徹夜の翌日は何が落ちる?崩れやすい注意力と、夕方に一部戻る成績、仮眠とカフェインの効き方

徹夜の翌日は何が落ちるのか。70本の研究の統合では、いちばん崩れたのは合図を見落とす注意の抜けで、推論の正確さはほとんど落ちなかった。気分の揺れ、夕方の持ち直し、30分の仮眠とカフェインで戻った部分、眠り直したあとに戻った眠気と学びまで、論文で分けて読む。

朝6時、カーテンの隙間が白くなるころに、レポートの提出ボタンを押す。眠らないまま顔を洗い、9時の講義か、10時の会議に向かう。徹夜の翌日、頭の中では何が落ちていて、何が残っているのか。

研究の答えは、思ったより偏っている。48時間未満の徹夜を扱った70本の論文、147の認知テストを統合した2010年のメタ分析では、いちばん大きく崩れたのは単純な注意の抜けだった[4]。合図に気づかず、反応が飛んでしまう瞬間である。その効果量は−0.776と大きかった。一方、推論の正確さの落ち込みは−0.125と小さく、有意でもなかった[4]。徹夜明けの頭は、考える力より、見張る力のほうが大きく崩れる。

気分も揺れる。1996年のメタ分析は、眠りを奪うことの影響は、頭の働きや運動の成績より気分に大きく出ると報告した[5]。覚醒を促す物質で目が覚めても、高い水準の働きの一部は落ちたままだという証拠もある[3]。そして取り戻しの眠りのあとでは、眠気と学びの成績は元の水準に戻った[7]。この記事は、徹夜の翌日に落ちるもの、夕方に少し戻るもの、仮眠とカフェインで戻るもの、眠るまで戻らないものを分けて読む。昼寝の長さと目覚めのだるさは同じ特集の昼寝の記事に、毎晩少しずつ削る睡眠不足は同じサイトの「睡眠不足の運動は徹夜と同じ?毎晩少し削る場合を時間の合計だけで比べない理由」に譲る。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

いちばん崩れるのは、合図を見落とす一瞬

2010年のメタ分析をもう少し細かく見る。調べたのは、48時間未満の徹夜が、単純な注意、複雑な注意、作業記憶、処理の速さ、短期記憶、推論の6つの領域で、速さと正確さにどう響くかである[4]。効果量は、差の大きさを研究のあいだでそろえた数字で、マイナスは悪くなる向きを表す。その値は、推論の正確さの−0.125(95%信頼区間−0.27〜0.02)から、単純な注意の抜けの−0.776(−0.96〜−0.60)まで幅があった[4]。95%信頼区間は、真の値がありそうな幅である。

領域のあいだでは、速さでも正確さでも差が見られた。同じ領域の中では、速さの指標と正確さの指標に差はなかった[4]。研究ごとのばらつきを説明した要因として有意だったのは、起きていた時間だけで、それも正確さの指標に限られた[4]。

2010年の総説も、同じ形を描いている。眠りが足りないと反応が全体に遅くなり、成績のむらが大きくなることは、覚醒、注意、見張りの単純な測定でとくに広く合意されている[3]。知覚、記憶、実行機能など、より高い水準の働きへの影響については、合意がずっと少ない[3]。規則に沿って答えを1つに絞る推論、意思決定、計画の課題の多くは、眠りが足りなくても比較的影響を受けにくい[3]。ところが、創造的で発散的な、新しい発想を生む側の働きは、眠りが足りないと落ちるようだ[3]。

研究の形を生活に置き直すと、たとえばこんな朝になる。徹夜明けの朝、表計算の式は組めるのに、メールの宛名の間違いを見落とす。会議の結論はたどれるのに、新しい案がなかなか浮かばない。

2009年の総説は、反応の抜けが次第に多く、長くなることを睡眠不足の目印とし、前頭葉と頭頂葉の制御の領域、二次的な感覚の処理の領域、視床など、脳の広い範囲の変化が関わると述べる[6]。睡眠不足でとくに落ちる働きとして挙がるのは、動作と思考の速さ、見張りと実行の注意、作業記憶、高い水準の働きである[6]。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

自分の成績の見積もりは、眠っても眠らなくても5割台

徹夜明けの「まだ大丈夫」は、どれくらい当たるのか。2026年の試験は、健康な182人を、一晩の徹夜か、3晩しっかり眠る条件に無作為に分けた[12]。翌日、単純な注意、処理の量、作業記憶、出来事の記憶、実行の処理を測り、テストのたびに自分の成績を評価してもらった[12]。

自分の成績が中央値より上か下かを正しく当てる確率は、徹夜の群で55%、眠った群で59%だった[12]。徹夜で自分の成績への気づきがいくらか落ちたことになるが、その差が実際に意味のある大きさ、つまり10ポイントを超える確率は1%未満だった[12]。成績は徹夜で全体に落ち、それは本人の自己評価の低下にも、少なくともある程度は表れていた[12]。

