目標値を動きの前に伝える指導と、結果だけを返す指導では、翌日の保持に差が出た。運動学習の研究から、体験で講師の言葉を観察する視点を整理する。疲労の種類や急性の痛み、休息の配り方も取り上げ、研究対象と課題の違いを確かめながら、部屋の第一印象と指導の中身を分けて読む。
マットに膝をつき、腕を伸ばす。「腕を耳に揃える」と「バーを越えて届ける」では、同じ動作への指示でも注意を向ける先が変わる。体験で聞いた一言を、声の印象だけで終わらせず、何を目標にした言葉だったかまで持ち帰りたい。
健康な若年成人34人を、不安定な板の上の姿勢課題に無作為に振り分けた試験では、各試行の前に成績の目標値を渡し、試行の後に結果も返した群が、結果だけを返した群を、練習中と24時間後の保持で上回った。関心と楽しさ、自分ができているという感覚は上がり、努力や重要性の評価は上がっていない。盲検ではない割り付けである。対象は健康な若年成人で、18〜39歳の女性のピラティスにも同じ差が出るかは、この板上課題だけでは判断できない。[16]
別の層が、翌日に開く。健康な若い成人30人と高齢の成人30人が、視覚を歪めて歩幅の非対称を9%にする歩き方を覚えた。急性の熱の痛みがある群の学習は6.6%±0.4、痛みのない群は8.1%±0.5だった。24時間後の保持は2.6%±0.7と5.9%±0.7で、痛みのある側が小さい。その差はセッションの中の短期の保持にはなく、24時間の時点で出た。若い群と高齢の群で、痛みの不利は同じ向きだった。18〜39歳の女性の日常的な痛みにそのまま当てはめるには、実験で起こした熱の痛みという条件を区別する必要がある。[5]
既存記事「マシンピラティスの助言は形と結果のどちらを聞く?動作の学びを読み分ける」は、助言が形と結果のどちらを向くかを扱う。ここではその論点を譲る。スタジオを一つに絞る日に見るのは、目標の数字が試行の前に渡るか、疲れた体や痛い体で新しい動きを覚えるかである。

体験でメモするのは、声の大きさより目標の有無
34人の試験が使った課題は、ピラティスの器具ではない。不安定な板の上で姿勢を保つ課題で、全体の安定指標を成績にしている。目標を渡す群は、各試行の前に成績の目標値を受け取り、各試行の後にフィードバックも受けた。対照群が受け取ったのは、試行の後のフィードバックだけである。性別で層別した無作為化で、保持の検査は24時間後に置かれた。[16]
上回ったのは、練習のセッションと、その翌日の保持である。内発的動機づけの目録では、関心と楽しさ、有能感に有意な改善があり、努力と重要性にはなかった。著者らは、具体的で、難しく、それでも到達できる目標を、成績のフィードバックと組むと、運動成績が上がり、運動学習と内発的動機づけを促す、と結果から述べている。スポーツとリハビリテーションの練習手順を設計する含意だ、とも書いている。[16]
体験のマットの端で残すメモは、声が部屋に満ちていたかどうかではない。1回の動きの前に、数値の目標が言葉になったか。動きの後に、今の結果が返ったか。この二つが揃った条件と、結果だけが返った条件を、34人の板の上で比べた試験である。スタジオの雰囲気が明るいことと、目標値が先に置かれることは、別の欄に書く。[16]
動機づけの内訳も、案内文の「楽しく努力できる」とは分ける。上がったのは関心と楽しさ、有能感で、努力や重要性ではなかった。楽しいと感じた記憶を、努力の評価が上がった証拠として使わない。著者らが組んだのは、具体的で、難しく、それでも到達できる目標である。板の上の安定指標を、別の器具の負荷へは読み替えない。[16]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
体を指す言葉と、バーの先を指す言葉
