
競技者の平均値を、自分の合格点にしない
測定姿勢を知ると、次は「正常ならどれくらい力が出るのか」が気になる。カタールのプロサッカーリーグで、症状のない男性選手394人を調べた横断的な研究がある。対象は18〜40歳で、横向きの内転と外転、仰向けで股関節を45度曲げた挟むテストなどが行われた。18〜39歳の女性の合格点として、その平均値をそのまま当てはめることはできない。[15]
横向きの内転と外転は、抵抗に対して筋肉が伸ばされる側の力を評価する遠心性テストだった。内転の平均は体重当たり3.0±0.6Nm/kg、外転は2.6±0.4Nm/kg、比は1.2±0.2である。挟むテストの平均は3.6±0.8N/kgだった。どれも同じ研究の値だが、測っている課題と表示される単位が違う。[15]
数字だけ拾うと、挟むテストのほうが大きいので優秀に見える。しかし、関節を回す働きの体重当たりの値と、力の体重当たりの値を、そのまま大小で競わせることはできない。研究の表を読むときも、先に数字へ目を走らせず、テスト名と単位を確認する。このひと手間が、別のものを同じ成績表に並べる誤りを防ぐ。[10][15]
また、ホッケー選手の研究の比と、プロサッカー選手の研究の比が異なっていても、競技の優劣を意味しない。前者は等尺性の測定と外転角度の比較、後者は遠心性のテストを含む集団の基準プロフィールである。対象集団も課題も異なるため、その差を個人の弱点の診断へ結びつけるのは飛躍だ。[10][15]
プロサッカー選手の研究では、利き脚が測定プロフィールへ及ぼす影響は臨床的に重要とはされなかった。ただし、これはその集団で得た結果である。家で左右の動かしやすさが違ったときに、競技者の平均を使って異常の有無を自己判定する材料にはしない。必要な検査やその読み方は、本人の状態と測定条件を併せて考えるものだ。[15]
たとえば、自宅でボールを挟んだ感覚を記録し、次の機会には横向きで出せた力を記録したとする。どちらも内転に関わるが、前回と今回でテストを交換している。強くなったかを考える前に、同じ課題を比較できているかを確認したい。異なる姿勢の結果をひとつの折れ線につなぐと、測り方の変更まで体の変化に見えてしまう。[5][15]
競技者の平均と自分の結果を比べる際には、ばらつきにも目を向けたい。平均値に添えられた「±」は標準偏差で、集団の値がすべて平均と一致していたわけではないことを示している。平均をひとつの必須目標にすると、その集団の中の違いまで消えてしまう。研究が示したのは、症状のない男性プロ選手のプロフィールである。[15]
同じ理由から、内転と外転の比だけを目標にするにも注意が要る。ホッケー選手の実験では、内転側と外転側の両方の動きが比へ影響した。比が同じでも、その背景まで同じとは決められない。評価の場では、内転の数値、外転の数値、角度や収縮方法を併せて確かめるほうが、比だけを切り抜くより結果の意味を保てる。[10]
自宅での記録も、研究の平均へ近づけるための採点表にする必要はない。どの運動を選んだか、前と同じ姿勢だったか、途中で測り方を替えたかを残す。それによって、後から数値や感覚を振り返るときに、練習の変化と条件の変更を区別しやすくなる。姿勢によって成績が変わるという知識は、自分を評価する基準を増やすより、比較の混乱を減らすために使いたい。[5][10][15]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
外側の痛みは、内ももが働く証拠ではない
横向きの内転運動を選ぶ際には、「内転筋を使う運動」と「股関節の外側が痛む状態」を混ぜない視点も必要になる。中殿筋と小殿筋の腱の障害を扱ったレビューは、股関節外側の痛みが、横向きで眠ることや、体重をかける日常動作の妨げになると述べている。中年期に多く、女性に多い状態として説明されている。18〜39歳の女性の横向き運動中の痛みに、その病態の説明をそのまま当てはめられるかは、個別の診察で判断する必要がある。[7]
このレビューが重視するのは、腱への過度な圧迫と高い張力の組み合わせだ。関節位置も論点の一つで、特に過剰な股関節内転に着目している。これは「内転運動をする人は腱を傷める」という因果関係を示した試験ではない。痛みのある人を評価するときに、関節の位置と負荷を一緒に考えるという臨床的な整理である。[7]
したがって、長内転筋の筋活動が高かったという結果を使い、外側の痛みまで「効いている証拠」と呼ぶことはできない。筋活動の比較が答える問いと、痛みの原因を評価する問いは異なる。内ももに使った感覚があるのか、横向きで外側に痛みがあるのかを、言葉の上でも分けておきたい。[1][7]
痛みがある場合の診断や、運動を続けてよいかの判断は医師に相談する。レビューも、負荷の扱いと体の仕組みに関する教育を含む管理を提案しているのであって、読者全員へ同じ運動を一律に勧める内容ではない。寝る姿勢まで困るような状態を、筋力の順位表だけで解決しようとしないことが大切だ。[7]

