睡眠不足でクマはできる?他人の目に暗く映った実験と、181人の写真では差が出なかった実験

睡眠不足でクマはできるのか。5時間の夜のあと31時間起きていた10人の写真を40人が見た実験では、目の下のクマが暗く見えた。一方、181人を一晩眠らない群と眠る群に分けた実験では、目の周りの暗さにも他人の評価にも差がなかった。クマが疲れの手がかりとして読まれる仕組みを考える。

朝7時、洗面所の鏡。目の下が、昨日より青黒く見える。夜中の2時まで課題をしていたのだから当然だ、と思う。ところが、よく眠れた朝にも同じ色をしている日がある。

寝不足の顔を他人に見せた実験では、目の下のクマは暗く見えると評価された。5時間しか眠らなかった夜のあと、さらに31時間起きていた10人の写真を40人が見たところ、ふつうに眠った後の写真に比べて、目の下のクマが暗く、目が腫れ、まぶたが垂れて見えると評価された[1]。ところが、181人を一晩まったく眠らない群とふつうに眠る群に分けた実験では、写真を機械で測った目の周りの暗さにも、他人の評価にも、群の差は出なかった[16]。

それでも、その181人の写真では、目の周りが暗い顔ほど、他人から疲れていると評価されやすかった[16]。目の下の暗さには、睡眠の乱れのほかに、皮膚炎、アレルギー、全身の病気、栄養の不足といった理由もありうるとされる[5]。研究を並べると、クマは寝不足の確かな証拠というより、他人が疲れを読み取るときの手がかりの一つに見える。私はそう読んだ。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

31時間眠らなかった顔を、40人が見た

2013年、スウェーデンのカロリンスカ研究所で行われた実験は、人が「この人は寝不足だ」と見分けるとき、顔のどこを手がかりにしているかを調べた[1]。写真に写ったのは10人(女性5人)である。ふつうに眠った後と、5時間しか眠らなかった夜に続いて31時間眠らずに過ごした後に、どちらも14時30分に撮影された[1]。

その20枚の写真を、40人(女性20人、平均25歳)が見て、疲れの度合い、疲れに関わる10の顔の手がかり、悲しさを評価した[1]。

結果はこうだった。寝不足の顔は、まぶたがより垂れ、目がより赤く、より腫れ、目の下のクマがより暗く、肌がより青白く、しわや小じわがより多く、口角がより下がって見えると評価された[1]。効果の大きさは、100mmの線の尺度の上で3〜15mmの幅だった[1]。

線の端から端までを100とすると、動いたのは3から15の目盛りである。見る人は差に気づいた。その差の大きさをどう受け取るかは、読む人によって分かれるだろう。

もう一つ見ておきたいのは、条件の重さだ。5時間の夜のあとに31時間起き続けるのは、課題で夜更かしした翌朝というより、夜を一つ眠らずに越えて、翌日の午後まで起きていた状態に近い。この実験のクマは、かなり重い寝不足の顔のクマである。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

疲れて見える顔は、目と口と肌で読まれていた

同じ実験の続きを読む。他人がつけた疲れの評価は、ぼんやりした目と、寝不足で変わったすべての手がかりと関連していた[1]。一方、発疹や湿疹、唇のこわばりの評価は寝不足で変わらず、疲れの判断とも関連しなかった[1]。

寝不足の人は、ふつうに眠った後より悲しそうにも見え、悲しく見えることは疲れて見えることと関連していた[1]。

著者らは、寝不足が目、口、肌に関わる特徴に影響し、それらが他人にとって睡眠不足の手がかりとして働くと結論した[1]。これらの顔の領域は人どうしの意思疎通に大事なため、寝不足と疲れの顔の手がかりは、寝不足の本人に日常の中で社会的な結果をもたらしうる、とも書いている[1]。

クマは、この7つの手がかりのうちの一つにすぎない。他人の疲れの評価は、目の下の色だけでなく、まぶた、目の赤さ、腫れ、肌の色、しわ、口角の手がかりとも関連していた。

立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

181人を測ると、目の周りの暗さに差は出なかった

2019年の実験は、同じ問いを、もっと大きな人数と機械の測定で確かめ直した[16]。181人を、一晩まったく眠らない群と、ふつうに眠る群(床にいる時間8〜9時間)にランダムに分けた[16]。翌日に顔の写真を撮り、そのうち141人では分光測色計で肌の色を測った[16]。別の63人が、写真を健康そう、青白さ、疲れの点で評価した[16]。写真は、目の開き、口の曲がり、目の周りの暗さについてデジタルでも解析された[16]。

