スクワットのつま先は外に向けるほどよいのか。膝や股関節の負担を考えるために、足幅と膝の負荷、股関節の力、筋活動を測った研究の違いを整理する。男性の実験と筋力低下を仮定した計算を区別し、自宅で見本の角度をまねる前に確かめたい条件と、数字から言える範囲を読む。
鏡の前でしゃがむと、つま先を少し外へ向けたところで動きやすさが変わった。さらに開けば、膝も楽になるのだろうか。足先を回す前に、左右の足の間隔まで変わっていないかを確かめたい。
答えは、外向きの強さだけでは適したフォームを決められない、である。自重スクワットの実験では、つま先を外に向けて膝の回旋に関わる負荷が小さくなったのは、足幅が広い条件だけだった。別の負荷は足幅を広げると大きくなっており、膝の負担をひとまとめにはできない。[6]
足の向きを選ぶには、まず動作中に何が変わるかを確かめたい。体の形は人それぞれであり、特定の見た目を全員の目標にする必要はない。ここで扱う足角度の研究が測ったのは筋活動や関節の力であり、その数字を脚の見た目の変化率に置き換えることはできない。[4][5][6]

つま先の向きと足幅は別の設定である
足の向きとは、足先を前へ向けるか、内側や外側へ回すかという設定である。足幅は、左右の足をどれほど離して立つかという設定だ。スクワットの力学を論じた臨床レビューは、足幅、足の回旋、体幹の位置、すねの位置、深さを、関節の負荷や筋肉への要求を変える要素として扱っている。[1]
動画ではこれらが同時に変わりやすい。見本より足を広げ、つま先も外へ回し、上体も起こしたなら、動きやすさが違っても、足角度だけの作用とは整理できない。レビューの視点を自宅へ持ち帰るなら、「どの部分を変えたか」を分けて見ることが出発点になる。[1]
既存記事「ワイドスクワットは足を広げるほどよい?女性が迷う深さと股関節の負荷を読む」では足幅と深さを扱うため、ここでは、同じスクワットでも足先の向きを変えたときに何を測っているのかに絞る。広く立つ方法全体の優劣を決める記事ではない。
たとえば、床に立った足の写真が同じでも、しゃがんでいる途中の姿勢まで同じとは限らない。足先は静止画で確認しやすいが、スクワットには下降と上昇がある。足角度を調べた筋活動の実験でも、違いが出たのは動作全体ではなく下降中だった。足の写真だけで「効くフォーム」を完成させるのは早い。[4]
研究を読む際も、足幅を変えた比較なのか、足角度を変えた比較なのかを最初に見たい。この区別がないまま「外向きがよい」と覚えると、広い足幅で得られた結果を、狭く立つ自分へそのまま当てはめてしまう。実際に、膝の内旋モーメントの変化には足幅による条件の違いがあった。[6]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
膝の負担には曲げる方向と回す方向がある
膝の研究で出てくる関節モーメントは、関節をある方向へ回そうとする力の働きを表す指標である。自重スクワットを調べた研究は、膝を曲げる方向だけでなく、内側へ傾ける方向や回旋の方向も分けて解析した。普段の「膝に負担がかかる」という言い方より、測定の中身は細かい。[6]
この実験では、参加者28人が足幅や足角度の異なる4条件で、それぞれ8回のスクワットを行った。足幅を広げると膝屈曲モーメントが大きくなり、内転モーメントにも大きさと、動作中に現れるタイミングの違いが生じた。一方、足を外に向けることで内旋モーメントが有意に小さくなったのは、広い足幅の条件だけである。[6]
つまり、ある方向の数値が下がっても、膝に関するすべての数値が下がったことにはならない。外向きと広い足幅の組み合わせでは、動作の中ほどで内旋モーメントの波形が平らになる変化も見られた。負荷は「大きいか小さいか」だけでなく、いつ、どの方向へ働くかにも分けて読む必要がある。[6]
さらに研究者らは、観察された条件間の違いについて、若く健康な人にとって臨床的な意味は大きくない可能性を述べている。測定上の差が見つかったことと、日常生活で膝の状態が変わることは同じではない。ここを飛ばすと、小さな力学の違いが、重大な危険の差として伝わってしまう。[6]
この研究は、自分の体重で行うスクワットの比較である。重りを持ったときや、すでに膝に症状がある人の判断まで、そのまま引き受ける結果ではない。自宅の練習で参考にするなら、外向きを正解として固定するより、足幅との組み合わせで結果が変わったことを覚えておくほうが正確だ。[6]

筋活動の増加は下降中の特定の筋肉に見られた