よくある誤解
「寝て行う運動は負荷が足りない」という見方は、この筋活動比較とは合わない。活動的な大学生では、横向きの内転は長内転筋の活動が高い側に位置した。反対に、「活動が最も高いから、誰にでも最良の運動」と決めるのも行きすぎである。測定した筋肉、対象者、評価したものを伴って初めて、その順位の意味が定まる。[1]
「脚を大きく開いて力を測れば、鍛えた成果も大きくなる」という理解も違う。ホッケー選手の研究では、測るときの外転角度そのものが内転・外転のトルク比を変えた。比の上昇には外転側の低下も関わっている。角度を変えた条件比較を、練習による内転筋力の向上として読むことはできない。[10]
「測定方法に再現性があれば、どの装置の数字とも比べられる」とも限らない。携帯型筋力計のレビューは、繰り返しの測定の信頼性と、基準となる測定法との妥当性を別々に検討した。前者に十分な結果があっても、後者には一貫しない結果がある。数字の小数点が細かいほど、比較まで正確になるわけではない。[5]
研究を自分の運動に使うときは、研究の目的も一緒に持ち帰る。筋電図の比較なら運動中の活動、介入試験なら継続後の筋力、測定法のレビューなら数値の信頼性が中心となる。全部に「効く」という札を貼ってしまうと、横向きでよいかという身近な問いへの答えが、かえって曖昧になる。[1][5][6]
今日からできること
- 運動を選ぶ前に、長内転筋を活動させる方法を知りたいのか、継続後の筋力を確かめたいのかを書き分ける。大学生24人の比較は前者、8週間の競技者の試験は後者の情報として使う。[1][6]
- 横向きの運動を記録するなら、体の向きだけでなく脚の位置も添える。0度、10度、20度で筋力比が変わった研究を、角度を揃える理由として覚えておく。[10]
- 挟む運動から横向きへ替えるときは、方法を変更したと記録する。横向きの遠心性テストと、股関節45度屈曲の挟むテストは、競技者の研究でも別の測定課題だった。[15]
- 専門家による筋力測定を受けたら、姿勢、固定方法、テストの種類を確認する。107研究のレビューが扱った再現性を、別の方法の数字を混ぜないために生かす。[5]
- 横向きで股関節外側に痛みが出る場合は、内転筋の活動順位で続行を決めず、状態を医師に相談する。外側の腱の問題を扱うレビューでも、内転位と負荷は評価上の論点である。[7]

オンザショア立川店で、練習する時間を予定に置く
横向きか立位かを選ぶことと同じように、次に運動する時間を予定に置くことも考えておきたい。オンザショア立川店は8:00〜23:30、年中無休で営業している。場所はJR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fである。生活の中で通う場所と時間を考えるための、具体的な条件になる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンを設けている。研究で比べた内転運動の成績を、当店のレッスンの効果として約束するものではなく、運動を続ける場所を選ぶための情報として受け取ってほしい。
参加条件も先に確認したい。妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。予定を組む際は料金と体験の予約を確認し、店のトップから通う選択肢を確かめられる。
参考文献
[1] Adductor longus activation during common hip exercises. — Delmore RJ, Laudner KG, Torry MR., 2014, Journal of sport rehabilitation. DOI: 10.1123/jsr.2012-0046
[5] Can Clinicians Trust Objective Measures of Hip Muscle Strength From Portable Dynamometers? A Systematic Review With Meta-analysis and Evidence Gap Map of 107 Studies of Reliability and Criterion Validity Using the COSMIN Methodology. — Waiteman MC, Garcia MC, Briani RV, Norte G, Glaviano NR, De Azevedo FM, Bazett-Jones DM., 2023, The Journal of orthopaedic and sports physical therapy. DOI: 10.2519/jospt.2023.12045
