睡眠不足の影響は朝型と夜型で違う?翌日の気分と反応で入れ替わる弱点を読む

睡眠不足の次の日、朝型なら動けて夜型ほどつらいとは限らない。気分、反応の自己評価、歩行の指標では、朝型と夜型の違いが別の形で現れる。短い睡眠と徹夜を区別し、小規模な実験や観察研究の結果を照合しながら、運動前に自分の状態を確かめ、予定を組み直すための考え方を読む。

寝不足の朝、目覚ましを止めた友人はもう着替えているのに、自分は運動着を前にため息をついている。「朝型だから寝不足にも強いのだろうか」。そこで、自分の夜型らしさを責める前に、比べるものを決めたい。

睡眠不足の影響を朝型と夜型で一列に並べることはできない。遅い時刻を好む人ほど否定的な気分が増えやすかった実験がある一方、朝型の傾向が強い人ほど反応課題の成績を楽観的に予測した実験や、徹夜後に歩行の複雑性が大きく低下した実験もある。何を測ったかで、見える弱点が変わるのである。[2][18][20]

既存記事「朝の運動は夕方より力が出ない?体感と出力の差、朝型・夜型の個人差を研究で読む」には、運動する時間帯の比較を譲る。ここで読むのは、睡眠を削ったときの変化と朝型・夜型の関係である。運動の上達や筋力を順位づける記事ではなく、予定を実行する前に、気分と実際の反応をどう分けて見るかという問いだ。

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朝型と夜型は、昨日の就寝時刻だけでは決まらない

クロノタイプとは、朝寄りか夜寄りかという日内の好みや時間的な傾向である。研究では、朝型・夜型の傾向を尋ねる質問票や、休日の睡眠時刻などで調べる。ただし、質問票で朝型と判定されても休日には遅く眠る人がいる。寝た時刻と、自分に合うと感じる時間は、別々の指標である。[16]

大学生を対象とした研究では、質問票による傾向と休日の睡眠時刻による評価が食い違った人が、全体の1,582人中141人いた。多面的な分類を加えると、休日に遅く眠る朝型の人は、なお朝型としての特徴を示した。一方、休日に早く眠る夜型とされた人の中には、別のタイプに分類されやすい人もいた。これは観察による関連であり、休日の寝方を変えればそのまま型が変わるという介入結果ではない。[16]

夜のスマートフォンを長く見ていた日だけで「私は夜型」と決めるのは、測っているものを取り違える可能性がある。研究結果を生活へ引き寄せるなら、好みの時間、実際に眠った時間、翌日に求められる予定を別々に置く必要がある。予定表には自分の得意時刻を書く欄がないが、個人差は予定表の外にも残る。[16]

この区別は「同じ短い眠り」という比較にも関わる。同じ時計の時刻に起こされた人を比べているのか、普段より睡眠を削られた人を比べているのかで、問いが違う。以下の実験でも、短い睡眠の後にさらに起き続けるものと、徹夜を行うものがある。すべてを、少し夜更かしした翌朝の実験として読むことはできない。[2][18][20]

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夜型で目立ったのは、否定的な気分の増え方だった

健康な成人16人、平均年齢28.2歳を対象とした実験では、睡眠を制限する夜と、その後の28時間の全断眠を含む10日間の手順で気分を測った。全断眠は、眠らずに起き続ける条件である。参加者は予定された覚醒時間中に、肯定的な感情と否定的な感情を繰り返し評価した。[20]

朝型・夜型の判定には、質問票、補正した休日の睡眠中央時刻、普段の睡眠中央時刻、薄暗い条件でメラトニンが分泌され始める時刻、その時刻と就寝の関係を使っている。睡眠中央時刻とは、眠る時間帯の中ほどに当たる時刻だ。自己申告の好みだけでなく、生活の時刻や生理的な時刻を使って同じ問題を確かめた点が、この実験を読む手がかりになる。[20]

睡眠制限とその後の全断眠の間には、肯定的な感情が低下し、否定的な感情が増加した。相対的に遅いクロノタイプの人は、どの判定方法でも、睡眠を失った際に否定的な感情が増えることに弱さを示した。一方、肯定的な感情へのクロノタイプの影響は、判定方法によって異なった。気分とひと口に呼んでも、前向きな気分が減ることと、不快な気分が増えることは同じ結果ではない。[20]