当てずっぽうでも50%になる問いである。しっかり眠った人でも59%しか当たらないのだから、人はもともと自分のテストの成績を見積もるのがうまくない、と読める。徹夜は、そこから4ポイント下げただけだった。著者らは、眠りが足りないときに落ちた働きを人がどう補うのかは、まだ答えの出ていない問いだと結んでいる[12]。

一晩の徹夜と、毎晩削り続ける睡眠不足は、分けて読む必要がある。2003年の試験では、床にいる時間を毎晩6時間か、それより短く絞る条件を14日続けると、最大で2晩の徹夜に相当する成績の落ち込みになった[1]。それでも眠気の自己評価は、最初に上がったあとは小さくしか増えず、本人は増えていく落ち込みにほとんど気づいていないようだった[1]。

もうひとつ、人による差がある。睡眠不足への弱さには、人によって頑健な違いがあり、前頭葉と頭頂葉の違いや、眠りの調節と体内時計に関わる遺伝子が関係しているのかもしれない[6]。徹夜明けでも平気な顔の同僚は、気の持ちようではなく、違う弱さを持っている可能性がある。ただ、自分がどちらかは、先の5割台の見積もりの力で判断するしかない。

立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

気分は、頭の働きより大きく揺れる

1996年のメタ分析は、19本の研究の143の係数、合計1,932人分のデータを数学的にまとめた[5]。眠りを奪うことは全体として人の働きを強く損ない、気分は頭の働きや運動の成績よりも大きく影響を受けた[5]。眠りを一部だけ削る断眠は、長い断眠や短い断眠よりも、働きへの影響が大きかった[5]。著者らは、睡眠不足の影響は一部の総説で過小評価されているかもしれないと述べている[5]。

2010年の総説も、感情の情報に頼る頭の働きが、睡眠不足でとくに影響を受けるかもしれないという証拠が増えていると書く[3]。ある頭の働きが徹夜でどれだけ落ちるかは、覚醒と注意の全体の落ち込み、その働きが感情の処理に頼る度合い、周りの脳の領域で埋め合わせられるかどうかで決まるのかもしれない、というのが総説の見立てだ[3]。

自宅で徹夜した翌朝の気分を測った試験もある。2026年の試験では、徹夜は体の高ぶりの感覚を鈍らせたが、報告されたストレスに有意な変化はなかった[7]。疲れているのに、張りつめた感じがしない。徹夜明けのあの平らな感じに、数字の側から近づいた結果に見える。

夕方に少し戻るのは、体内時計の働き

徹夜明けの夕方、少し楽になった気がすることがある。その現象には名前がある。睡眠不足のあと、夕方の早い時間に成績の一部が持ち直す現象は、概日の救い(サーカディアン・レスキュー)と呼ばれる[11]。

2026年の研究は、健康な54人に35時間続けて起きていてもらい、反応の見張りの課題、数字と記号を置き換える課題、眠気の尺度をくり返し測った[11]。眠りの調節の2つの過程、つまり起きている時間とともにたまる眠りの圧と体内時計のモデルで成績の動きを分け、発表済みのデータのメタ分析で、ほかの実験の条件の中にも位置づけた[11]。

体内時計による戻りの割合は、反応の見張りの課題で33.0〜52.1%、数字と記号の課題で45.7%、眠気の尺度で23.5%だった[11]。著者らは、眠気の感じ方は主にたまった眠りの圧で決まり、客観的な成績には、眠りの圧が強い中でも体内時計の調節がはっきり残ると読んでいる[11]。夕方、頭は少し動くようになるのに、眠気はあまり引かない。

たまった圧のほうは、起きている限り積み上がる。2003年の試験は、21〜38歳の健康な大人48人を、毎晩の床の時間を4、6、8時間に絞る条件を14日続ける実験と、3晩まったく眠らない実験で調べた[1]。統計のモデルによれば、どの削り方でも、反応の抜けは、起きていた時間の累計が15.84時間を超えた分にほぼ比例して増えた[1]。徹夜は、失った眠りの量に比べて不釣り合いに大きな反応を起こした[1]。

朝7時に起きた人なら、15.84時間の線は夜11時前に来る。徹夜は、その線を朝まで何時間も越え続けることになる。徹夜明けの夕方に「意外といける」と感じたら、それは時計が押し戻している分で、圧が抜けたわけではない。これは2つの研究を合わせた私の読みである。徹夜をしていないのに眠い日の話は、同じシリーズの雨の日と春の眠気の記事に譲る。

数字で読む徹夜の翌日

  • −0.776: 単純な注意の抜けに出た効果量。70本の論文、147のテストの統合[4]
  • −0.125: 推論の正確さの効果量。小さく、有意でなかった[4]
  • 55%と59%: 自分の成績が中央値より上か下かを当てた確率。徹夜の群と眠った群、182人の試験[12]
  • 15.84時間: 起きていた時間がこれを超えた分に、反応の抜けがほぼ比例して増えた[1]
  • 45.7%: 35時間起き続けた54人の実験と過去のデータの統合で、数字と記号の課題に出た、体内時計による戻りの割合[11]
  • 0.04時間: 自宅で徹夜した群が、機器の記録の上で眠っていた平均の時間[7]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約