ピラティスの綿レギンスは、汗を吸えば快適だと決めていないだろうか。男性8人の模擬試合では、綿の下着が合成繊維より多くの水を抱えても、皮膚温と濡れの評価はほとんど分かれなかった。足の摩擦と、長く外さないギプスの綿は、スタジオの一着とは別の条件として読む。
マットから起き上がると、汗を含んだレギンスが膝の裏に張りつく。タグには綿の割合が印刷してあり、更衣室では「汗を吸うから快適」と短く結論したくなる。吸った水の重さと、肌が言う快適さは、同じ物差しではなかった。男性8人がアイスホッケーの防護具の下で綿と合成繊維の下着を着比べた試験では、綿が抱えた水は310±30g、合成繊維は140±30gで、綿のほうが多かった。それでも皮膚温、深部温、濡れの評価は、ほとんど分かれなかった。男性の防具下での比較なので、18〜39歳の女性が行うピラティスの着心地には、そのまま当てはめられない。[1]
答えの芯は、汗を吸うことを快適の証明にしないことである。この試験が測ったのは、ピラティス用の綿混レギンスではない。25.4±1.3歳の男性8人が、12℃、相対湿度82%の部屋で、試合の消費に似せた自転車こぎを行い、その前後に繰り返しのスプリントをした。全身の防護具を着けたまま、全身を覆う綿か合成繊維の下着を着ている。スタジオの一着へ、この人数とこの室温をそのまま移す読み方はできない。[1]
吸湿で布が暖まる話は、公開済みの「ピラティスの綿ウェアは吸湿で暖まる?汗の出始めと布の温度を分けて考える」に譲る。濡れた布の冷たさは「ピラティスの服装セットは湿度でも変わる?濡れた布と肌の冷たさから選ぶ準備」、汗跡と塩は「ピラティスの服装はレギンスの汗跡で決める?塩の残りと乾きやすさを分ける」に譲る。男性用スパッツの重さと脚の動かしにくさは「男性のヨガのスパッツは汗で重くなる?保水量と脚の動かしにくさを分けて考える」の問いである。ここで見るのは、布が抱えた水の重さと、体温や濡れの評価が同じ方向に動いたかどうかだ。

下着が抱えた水と、本人の濡れ評価は別の結果だった
著者らの出発点は、合成繊維の下着は水を抱え込みにくいので、蒸れの益があるかもしれない、という見方だった。同時に、外側の防護具が厚いので、その益は体温の調節には残らないだろう、とも置いている。残るとすれば、低い保水のおかげで着心地がよい側ではないか、という仮説である。結果は、体温も着心地の評価も、下着の組成ではほとんど動かなかった。[1]
水の重さだけは動いた。合成繊維の下着が保持した水は140±30g、綿は310±30gで、差は統計的に有意だった(p < 0.05)。著者らは、綿の下着のほうが多くの水を含んだと報告している。試着で手のひらに吸われる感覚は、この「布の中の水」に近い。快適さの投票とは別の列に置く数字である。[1]
一方で、模擬試合のあいだの温熱感と、下着が濡れているという評価には、最小限の差しかなかった。布は綿のほうが多くの水を抱えているのに、本人の「濡れている」「暑い、寒い」は、それに見合う幅では分かれていない。吸った量を、快適の得点へ読み替えると、この試験の二つの結果が衝突する。[1]
皮膚温は合成繊維で34.22±0.20℃、綿で34.46±0.16℃。深部温は37.50±0.13℃と37.59±0.14℃。著者らは、いずれも同程度だったとまとめている。0.2℃前後の平均のずれを、綿が体温を上げた証拠として切り出すことはできない。表示してあるのは、差が小さかったという側の結果である。[1]
対象が男性8人であることも、結果の隣に置いておく。年齢は25.4±1.3歳と報告されている。18〜39歳の女性のレギンス選びへ直接使える結果かは、対象と運動条件の違いから判断を留保する。比べたのは、綿の全身下着と合成繊維の全身下着である。店頭の「普通のレギンス」や綿混という呼び名と、この試験の下着を同じ仕様とは扱わない。[1]
