運動のクイズは選べれば覚えた証拠?選択肢を閉じた後の動きまで確かめる

運動のクイズで正解を選べても、見本なしで手順を思い出して動けるとは限らない。全身の順序学習、子どもの言葉による記憶、人工文法の実験から、見分ける成績と自力で再現する成績を読み分ける。姿勢の知識を動作の上達と取り違えず、復習で何を確かめればよいかを考える。

マットを広げ、さっき正解した姿勢を試そうとする。写真なら正しい形を選べた。ところが見本を閉じると、最初にどちらの手を動かすのか迷う。正解の印はついたのに、体の出発点が見つからない。

選べたことは、その問題に答えられた証拠である。ただし、それだけで手順の説明や動作の実行まで合格したとは考えないほうがよい。情報や出来事を思い出す記憶と、技能を学ぶ記憶は協力しつつ、比較的独立した面も持つからである。[14]

「ヒップアップ筋トレは名前を覚えると再現できる?動作の言語化と練習の関係」は名前と動作の結びつきに譲る。ここで考えるのは、運動や姿勢のクイズの正解を、どの範囲の学びの証拠として受け取るかである。全身の動作を使った実験でも、順番を意識して思い出す成績と、練習による動きの変化は同じようには動かなかった。[19]

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

選ぶ、思い出す、動くを別々に見る

この記事では、並んだ候補から以前見たものや正解を見分ける場面を「再認」、候補を見ずに内容を呼び出す場面を「再生」と呼んで区別する。さらに、呼び出した内容に沿って実際に体を動かす場面を分けておく。これは復習を整理するための使い分けであり、個々のクイズが特定の記憶だけを測るという意味ではない。人工文法を使った研究では、同じ判断課題に、規則の学習、個別の記憶、並び方の統計的な手がかりが関わっていた。[18]

たとえば姿勢の写真を選ぶ問題なら、画面には最初から体の形がある。その写真を手がかりに判断することと、写真を消してから自分の足や腕の位置を決めることでは、確かめたい行動が変わる。クイズの得点を記録するときは、「何を見ながら、何を答えたか」まで一緒に残したい。同じ正解という言葉の中に、異なる課題を押し込まないためである。[14][18]

情報や出来事を思い出す働きは宣言的記憶、技能や手続きを学ぶ働きは手続き記憶と呼ばれる。両者の区別を論じた神経心理学のレビューは、神経学的に健康な人ではそれらが協調しながらも、比較的独立して働くとしている。「説明はできるが動作がぎこちない」「うまく動けるが順番を言葉にしづらい」という場面を、同じ物差しだけで採点しない理由になる。[14]

ただし、選択問題を宣言的記憶、自分で動く課題を手続き記憶と機械的に割り振るのも早い。動くときに意識的な手順を使うこともあるし、判断課題で練習から得た規則を使うこともある。課題の名前だけで頭の中の働きを決めるより、どんな情報が与えられ、どんな答えを要求されたかを見るほうが、研究を日常へ持ち帰りやすい。[18][19]

写真の選択、手順の説明、実行を分けると、間違い方も具体的になる。写真では足の向きを選べたのに、説明では腕の順番を飛ばしたなら、少なくとも同じ答えを間違えたわけではない。逆に、説明に迷わなくても、動作を始めると途中で止まるなら、確認したいのは説明の暗唱だけではなくなる。宣言的な学びと手続き的な学びが協力するという見方は、得意な答え方を別の課題へ無条件に広げず、必要な確認を選ぶ助けになる。[14]

出題する側も、「正しい姿勢を選ぼう」の正解表示に何を含めるかを考えたい。写真を見分けた直後に「もう実践できる」と表示すれば、測ったことと褒めたことの間に隙間ができる。まずは写真のどの違いを判断できたかを伝え、動作の確認は別の機会にする。人工文法研究で判断を支える成分を分けたように、答えを生んだ手がかりへ目を向ける読み方である。[18]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

全身の順序学習では、思い出す成績と動きがずれた

全身を使う研究は、今回の問いに近い。成人の運動順序学習を調べた実験では、参加者74人を、若年成人、中年成人、高齢成人、および加齢による身体の制約を模すスーツを着た若年・中年成人の計5群に分けた。年齢は若年群が18〜27歳、中年群が30〜59歳、高齢群が60〜86歳だった。中高年を含み身体制約も操作した実験なので、18〜39歳の女性の日常の運動へそのまま当てはめるには条件の違いがある。[19]

課題は10要素からなる決まった全身の動作順序で、練習は28試行だった。研究者は習得中の成績だけでなく、習得後に順序を意識して思い出す成績と、翌日に残る実行成績も調べている。体の動き、順番の想起、時間を置いた保持を別々に評価した点が大切である。[19]

