
腱がよく弾めば、筋肉の仕事はなくなるのか
計算モデルの研究は、ばねだけの走行モデルでは、人が走るときの代謝エネルギーコストを説明できないという問題を扱った。弾性で返ってくるエネルギーは節約に役立つが、失われるエネルギーを補う能動的な仕事も必要だからである。そこで、ばねのモデルに筋肉に相当する駆動とエネルギー損失を加えて検討した。[11]
そのモデルでは、正の仕事の59%に相当する弾性エネルギーが戻る設定でも、人に近い筋肉効率を仮定すると、能動的な仕事が代謝コストの約68%を占めうるとされた。数字の分母が異なる点が肝心だ。前者は機械的な正の仕事に対する割合、後者は代謝コストに対する割合なので、足して全体を表す数字ではない。[11]
腱がたくさんエネルギーを返すという説明と、筋肉が多くのエネルギーを使うという説明は両立する。弾性による返還が大きくても、損失を補う筋肉の仕事は残る。この研究は、急速に力を生むことのコストも加え、さまざまな速度や坂での走行のエネルギーを説明している。[11]
同じ「効率」でも測り方に注意がいる。走行の測定研究が使う見かけの効率は、総機械的仕事を正味のエネルギーコストで割ったものだ。筋肉単独でエネルギーを仕事に変える効率とは区別される。腱から戻る仕事も含むため、体全体の見かけの効率をそのまま筋肉の能力として読むと話がずれる。[16]
仕事の計算にも境界がある。移動を扱ったレビューは、重心の位置・運動エネルギーの変化を正確に測れても、弾性エネルギーの寄与や筋肉の真の仕事を評価するのは容易ではないと指摘する。「この走り方なら筋肉の仕事がなくなる」という言葉は、その難しさを飛び越えている。[3]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
歩行の速さと体格で、節約の仕方も違う
歩行を調べる研究でも、速さを一定にした場面と、加速・減速する場面は分けて検討されている。床反力計を用いた研究は、歩行中の力から仕事やエネルギーのやりとりを計算した。速度が高まると弾性エネルギーの利用が増えると報告し、その範囲を4〜11%としている。[17]
ただしこの値は、歩いた人の感覚から判定した「ばねの強さ」ではない。機械的エネルギーの変化を使って評価した値である。また、加速時にはエネルギーの回収が保たれる一方、減速時には回収の低さを負の仕事などが補うという違いもあった。歩行の途中で速度を変えることまで含めると、一定ペースの説明だけでは足りない。[17]
駅の改札前で速度を落とす、横断歩道へ向かって速める、という場面を想像すると理解しやすい。距離の表示が同じでも、その中に加速や減速があるかという問いが残る。散歩の記録を比べる際、速度の平均だけでなく、止まる場所や流れの違いに目を向けるための知見である。[17]
体格によっても、節約の内訳は異なる。成人の肥満群13人と標準的な体重の群13人を比べたトレッドミル歩行の研究では、体重当たりの正味の歩行コストに群間の有意差はなかった。一方、肥満群は速い条件で振り子による回収が高く、最大限利用しうる弾性エネルギーは低い値を示した。成人の体格群を比べた結果であり、18〜39歳の女性に同じ分担の差があるかは、この比較だけでは判断できない。[18]
これに対し、肥満の子ども9人と非肥満の子ども8人を比べた研究では、肥満の子どもの振り子による回収が低く、弾性エネルギーの利用が大きかった。対象は子どもであり、18〜39歳の女性の歩行にそのまま当てはめることはできない。成人の研究と同じ方向にはそろわない。対象年齢の違う研究をまとめて「体重が大きい人ほど腱を使う」と言い切ることはできないのである。[8][18]
ここで子どもの数値を大人の散歩へ当てはめる必要はない。大切なのは、同じ「歩く」という活動でも、似たコストを別の仕組みで支える場合があるという視点だ。成人の研究では体重当たりのコストに有意差がなくても、振り子と弾性の分担は異なった。消費の数字だけでは、脚の中の働き方は一つに決まらない。[18]

よくある誤解
「つま先から着けば腱を使えて、必ず省エネになる」は飛躍がある。男性7人が、毎秒2.38mの速度で前足部着地と後足部着地を行った実験では、前足部着地で腱の伸びと反動が大きかった。しかし筋束の正の仕事は同じで、エネルギーを吸収する負の局面の仕事は前足部着地のほうが大きかった。男性の実験であり、18〜39歳の女性でも同じ差が出るかは、別に確かめる必要がある。[13]
これは「反動が増えた」という結果だけで良し悪しを決められない実例だ。研究は後足部着地のほうが筋肉の仕事などを少なくできる可能性を示すが、対象は少人数の男性で、特定の速度と歩調による短時間の比較である。すべての人の長距離走や、けがの起こりやすさまで判定したものとしては読まない。[13]
「走行のコストは速度と無関係だから、速く走っても同じ負担」という理解も、何を割った値かを落としている。移動のレビューが走行コストをおおむね一定と整理するのは、体重と移動距離当たりの値である。走行コストの別のレビューも、距離当たりのエネルギーと、ある速度でのエネルギー需要を区別している。同じ距離の話と、同じ時間の話を入れ替えないことだ。[1][3]
「歩行は振り子だから腱の反動はない」も正しくない。歩行の足首を扱ったレビューは、アキレス腱の蓄積と返還を効率の中心的な要素として説明している。モデルの名前は、その活動に働く仕組みを独占する札ではない。歩く日にも腱は仕事の分担に参加している。[2][3]
反対に「弾まなければ筋肉を使えて運動効果が高い」とも決められない。筋線維が担う仕事、全身のエネルギー消費、長期的に目指す変化は、それぞれ別に確かめる必要がある。足首の補助装置の研究で筋肉と腱の分担が変わったことは、特定の歩き方で体力が伸びるという証明ではない。仕組みの説明を、そのまま運動の成果の順位表にしないことが大切だ。[20]
今日からできること
- 散歩では、腱を使おうとつま先で弾む動きを足さず、普段の足取りで歩く。歩行にもアキレス腱がエネルギーを蓄えて返す働きがあるので、まず自然な接地の感触を確かめたい。[2]
- 歩行と小走りを比べたい日は、平らな同じ道を選び、荷物の条件もそろえる。坂や荷重も仕事に影響するため、道の違いと動き方の違いを切り分けて観察する。[3]
- 散歩の途中で速めたり止まったりしたら、その場所を振り返る。一定のペースで進む区間と、横断歩道の前などで減速する区間を分けると、平均速度だけでは見えない歩き方の違いに気づける。[17]
