休めの姿勢で足を開くことと、片脚へ体重を預けることは、筋が止まっている同じ休みではない。前足部とかかとへの荷重、片脚立ち、体を傾けた荷重で、どの筋がいつ活動するかを分ける。大学生の荷物の試験と、踵の痛みのレビューから、立ち方と不快の出方を読む。
式の途中で「休め」と号令がかかる。足を開いて両足に体重を残す人も、片脚へ預ける人もいる。同じ号令で取った姿勢だが、足裏にかかる力まで同じなのだろうか。
荷重を偏らせた立ち方は、筋が止まった状態としては読めない。前足部へ乗せると腓腹筋、かかと側へ乗せると前脛骨筋の活動が上がる。片脚立ちは腓骨筋の活動を測る姿勢として使われ、体を傾けて荷重の割合を変えると、起きてくる筋が変わる。[11][18][19]
既存記事「筋肉痛のヨガはどう立つ?足裏の筋活動から足幅と片脚への荷重を読み分ける」には、筋肉痛の日のヨガで足幅と片脚荷重をどう読むかを譲る。同じ特集の「立位姿勢は止まっていても揺れている?目印の位置では分からない体の調節」には、揺れと視覚の話を譲る。姿勢の科学が扱う猫背や反り腰の形も、ここでは追わない。見るのは、ただ立っているときの荷重の偏りが休止なのかである。

足を開いても、床が受ける力は残る
両足を開いて均等に立っているように見えても、床の力は消えない。Cheungらの足と足首の有限要素モデルは、コンピュータ上で骨や軟部組織の変形を計算する手法で、片足の床反力の合計を350 Nに固定した。論文はこれを体重の半分として置いている。そのうえでアキレス腱の力を0から700 Nまで変えた。人体の計算モデルなので、18〜39歳の女性の疲れやすさにそのまま当てはめるには、実際の人での検証が必要だ。[2]
アキレス腱の力が、片足に乗る350 Nの75%のとき、計算上の足圧中心は、安定した立位で測った被験者の足圧中心に最も近かった。足圧中心とは、床に加わる力の中心である。腱の力が増えると、足圧中心は外側かつ前方へ動き、土踏まずの高さは下がった。前足部の合力とピーク圧は、最大で約250%増えた。[2]
足の上の重さもアキレス腱の力も、足底腱膜の張力を増やす。足底腱膜は、体重が乗るときに高い張力を受ける、アーチを支える組織である。ひずみを増やす効果は、腱の力のほうが足の上の重さの2倍大きかった。これは一人の足を模した計算であり、休めの号令をかけた集団の試験ではない。言えるのは、ふくらはぎ側の腱が引っ張るほど、足の裏の負担は体重そのものより大きく振れる、ということだ。[2]
「足を開けば裏は休む」と短絡しない理由がここにある。開き方の名前より、腱がどれだけ張るかが、このモデルでは前足部の圧とアーチの高さを動かしている。安定した立位に最も近いとされたのも、腱の力をゼロにした条件ではなく、片足の重さの75%だけ腱が働いている条件だった。[2]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
前に乗せるか、かかとに残すかで筋が入れ替わる
Okayamaらは、足首の角度を背屈0度に、伸びない綿のテープで固定し、立ち姿勢のまま荷重の位置と量を変えて表面筋電図を取った。後足部へ荷重すると前脛骨筋の活動が上がり、前足部へ荷重すると腓腹筋の活動が上がった。足首の角度を固定したままでも、前足部へ乗せる動作では底屈する筋の活動が増える、と示されている。[11]
試験の背景は、スポーツで起きやすいアキレス腱断裂のあとである。部分荷重でも、荷重の位置によって腱への牽引が増える恐れがある、と著者らは指摘する。断裂後の手順を、ここから一般の立ち方へ写すことはしない。痛みや断裂のあとどう荷重するかは医師の判断である。健常な立ち姿勢へ持って帰れるのは、前に乗るか、かかとに残すかで、すねの前とふくらはぎが入れ替わる、という対比だ。[11]
両足でただ立つと、足の筋は一様に硬くなるのか。Arellanoらは60人(女性38人、年齢23.4±3.20歳、体重74.9±19.7 kg、身長170.0±8.70 cm)の後脛骨筋、前脛骨筋、腓骨筋、母趾外転筋を、せん断波エラストグラフィで測った。超音波で筋の硬さを音波の速さとして見る方法で、速いほど硬い。女性を含む若い集団だが、18〜39歳の女性だけに同じ差が出るかは、この全体の比較からは決まらない。[17]
座位の非荷重と、立位の荷重で、後脛骨筋(p < 0.01、効果量 −0.97)と母趾外転筋(p < 0.01、効果量 −1.08)には有意な差があった。著者らは、非荷重から荷重へ移るとこの2筋の硬さが増したとしている。前脛骨筋(p = 0.43、効果量 0.12)と腓骨筋(p = 0.13、効果量 −0.16)には有意な差がなかった。硬さが変わる筋と、変わらない筋が同じ脚に同居している。[17]