全群で、順序を必ずしも意識的に説明する形によらない学習が見られ、練習終了時の成績は翌日の保持テストでも維持された。一方、スーツを着ていない若年成人は、実行時間が最も短く、意識的な順序の想起成績も最も高かった。全員が学んだという結果と、全員が同じ速さ、同じ想起成績だったという結果は違う。[19]

とくに、スーツは若年・中年成人の実行成績と意識的な想起を有意に損なった。それでも、意識によらない順序学習は保たれていた。感覚の受け取りやすさ、柔軟性、筋力を制限する条件の下では、学習の一部が残っていても、実行や意識的な記憶の成績が低くなりうる。遅い動作を見て、すべてを「覚えていない」に置き換えることはできない。[19]

これは日常の運動をそのまま再現した試験ではなく、スーツによる制約を含む実験である。姿勢の写真を当てた人がどれほど正確に運動できるかを、直接数値化したものでもない。それでも、知識のクイズの得点から全身の技能へ飛び越える前に、実行そのものを確認する必要を考える材料になる。見分ける課題の成績と、体の制約を受ける課題の成績を同じものとして扱わないためだ。[19]

さらに、この研究の実行時間は「速ければどんな運動でもよい」という基準ではない。決まった全身の動作順序を行う課題で比べた成績である。家で姿勢を確かめる人が、その速さを競う必要はない。研究では何を成果としたのかを保ったまま読むことが大切だ。クイズで速く答えたこと、写真の違いを正しく説明したこと、落ち着いて動けたことは、それぞれの課題の記録として残せる。[19]

翌日に成績が維持された点にも読み方がある。維持とは、練習終了時からその群の成績が保たれたということであって、すべての群が同じ到達点になったという意味ではない。自分の復習でも、先週より残っているかを見る問いと、見本どおりに行えたかを見る問いを区別しておく。残った学びを認めることと、必要な修正を見落とさないことを両立させるためである。[19]

言葉が助ける記憶にも、条件がある

手順に短い名前をつければ覚えやすそうに見える。子どもの系列学習を調べた研究では、7〜15歳の60人が対象となった。人工内耳を使う子ども21人と、典型的な聴力の子ども39人が、言葉にしやすい色の刺激と、空間的な刺激を使う課題に取り組んだ。順序に応じて反応する課題の後に、その並びを思い出す課題も行った。対象は子どもであり、18〜39歳の女性にも同じ言語化の利点があるかは、この結果から直接判断できない。[20]

結果として、言葉のラベルを使いやすい刺激は、宣言的な順序の再生を助けた。一方、先に学んだ系列の恩恵が再生課題で見られたのは、ラベルを使いにくい場合だった。覚えている順番を答えるという同じ行動でも、使える言葉があるかどうかで、支えになる学習経験が異なっていた。[20]

この研究では、聴力の状態は系列学習や順序再生の成績を予測しなかった。また、ラベルをつけやすい項目の再生成績は言語能力との関係が強く、ラベルをつけにくい項目では非言語的な知的能力との関係が強かった。つまり、成績の差を見たとき、覚える人の属性だけでなく、何を手がかりに答えられる課題なのかを見る必要がある。[20]

これを成人のヨガや筋トレに、そのまま当てはめることはできない。子どもの刺激系列課題で得られた結果だからである。日常で使うなら、「腕を上げる」と言えたことと、その動きを実際に行えたことを別々に確かめる、という整理にとどめたい。言葉をつけることを無意味にせず、言葉による正解を運動の完成証明にも変えない。その線引きを支える研究である。[14][20]

名前を言えるようになった日には、その成果をそのまま喜んでよい。確認したいのは、そこから先の推測である。たとえば講師に手順を説明する場面なら言葉による再生が役立つが、自宅で見本を閉じて始める場面では実行も確かめたい。子どもの研究が扱ったラベルと再生の関係を、成人の運動の上達率へ置き換えず、自分が次に必要とする行動に合わせて確認の形を選ぶのである。[20]

数字で読む運動のクイズと記憶

74人:全身の順序学習を、成人の年齢群と身体制約の条件で比べた研究の参加者数である。[19]

10要素:全身運動の実験で使われた固定の動作順序であり、日常の復習に勧める種目数ではない。[19]

28試行:同じ実験の練習量である。これだけ練習すれば誰でも覚える、という基準にはできない。[19]

60人:言葉のラベルと順序再生の関係を調べた子どもの研究の参加者数である。[20]

32人と60人:人工文法研究の読み書きの困難がある若年成人群と対照群の人数である。[18]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約