- 走るときは、腱の反動を増やす目的でつま先着地を作るより、普段の着地で進む。接地を変えようとしてふくらはぎを余分に緊張させていないか、足取りに意識を向ける。前足部着地で反動が増えても、筋束の正の仕事は減らなかった男性の実験が、この判断の背景にある。18〜39歳の女性への適用には検証が必要で、特定の着地を一律に勧める結果ではない。[13]
- 別の人の跳ね方をまねる前に、自分の普段のペースと足取りを確かめる。ランナーの走行コストには約20%の個人差があり、体の寸法や脚の構造も関わる。18〜39歳の女性の目標値として使うより、見た目が違う理由を理解する材料にしたい。[1]

オンザショア立川店で、弾む以外の動きにも目を向ける
歩く・走るときの弾む動きに関心を持ったら、別の運動で体を動かす時間も生活の予定に置く。続ける場所を考えるときは、種目名だけでなく、足を運べる時刻と場所も確かめたい。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、営業時間は8:00〜23:30で、全曜日同じ、年中無休である。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fだ。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあるので、通う予定を考える際は、希望する内容も確認しておきたい。
妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。店の案内と料金を確認し、予定が合う場合は体験の予約へ進める。
参考文献
[1] Factors affecting the energy cost of level running at submaximal speed — Lacour JR, Bourdin M., 2015, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-015-3115-y
[2] It pays to have a spring in your step — Sawicki GS, Lewis CL, Ferris DP., 2009, Exercise and sport sciences reviews. DOI: 10.1097/jes.0b013e31819c2df6
[3] Biomechanical and physiological aspects of legged locomotion in humans — Saibene F, Minetti AE., 2003, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-002-0654-9
[8] Pendular mechanism determinants and elastic energy usage during walking of obese and non-obese children — Peyré-Tartaruga LA, Oliveira HB, Dewolf AH, Buzzachera CF, Martinez FG, Ivaniski, 2023, Experimental physiology. DOI: 10.1113/ep091408
[11] Elastic energy savings and active energy cost in a simple model of running — Schroeder RT, Kuo AD., 2021, PLoS computational biology. DOI: 10.1371/journal.pcbi.1009608
[13] Muscle-Tendon Behavior and Kinetics in Gastrocnemius Medialis During Forefoot and Rearfoot Strike Running — Takeshita T, Noro H, Hata K, Yoshida T, Fukunaga T, Yanagiya T., 2021, Journal of applied biomechanics. DOI: 10.1123/jab.2020-0229
[16] The influence of Achilles tendon mechanical behaviour on “apparent” efficiency during running at different speeds — Monte A, Maganaris C, Baltzopoulos V, Zamparo P., 2020, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-020-04472-9
[17] Walking at non-constant speeds: mechanical work, pendular transduction, and energy congruity — Balbinot G., 2017, Scandinavian journal of medicine & science in sports. DOI: 10.1111/sms.12667
[18] Energy-saving walking mechanisms in obese adults — Fernández Menéndez A, Saubade M, Millet GP, Malatesta D., 2019, Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985). DOI: 10.1152/japplphysiol.00473.2018
[20] Muscle-tendon mechanics explain unexpected effects of exoskeleton assistance on metabolic rate during walking — Jackson RW, Dembia CL, Delp SL, Collins SH., 2017, The Journal of experimental biology. DOI: 10.1242/jeb.150011
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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