睡眠不足は起きている分だけ消費が増える?運動中の燃料と翌日の活動を分けて読む

睡眠不足は起きている時間が長いから消費も増えるのか。若い成人の自転車試験を軸に、脂肪を使う量、運動中の消費、翌日の動きやすさを分けて読む。血糖の研究で結果がそろわない点も確認し、寝不足を運動量で埋め合わせる前に、日常で何を記録し、どの数字を比べるかを考える。

夜更かしした時間は、消費カロリーの貯金になるのだろうか。仕事を終えた深夜の机で、「長く起きていたのだから、その分は使ったはず」と考える。けれど翌日の運動がいつもより重く感じたら、夜に増えた時間だけを帳簿に入れてよいのか、問い直したくなる。

睡眠不足を消費の上乗せとして扱う根拠には慎重さが要る。若い成人の自転車試験では、徹夜後に運動中の最大脂肪酸化量は増えたが、消費エネルギーには睡眠条件による違いが認められなかった。疲労や運動をきつく感じる度合いは増していた。この試験は男女を含む運動習慣のある集団の結果であり、18〜39歳の女性全体の消費をそのまま表すものではない。燃料の使い方が変わることと、消費の総量が増えることは別なのである。[3]

食欲の側は既存記事「睡眠不足と食欲・ダイエットの科学 ホルモンだけでは読めない翌日の間食」に譲る。ここでは消費の側、とくに運動の検査で出た数字を、翌日の生活全体へどこまで広げてよいかを考える。睡眠不足を全身の負担として捉えるレビューも、睡眠時間、規則性、質などを区別している。眠らなかった時間だけで体の反応を代表させない読み方が必要だ。[17]

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

長く起きた夜と、翌日の消費を分ける

まず、何の時間帯を測った数字なのかを確かめたい。夜更かしした時間の消費、翌朝の運動中の消費、その後の仕事や買い物を含む生活の消費は、問いが違う。自転車をこいでいる間の測定結果だけを、通勤から就寝までの結論へ引き延ばすことはできない。今回の自転車試験が直接比べたのは、睡眠条件を変えた翌朝の段階的な運動である。[3]

この区別は、研究を遠ざけるための細かい話ではない。朝に予定どおり動けたとして、帰宅後も普段どおり動けたかは別に確かめる必要がある。反対に、夕方だるかったという感想だけで、体の消費がどれほど変わったかも決められない。研究では、徹夜後の主観的な疲労の増加と、運動中の消費に違いがないことが同時に起きている。感想と測定値を別々に残す理由はここにある。[3]

「睡眠不足だと太るのはなぜ」という検索には、明快な引き算が欲しくなる。しかし体重の変化を、眠らず過ごした時間に換算して説明するのは急ぎすぎだ。全身の影響を扱ったナラティブレビュー、つまり研究を文章で整理する総説では、食欲に関わるホルモンやエネルギー収支の変化が論じられている一方、仕組みをまとめた枠組みは仮説を生む段階だと位置づけている。[17]

だから、長く起きていたことを理由に、翌日の運動を増やす必要があるとは考えない。これは消費の不足が何も起きないという意味でもない。目の前の検査で分かることを、その検査が見た時間と場面の中で受け取るのである。夜の机で過ごした時間から、翌日の体重計まで一直線に線を引く前に、間にある運動の状態を見たい。[3][17]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

自転車試験では、脂肪利用と消費が分かれた

中心となるのは、日頃から運動する若い成人32人を対象とした無作為化クロスオーバー試験である。女性16人、男性16人が参加し、通常睡眠8時間、短い睡眠4時間、全く眠らない0時間の条件を、順序を調整して経験した。別の人同士だけを比べるのでなく、同じ参加者の睡眠条件を変えて比べる設計だ。18〜39歳の女性に当てはめる際には、女性だけの結果ではなく、運動習慣のある男女の比較である点を押さえたい。[3]

翌朝に行ったのは、負荷を段階的に上げる自転車の検査である。そこで最大脂肪酸化量、つまり検査中に脂肪を燃料として使う速さが最大になるときの量や、糖質の利用、消費エネルギーなどを調べた。全く眠らなかった条件では、最大脂肪酸化量が短い睡眠より9%、通常睡眠より16%高かった。[3]

この数字だけを切り抜けば、「徹夜すると脂肪燃焼に有利」と読めてしまう。だが同じ試験で消費エネルギーには違いが認められず、徹夜後には疲労、混乱、眠気、運動のきつさの評価が高くなっていた。脂肪利用の測定値だけで、その日の運動の良し悪しは決まらない。消費を増やす目的で睡眠を削る提案には結びつかない結果だ。[3]

