ダイエット中の生理前の食欲は我慢のせいか、運動開始週に分けて残す食事記録

ダイエット中、生理前に食欲が増すと我慢が足りないと考えがちだ。月経周期と食事制限を調べた研究から、食べたい感覚、実際に食べた量、体型への不満が同じ動きをしない点を読む。運動を始める週の記録では何を分けるか、少人数の研究や実験で分かった範囲とともに考える。

夕食の支度中、鍋が煮えるのを待てず、菓子の袋に手が伸びる。運動を始めたばかりなのに、昨日より食べたい。「せっかく動いたのに」と思い、月経予定日を見直す。ダイエット中の生理前の食欲を、我慢が足りない証拠として採点してしまう場面だ。

ただし、我慢の強さだけで説明するのは早い。月経周期を追った研究では、食事を抑える傾向や運動による消費の違いでは説明されない摂取量の増加が報告されている。一方、食事を抑える傾向と食品の好みとの関連を見つけた研究もある。「我慢すると必ず生理前の食欲が強まる」という一本道にはならない。[2][4]

記録では、食べたい感覚、食べた量、体型への不満を別々に残すのが本記事の提案である。月経周期の中で、これらには異なる動きが観察されている。[1][3][4] 既存の「抑制的な食べ方とダイエットの科学 我慢が先か体重増加が先か、続け方を見直す」には我慢と体重の長い時間軸を譲り、ここでは運動開始週の食事記録の読み方に絞る。

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生理前の食欲を、食べた量と同じ欄にしない

食べたいと感じたことと、実際に食べたことは別の出来事である。食欲に関するレビューでは、特定の食べ物を強く求める欲求を扱っている。このレビューは男女差や肥満との関係を広く論じており、18〜39歳の女性の周期変化への適用は、月経周期を直接調べた研究と併せて考えたい。月経周期と食欲のレビューでも、食欲、食品への欲求、摂取エネルギーをそれぞれ検討している。[1][8] 本記事でも、漠然と食事を取りたい感じと、「あの甘いものが欲しい」という感覚を、できるだけ言葉で分けて扱う。

例えば、帰宅中ずっとチョコレートのことを考えていたが、夕食は普段と同じだった日がある。別の日には、特に食べたいものはなかったのに、食卓でおかわりしたかもしれない。どちらも「食欲が増えた」とだけ書くと、欲求と摂取の違いが消える。記録の目的は、このように違う出来事を見分けることにある。

Dyeらのレビューは、摂取エネルギーには排卵の前後で低く、黄体期で高くなる傾向があると整理している。黄体期とは排卵後から月経前に当たる時期である。炭水化物、脂質、たんぱく質をどのように選ぶかは研究間で一貫せず、月経前の炭水化物への欲求は、とくに月経前症状のある女性で報告されていた。[1]

レビューが示したのは、周期に沿う摂取量の傾向と、食品選択のばらつきが共存する姿だ。[1] 食欲が変わる自分を否定する必要はないが、変わらない人に変化を探させる必要もない。カレンダーは予定を示す道具であり、食べたいものまで予約する道具ではない。

記録するなら「帰り道に甘いものが欲しかった」「夕食で何を食べた」を別の文にする。その上で、月経が始まった日や運動した日を横に置く。こうすれば、欲求の変化を、食べた量の変化に勝手に置き換えずに振り返れる。研究の結果を自分に当てはめる前に、自分の記録の中で何を比べているのかを決める作業だ。

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摂取量の増加は、我慢や運動だけでは説明できなかった

Johnsonらは、標準体重で摂食障害のない女性26人に、月経周期にわたって食事、運動、食べ方を記録してもらった。血液中の卵巣ホルモンを測り、月経周辺、卵胞期・排卵期、黄体期を区別した観察研究である。標準体重で摂食障害のない女性の結果なので、18〜39歳の女性でも体格や食行動の背景が異なる場合への適用は慎重に考えたい。卵胞期・排卵期から黄体期にかけ、摂取エネルギーは1日685.9 kJ増加した。[2]

この増加を、参加者全員への追加摂取の指示に変えてはいけない。研究集団で観察された平均的な変化と、個人に必要な食事の量は同じものではない。ここで確かめたいのは、増加が観察された事実に加えて、研究者が何を比較したかである。エネルギーと脂質摂取の変動は、運動による消費や食事を抑える傾向の違いには帰せず、エストロゲンとプロゲステロンの比の変化との関連が示唆された。[2]

