姿勢改善は胸を張るほどよい?肩を引く合図と肋骨を持ち上げる動きの違い

姿勢改善のために胸を張ったら、肩や背中まで力んでしまう。肩甲骨を寄せる動き、胸の背骨を伸ばす動き、肋骨を持ち上げる見た目を分け、筋活動と腕の動きの研究から考える。運動中の変化と日常で保つ姿勢を混同せず、座り仕事やヨガで合図を受け取る際の確認点を紹介する。

試着室の鏡の前で、肩を後ろへ引く。そのまま胸を高くしてみたら、今度は背中に力が入る。「胸を張る」は短い合図だが、どこをどう動かすかまでは教えてくれない。

姿勢改善を、胸をできるだけ高く保つ競争にする必要はない。肩甲骨を寄せる動きと、胸の背骨を伸ばす動きにはそれぞれ研究があるが、腕を上げる際の連動や筋肉の働きは姿勢と動作によって変わる。胸を張る強さだけで良し悪しを決める読み方はできない。[2][3][13]

ここで扱うのは「胸を張る」という合図の中身だ。肋骨が上がって見えることを、そのまま肩甲骨や背骨の改善と呼ばず、何を動かし、何を測った研究なのかを確かめる。運動の研究で変化した項目と、鏡で見た印象を分けることから始めたい。[3][13][17]

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

「胸を張る」で、どこを動かしているのか

胸の高さを変えるように言われたとき、肩を後ろへ引く人もいれば、体全体を後ろへ傾ける人もいる。この日常語を研究と照らすには、肩甲骨の位置、胸の背骨の形、腕を動かしているかを分ける必要がある。実際、肩甲骨を寄せた姿勢で筋活動を調べた実験と、胸の背骨の姿勢を変えて腕を上げた実験は、異なる条件を比べている。[2][13]

肩甲骨の内転は、左右の肩甲骨を背中の中央へ寄せる動きである。胸椎伸展は、胸の部分の背骨を伸ばす動きだ。腕立ての姿勢で肩甲骨を寄せたり離したりした研究は前者を、背骨の姿勢を変えて肩の動きを測った研究は後者を扱っている。どちらも「胸を張る」と表現されうるが、同じ操作ではない。[2][13]

肋骨を持ち上げるという見た目の合図も、そのまま研究の測定項目には置き換えられない。腕と体幹を調べたピラティスの研究では、座ったときの背骨の曲がりに加え、腕を上げる間の胸椎、腰、肩甲骨の動きを別々に記録している。胸元の写真だけで、これらすべてが改善したと判断するのは飛躍だ。[3]

たとえばレッスンで合図を受けたら、「肩を寄せるのか」「背中を伸ばすのか」「腕を上げながら行うのか」と言葉を具体化できる。これは合図を細かくしすぎるためではない。同じ胸の高さを目指していても、研究で確認する場所が違うからである。外から見える輪郭と、動きの中身をいったん分けておきたい。[3][13]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

肩を後ろへ引くと、筋肉は休むのか

健康な男性10人を対象にした実験では、通常の腕立てと膝をついた腕立てを、安定した支えと不安定な支えで行い、肩甲骨の周囲の筋活動を測っている。皮膚の上から筋肉の電気的活動を記録する筋電図を用いた比較だ。肩甲骨を寄せた姿勢では、離した姿勢より僧帽筋上部の活動が高かった。男性の腕立て中の結果を、18〜39歳の女性の座り姿勢へそのまま当てはめることはできない。[2]

僧帽筋上部は首から肩の周辺に広がる筋肉の一部である。一方、肩甲骨を離した姿勢では、肩甲骨と胸郭の間で働く前鋸筋の活動が高かった。つまり肩を後ろへ引けば、肩の周囲が一様に休むという結果ではない。位置によって、強く働く筋肉が違っていたのである。[2]

この研究で不安定な支えを使うと、筋活動は安定した支えより大きくなった。ただし筋活動の増加は、その場の運動でどれだけ筋肉が働いたかの情報だ。日常の座り姿勢が楽になったことや、肩の痛みが減ったことと同じ結果として扱うことはできない。腕立て中の測定を、通勤中に肩を寄せ続ける理由へ広げないことが大切だ。[2]

運動として肩を寄せる場面と、仕事中に負担を減らしたい場面では、見たい指標が異なる。鍛える場面なら筋肉の働きが関心になるが、座り作業の実験では腕の支えによる筋活動の低下も検討されている。姿勢の評価に「たくさん働けば正解」という共通の採点表はない。[2][4]

筋電図の結果を読むときは、どの筋肉を比べたのかも残しておきたい。この実験では僧帽筋の上部だけでなく中部と下部、前鋸筋、広背筋を記録している。肩の周りをひとまとめにして「肩に効く」と言うより、寄せる位置と離す位置で違う筋肉の活動を比べた、と理解する方が結果に近い。肩を寄せる感覚の強さだけでは、この分担まではわからない。[2]