足を開いて両足で立つことは、この測定では、足の内側と母趾側の支持を増やす姿勢である。前脛骨筋と腓骨筋まで同じように硬くした、とは読めない。休めのときに脚全体が抜けたと感じても、硬さは筋ごとに答えが分かれる。60人の平均年齢は23歳前後で、立ち仕事を何十年としてきた集団の結果ではない。[17]
片脚へ預けるのは、休止の測定ではない
片脚へ預ける姿勢を、休止の完成形のように扱うことがある。Jaffriらの症例対照研究は、膝の前面が荷重時に痛む膝蓋大腿痛の30人(年齢20.23±3.30歳、体重74.70±27.63 kg、身長161.32±11.72 cm)と、健康な30人(年齢20.33±3.37歳、体重64.02±11.00 kg、身長169.31±9.30 cm)の腓骨筋を超音波で比べた。患者と健康な対照を比べた研究であり、18〜39歳の女性一般の楽な立ち方へ、そのまま当てはめることはできない。[19]
非荷重と荷重をまたいだ群と位置の交互作用は有意で(p = 0.041)、効果量は非荷重で0.2、荷重で0.7だった。臥位から片脚立ちへの機能的な活動比は、健康な群のほうが痛みのある群より有意に高かった(p = 0.01)。荷重した片脚立ちでは、痛みのある群の腓骨筋は健康な群より小さかった。著者らは、機能的な姿勢で腓骨筋の活動が低い、とまとめている。[19]
これは片脚立ちが楽かどうかの投票ではない。痛みのある群と健康な群を一時点で比べた対照であり、片脚に預けたために筋が縮んだ、とも、休めが膝を守る、とも読めない。読めるのは、片脚立ちが腓骨筋の大きさと活動を問題にする荷重姿勢だ、ということである。休止の姿勢として選ばれたわけではない。[19]
関節の荷重を少し抜くと、反射はむしろ上がることがある。Nakazawaらは、水槽のフォースプレート上に立つ人で、全体の体重は一定のまま、浮きと重りで足首または膝の荷重だけを変えた。減らしたのは10 Nと20 N、加えたのも10 Nと20 Nである。荷重を減らすとヒラメ筋のH反射は対照より有意に大きくなり、増やすと小さくなった。背景の筋活動は、どちらの場合も同程度だった。[6]
H反射は、ヒラメ筋を電気刺激して見る反射の大きさである。著者らは、関節からの信号が、立位でのこの反射の抑制に関わる可能性を示唆している。どの受容器かは、この実験の仕組みでは切り分けられない、とも書いている。号令は休めなのに、荷重を10 N抜くと反射の興奮性は上がりうる。背景の筋電図が消えたことと同じではない。[6]
講義のあとに立ったまま話す場面を考えると、測定の違いが見えてくる。足裏のどこで床を押すかを見る問いには筋電図が対応し、座位から立位で足の支持がどう変わるかを見る問いには筋の硬さが対応する。片脚で支えるときの腓骨筋は、別の荷重条件で調べられている。測った筋と指標をそろえて読むと、姿勢の名前だけで比較する混乱を減らせる。[11][17][19]
水槽の試験が扱うのは反射の調節である。背景の筋活動が同程度でも、刺激に対する反応は変化した。反射の大きさ、筋の硬さ、筋電図は、それぞれ違う問いへの答えだ。実験の10 Nや20 Nを日常の体重移動の目標にするより、何を測った数値なのかを区別することが先になる。[6]
数字で読む休めの荷重
350 N:片足の床反力を体重の半分として固定した足の計算。アキレス腱の力がその75%のとき、安定した立位の足圧中心に最も近かった。[2]
約250%:同じモデルでアキレス腱の力を0から700 Nへ増やすと、前足部の力とピーク圧が最大でこの程度上がった。[2]
−0.97と−1.08:60人の座位と立位で、後脛骨筋と母趾外転筋の硬さの効果量。前脛骨筋と腓骨筋には有意差がなかった。[17]
0.7:膝蓋大腿痛の群と健康な群で、荷重位の腓骨筋の断面積の効果量。非荷重位は0.2。活動比の差は p = 0.01。[19]
10 Nと20 N:全体の体重を一定にして、足首か膝の荷重をこの幅で増減させると、ヒラメ筋のH反射は荷重と逆向きに動いた。[6]
87%:健康な18人を台で傾け、仰向けと比べて筋活動が増える境として著者らが挙げた体重の割合。外側広筋はこの付近の60度で活動した。[18]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
1
2