この結果を「夜型は性格が暗い」と読むのは誤りだ。比べているのは、睡眠を削る条件での感情の変化であり、人柄の良しあしではない。また、対象は小規模な健康成人集団である。ここから夜型の女性全員の翌日の気分や、レッスンへの参加意欲がどれだけ変わるかを数字で予測することはできない。[20]

たとえば、仕事帰りに運動の予定がある日に、いつもより気持ちが重いとする。その気分を「運動が向いていない証拠」にする前に、昨夜の睡眠という条件を書き添える。この実験が支えるのは、睡眠を失ったときの感情の変化をクロノタイプと併せて考える視点である。その日の落ち込みを、長く続く能力の判定に使う必要はない。[20]

比べるときは、普段の状態と、睡眠を失ったことによる変化も分けたい。もともと気分の評価が異なる人同士を比べる問いと、睡眠を削ったときに誰の否定的な感情が増えるかという問いは異なる。この実験が取り組んだのは、睡眠制限から全断眠へ進む過程での感情の変化である。「夜型だから今日も不調だ」と決めるより、普段の自分から何が変わったかを見るほうが、研究の問いに沿う。[20]

また、夜型かどうかを判定する方法が変わっても、否定的な感情については遅い型の弱さが見られた点と、肯定的な感情については判定方法で結果が異なった点は、併せて残したい。都合のよい結果だけを選ぶと「型さえ知れば翌日の気分が全部分かる」という話になってしまう。実際には、この実験の中でも感情の種類によって結論のまとまり方が違ったのである。[20]

朝型でも「これくらいできる」という見込みは外れる

成績の自己評価では、朝型寄りの人に楽観的な予測が見られた。成人男性26人を対象とした実験では、24時間の断眠中に、実際の課題成績と本人の予測、課題後の見積もりを比べた。使用したのは、刺激に対して反応する精神運動覚醒課題と、数字と記号を対応させる課題である。前者は注意を保って反応する様子を調べる課題で、ここでは反応課題と呼ぶ。成人男性の結果なので、18〜39歳の女性に同じ予測のずれが生じるかは別に検証する必要がある。[2]

課題の成績と自己評価の成績は、おおむね午前4時ごろまで保たれ、その後に悪化し始めた。朝型傾向を示す質問票の得点が高い人ほど、特に実験の最後の区間で、成績を楽観的に予測して自己評価の正確さを欠いた。ただし、この関連があったのは事前の予測精度であり、終わってからの見積もりではなかった。[2]

大事なのは、朝型の人がすべての課題で劣ったという結果に置き換えないことだ。ここで問うたのは「実際に何ができたか」と「どれくらいできると思ったか」のずれである。夜型の人が必ず正確に自分を評価できるという証明でもない。さらに、徹夜の終盤で得られた男性の結果を、普段より少し短く眠った女性の朝へ、そのまま移すことはできない。[2]

運動前なら「いつもの動作だから大丈夫」という予測と、実際に説明を追って動けるかを分ける、という読み方になる。これは家庭で研究課題を再現する指示ではない。朝に強いという自己紹介だけを、寝不足の日の参加判断の代わりにしないという提案だ。自信は予定を立てる材料にはなるが、反応を測った記録と同じものではない。[2]

この実験で午前4時ごろから悪化したという時刻も、全員がそこまで正常に働ける境界線としては使えない。実験の時間経過を説明する結果であって、日常の運動や仕事の許可時刻ではない。起き続けた条件を抜きにして、時計だけを手帳へ写さないことが大切だ。[2]

人数も、結果の適用先を考える材料だ。感情を調べた実験は健康成人、自己評価を調べた実験は成人男性を対象としている。どちらも、自分と同じ年代や性別の人すべてを代表する数字として扱うのではなく、特定の条件で見られた違いとして読む。感情の実験の結果を使って反応速度の差を推定したり、男性の自己評価の結果から女性の気分を説明したりするのは、比較の軸をまたいでしまう。[2][20]

数字で読む朝型・夜型と睡眠不足

16人:睡眠制限と、その後の全断眠で気分の変化を調べた健康成人が参加。[20]

28時間:その気分の実験で、睡眠制限後に設けられた全断眠の長さ。[20]

26人:成人男性を対象に、反応課題などの実測成績と予測・事後評価を比較。[2]

17人:徹夜前後の歩行の複雑性を検証した対象は健康な若年男性。[18]

54人:健康なボランティアについて、41時間の断眠中に注意を保つ力の個人差を検証。[7]

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