プロテインは水割りか牛乳割りか?足す成分と胃で固まる性質から選び方を読む

プロテインを水と牛乳のどちらで割るか迷ったら、吸収の速さだけで決めないことが出発点だ。乳たんぱく質の組成、胃でできる塊、血中アミノ酸、腹持ちを、人の試験と胃を模した実験に分けて読む。飲み物全体で何を足すのかを確かめ、運動日の食事と合わせて選ぶ視点を示す。

朝食の皿を片づけた後、シェーカーと牛乳の容器が残る。粉を水で溶かして飲むか、牛乳を加えて味を変えるか。「胃で固まるなら、せっかくのたんぱく質が無駄になるのか」と手が止まる。

答えの芯は、割る液体の名前だけで吸収の優劣を決めないことだ。たんぱく質の組成によって胃での固まり方や胃から出る速さは変わりうる。ただし、その根拠となる胃の模型実験と、人の血液や食欲を測った試験は別のものだ。牛乳割りなら必ず吸収が悪くなる、という選び方には飛躍がある。[3][5]

既存記事「女性のプロテインは薄めて飲むと胃が楽?水の量と飲料の濃さを分けて研究で読む」には、水の量と濃さの問いを譲る。ここで考えるのは、同じ粉に別の食品を加えるとき、何が比較条件として変わるのかである。台所で迷ったら、まず水以外の食品を足したい日かどうかを考える。

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水か牛乳かの前に、飲み物全体を見る

乳たんぱく質の素材を扱ったレビューでは、乳たんぱく濃縮物はカゼインとホエイの両方を含むものとして説明されている。また、たんぱく質濃度が高くなるほど乳糖が少なくなるなど、乳由来という括りの中にも組成の違いがある。[19] ホエイは乳由来のたんぱく質の一種であり、乳由来素材をすべて同じものとして比べることはできない。[3][19]

このレビューが扱うのは濃縮した食品素材であって、冷蔵庫の牛乳の栄養表示そのものではない。そこで牛乳割りを選ぶときは、袋の粉だけでなく、加える牛乳の表示も見る。粉側の量をそろえた比較と、出来上がった飲み物全体の量をそろえた比較を、自分の中で混ぜないためである。

たとえば「いつもと同じ粉を使った」というメモだけでは、飲み物の比較としては途中で止まっている。加えた食品、使った量、食事と一緒だったかまで書けば、何を変えた日なのかが見える。ここで必要なのは牛乳に点数を付けることではない。水を選ぶ日も、牛乳を選ぶ日も、飲んだものを一つの食品として数えることである。

製品開発を扱うレビューでは、乳たんぱく濃縮物には栄養面の用途のほか、水を保持する、ゲルを作る、泡を作るといった機能も挙げられている。[19] 栄養の量と、飲み物の形を作る性質は、同じ素材が持つ別の面だ。「なめらかだから吸収がよい」「水っぽいから栄養が少ない」と口当たりだけで判定せず、成分表示と消化の研究を別々に見る必要がある。[3][19]

買い物の場面なら、まず手元の粉の原材料を確認する。そのうえで牛乳を足した出来上がりを想像する。「乳由来の粉だから牛乳を足しても条件は同じ」と考えず、組成を変える選択として扱うのである。研究でも、たんぱく質の種類や配合を区別して試験している。[3][5]

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胃で固まることは、そのまま無駄になることではない

胃排出とは、胃の内容物が胃から先へ移ることを指す。大豆・カゼイン・ホエイの割合を変えた飲み物を、動く人の胃を模した装置で調べた研究では、すべての飲料でたんぱく質の凝集と塊の形成が起きた。その程度は、飲料のたんぱく質組成によって異なった。[5]

乳たんぱく質の割合が高い飲料では、カゼインの粒子が凝固することで塊ができやすく、胃からたんぱく質が出ていく速度も低かった。一方、大豆たんぱく質の割合を増やすと塊の構造が変わり、たんぱく質が出る速度が上がった。[5] この結果から読めるのは、「たんぱく質の配合が胃の中の構造と移動に関わる」という仕組みである。

ここには、家庭で粉を牛乳に混ぜた全員の吸収率を測った、という意味はない。装置の中で胃からゆっくり出ることと、人の体に最終的に届く量が減ることは、同じ結論ではない。この実験の結果を牛乳割りの損失率へ置き換えることはできない。[5]

「固まる」という言葉は、台所では失敗の響きを持つ。だが、この実験では塊の出来方自体が比較の対象だった。塊ができたという観察から、その飲み物を避けるという判断までは距離がある。実際に調べられたのは、組成、塊の構造、胃からの移動の関係だ。[5] シェーカーを振った後の見た目だけで、胃の実験結果を再現したつもりにもならないことだ。