つまり、「運動したから食べた」「我慢の反動で食べた」という説明を、最初から採用しなくてよい。この研究は、周期に沿った食事の変化を、運動と食事抑制だけに還元する見方を支持しなかった。[2] ただし、運動を始める人を無作為に分けた試験ではないため、新しい運動習慣が食欲をどう変えるかを直接示す結果でもない。

運動開始週には、比較相手を見失いやすい。先週の運動しなかった日と、今週の運動した日を並べると、運動の有無だけを比べたつもりになる。しかし、その間に月経周期の時期も変わっているかもしれない。これは記録を読む際の注意である。研究で周期に伴う変化が観察された以上、運動の欄だけを見て原因を決めるのは避けたい。[2]

食事の内訳にも目を向けると、同じ研究ではたんぱく質と炭水化物のエネルギー比率は比較的一定で、黄体期には脂質のエネルギー比率が2%増え、脂質量では1日9.2 gの増加に相当した。[2] 生理前の話を甘い菓子だけで代表させると、このような食事全体の変化を見落とす。記録に夕食の料理も残したい理由である。

体型への不満が強い日ほど、食事制限も強いのか

「今日は自分の体が気になる」と「今日は食べるのを強く抑えた」は、似ていても同じ項目ではない。Racineらは、地域から参加した女性10人と8人という独立した集団で、痩せたい気持ち、体型への不満、食事を抑える傾向、否定的な感情を35〜65日にわたって日々調べた。地域の女性を対象とした結果であり、18〜39歳の女性全体への当てはめには、少人数の集団である点を考慮する必要がある。一方の研究では唾液中のホルモンも測定した。[3]

両方の研究で、体型への不満と痩せたい気持ちは黄体期中盤から月経前に最も高かった。ホルモンとの関連では、エストラジオールと負、プロゲステロンと正の関連があった。これに対し、食事を抑える傾向の周期内変動は比較的小さく、ホルモンとの関連も弱かった。[3]

これは少人数の観察であり、すべての女性に同じ変化があると決める材料ではない。それでも、体型への不満が強まったことを、そのまま食事制限の強まりと読み替えない手掛かりになる。関連があったことと、ホルモンがその感情を単独で引き起こしたことも分ける必要がある。[3]

例えば、同じ夕食を食べても、ある日は「普通に食べた」と書き、別の日には「食べすぎた」と書くかもしれない。その場合、料理や量の記録が同じなら、変わったのは量なのか評価なのかを改めて見られる。食事の横に「体型が気になった」という言葉を添える提案は、この切り分けのためだ。感情を消すためでも、感情を誤りとして訂正するためでもない。

食事記録を成績表にしないことも、この区別につながる。「よく我慢できた」だけでは、実際に何を食べたかも、食欲がどうだったかも分からない。書ける日は食べたものを事実として、気になったことを感想として残す。体型への不満と食事抑制が同じ周期変化を示さなかった研究を、日常の記録に翻訳するなら、この書き分けが出発点になる。[3]

ここで「周期を調べた研究だから、自分もホルモン値を測らなければならない」と考える必要はない。研究では血中ホルモンで時期を区別したり、唾液を採取したりしているが、それは関連を検討するための研究手順である。[2][3] 日常の食事記録の役割は、それと同じ検査を再現することではない。どの日の何の感覚を書いたのかが後から分かれば、相談時にも話題を具体的にできる。

また、食べたものを書き忘れた日を、我慢できなかった日として埋めないことにしたい。記録が空白だったことと、食事量が増えたことは別である。同じように、運動を休んだ日に食欲が強かったとしても、その並びだけで運動不足が原因とは決められない。周期、食事抑制、運動を同時に記録した研究を読む意味は、原因候補を一つに急いで絞らずに済む点にある。[2] 自分に都合のよい説明を探すより、書いた事実と後から加えた解釈を分けておくほうが、次に何を確かめたいかが見えやすい。

数字で読む月経周期と食べ方

26人:食事と運動を月経周期にわたり記録した、標準体重で摂食障害のない女性の人数である。[2]

685.9 kJ/日:同研究で卵胞期・排卵期から黄体期に増えた摂取エネルギーであり、個人の推奨追加量ではない。[2]

35〜65日:体型への不満や食事を抑える傾向を日々調べた研究の観察期間である。[3]

34人:塩とバターの量を変えたポップコーンの好みを調べた、標準体重の大学生年代の女性の人数である。[4]

20人・32周期:アミノ酸を用いた満腹感の試験で解析された人数と月経周期数であり、人数と周期数は別の単位である。[9]

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宮川涼 Founder

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