕事や用事の前後に説明を聞く時間を置けるか、予定と照らし合わせたい。
参考文献
[1] The order of attentional focus instructions affects how postural control processes compensate for multisensory mismatch: a crossover study — Ma L, Marshall PJ, Wright WG., 2023, Experimental brain research. DOI: 10.1007/s00221-023-06610-z
[4] Examining the Influence of Attentional Focus on the Effects of a Neuromuscular Training Program in Male Athletes — Ghanati HA, Letafatkar A, Almonroeder TG, Rabiei P., 2022, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000003681
[5] Internal and external focus show similar effect on the gait kinematics in patients with patellofemoral pain: A randomised controlled trial — Aghakeshizadeh F, Letafatkar A, Thomas AC., 2021, Gait & posture. DOI: 10.1016/j.gaitpost.2020.11.030
[6] Restricting ankle dorsiflexion does not mitigate the benefits of external focus of attention on landing biomechanics in healthy females — Haines M, Murray AM, Glaviano NR, Gokeler A, Norte GE., 2020, Human movement science. DOI: 10.1016/j.humov.2020.102719
[12] The Advantages of Adopting an Internal Focus of Attention in Visuomotor Adaptation — Wijeyaratnam DO, Cressman EK., 2026, Perceptual and motor skills. DOI: 10.1177/00315125261459499
[15] Attentional Distractions Do Not Influence Lumbar Spine Local Dynamic Stability during Repetitive Flexion-Extension Movements — Galbraith GB, Larson DJ, Brown SHM., 2024, Journal of motor behavior. DOI: 10.1080/00222895.2024.2355932
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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