呼吸法は唇を震わせて吐くと違う?細い口で吐く場合との圧と息の流れを読む

唇をぶるぶる震わせる呼吸は、口を細くして吐く方法と何が違うのか。口内の圧、息の流れ、声の有無を発声研究から読み分ける。小規模な実験と臨床試験の対象や結果を確かめ、声が楽になることと呼吸筋を鍛えることを混同せず、講座や自宅練習で何を確認するかを考える。

呼吸法の講座で、唇をぶるぶる震わせる見本を見た。口を細くして静かに吐くのと、何が違うのだろう。鏡の前で再現すると、唇より先に眉間に力が入る。見本の音だけは、なかなかまねできない。

唇を震わせるリップトリルは、発声研究では出口が振動する練習として扱われる。単に細い出口を保つ場合と違い、唇の開閉に合わせて口内の圧や声の指標が変わる。さらに声を出すかどうかでも圧が異なるため、「口を狭めて吐く」という共通点だけで同じ練習とは扱えない。[5][19]

ただし、その違いは「より強い呼吸筋が育つ」「より深く落ち着く」という優劣を意味しない。ここで確かめる中心は声と息の関係である。声に問題のある人を対象とした試験でも、声の検査値と本人の楽さは同じようには変わっていない。[17][18]

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唇が動く出口と、形を保つ出口を分ける

リップトリルは、振動を伴う半閉鎖声道の練習に分類される。半閉鎖とは、声の通り道の出口などを部分的に狭めることだ。声道を部分的に狭める練習の統合レビューでは、唇などの位置に流れへの抵抗が加わり、空気の振動の性質も変わると整理されている。[5][19]

日常語の「吐く」は広い。同じ言葉でも、声を付けて唇を震わせること、声を付けずに震わせること、口の形を保って吐くことが含まれてしまう。研究を生活に持ち帰るなら、まずこの区別が必要だ。リップトリルの実験でも、声ありと声なしを別の条件として測っている。[5]

口すぼめ呼吸とリップトリルを含む課題を調べた症例対照研究には、脳卒中後に飲み込みの障害がある人と健康な人がそれぞれ60人参加した。研究者は頭や首の筋活動を測定したが、課題と飲み込み時の筋活動との関連は、筋肉や対象者の集団によって異なった。患者を含む比較なので、健康な18〜39歳の女性の呼吸練習にそのまま当てはめることはできない。[1]

例えば、患者群では口の周りの筋肉の飲み込み時の活動と口すぼめ呼吸時の活動に関連があった。一方、健康な対照群では、同じ筋肉の飲み込み時の活動と各課題の活動に有意な関連はなかった。患者群の結果を、そのまま健康な人の呼吸法の順位表にはできない。[1]

「唇を使う運動だから同じ筋肉に同じ作用がある」とまとめるのは早い。関連があることと、課題を繰り返すと機能が改善することも別である。この研究を読む際は、どの人の、どの筋肉を、何をしている最中に測ったかを残しておきたい。[1]

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ぶるぶるの途中で圧も声も動いている

リップトリルそのものを詳しく調べた実験では、訓練を受けた女性歌手1人が、声あり、声なし、続けて音節を発する条件を行った。音、気流、口内の圧に加え、声帯の接触状態に関わる電気的な信号が同時に記録された。これは単一被験者の予備的観察であり、18〜39歳の女性一般に同じ反応が起きるかは、この実験だけでは判断できない。[5]

声ありのリップトリル中、口内の圧は大気圧まで下がらなかった。また、この参加者では声なしのほうが声ありより口内の圧が高かった。研究者は、声なしでは声門による抵抗がないことが、その違いに関わる可能性を挙げている。声門とは声帯の間の部分である。[5]

唇が離れる局面では、声帯の接触を反映する信号の指標が低下し、声の基本周波数、つまり声の高さに関わる値は上昇した。上昇は目標の高さから最大3半音に及んだ。唇の振動は、出口だけが勝手に動く出来事ではなかった。[5]

別の指標では、通常の母音発声時に0.5を超えていた値が、リップトリル中には0.2になった。これは研究者が声門の内転、声帯が寄る働きの減少を示す指標として解釈したものである。声帯に加わる力そのものを家庭で測れる数字ではなく、万人の目標値でもない。[5]

この結果には面白さと限界が同居する。声を足すと圧が増えそうに思えても、この実験では声なしのほうが高かった。そして対象は訓練された歌手である。初心者が同じ音を出したときも、まったく同じ圧や声帯の動きになると約束する結果ではない。[5]

練習動画を見るときは、音程が動くのか、声を付けているのかにも目を向けたい。唇の見た目だけを似せても、実験の条件がそろうわけではない。ぶるぶるという音を完成させることと、狙った声の使い方を学ぶことは分けて考えられる。[5][19]