足角度と筋活動を調べた実験には、活動的な男性8人が参加した。足を平行にする0°、外向き10°、外向き20°を比べ、最大の重さを1回挙げる能力の80%に当たる負荷で行うバックスクワットなどを測定している。18〜39歳の女性が自重で行う場合には、対象も負荷も異なるため、この筋活動の増加率をそのまま当てはめられない。[4]
筋活動は、筋肉が働く際の電気的な信号を筋電図で捉えたものだ。この実験では、外向き20°でしゃがみ込むとき、大腿二頭筋という太もも裏の筋肉の活動が平行条件より35%、腓腹筋内側頭というふくらはぎ内側の筋肉の活動が70%大きかった。[4]
ただし、ほかの筋肉や運動条件では有意差がなかった。外向きにした足で行ったからといって、下半身全体の活動が一様に増えたわけではない。下降中の特定の筋肉に限った結果であり、立ち上がりも含む全時間で同じ差が続いた、と読むこともできない。[4]
ここで測っているのは、その場の筋肉の働きである。「活動が70%増えた」を「脚痩せの効果が70%増えた」へ読み替えると、測定していない結果を足すことになる。セルライトの見え方についても、筋電図の値から変化を計算することはできない。数字は目立つが、担当する範囲がある。[4]
また、平行、外向き10°、外向き20°という比較から、「もっと外へ回せばさらによい」という連続した関係は導けない。比較した角度と、そのときに見られた差をセットで扱う必要がある。研究の角度は、全員へ配る足形の型紙ではない。[4]
股関節の計算は筋力低下という条件を含む
股関節に働く力を調べた研究では、健康な10人が、足角度0°、内向き10°、外向き30°で深くしゃがんだ。その動作をもとに、各参加者の体に合わせた筋骨格モデルを作り、筋肉と股関節の力を計算している。人の動作と、計算上の仮定を組み合わせた研究であり、18〜39歳の女性にも同じ力の変化が生じるかは、このモデルの結果と分けて検証する必要がある。[5]
重要なのは、そのモデルの中で股関節の筋力を低下させた点である。通常の筋力に加え、15%低下、30%低下という設定を置いた。実際に参加者の筋肉をその割合だけ弱くした試験ではない。日常の「今日は疲れた」という感覚を、そのままこの低下率に当てはめることもできない。[5]
大殿筋の下部と股関節深部の外旋筋を組み合わせて筋力を30%低下させたモデルでは、股関節の前方への力の増加率が、内向き条件で41.4%、平行条件で27.8%、外向き条件で9.3%だった。これは各条件で筋力低下に伴ってどれほど増えたかの比較である。外向きにすれば関節の力そのものが9.3%になる、という意味ではない。[5]
この結果は、特定の筋力低下がある場合、外向きの姿勢が股関節の力の増加を抑える選択肢になりうる、という示唆につながる。一方、健康な人すべての股関節に最適な角度を決める証拠とは区別したい。膝のモーメントを測った実験とも指標が異なるため、数値を横に並べて勝敗はつけられない。[5][6]
股関節の数字を読むときには、比べる基準にも注意が要る。同じ筋肉の組み合わせを弱くしたモデルで、平行条件の増加率が27.8%、外向き条件が9.3%だったとしても、差をそのまま痛みの軽減率と呼ぶことはできない。関節の前方への力という計算結果と、本人が感じる症状は、別の結果として扱うべきだからだ。[5]
また、大殿筋下部だけを30%弱くしたモデルでは、増加率は内向き29.5%、平行18.3%、外向き5.6%だった。筋肉を組み合わせて弱くした場合と数値が違う点も大切である。「股関節の筋力が低い」という大きなくくりの中でも、計算上どの筋肉を変えたかで結果は変わった。外向きという設定だけを独立した処方のようには扱えない。[5]
結果を見比べるなら、研究の人数だけでなく測ったものの近さも考えたい。系統的レビューであっても、かかとの高さを調べた結果が足角度の答えへ直接置き換わるわけではない。問いに近い実験と、周辺の条件を整理するレビューを組み合わせて読む役割分担がある。[6][7]
数字で読む足角度の研究
28人:足幅と足角度を組み合わせて膝のモーメントを比べた自重スクワット実験の参加者数である。[6]
20°:男性の筋活動実験では、この外向き角度で下降中の特定の筋肉に差が出た。[4]
35%:外向き20°の下降中に見られた、平行条件に対する大腿二頭筋の活動の増加である。[4]
30%:股関節の研究では、強い筋力低下の条件としてモデル上にこの割合を設定した。[5]
9.3%:その筋力低下モデルで、外向き条件の股関節前方への力に生じた増加率である。[5]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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