ランニング後の体重増減、汗と糖の蓄えを分けて補給前後の数字を読む記録法

ランニング後に体重が減り、補給すると増える。その数字だけで脂肪の変化や回復の完了は判断できない。水分状態と筋肉の糖の蓄えを調べた比較試験から、走る前・直後・食事後を分ける記録法、体組成計の注意点、減った体重を保とうとする前に確認したいことを読み解く。

走り終えて体重計に乗ると減っていた。水を飲み、夕食を済ませて乗り直すと戻っている。記録アプリの線だけを見ると、せっかく走った分が消えたように感じるかもしれない。しかし、運動後には水分状態が戻っても、筋肉の糖の蓄えは十分に戻らない場合がある。増減の線をそのまま脂肪や回復の成績表にするのは早い。[11]

ランニング後の体重が減る時は、発汗による水分損失を考える。補給のあとに増える時は、水分状態と糖の蓄えを別々に考える。糖の貯蔵形態であるグリコーゲンが減る条件では、体重も下がった試験がある。ただし、その体重差を水と糖に何割ずつ割り振る作業は、体重計だけではできない。研究が分けて測ったのは、体重、体の水分、筋肉の糖であり、それらは同じ方向に動くとは限らない。[11][14][19]

既存記事「ホットヨガ前後の体重差は全部汗なのか?呼吸で失う水分と重さを分けて読む」には、運動中に外へ出る重さの内訳を譲る。ここで扱うのは、ランニング直後から補給後までの記録をどう並べるかだ。塩分をどう選ぶかは「ランニング後の塩分補給、水だけの場合と比べて回復中に残る水分量をどう読むか」に譲る。同じ人の数字を、測った時点ごとに比べる。

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直後の減少は、脂肪が減った量とは読めない

長く強い運動では、体温調節のための発汗によって体液が失われる。暑さと水分状態を扱ったレビューでは、その損失を補わない場合、体温上昇や循環への負担、持久的な運動能力の低下が起こりうると整理されている。体重が軽くなったことと、走るための状態が整ったことは同義ではない。[19]

同じレビューは、進行する脱水が体重の約4%に達する水準では、生理的な負担が伴いうると述べる。その負担は、運動中に水分を摂ること、寒冷な環境で運動すること、体の能力のごく一部しか使わない強度で動くこと、のいずれかで和らぎ、防がれる場合もある。減り幅の意味は、気温と運動の大きさから切り離せない。[19]

負担の出方も一様ではない。安静時や、小さな筋肉だけを使う運動では、心拍出量、四肢の血流、筋肉の代謝は保たれるか、むしろ増える。全身を使う中強度から高強度の運動では、それらが損なわれる。脱水が進むと、脳への血流と酸素供給の低下も速まる。それでも有酸素代謝への影響は、酸素を取り出せる余力がより小さい活動筋の側で大きいと整理されている。体重の減少率だけを切り取り、すべての走り方に同じ判定を貼ることはできない。[19]

脱水は、筋肉のグリコーゲンへの依存を大きくする方向とも関連する。汗で失う水の話と、糖の蓄えの話は、別々に閉じて終わらない。同じ1回の走りの中で、水分の損失が燃料の使われ方にも関わる。これはレビューがまとめた生理の方向であって、家庭の体重計が「今日は糖を何グラム余分に使った」と表示する話ではない。[19]

日常の記録なら、体重の隣に走った場面を残す。出勤前の軽い走りか、暑い日の長い練習か。飲食の前に測ったのか、後に測ったのか。立川駅北口まで走って戻り、冷蔵庫の水を飲んでから乗った日と、玄関から直行した日は、同じ「運動後」とは呼びにくい。これは家庭の記録を研究の条件に近づける工夫であり、体重から発汗量を厳密に計算する方法ではない。[11][19]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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水分が戻っても、糖の蓄えが戻ったとは限らない

この違いを示したのが、持久系の男性競技者を対象にした二重盲検の無作為化クロスオーバー試験だ。クロスオーバーとは、同じ参加者が異なる条件を経験して比べる設計である。男性8人が2時間の高強度の間欠的ランニングを行い、その後に糖質量の異なる同容量の乳飲料を飲んだ。運動の手続きは、筋グリコーゲンを乾燥重量1 kg当たり250 mmolまで減らし、体重を1.8%減らした。論文はこの体重減少を、軽い体水分の損失としている。[11]

標準の回復飲料には体重当たり糖質1.2 g/kgとたんぱく質0.4 g/kg、低糖質の飲料には糖質0.35 g/kgとたんぱく質0.5 g/kgが含まれていた。どちらでも水分状態は運動前の水準に戻った。回復期の筋グリコーゲンは279 mmol/kg乾燥重量で、どちらの飲料も蓄えを補充してはいなかった。水分と筋肉の燃料を別々に測ったからこそ見える結果だ。[11]