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口の圧が高いことと、声の負担は同じではない

口内の圧、声帯の下の圧、声帯を挟んだ圧の差は、研究では別の量として扱われる。模型を用いた実験では、空気の流量を一定にして抵抗のある管を付けると、声帯の下と上の圧は上がる傾向がある一方、声帯を挟んだ平均の圧の差は下がる傾向があった。[4]

これは健康な成人男性の声道形状をもとにした立体模型と、自ら振動する声帯模型を組み合わせた実験である。人が練習している間の気持ちよさを測った試験ではない。それでも、「どこかの圧が上がるなら、すべての場所で負担が増す」という読み方を避ける助けにはなる。男性の形状に基づく模型の結果を、18〜39歳の女性の生体反応にそのまま当てはめることはできない。[4]

声に問題のない歌手23人に、出口の大きさを変えたマスクで発声練習をしてもらった前後比較でも、本人が感じる発声の努力は軽くなった。一方、平均の推定声門下圧と声の強さは上昇し、気流と抵抗の変化は一貫していなかった。歌手を対象とするため、発声に慣れていない18〜39歳の女性にも同じ変化が起きるかは別に確かめる必要がある。[7]

この研究の音響や空気力学上の変化は、全体としてばらつきがあり、程度も控えめだった。楽に感じたことは大切な結果だが、それを「圧がすべて下がったから」と説明すると、測定された結果から離れてしまう。[7]

ヨガの前に声を出す場面でも、「圧」という言葉だけでは話が通じにくい。口の中が押される感じなのか、声を出す努力なのか、吐く流れなのか。感覚を話すときには、測定値の名前を無理に当てるより、どこで何を感じたかを伝えるほうが具体的だ。

圧を感じる場所と、研究で圧を測る場所を一致させて考えることも難しい。模型では、声帯の上側と下側を独立して測定していた。口元の感覚だけから声帯を挟んだ圧の差まで推測するのは、その測定を飛び越えることになる。家の鏡は便利だが、圧力計の仕事までは引き受けない。[4]

さらに模型の実験では、管の内径に応じて、管を付けたときの声門の最大の幅の変化も異なった。道具を付けるか外すかだけでなく、その寸法も条件になる。これは唇を極端に狭くすれば同じ現象を起こせるという指示ではなく、出口の条件を具体的に記す必要を示す実験結果として読みたい。[4]

発声中の変化と、終えた後の変化は別に読む

正常な声を持つ男性8人を対象とした予備研究では、母音を伸ばす発声と、唇の振動を伴う半閉鎖の口の構えが比較された。後者では、声門が開いている時間の割合と、気流の最小値が有意に増えた。ほかの指標は理論の予測する方向に動いたものの、有意な変化ではなかった。男性の結果が18〜39歳の女性にもそのまま当てはまるかは、この研究からは判断できない。[6]

ここで測ったのは条件を変えたときの即時の気流である。似た仕組みの練習でも、すべての値がそろって変わるとは限らない。「流れが変わった」という結論の中にも、確かに差が出た項目と、傾向にとどまった項目がある。[6]

正常な声の成人20人を対象とした非無作為化の比較研究では、長さ7.5cm、15cm、30cmの管を使って母音を発した。長い時間の発声課題を行った場合、課題後15分の前後比較で口内の圧と空気力学的な抵抗が低下し、気流が増えた。短い時間の課題では声の指標に変化がなかった。成人全体の比較であり、18〜39歳の女性に絞った結果としては扱えない。[2]

この結果の15分は、全員が目指す練習時間ではない。管を使う発声の研究で、測定が行われた時点である。研究の数字は、練習の長さ、経過時間、道具の寸法のどれなのかを確かめて読む必要がある。数字だけを抜き出すと、別の手順ができあがってしまう。[2]

ストローによる抵抗と呼気筋の話は、既存の「呼吸法はストローで吐くと負荷が増える?抵抗の強さと呼気筋の働きを読む」に譲る。ここでの問いは、唇が振動し、声の有無も変わるときに、圧と流れをどう読み分けるかである。

この比較研究は、声の出し方を変えた後の変化を読む材料になる一方、唇の振動と口すぼめ呼吸の直接対決ではない。管の長さを変えること、唇の開閉が起きること、声を付けることを、同じ抵抗の調整として一列に並べないほうがよい。似た練習から分かる点と、条件が違う点を両方残しておく。[2][5]

数字で読む唇の振動と発声研究

女性歌手1人:声あり・声なしのリップトリルの口内圧などを詳しく測った実験の対象となった。[5]

最大3半音:同じ実験で、唇が離れる局面に見られた目標からの声の高さの上昇である。[5]

男性8人:口の構えを変えた際の即時の気流を調べた予備研究の規模に当たる。[6]

成人20人:管の長さを変え、発声課題の前後を比較した研究の参加者数である。[2]

53報:半閉鎖声道の練習による声の変化を整理した統合レビューに含まれた研究数である。[19]

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