赤ちゃんが寝言で泣くのは夢のせい?眠りながら出る声と目覚めの違いを読む

赤ちゃんが眠ったまま泣くような声を出すと、怖い夢なのか、起きたのかと迷う。新生児の活動睡眠、小さな覚醒から目覚めへの移行、泣く時間と眠りの発達を調べた研究から、声だけで決められない理由を読む。病院の早産児を対象とした研究と家庭の赤ちゃんの違い、観察を伝える際の整理の仕方も扱う。

目を閉じた赤ちゃんが、眠ったまま泣くような声を出した。寝息を聞いていた家族の手が止まる。「怖い夢でも見たのだろうか」と思う場面だ。ただ、新生児の眠りでは、目の動きや体の動きがある状態も研究の対象になる。大人が想像する「静かに眠る姿」だけを基準にすると、眠りと目覚めを取り違えやすい。[1][15]

答えの芯は、泣くような声を聞いただけで、夢の内容も、完全に起きたかどうかも決めないことである。健康な乳児を調べた研究では、眠りの中のため息やびくつきと、開眼や泣きを伴う十分な覚醒を分けている。途中の反応の多くは、十分な目覚めに至らずに終わる。[2]

既存記事「寝言はなぜ出る?多い人、怒る人、眠りのどの段階かで三つに割れた分類と夢を映す説を読む」には寝言全般の分類を譲る。ここで追うのは、生まれて間もない赤ちゃんについて、活動のある眠りと泣いて起きる反応をどう読み分けるかである。新生児の睡眠は発達の途中にあり、大人の寝言の説明をそのまま縮小して当てはめるものではない。[14][15]

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赤ちゃんの眠りには、活動のある状態がある

新生児の睡眠を扱ったレビューでは、生まれて間もない時期には活動睡眠に多くの時間を費やし、発達とともに活動睡眠が短く、静睡眠が長くなると整理している。対象は胎児・早産児・正期産の新生児であり、18〜39歳の女性自身の睡眠にそのまま当てはめる研究ではない。活動睡眠と静睡眠は、眠りの状態を区別する言葉だ。「活動」と付くから起きている、という意味ではない。[15]

この違いを具体的に示すのが、健康な正期産の胎児18人を、出生前と生後3〜5日で比較した研究である。正期産とは、ここでは早産と区別される出産時期を指す。研究者は同じ子どもの目、手足、体の動きを追い、胎児期の状態と、新生児の静睡眠および急速眼球運動を伴う睡眠に対応があると報告した。18〜39歳の女性にこの結果をそのまま当てはめることはできず、読者が赤ちゃんの眠りを理解するための比較である。[1]

この研究で、静かな眠りと急速眼球運動を伴う眠りの割合は、睡眠の内訳としておよそ30%対70%だった。一方、その両方を合わせた状態が観察全体に占める割合は、胎児期で86%、新生児期で64%だった。同じ論文の割合でも、分母は違う。「新生児は一日の70%をその眠りで過ごす」と読み替えてはいけない。[1]

小規模な同一対象の比較なので、この割合をどの月齢の赤ちゃんにも使える標準値にはできない。それでも、活動のある眠りが出生前後の比較の中心になるという事実は、目を引く。寝顔は動かないはずだ、という大人の期待のほうをいったん脇へ置く理由になる。[1]

また、早く生まれた赤ちゃんでは、睡眠の発達の一部が新生児集中治療室という環境の中で進む。脳の領域同士が情報を統合する働きと睡眠の発達を扱ったレビューは、そのつながりを重視する一方、発達現象の間の因果関係を確かめる難しさも述べている。対象は正期産児と早産児で、18〜39歳の女性の脳や睡眠にそのまま当てはめる議論ではない。「眠りに動きがある」という観察から、脳の発達の良し悪しを家庭で採点する話にはつながらない。[14]

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ため息やびくつきと、十分な目覚めを分ける

健康な乳児26人、日齢の平均が80±7日の集団を調べた比較試験がある。研究者は昼寝中に、包まれた条件と包まれていない条件を交互に設け、呼吸、筋肉の活動、映像などを使って反応を記録した。一部では脳波と眼球運動も測定し、急速眼球運動を伴う睡眠と静かな睡眠を区別している。乳児の覚醒反応を調べた結果であり、18〜39歳の女性自身の眠りにそのまま当てはめることはできない。[2]

この研究が説明する覚醒の流れは、脳幹という脳の部位から始まる反応として、ため息、びくつき、激しい体動へと進むものである。そのような反応は十分な覚醒に進むこともあるが、大部分はそこまで進まないとされる。研究では開眼、または泣くことを、十分な覚醒の分類に用いた。[2]

大切なのは、これは「泣き声がしたら必ず覚醒」「目を閉じていれば必ず睡眠」という家庭用の判定表ではない点だ。研究者は声以外の情報も合わせて睡眠状態を区別している。短い音だけを切り取った録音と、呼吸や動きの前後関係を含む観察とは、持っている情報が違う。[2]