糖質をいつ、どれだけの量で戻すかという補給の設計は、別記事「ランニング後の糖質補給は急ぐべきか、次の練習までの間隔で読む蓄えの戻し方」に譲る。こちらで残すのは、水分状態が戻ったという結果と、糖の蓄えが補充されなかったという結果が、同じ回復の時間に並んだことである。家庭の体重計に乗り直す行為は、血液、呼気、筋肉の試料を採る測定の代わりにはならない。[11]

この試験は、低糖質の回復飲料が回復の指標を悪化させた、とは結論していない。血糖とインスリンの反応は、糖質の多い飲料で有意に大きかった。2時間の反応として示された値は、糖質の多い側で血糖618 mmol/L、インスリン3507 μIU/mL、低糖質側で559 mmol/L、1147 μIU/mL(いずれも2時間当たり)である。一点の濃度ではない。総脂肪酸化の速度は、糖質の多い側で高かった。それでも翌朝の1時間の距離テストの成績は、飲料の条件では変わらなかった。[11]

血糖の山と、翌朝の成績と、体重の戻りは、三つの別の行である。講義が伸びた夜に走り、何か食べてから洗面台で乗る人は、増えた数字を糖の回復とも失敗とも決めない。食べたこと、飲んだこと、測った時刻を分けて書く。[11]

食事を減らして軽くなった時にも、内訳を見る

体重が下がることを、そのまま脂肪の減少と受け取れない別の例がある。男性長距離走者7人(19.9±1.1歳、体重61.4±5.3 kg、最大酸素摂取量67.5±4.3 mL·kg·min)が、利用できるエネルギーの少ない条件と通常の条件で、それぞれ連続3日間の持久的トレーニングを行った無作為化試験だ。運動は最大酸素摂取量の70%で75分間のトレッドミル走だった。少ない条件のエネルギー利用可能性は18.9±1.9、通常条件は52.9±5.0(いずれもkcal/kg除脂肪量/日)である。2条件のあいだは2週間空けてある。[14]

エネルギーの少ない条件では、体重、除脂肪量、骨格筋体積が低下し、筋グリコーゲンも約30%減少した。除脂肪量とは、体重のうち脂肪以外に相当する部分である。グリコーゲンは通常条件よりも低かった。この試験では体重の変化とともに糖の蓄えも測られており、「軽くなった」という結果の横に、燃料の減少が並んでいる。[14]

4日目の朝、最大酸素摂取量の90%に相当する時速19.0±0.8 kmでの疲労困憊までの時間は、両条件とも約20分で、有意差はなかった(P=0.39)。糖の蓄えは減っていたのに、この運動能力の評価では差が出なかった。走れたから燃料も変わっていない、とは言えない。同様に、数字が軽くなったから良い状態だったとも言えない。[14]

対象は若い男性長距離走者であり、仕事帰りの走りへ大きさをそのまま移せない。食事制限のやり方として読むのではなく、体重と糖の蓄えを分ける例として使う。夕食を抜いて翌朝の数値を保つことは勧めていない。平均体重61.4 kgは参加者の記述であり、目指す目標ではない。[14]

記録欄に「軽かった」だけでなく「前日の補給が普段と違った」と添える意味はここにある。同じコースを走っていても、走る前から持っている糖の蓄えや食事の条件が違えば、体重変化を同じ出来事として比べにくい。燃料代謝のレビューでは、運動の強さと時間、体重、食事状態が、糖と脂肪の利用を調節する要因として挙げられている。たんぱく質は、長い持久的運動のあいだ、細胞が使うエネルギー通貨であるATPの回転のおよそ10%を支える副次的な供給源だと整理されている。体重計の1 kgは、この内訳のどれかを単独では示さない。[17]

数字で読むランニング後の体重と回復

約4%:長く強い運動で脱水がこの体重減少に進むと、生理的負担が伴いうる。運動中の水分、寒冷、低い強度で和らぎうる。[19]

1.8%:男性持久系競技者8人の間欠的ランニング後の体重減少。水分状態は戻っても筋グリコーゲンは補充されなかった。[11]

250と279:同じ8人の筋グリコーゲン(mmol/kg乾燥重量)。運動で250まで減り、回復期の279でも補充とは扱われなかった。[11]

約30%:男性長距離走者7人が低エネルギー条件で連続3日間走った時の筋グリコーゲン減少。体重も下がった。[14]

18.9±1.9対52.9±5.0:上の試験のエネルギー利用可能性(kcal/kg除脂肪量/日)。疲労困憊までの時間は約20分で有意差なし。[14]

−0.4±0.1%:男性競技者10人が室温22℃で30分間走った試験の体重変化。電気的な水分評価の安定は、条件で違った。[15]

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宮川涼 Founder

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