
膝のどの位置で測った力なのかも確認する
股関節位置による出力差は、膝の角度と動く速さによって異なった。男性12人の実験では、動く速さを30°/秒と180°/秒に設定し、膝の角度ごとのトルクを比較した。膝が70°、90°曲がった位置では、どちらの速度でも股関節屈曲の条件が大きかった。しかし膝30°の位置では、どちらの速度でも対応する差は見られなかった。18〜39歳の女性にこの角度別の結果を当てはめられるかは、男性だけを測ったこの実験では未確認だ。[4]
膝50°の位置では、速い条件で差があり、遅い条件で差がなかった。つまり「座ると強い」という短い説明でも、動きのどこで、どの速さで測ったのかという条件を省くと粗くなる。ピークトルクは動きの中の最大値であり、すべての膝角度で同じ差があるという意味を持たない。曲げたところで違いが出た結果を、伸ばし切る付近にまで広げないことが大切だ。[4]
さらに、症状のない女性153人、男性116人を調べた実験では、動かさずに膝を伸ばそうとする力を、股関節の角度を変えて測っている。対象は20〜80歳で、研究の表記では股関節180°で最大筋力が大きかった。男女と幅広い年齢を含む比較なので、18〜39歳の女性のトレーニングへそのまま当てはめるには、年齢・性別に加えて測定課題の違いを考える必要がある。動かしながらの実験では股関節を曲げた条件に有利な結果があり、静止して力を出す測定では異なる方向の結果がある。[2][4][9]
この違いを「古い論文が間違い」「新しい論文が正解」で片づけることはできない。対象年齢、動かすか止めるか、角度の定義、出力の測り方が異なるからだ。これらの研究から直接いえるのは、測定条件が違う結果を共通の角度ランキングに並べられない、ということである。器具で動かす筋トレと、椅子に座って脚を止める運動も、同じ比較だと決めつけない。[2][4][9]
日々の記録で「今日は脚が弱い」と感じたとき、重さの増減だけで判断する前に、背もたれ、座る位置、動きの範囲を見返す。これは男性を対象とした出力測定から考えた記録の工夫であり、記録方法の有効性を検証した結果ではない。18〜39歳の女性で同じ出力差が生じるかは未確認でも、比較する条件を記しておく判断材料になる。前回より軽く感じることも、重く感じることも、条件を揃えてから比較したい。[4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
女性の研究はあるが、角度の正解までは決まらない
健康な女性20人を調べた実験では、股関節角度90°と0°で、膝を動かさずに伸ばす方向へ力を出した。等尺性収縮とは、このように関節を動かさず力を出す課題を指す。最大随意等尺性収縮に対して0%、10%、20%、30%の段階を設定し、四頭筋の各筋を超音波による硬さの指標で評価した。[3]
測定に使ったのは、超音波の波の伝わり方から組織の性質をみる方法である。健康な女性を対象としたこの実験では、安静時の大腿直筋の硬さが股関節0°で90°より約50%高かった。研究は股関節位置が四頭筋の動員のパターンに影響するとしている。この約50%は安静時の大腿直筋についての比較なので、運動中の外側広筋の働きや、持ち上げられる重さの差として使うことはできない。[3]
安静時の硬さも、長期の筋肥大も、運動時のトルクも別の指標である。硬い状態だから鍛える効果が大きい、柔らかい状態だから効果が小さい、とする比較ではない。女性の体で姿勢の影響を調べた実験として読むことはできるが、女性向けに最適なトレーニング角度を確定した試験として読むことはできない。[3]
女性の継続的なトレーニングについては、若い未経験女性63人のランダム化比較試験がある。スクワット群30人とレッグエクステンション群33人に分け、8週間、週2回実施した。各回は8〜12回が限界となる負荷で3セットだった。これは股関節角度の比較ではなく、種目そのものの比較である。[11]
レッグエクステンション群では大腿直筋の近位・中央・遠位で、スクワット群より筋厚の増加が大きかった。中央部は12.3%対5.7%、遠位部は17.5%対7.9%である。一方、外側広筋の遠位部では、スクワット群が18.2%、レッグエクステンション群が11.2%だった。女性でも、四頭筋のどの筋、どの部位を測るかによって比較結果が変わっている。[11]
筋力の結果も一様ではない。スクワットの筋力の増加はスクワット群が大きかったが、レッグエクステンションの筋力増加には群間差が見られなかった。大腿直筋の厚さに差があることと、膝を伸ばす筋力に差があることは同義ではない。目的が特定の筋の厚さなのか、ある種目で出せる力なのかを決めてから読む必要がある。[11]
スクワットで筋肉と脂肪がどう変わるかは、既存の「太もも痩せの科学 第2回 スクワットで筋肉と脂肪はどう変わるか、週2回の選び方」に譲る。ここで取り上げた研究が測っているのは筋厚と筋力であり、女性の脚の形を評価して優劣をつける指標ではない。外側広筋の筋厚が増えた結果を、読者全員にとって望ましい見た目の変化と決める理由はない。[11]
この女性の試験では、超音波で近位・中央・遠位を測っているため、部位ごとの比較ができた。しかし筋肉の厚さを測っただけで、周囲の脂肪や脚全体の輪郭まで評価したことにはならない。筋肥大を目指す人と、日常の動作を楽にしたい人では知りたい結果も違う。論文の数値を自分の目標に結びつける前に、その数値が何を測ったものかを確かめたい。[11]

よくある誤解
「四頭筋を鍛えるなら、同じ膝伸展は全部同じ」という理解は、角度を変えた比較では支持されない。その場の力にも、継続後の大腿直筋の厚さにも条件による違いが見られている。一方、外側広筋の筋肥大では角度間の差がないことを支持する結果もある。全部違うと考えるのも、全部同じと考えるのも、筋ごとの結果を落としてしまう。[1][2]
「背もたれを倒して重量が下がるなら、その姿勢は効率が悪い」という見方も早い。その場の出力を測る実験と長期の筋肥大試験では、比べた対象と条件が違う。短期の座位で力が大きい結果は、股関節屈曲を減らした条件で大腿直筋の筋肥大が大きい結果を否定しない。重さの表示は、その運動で何を達成したいかまで答えてくれない。[1][2]