立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

背中を起こすことと、腕の動きを合わせること

男性15人を対象にした動作計測の研究では、通常の姿勢、胸椎を曲げた姿勢、伸ばした姿勢を比較した。参加者が腕を前から上げる動きと、横から上げる動きを行い、肩甲骨と胸椎の角度を立体的に測定している。姿勢だけでなく、腕を上げる方向も実験条件に含めた点が重要だ。男性の測定結果であり、18〜39歳の女性でも同じ動きの差が生じるかは別に確かめる必要がある。[13]

腕を前から上げたとき、肩甲骨の外旋、つまり外向きの回転の変化量は、胸椎を伸ばした条件より曲げた条件で大きかった。横から上げる場合には、肩甲骨が前へ傾く動きと外向きの回転の変化量が、胸椎を曲げた条件で大きかった。さらに、前から上げる場合と横から上げる場合でも肩甲骨の動きは異なった。[13]

ここでいう変化量は、動作の間に角度がどれだけ変わったかを指す。大きいから優秀、小さいから不足と決める数字ではない。著者らは、肩の運動では動作に合わせて胸椎の姿勢を調整する必要があると述べている。背中を起こす合図も、何をしながら行うかと一緒に読むべきなのである。[13]

ヨガで腕を前から上げるときと、横へ開くときに、肩を同じ強さで背中へ引き続けるべきだと、この研究からは言えない。動作の違いを消して胸の高さだけをそろえるより、いま腕がどちらへ動くのかを確認する読み方が合う。研究の対象は男性の動作計測であり、すべてのポーズに共通する角度の処方ではない。[13]

測定されたのは外向きの回転だけではなく、肩甲骨の上向きの回転や傾きも含まれる。腕を横から上げた場合には、前から上げた場合より上向きの回転、後ろへの傾き、外向きの回転が大きかった。肩甲骨の動きを背中の中央への移動だけで表すと、この立体的な違いが抜け落ちる。「肩を後ろへ」の先にも、動作によって確かめる方向がある。[13]

胸の丸みと、動作中に反る量は別々に変わる

ピラティスの介入研究は、「姿勢がよくなるなら、いつでも背中をもっと反らすのだろう」という想像を考え直す材料になる。対象は19人で、実験群10人と対照群9人を比較した。実験群は12週間、週2回、各1時間のプログラムを行い、座位姿勢や腹部の筋力、腕を上げる際の動きを測定した。[3]

トレーニング後、実験群では静かに座ったときの胸椎後弯が小さくなった。後弯とは背骨の後ろ向きの曲がりを指し、ここでは胸の部分の丸みを測っている。同時に腹部の筋力も増えていた。ところが腕を上げる課題では、上部胸椎の伸展や腰の横への曲がり、肩甲骨の一部の移動が減っていたのである。[3]

止まって座っているときの丸みは小さくなり、腕を動かすときの胸椎の伸展も小さくなる。この組み合わせは矛盾ではない。測っている場面が違うからだ。見た目の姿勢を起こすことと、腕を上げるたびに体幹を大きく動かすことは、別の結果として現れている。[3]

筋活動にも一律の増減はなかった。腕を上げる課題で、同じ側の首の伸筋や反対側の菱形筋の活動は高くなり、同じ側の腰の伸筋は低くなっていた。菱形筋は肩甲骨と背骨をつなぐ筋肉である。「姿勢が変われば全身の力が抜ける」とも「すべての筋肉が強く働く」とも読めない結果だ。[3]

大事なのは、静止姿勢と動作を分けて確かめた研究だという点である。胸を高く見せたまま腕を上げられるかだけを目標にすると、この違いを見落とす。少人数の介入研究として受け止めつつ、日常でも「立った形」と「そこから動くとき」を別々に観察する視点に使いたい。[3]

また、この研究は腹部の筋力だけで姿勢の変化を説明し切ろうとしたものでもない。座位姿勢、肩の可動域、腕を最大まで上げる際の首・肩・体幹の運動と筋活動を組み合わせて評価している。腹部が強くなったという結果と、動作中の背中の動きが変わったという結果を並べて読むことで、姿勢を単一の筋肉の問題へ縮めずに済む。[3]

数字で読む胸を張る動き

健康な男性10人:肩甲骨を寄せる位置と離す位置で、働きの大きい筋肉が違った。[2]

男性15人:胸椎の姿勢と腕を上げる方向を変え、肩甲骨の動きを比較した。[13]

19人・12週間:ピラティスの介入で、座位姿勢と腕を上げる動作を別々に評価した。[3]

オフィス勤務者32人・6週間:肩甲骨と胸椎への運動を、首への運動と比較した。[16]

胸椎部に痛みがある73人:背骨の動かせる範囲と痛みの関連を調べた観察研究の対象である。[19]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

1

2

Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/ontheshore.jp/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

ご体験予約