たとえば、寝息の合間に体が動いた場面と、その後に目を開けて泣き続けた場面を、家族がどちらも「夜泣き」と呼ぶことはありうる。だが研究の分類では、小さな反応と十分な覚醒を別に扱える。家族同士で話すときも、名前をそろえるより、声の前後に何があったかを伝えるほうが、同じ場面を共有しやすい。これは研究の観察項目を日常の記録に借りる考え方である。[2]

なお、この試験では包むことで、静睡眠中のびくつきから覚醒への進行などが減り、急速眼球運動を伴う睡眠の持続も変わった。ただし、条件を変えた試験の結果を「泣き声を止めるために自宅で包めばよい」という一律の助言にはしない。研究上の反応を理解することと、個々の子どもに使う方法を選ぶことは別の判断だ。[2]

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夢の説明より先に、眠りの名前を確かめる

「急速眼球運動を伴う眠り」と聞くと、大人の夢を連想しやすい。しかし、出生直後の動物の眠りを扱ったレビューでは、その眠りを未成熟なレム睡眠とみる考え方と、未成熟な神経系の自発活動が含まれるとみる考え方を比較している。レム睡眠とは急速眼球運動を伴う睡眠の呼び名である。[19]

同レビューの著者らは、検討した証拠を批判的に読み、対象となる出生直後の未熟な哺乳類では、出生時の活動をレム睡眠とみなす解釈を問い直し、自発的で分離した活動が発達につれてレム睡眠とノンレム睡眠へ組織化されるとの見方を示している。これは動物の発達を含む議論であり、人の赤ちゃんの夢の有無や、18〜39歳の女性の睡眠にそのまま当てはめることはできない。[19]

一方、人の新生児を扱うレビューは活動睡眠と静睡眠の発達を論じ、出生前後の観察研究は新生児の睡眠を急速眼球運動の有無などで記述する。研究によって観察対象も、発達のどの段階を論じるかも違う。呼び名が似ているからといって、神経活動の成り立ちから夢の物語まで、それぞれが指す範囲を確かめる必要がある。[1][14][15][19]

ここで必要なのは、夢を肯定するか否定するかの二者択一ではない。目の動きや体の動きは外から観察できるが、「怖かった」という体験は別の問いだ。睡眠状態を調べる研究を根拠に、泣く声の背後に怖い場面を描き足さない。眠りの状態の説明と、夢の内容の推測を分けて読めば、研究の言葉を過大に使わずに済む。[1][19]

その区別は、親の気持ちを退けるためでもない。声を聞いた心配は、その原因がまだ分からなくても生じる。目の前の様子を確かめる行為に、夢の筋書きまで添える必要はないのである。

泣く時間が減ることと、活動睡眠が減ることは同じか

健康な正期産児31人を生後の早い時期から追った縦断研究は、この問いを考える手がかりになる。縦断研究とは、同じ対象を時期を変えて調べる研究である。母親が泣きやぐずりの時間を記録し、赤ちゃんには体の動きから睡眠を評価する装置を付けた。調査は生後4〜6週、8〜10週、14〜16週に行われ、それぞれ3日間の記録を集めている。対象は乳児であり、18〜39歳の女性自身の泣きと睡眠の関係にそのまま当てはめることはできない。[8]

単純な関連を見ると、生後14〜16週の集団や、同じ子どもの中での変化において、一日の泣き・ぐずりの時間と活動睡眠の割合には有意な相関があった。相関とは、一方の量と他方の量が関連して動くことである。それだけなら、「活動睡眠が多いから泣くのか」と考えたくなる。[8]

ところが、出生時の妊娠週数や添い寝などの要因を含めて解析すると、泣き・ぐずりの時間は活動睡眠の割合と関連しなかった。著者らは、泣きの減少と活動睡眠の割合の減少は一部の乳児で並行して起こるが、その関係は他の要因の影響によると考察している。発達過程の仕組みには重なりがある可能性も示した。[8]

この調査では、泣き・ぐずりは母親の時刻表への記録、睡眠は体の動きを測る装置による評価だった。親が聞き取った声と、機器が捉えた動きは、異なる方法で集めた情報である。両者を照らし合わせた点に意味があり、「泣いた時間を測れば活動睡眠の量が分かる」という換算表を作った研究ではない。[8]

また、同じ時期の子ども同士を比べる解析と、同じ子どもの中で変化を追う解析の両方が行われている。前者で見える集団の傾向と、後者で見える個人の経過を区別したうえで、ほかの要因を考慮した結果まで読む必要がある。数字が並ぶ論文では、結論に至る途中の相関だけを拾わないことが肝心だ。[8]

数字で読む赤ちゃんの眠りと泣き

出生前後を比べた対象は18人。同じ子どもの目や手足の動きを比較した研究である。[1]

昼寝中の覚醒反応を調べた対象は26人。ため息やびくつきと、十分な覚醒を分けて観察した。[2]

家庭での泣きと睡眠の縦断研究は31人。個々の泣き声の原因を確定する試験ではない。[8]

同研究の測定は生後4〜6週、8〜10週、14〜16週。月齢の違いを含めて追っている。[8]

早産児の睡眠への働きかけをまとめた系統的レビューは36研究を含む。結果の解釈には証拠の質の評価も必要だ。[13]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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