「外側広筋を狙う女性は、大腿直筋に有利な角度を選べばよい」という断定にも根拠が足りない。角度の長期比較は未経験男性で、外側広筋には差がないことを支持している。女性の種目比較では外側広筋の遠位部にスクワット優位の結果があるが、それは股関節角度の試験ではない。異なる比較をつぎ合わせて、女性の角度の正解を作らないことだ。[1][11]
今日からできること
- 次回の記録には重量とともに背もたれ、座る位置、動く範囲を残す。男性12人の実験では股関節位置によって出力が違ったため、まず比べる条件を揃える工夫である。[4]
- 姿勢を試すときは、何を見たいかを言葉にする。10週間の試験で差があったのは大腿直筋の筋肥大で、外側広筋では角度間の差がないことが支持された。[1]
- 運動直後の張りを成長の成績表にしない。座位の後の約7%という数値は外側広筋中央部の膨らみであり、継続後の筋肥大を測った値ではない。[2]
- 研究の回数をそのまま初日のノルマにしない。女性63人の試験は週2回、8週間の比較である。設定や実施内容を相談するときの情報として使い、自分向けの負荷は別に確認する。[11]
- 女性向けの角度の助言を読むときは、対象と測定内容を確かめる。女性20人の実験は等尺性課題と硬さの評価で、長期の角度別筋肥大試験ではない。[3]

オンザショア立川店を、運動の予定に入れる
背もたれの設定を記録するように、運動する時間も予定に残しておきたい。角度ごとの研究結果を読んだ後は、どの運動をいつ続けるかを考える。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30、年中無休で全曜日同じだ。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。JR立川駅北口から徒歩1分の場所にある。仕事や通学の前後に通うなら、まず行ける時間帯を生活の予定と照らし合わせたい。
当店にはパーソナルトレーニング、ピラティス、常温のヨガがあり、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。ここで示した角度別の研究結果を、当店のレッスンの効果へ置き換えることはできない。運動を続ける場所を検討するための案内である。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件と通える時間を確認したうえで体験を検討する。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。店の案内と料金を確認し、生活に置ける時間が見つかったら体験の予約へ進める。
参考文献
- The effects of hip flexion angle on quadriceps femoris muscle hypertrophy in the leg extension exercise — Larsen S, Sandvik Kristiansen B, Swinton PA, Wolf M, Bao Fredriksen A, Nygaard F, 2025, Journal of sports sciences. DOI: 10.1080/02640414.2024.2444713
- Can Hip Joint Position affect Quadriceps Muscle Responses during Knee Extension Exercise? — Vieira DCL, Dourado MAA, Ugliara L, Durigan JLQ, Schoenfeld BJ, Bottaro M., 2020, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/a-1179-8374
- Effects of Hip Joint Angle on Quadriceps Recruitment Pattern During Knee Extension in Healthy Individuals: Analysis by Ultrasound-Based Shear-Wave Elastography — Deng W, Lin M, Yu S, Liang H, Zhang Z, Tang C, Liu C., 2022, Frontiers in physiology. DOI: 10.3389/fphys.2022.836435
- Effect of hip joint angle on concentric knee extension torque — Ema R, Wakahara T, Kawakami Y., 2017, Journal of electromyography and kinesiology : official journal of the International Society of Electrophysiological Kinesiology. DOI: 10.1016/j.jelekin.2017.10.012
- Maximal isometric torque of knee extension as a function of muscle length in subjects of advancing age — Fisher NM, Pendergast DR, Calkins EC., 1990, Archives of physical medicine and rehabilitation. DOI: なし
- Comparison of Muscle Hypertrophy and Strength Adaptations Induced by Back Squat and Leg Extension Resistance Exercises — Kassiano W, Costa B, Kunevaliki G, Lisboa F, Prado A, Alves L, Tricoli I, Stavin, 2026, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000005338
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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