
運動を続けた試験では、増えた結果と増えない結果がある
人同士の比較から進んで、運動を割り当てた試験を見てみよう。記憶の障害を伴う軽度認知障害の患者70人を、有酸素運動かストレッチと筋肉を整える運動に分け、12か月取り組んでもらった無作為化比較試験がある。完了したのは有酸素運動群19人、比較群29人の計48人だった。登録者全員が最後まで続けた試験ではない点を、結果と一緒に置く必要がある。対象は患者であり、18〜39歳の健康な女性への効果を直接示す試験ではない。[1]
有酸素運動では最高酸素摂取量が改善し、頸動脈の硬さと脳血流の拍動性が低下し、脳組織の量で補正した血流が増加した。心肺機能の変化と補正後の血流の変化には、相関係数0.388の正の関連があった。心肺機能の伸びと血流の変化が関係していた、という結果であり、体力が一定量増えると血流も決まった量だけ増える換算表ではない。[1]
重要なのは、認知機能の成績に対する有酸素運動の効果は、比較群に比べてわずかだったことである。この試験では記憶と実行機能を神経心理学的な課題で評価していた。血流は超音波などで評価し、認知成績は課題で評価するという、異なる測定の結果を対比した点に意味がある。[1]
別の試験は、血管性認知障害のある50歳以上の58人を、有酸素インターバル運動群28人と情報提供を受ける比較群30人に分けた。14週間後、割り付けた人を対象とする解析では、灰白質の脳血流の変化に群間差はなく、最大酸素摂取量の変化にも群間差はなかった。血流に関する検定の値はp=0.38だった。50歳以上の患者での結果なので、18〜39歳の女性の運動効果は別に確かめる必要がある。[7]
決められた手順に沿って取り組んだ人を対象とする解析では、運動群の最大酸素摂取量は比較群より改善した。しかし、脳血流などの改善は確認されなかった。心肺機能が改善したという結果だけを抜き出し、「だから脳にも血が増えた」と補ってしまうと、この試験の重要な結果を反転させることになる。[7]
長い試験では増え、短い試験では増えなかったから、必要期間が分かった、とすることもできない。対象の病気、運動内容、比較条件が違うからである。短い介入期間が結果に影響した可能性は研究者も挙げているが、期間だけを変えて比べた試験ではない。期待できる仕組みがあることと、どの人にも確実に起こることの間には、まだ距離がある。[1][7]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
前頭部の酸素化と記憶課題をどう対比するか
健康な男性の自転車運動の比較で、血流速度と同時に測ったのが前頭部の酸素化ヘモグロビン濃度である。低強度から中強度への移行時、活動的な群は5±4%の増加、座りがちな群は−2±3%の変化を示した。血流速度だけでなく、前頭部の酸素化に関わる指標にも群の違いが現れた。18〜39歳の女性については、この男性の結果と同じ方向や大きさになるかを改めて調べる必要がある。[13]
この組合せを読むときは、測定した場所を揃えたい。血流速度は中大脳動脈、酸素化の指標は前頭部である。「血管内の速さ」と「前頭部の酸素化」という異なる窓から、運動負荷に対する応答を見ている。前頭部の数値に、脳全体の血液量という名前を付け直すと、測定の範囲が変わってしまう。[13]
また、プラスとマイナスという符号は、ここでは運動に伴う濃度の変化を表している。座りがちな群の−2±3%を、酸素消費がその割合だけ減ったと読み替えることはできない。酸素化ヘモグロビン濃度と酸素消費率は別の指標である。健康な50歳以上の観察研究が、血流に加えて酸素消費率と酸素抽出率を分けて評価していた理由も、この区別から理解できる。[4][13]
認知成績との対比には、別の問いを立てた臨床試験を補助的に使う。軽度認知障害の患者30人を、有酸素運動とストレッチに15人ずつ分けた12か月の試験では、心肺機能と記憶機能が改善した。平均年齢は各群66.4歳と66.1歳で、18〜39歳の女性の日常の集中力へ直接置き換える対象ではない。記憶の改善幅は前帯状皮質と隣接する前頭前皮質の血流増加に関連し、後帯状皮質の血流は比較群に対して減少した。[3]
この患者の試験では、場所によって血流の変化の方向が分かれた。一方、先ほどの患者70人を登録した試験では、血流は増えたが認知成績への効果は比較群よりわずかだった。記憶の改善との関連が現れた結果と、認知成績の群間差が小さかった結果を並べておく。その違いを「脳によい」という一語に畳まず、対象、測定部位、課題の成績という順に確認すると、研究ごとの答えが残る。[1][3]

よくある誤解
「心肺機能が高ければ、安静時から脳血流は必ず多い」。そうは限らない。健康な男性の比較では、安静時の血流速度に差がなく、低強度から中強度へ移るときに差が現れた。一方で健康な高齢者では、心肺機能と灰白質血流の関連が見られた。測定値も対象も違うので、片方の研究で他方を取り消す読み方はしない。[4][13]
「脳へ流れる血液が多ければ、酸素も多く使い、記憶も必ずよくなる」。供給、利用、成績をひと続きにした説明である。健康な高齢者の研究では血流との関連があっても酸素消費率との関連はなく、軽度認知障害の試験では血流が増えても認知成績への効果は比較群よりわずかだった。血流は、それだけで頭の働き全体を代表する数字にはならない。[1][4]
「息が強く弾むまで追い込むほど、脳への利点も大きくなる」。健康な男性の研究で具体的な群間差が示されたのは、低強度から中強度へ移る場面だった。その結果を、強度を上げ続ければ利点も増え続けるという規則に広げることはできない。また、高齢者の研究で用いたガス負荷は検査の条件であり、日常の呼吸の工夫として再現する方法ではない。[5][13]
息を大きくすることや息を止めることを、ここで紹介した結果から脳血流を増やす手段として勧めることはできない。この記事の入口は呼吸の技法ではなく、運動によって体に負荷がかかると、安静時には見えなかった違いが見える場合がある、という測定の話である。強度や呼吸の様子を、自分の脳血流の目盛りに置き換えないでおこう。[5][13]
今日からできること
- 運動の記事を読むときは、「安静時か、運動中か」を先に書き留める。12人対12人の男性の比較では、場面を変えると差の有無が変わった。[13]
- 脳血流の数字を見たら、速度か、脳組織への血液の供給かを確かめる。28±13%という増加は血流速度の変化であり、脳全体の総血流の差ではない。[13]
- 体力づくりの予定は、研究の期間をそのまま効果の期限にしない。14週間の試験で心肺機能の改善が見られた解析でも、血流改善は確認されなかった。[7]