[6] Effectiveness of Field-Based Resistance Training Protocols on Hip Muscle Strength Among Young Elite Football Players. — Kohavi B, Beato M, Laver L, Freitas TT, Chung LH, Dello Iacono A., 2020, Clinical journal of sport medicine : official journal of the Canadian Academy of Sport Medicine. DOI: 10.1097/jsm.0000000000000649
[7] Gluteal Tendinopathy: A Review of Mechanisms, Assessment and Management. — Grimaldi A, Mellor R, Hodges P, Bennell K, Wajswelner H, Vicenzino B., 2015, Sports medicine (Auckland, N.Z.). DOI: 10.1007/s40279-015-0336-5
[10] THE INFLUENCE OF HIP JOINT ANGLE ON THE RATIO BETWEEN ADDUCTION AND ABDUCTION TORQUE IN EXPERIENCED, RECREATIONAL MALE ICE HOCKEY PLAYERS. — Welsh P, Howitt S, Howarth SJ., 2020, International journal of sports physical therapy. DOI: 10.26603/ijspt20200022
[15] Hip strength and range of motion: Normal values from a professional football league. — Mosler AB, Crossley KM, Thorborg K, Whiteley RJ, Weir A, Serner A, Hölmich P., 2017, Journal of science and medicine in sport. DOI: 10.1016/j.jsams.2016.05.010
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- 有酸素運動のウォーキングは水筒が半分だと違う?中身の揺れと安定性の読み方
- 有酸素運動の室内歩きは丸く回ってもよい?直線と違う足運びと注意の負担を読む
- 有酸素運動の通勤歩きは横傾斜で急ぐと違う?速度と足の部位ごとの調整を読む
- 有酸素運動で歩く距離は疲れると長く感じる?時間と見え方から実測との違いを読む
- 有酸素運動の歩数はバッグに入れても測れる?ポケットから替えた日の記録を読む
- 有酸素運動の歩行マシンは速度表示で足りる?平均と一歩の変動を分けて読む
- 運動後の冷たい飲み物は氷を噛んでも同じ?胃の速さと体の冷え方を研究で読む
- 有酸素運動の室内歩きは床材でも違う?カーペットと硬い床で分けて考える負担
- 有酸素運動のゆっくり歩きは寒いほど燃える?気温と震えの影響を分けて読む
- 有酸素運動は自転車で歩く力も伸びる?持久力テストと通勤の足取りを分けて読む
- 股関節を使う階段は足裏を全部載せる?踏み面の深さと足の置き場所を研究で読む
- 股関節を鍛える壁スクワットは背中が滑ると違う?摩擦と上下で変わる脚の負荷
- 股関節を安定させるブリッジは息を止める?吐いた後の腹筋の働きを研究で読む
- 股関節を安定させる横歩きは戻る時も同じ?先に出す脚と追う脚の役割を読む
- 股関節を上げる練習は膝を曲げる?脚の重さと太もも裏の抵抗を分けて読む
- 股関節を内旋させる筋肉は座ると変わる?曲げる角度と回す力の意外な関係
- 体が硬い人は握る力を抜くと伸びる?前屈と離れた筋肉の反応を分けて読む
- 体が硬い人は鏡で脚を見ると伸びる?前屈の見え方と測った限界を分けて読む
- 体が硬いか測る日は服も揃える?圧迫による動きの制限と前屈の記録を読む
- 筋力低下は頭の疲れでも起こる?仕事後の最大筋力と続けられる力の違いを読む
- 筋力低下の測定は音で力を知らせる?壊れた合図と画面で保つ力を分けて読む
- 運動後のマッサージはオイルで変わる?滑る肌と回復の評価を分けて研究で読む
- 睡眠不足で記憶力低下、運動の予定も忘れる?時計を見る力と実行する記憶を分ける
- 睡眠不足でイライラする日は声まで厳しい?表情の読み違いと反応の遅れを分ける
- 睡眠不足の運動は左右の手がずれる?両手の動きと眠気を同じ物差しで測らない
- 運動後の冷却は筋肉まで届く?水温と皮下脂肪、深さで違う冷え方を読み解く
- 運動後のマッサージは何と比べて効いた?期待と偽の施術で違う結果の読み方
- 運動後の糖質飲料は甘くないと補給不足?糖の鎖と胃を出た後の違いを読む
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2