健康な若年成人30人を3群に分け、膝立ちで両腕を前へ伸ばす課題をさせた比較試験がある。バランスを保ったまま手を届ける。成績は、大腿骨の外側上顆から指先までの水平距離と、肩・股関節・膝の角度である。体の内側へ注意を向ける群には、姿勢を指す言葉(腕を耳に揃える、など)を渡した。外側の目標へ注意を向ける群には、バーの位置を指す言葉(バーを越えて届ける、など)を渡した。対照群には、特定の指示がなかった。[13]
多くの研究が、注意を体の外へ向けることの有効性を示してきた、と著者らは書いている。一方で、動きの形を良くするための指示効果を調べた研究は少ない、とも述べている。この膝立ちの課題では、外側の目標へ注意を向けた群と比べ、体の姿勢へ注意を向けた群のほうが、届く距離と形の改善が、習得の早い段階から大きかった。形が重要なときには、体を指す言葉が有効だ、と著者らは示唆している。指示は課題の要求と、向ける注意に合わせて選ぶ、とも結んでいる。[13]
スタジオの一言は、この3群のどれに近いかでメモが変わる。「耳の線まで」は体を指す。「壁のマークを越えろ」は部屋の中の目標を指す。何も指定しない回は、対照群の条件に近い。30人の試験が上回ると示したのは、体を指す言葉の側で、比べた相手はバーを指す言葉である。形が重要な課題での結果として読み、すべての種目で体の外を指す言葉が劣る、とは書かない。著者ら自身が、外へ向ける注意の有効性を示した研究が多いことを先に認めている。[13]
既存記事が扱った「形か、結果か」とも、この比較は一段ずれている。ここでの対立は、体の部位か、バーの位置かである。講師が両方を混ぜる日は、混ぜたまま一語にしない。どの文が姿勢を指し、どの文が部屋の目印を指したかを、2行に分ける。[13]
練習の前の息切れは、空間の成績だけを押し上げた
急な有酸素運動が運動学習に及ぼす効果を、空間的な成分と時間的な成分に分けたメタ分析がある。4つのデータベースから18研究、参加者657人を集めた、事前登録の統合である。効果量はヘッジスのgで、ランダム効果モデルを使っている。練習の前に行う急な有酸素運動は、運動学習の空間的な成績を選択的に高めた(g=0.30、95%信頼区間0.14から0.47、p=0.0003)。時間的な成分に有意な変化はなかった(g=0.01、95%信頼区間−0.15から0.17、p=0.911)。[3]
メタ回帰では、有酸素運動の強度が高いことが、この効果を有意に修飾した(g=0.48、95%信頼区間0.28から0.69、p<0.001)。著者らは、空間と時間は急な有酸素への感受性が違い、空間的な成績は、練習の前に行い、強度が高いときに優先して高まる、と述べている。スポーツの訓練と臨床のリハビリテーションでは、時間より空間の精度を優先するよう介入を調整できる、という含意だとも書いている。[3]
息が上がる準備運動を、技の全体の教師だとは読めない。動いたのは、どこへ届くかのような空間の側である。いつ動くかのような時間の側の効果量は0.01で、有意ではなかった。強度が高いときのg=0.48も、空間側の修飾として報告されている。位置を直す指示の日と、拍で揃える指示の日を、同じ「前運動の効き」で処理しない。[3]
数字で読む指示と翌日の残り
34人:不安定な板上の姿勢課題で、目標値と結果の両方を受け取る群と、結果だけを受け取る群を比較した健康な若年成人の総数。[16]
0.30:練習前の急な有酸素運動が、空間的な運動学習に示した効果量g。95%信頼区間は0.14から0.47。[3]
0.01:同じ統合で時間的な成分に付いた効果量g。有意な変化はなかった。[3]
6.6%:急性の痛みのなかで学習された歩幅の非対称。対照は8.1%で、課題が狙った非対称は9%。[5]
2.6%:その歩き方の24時間後の保持。対照は5.9%で、差はセッション内には出ていない。[5]
65.1%:疲労を扱った43実験のうち、習得中に不利だった28実験の割合。[17]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
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