また、16%という値は体脂肪が16%減ったという意味ではない。何を分母にした比較かを省くと、数字の意味が変わる。ここで増えたのは通常睡眠条件と比べた最大脂肪酸化量であり、生活全体の消費や長期の体脂肪変化を表す数字ではない。体重の話へ進む前に、検査の指標名を残しておくことが大切だ。[3]

女性も参加した研究である点は、女性が日常の運動を考えるうえで参考になる。ただし、参加者は日頃から運動する若い成人であり、結果は男女を含む集団のものだ。立川駅から仕事帰りに歩く人全員に、同じ割合が現れるとは置かない。対象と検査の種類を数字に添えると、魅力的な見出しに研究を追い越させずに済む。[3]

睡眠の長さの並びにも注意が要る。通常睡眠と徹夜の差が示されたからといって、眠る時間を少しずつ短くするたびに、脂肪利用が同じ割合で増えるという関係にはならない。この試験は、設けられた睡眠条件を比較したものだ。「いつもの睡眠から少し削れば、ほどよく燃える」という日常の処方へ変換する根拠としては使えない。[3]

クロスオーバーという設計の良さは、体格や普段の運動習慣が異なる人同士の比較だけに頼らずに済む点にある。それでも、自転車で負荷を上げるという課題の外へ結果を広げる際には、別の検討が必要になる。同じ人の中で起きた違いを丁寧に捉えることと、すべての生活場面で同じ違いが生じるとすることは、研究の読み方として距離がある。[3]

たとえば、朝の検査を仕事帰りのヨガに置き換えたい場合を考える。種目も時刻も変わる。そのうえ、検査では負荷が段階的に増えている。自分の好きなペースで体を動かした時間と、測定のために負荷を変える時間を同じものとして比較すると、研究の数字が独り歩きする。自分の運動へのヒントとして受け取りつつ、脂肪酸化量の増加率をレッスンへ貼り付けないようにしたい。[3]

きつさが増えたら、同じ運動の意味も見直す

いつもの自転車が重く感じると、「今日はいつも以上に消費した」と考えたくなる。ところが先の試験では、徹夜後に運動をきつく感じる評価が上がっても、消費エネルギーの違いは認められなかった。きつさは大切な体調の情報だが、そのまま消費量を示す目盛りではない。しんどかった日の努力に、カロリーの数字で証明書を付ける必要はない。[3]

運動をどれだけ実行できるかは、別の試験でも調べられている。国際水準の男性空手選手14人を対象とした無作為化クロスオーバー試験では、睡眠8時間の条件と4時間の条件を比較した。短い睡眠のあとには、跳躍、方向転換の課題、空手に特有の有酸素運動テストの持久力が低下した。男性の競技選手の結果を、18〜39歳の女性の日常の運動へそのまま当てはめることはできない。[13]

認知課題の結果も一様ではなかった。選択肢から反応する課題は安静時には影響を受けなかったが、運動後には悪化した。睡眠不足を「最初に動ければ問題ない」と判断しにくい理由を示す結果である。ただし、これは男性の競技選手の実験であり、日常の歩数が同じ割合で落ちると読み替えることはできない。[13]

ここで得たいのは、空手の成績から通勤の消費を計算する式ではない。運動中の燃料利用、感じる負担、最後まで続けられる力を、別の項目として扱う視点だ。自転車の消費に違いがなかった結果と、空手の持久力が低下した結果は、互いを打ち消さない。測定したものも対象も違うため、同じ「運動」の一語で丸めないことが必要になる。[3][13]

夜更かしの翌日にレッスンへ行くか迷うなら、「カロリーを取り戻す日」という予定名は外してよい。研究から日常へ移す判断として、予定した内容をこなすことと、体調を見て予定を調整することを区別する。睡眠不足の実験で疲労や持久力に不利な変化が出た以上、負荷を追加することを自動的な正解にはしないのである。[3][13]

数字で読む睡眠と運動の消費

32人:日頃から運動する若い成人を対象にした、自転車のクロスオーバー試験の参加者数である。[3]

8・4・0時間:自転車試験で比較した睡眠条件であり、生活で推奨する睡眠時間の並びではない。[3]

16%:徹夜条件の最大脂肪酸化量が通常睡眠条件より高かった割合。消費エネルギーの増加率ではない。[3]

14人:睡眠8時間と4時間を比べ、持久力などの低下を認めた男性空手選手の試験規模である。[13]

18研究・7715人:過体重または肥満の成人の睡眠と糖代謝を検討した系統的レビューの規模である。[15]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

1

2

Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/ontheshore.jp/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

ご体験予約