- 続け方を考える材料として、25〜30分・週3回から始めて回数と時間を増やした試験を読む。ただし対象は軽度認知障害の人であり、自分への運動処方は体調や医師の判断と分けて考える。[3]
- 運動後の気分や日常の動きやすさは自分の言葉で記録し、脳血流が改善したと判定しない。12か月の試験でも、血流の変化と認知成績の変化は同じ大きさでは現れなかった。[1]

オンザショアで、続ける予定を生活の中に置く
脳血流の数値を追う前に、生活の中に通う場所と時間を置く。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休だ。朝の予定や仕事帰りの動線と照らして、通う枠を考えられる。
溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけでも25種類以上のレッスンを設けている。ここで紹介した研究の介入と、店の各レッスンは同一のものとして扱わず、続ける仕組みを選ぶ場所として考えたい。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件を先に確認し、店の案内で通う場所を、料金で費用を確かめたい。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。日程は体験の予約で確認できる。
参考文献
[1] One-Year Aerobic Exercise Reduced Carotid Arterial Stiffness and Increased Cerebral Blood Flow in Amnestic Mild Cognitive Impairment — Tomoto T, Liu J, Tseng BY, Pasha EP, Cardim D, Tarumi T, Hynan LS, Munro Cullum , 2021, Journal of Alzheimer’s disease : JAD. DOI: 10.3233/jad-201456
[3] Brain Perfusion Change in Patients with Mild Cognitive Impairment After 12 Months of Aerobic Exercise Training — Thomas BP, Tarumi T, Sheng M, Tseng B, Womack KB, Cullum CM, Rypma B, Zhang R, L, 2020, Journal of Alzheimer’s disease : JAD. DOI: 10.3233/jad-190977
[4] Greater cardiorespiratory fitness is associated with higher cerebral blood flow and lower oxygen extraction fraction in healthy older adults — Sanami S, Rezaei A, Tremblay SA, Potvin-Jutras Z, Sabra D, Intzandt B, Gagnon C,, 2026, Journal of cerebral blood flow and metabolism : official journal of the International Society of Cerebral Blood Flow and Metabolism. DOI: 10.1177/0271678×251413924
[5] Cardiorespiratory fitness in relation to cerebral vascular and metabolic health in older adults with coronary artery disease — Sanami S, Tremblay SA, Potvin-Jutras Z, Rezaei A, Sabra D, Gagnon C, Intzandt B,, 2026, GeroScience. DOI: 10.1007/s11357-026-02128-8
[7] The effect of aerobic exercise on cerebral perfusion in patients with vascular cognitive impairment, the Excersion-VCI randomised controlled clinical trial — van Hout LR, Moonen J, Leeuwis AE, van Alphen J, Dijsselhof M, Amier RP, Barkhof, 2025, Cerebral circulation – cognition and behavior. DOI: 10.1016/j.cccb.2025.100386
[12] Cardiorespiratory fitness mediates the effects of aging on cerebral blood flow — Zimmerman B, Sutton BP, Low KA, Fletcher MA, Tan CH, Schneider-Garces N, Li Y, O, 2014, Frontiers in aging neuroscience. DOI: 10.3389/fnagi.2014.00059
[13] Acute exercise stress reveals cerebrovascular benefits associated with moderate gains in cardiorespiratory fitness — Brugniaux JV, Marley CJ, Hodson DA, New KJ, Bailey DM., 2014, Journal of cerebral blood flow and metabolism : official journal of the International Society of Cerebral Blood Flow and Metabolism. DOI: 10.1038/jcbfm.2014.142
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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