同じ研究では、加熱の条件も変えているが、たんぱく質が胃から出る速度や塊に含まれるたんぱく質への加熱の影響は比較的小さかった。[5] 「混ぜたものの性質は変わりうる」ことと、「変化があれば必ず大きな栄養差が出る」ことは分けたい。加工や配合の話を聞くたび、何がどれほど変わった研究なのかに戻るのがよい。

人の試験では、血液・胃・食欲を別々に測る

健康な若い成人13人を対象にした無作為順のクロスオーバー試験では、同じ人が異なる飲料を試した。比較したのは、カゼイン由来素材を含む飲料、その構造を酵素で変えた飲料、ホエイ飲料である。飲料はそれぞれ500 gで、前者のたんぱく質量は29 g、ホエイは30 gだった。対象は健康な若い成人であり、18〜39歳の女性全体に同じ反応が出るかは、この小規模試験だけでは判断できない。[3]

研究者は食後4時間にわたって血液を調べ、呼気を使って胃排出を測り、食欲の感覚も評価した。ホエイとカゼイン由来素材では血中アミノ酸濃度の違いが見られた一方、血糖とインスリンの反応には差がなかった。ホエイで胃排出が速い傾向はあったが、食欲の評価や、その後のエネルギー摂取量には飲料間の差がなかった。[3]

つまり、血中アミノ酸の違いが見えたからといって、測った項目すべてに違いが出たわけではない。アミノ酸はたんぱく質を構成する成分であり、その血中濃度はこの試験で追った指標の一つだ。[3] 胃が動く速さ、血液の変化、空腹の感覚を一つの「吸収」という言葉で括ると、結果の形が崩れてしまう。

酵素で構造を変えたカゼイン由来飲料と、変えていない飲料の間でも、調べた食後の反応は同程度だった。[3] 胃を模した実験で構造の重要性が示されたことと、人の試験である構造変更の影響が見られなかったことは両立する。変更の種類も、比較する素材も、測る結果も違うからだ。[3][5]

ここを家庭の飲み方へ戻すなら、「速いと聞いたから水」「ゆっくりと聞いたから牛乳」という二択をいったん止める。今知りたいのが胃の重さなのか、食事で足したい成分なのか、次の食事までの空腹なのかを決める。研究でも結果がそろわなかった以上、違う目的に同じ答えを使い回さない方が筋が通る。[3]

人の試験の良さは、同じ参加者が別の飲み物を試すことで、その人の違いを比較に持ち込みにくくしている点にもある。ただし、対象は健康な若い成人であり、検討したのは特定の素材で作った飲料だ。[3] この結果を読む際は、自分が買った粉の名前と似ているかよりも、研究で何を入れ替えたかに注目したい。家庭で牛乳を加える行為と、カゼイン由来飲料をホエイ飲料に替える行為では、変えた材料の組み合わせが異なる。

血液を調べた時間にも意味がある。この試験は食後の経過を追って比較しており、飲み終えた直後の感想だけを扱っていない。[3] 通勤途中で「今日はすっと飲めた」と感じたことは、その日の飲みやすさの記録にはなる。しかし、採血で捉える変化と同じ内容ではない。反対に、血液の結果に違いがあったとしても、自分が必ずその違いを胃の感覚で識別できると考える必要もない。

さらに、胃の模型実験で変えたのは乳たんぱく質と大豆たんぱく質の配合であり、人の試験で変えたのは素材の種類や酵素処理だった。[3][5] 研究同士を並べるときも、単純な再現実験として読まないことだ。前者は構造と排出の仕組みを考える手がかりになり、後者は実際の食後に何が変わり、何が変わらなかったかを示す。役割を分ければ、片方の結果で他方を打ち消さずに済む。

朝食の席では、家族が牛乳を注ぐ横で自分だけ水を使っても、研究上の勝ち負けを決めたことにはならない。今回の比較から借りたいのは判定札ではなく、材料と測定項目をそろえて見る姿勢である。[3][5] 水割りを選ぶ理由を「牛乳だと吸収されない」にする必要はなく、牛乳割りを選ぶ理由を「水より確実に腹持ちする」にする必要もない。そこまでの順位を示していない結果に、毎朝の選択の責任を負わせないことだ。[3]

数字で読むプロテイン飲料の比較

13人:若い健康成人で、カゼイン由来素材とホエイなどを比較した試験の対象者数である。[3]

500 g:その試験で使った各飲料の量であり、家庭での推奨量ではない。[3]

4時間:同試験が食後の血中成分を追った時間である。[3]

78人:胃の検査前に、糖質を多く含むホエイ飲料と水を比べた無作為化試験の人数だ。[1]

55人:ホエイや糖を加えた水の試験で、すべての飲料条件を完了した女性の人数である。[17]

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