結果は、先の実験と違っていた。眠らなかったことも、本人の眠気も、どの顔の変数の違いとも関連しなかった[16]。他人の評価も、2つの群の間で差がなかった[16]。

その一方で、肌の黄色みが少ないこと、目の開きが小さいこと、口が下向きに曲がっていること、目の周りが暗いことは、どれも他人がつける疲れの評価が高いことを予測した[16]。ただし、それらの見た目の変数を組み合わせても、その人が眠ったか眠らなかったかを正確に分けることはできなかった[16]。著者らは、この結果が、対面とコンピューターによる、睡眠不足と疲れの見た目の評価の両方に関わると書いている[16]。

二つの実験は設計が違う。2013年の実験は同じ10人の顔を眠った後と寝不足の後で比べ、2019年の実験は別々の人の2つの群を比べた。条件の重さも、5時間の夜に続く31時間と、一晩の徹夜で違う。同じ顔どうしを並べた方が差に気づきやすいのかもしれない。ただ、それを確かめた研究は、この記事で読んだ中にはない。

2晩続けて3時間しか眠らないと、肌の数値は動いた

目の下に限らず、顔の肌を機械で測った研究もある。2022年の研究は、ふだんよく眠れている30〜55歳の健康な女性24人を対象に、睡眠を1晩3時間に制限する夜を2晩続けた[6]。その前と後で、同じ時刻に、皮脂、肌の水分、肌から逃げる水の量、肌の弾力や粘り、pH、角質のはがれ方を測り、顔の写真を画像で解析した[6]。

睡眠を制限した後は、朝も午後も、肌の水分が低く、肌から逃げる水の量が多く、肌の伸びやすさと粘りが下がっていた[6]。pHの平均は4.8から4.9に上がった[6]。顔の写真では、明るさと鮮やかさが朝も午後も有意に下がった[6]。角質をはがしたときに1つずつ離れる細胞は少なくなり、マロンジアルデヒドという物質の量は増えた[6]。著者らは、2晩の睡眠の制限が、ふだんよく眠れている女性の肌と顔の見た目を有意に変えたと結論している[6]。

この研究は、顔の写真の明るさを測ったもので、目の下のクマだけを取り出して測ったものではない。肌の測定値の変化の全体は、同じサイトの連載「【連載】見た目と運動の科学 第5回|睡眠と見た目——睡眠不足が顔にもたらす実測変化」に、肌の水分とバリアの話は「睡眠不足で肌の水分は逃げやすい?ヨガ後の乾燥とバリアの回復を分けて読む」に譲る。

寝不足の顔は、一緒に過ごしたい気持ちも下げた

見た目の評価は、人づきあいの気持ちにもつながっていた。2017年の研究は、25人(女性14人、18〜47歳)を、2日間睡眠を制限した後と、ふつうに眠った後に、順番の偏りが出ないように組んで撮影した[4]。その写真を122人(女性65人、18〜65歳)が見て、その人とどれくらい一緒に過ごしたいかを評価し、魅力、健康そうか、眠そうか、信頼できそうかも評価した[4]。

評価した人たちは、睡眠が足りなかった人と一緒に過ごしたいと思う度合いが低かった[4]。睡眠を制限した後の人は、魅力が低く、健康そうでなく、より眠そうに見えると評価された[4]。信頼できそうかどうかには差がなかった[4]。

著者らは、ふだんの暮らしに近い睡眠不足は顔で見分けられ、人は睡眠不足の人とかかわろうとする気持ちが下がると結論した[4]。この研究の前提には、急な睡眠不足と疲れて見えることが、他人から見た魅力と健康の評価の低下に関係するという、それまでの知見がある[4]。

一方で、181人の実験では、一晩の徹夜でも他人の評価に群の差は出なかった[16]。寝不足が顔に出るかどうかは、どれだけの寝不足か、同じ人を比べるか別の人を比べるかで、結果が変わるのかもしれない。信頼の評価だけは、寝不足でも動かなかった[4]。

数字で読む寝不足の顔

  • 31時間: 5時間の夜のあとに続けて起きていた時間。この後の写真で、クマが暗く見えると評価された[1]。
  • 3〜15mm: 100mmの線の尺度で、寝不足の顔の手がかりの評価が動いた幅[1]。
  • 181人: 一晩眠らない群と眠る群に分けた実験の人数。目の周りの暗さにも他人の評価にも群の差は出なかった[16]。
  • 3時間を2晩: 30〜55歳の女性24人の睡眠の制限。顔の写真の明るさと鮮やかさが下がった[6]。
  • 4.8から4.9: 同じ研究での、肌のpHの平均の変化[6]。
  • 0.62: 具合の悪くなった人を顔の写真で見分けた正しさの指標(受信者動作特性曲線の下の面積)[2]。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約