同じ参加者が、両方の下着で試験を完了している。別人同士の好き嫌いを比べた感想集ではない。それでも人数は8人で、室温は12℃、外側には防具がある。この条件で差が最小限だったことを、どの部屋の綿にも広げる読み方はしない。[1]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
防護具ごと測ると、下着の差は全体の重さに埋もれる
下着単体の水は分かれた。下着と防護具を合わせた重量の増え方は、合成繊維側が470±110g、綿側が590±80gで、全体としては下着の種類の影響を受けなかった、と著者らは述べている。平均だけを並べると綿側が多いように見える。ばらつきが大きく、試験としては「全体の重さは下着では分かれていない」という結論になっている。一部の平均を、全体の結論の代わりに使わない。[1]
この切り分けは、スタジオの服装を考えるときに役に立つ。ホッケーでは、肌に近い下着の外に、水を抱える防具が何枚も乗る。ピラティスのレギンスは、多くの日にはその下着に近い一枚である。ただし、この試験の体温と成績は、防具を着た状態で測られている。一枚のレギンスなら防具の数字が消える、と逆算することはできない。持ち帰れるのは、肌に近い布の水と、服全体の水と、体の反応を、別々に数えていたという手続きである。[1]
体の反応の側には、有意な差がなかった項目が並ぶ。体重に対する発汗の割合、心拍数、血漿乳酸、スプリントのパワー、自覚的な努力度である。血漿乳酸は血液中の乳酸、努力度は本人が感じたきつさだ。いずれも「合成繊維のほうが試合を楽にした」とは出ていない。水を抱えにくい布が、この条件下のパワーやきつさを分けた証拠にはなっていない。[1]
著者らの結びは、体温調節と成績を動かしていたのは、層になった防護具の性質のほうで、下着の組成の影響は最小限だった、というものである。仮説の前半、つまり厚い層が吸汗素材の体温上の益を打ち消す、は、この結果と矛盾しない。仮説の後半、低い保水が着心地を上げる、は、濡れと温熱感の評価が最小限の差だったことで、支持されたとは言いにくい。[1]
12℃という室温も、立川のスタジオへ持ち帰る前に見ておく。相対湿度は82%と高い。寒いのに湿っている部屋で、防具の下の下着を比べた数字である。ホットヨガの室温でも、冷房の効いたオフィスでもない。綿が310gの水を抱えても深部温が同程度だった、を、「暑い部屋でも綿は体温を変えない」へ広げる根拠にはしない。[1]
帰りの中央線でレギンスが重い、という感覚は、この試験の「下着が抱えた水」に似た観察ではある。だが8人の全体重量は、防具込みで差が付いていない。レギンス一枚の重さを、試合装備の総重量の話と混ぜると、手の重さ、肌の濡れ、心拍数のきつさがどの行の数字なのかが消える。[1]
数字で読む抱えた水
8人:年齢25.4±1.3歳の男性が、12℃、相対湿度82%で、防護具の下の綿と合成繊維を着比べた人数である。[1]
140±30gと310±30g:合成繊維と綿の下着が保持した水の重さで、綿が多く、差は有意だった(p < 0.05)。[1]
34.22±0.20℃と34.46±0.16℃:合成繊維側と綿側の皮膚温である。深部温は37.50±0.13℃と37.59±0.14℃で、同程度とまとめられた。[1]
470±110gと590±80g:下着と防護具を合わせた重量増加で、全体としては下着の種類の影響を受けていない。[1]
29人と30人:10歳以上の59人を、防水ライナーと綿ライナーに分けた人数である。医療用固定具の比較であり、レギンスの順位には使わない。[9]
15人:敏感肌の参加者が、12日間、1日3回、前腕で綿布を濡らして乾かした人数である。[14]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
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