太もも痩せの筋トレで、横向き脚上げのつま先は内向きがよいのか。股関節の回転で変わる中殿筋と大腿筋膜張筋の活動を、健康な学生や筋力の弱い人を調べた研究から読む。筋活動と脂肪減少の違い、脚を上げる局面、骨盤の動き、重りを加える前に確認したい点まで整理する。
マットに横向きで寝て脚を上げる。「つま先を内へ」という合図に従うと、今度は骨盤まで一緒に動いてしまう。別の見本は外向きだ。同じ横向き脚上げで、何をそろえれば同じ運動になるのか。
答えの芯は、股関節を内向きに回した条件で、お尻の横にある中殿筋の活動が高まった実験がある、ということだ。ただし、これは横向き脚上げ中の筋肉の働き方を比べた結果であり、つま先を内へ向けるほど太ももの脂肪が減るという結論にはならない。[14][15]
見るべきものは足先だけではない。股関節の向き、脚を上げる途中のどの局面か、どの筋肉を目的とするかで、研究の答えも変わる。外向きの脚上げで複数の深い筋肉の反応が大きかった研究もある。向きに絶対的な順位をつける前に、何を測った順位かを確かめたい。[1][5]

内向きで高まったのは、どの筋肉の活動か
横向きで上側の脚を体の横へ離す動きが、股関節の外転である。ここでいう内旋は太ももの骨を内向きに回すこと、外旋は外向きに回すことだ。脚を横へ持ち上げる方向と、脚自体を回す方向は別であり、外転しながら内旋する条件を研究では比べている。「横へ開く」と「外へ回す」は、名前が似ていても同じ操作ではない。[14][15]
中殿筋はお尻の横にある筋肉で、横向き脚上げの研究で主要な測定対象となる。もう一つよく登場する大腿筋膜張筋は、股関節の前外側にある筋肉だ。研究では両方の活動だけでなく、中殿筋の活動を大腿筋膜張筋の活動で割った比も調べる。狙った筋肉が、同時に働く筋肉に対してどの程度活動するかを見るためである。[14][15]
健康な大学生20人を対象とした実験では、脚を横へ上げて止める運動を、股関節が中間の向き、内向き、外向きの条件で比較した。18〜39歳の女性への適用を考える際も、健康な大学生の結果として扱う必要がある。止めた姿勢で力を出す方法を等尺性と呼ぶ。表面筋電図という、皮膚上の電極で筋肉の電気的活動を捉える方法では、中殿筋の活動は内向きで中間の向きや外向きより有意に高かった。[15]
同じ実験で、大腿筋膜張筋の活動は外向きで中間の向きより高かった。中殿筋と大腿筋膜張筋の活動比も、内向きがほかの向きより大きかった。したがって、中殿筋を相対的に働かせたいという目的なら、内向きにする助言には実験上の理由がある。単に脚全体がきついかどうかだけでなく、どの筋肉へ活動が配分されたかが論点なのだ。[15]
中殿筋の筋力が弱い19人を調べた別の実験でも、内向きで中殿筋の活動が中間の向きより高く、外向きでは大腿筋膜張筋の活動が中間の向きより高かった。内向きでは、中殿筋と大腿筋膜張筋の活動比、中殿筋と大殿筋の活動比も高かった。健康な学生の結果に近い方向だが、対象は中殿筋の筋力が弱い人であり、18〜39歳の女性全体へそのまま当てはめるには筋力の出発点の違いを考える必要がある。[14]
ただし、比が大きいことと、分母となる筋肉が完全に休むことは違う。活動比の上昇を「外ももを一切使わない」と読み替えると、実験が示した比較を越えてしまう。大腿筋膜張筋の働きを悪者にする必要もない。中殿筋を狙う課題で相対的な配分を知りたい、という研究の目的に沿って読むのがよい。[14][15]
向きを確かめるときは、脚を横へ離す動きと、太ももを回す動きを言葉で分けてみる。「内向きのまま横へ上げて止める」と説明できれば、研究の等尺性課題に近い問いになる。反対に、上げながら外向きから内向きへ回す見本なら、回転の途中も含む別の課題だ。同じ「脚上げ」という名前より、実際に行う動きの順序が手掛かりになる。[14][15]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
上げ始めと上げ終わりでは、同じ内旋でも違う
脚を持ち上げた姿勢で止める実験と、上げ下げの途中を調べる実験は分けて読みたい。健康な男性12人が股関節の位置を変えて横向き脚上げを行った研究では、中殿筋に加え、より深い小殿筋の前部と後部、梨状筋、大腿筋膜張筋を測定した。表面の電極だけでなく、細いワイヤーを用いる筋電図も使われた。男性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは別に検討する必要があり、ここでは向きと局面を分けて見る材料にする。[5]
ここでの小殿筋はお尻の深部にある筋肉で、研究ではその後部と中殿筋の反応に特徴が見られた。脚を後ろへ引いた股関節の伸展と、内旋を組み合わせた条件では、脚を上げる後半に活動が最も高かった。小殿筋後部は54.7±27.2%MVIC、中殿筋は59.2±36.1%MVICだった。[5]
%MVICは、最大の力を自分で出して姿勢を保ったときの活動を基準に表した値である。体脂肪の割合でも、その運動で筋力が増えた割合でもない。この実験の数値は個人差も大きく、平均の隣にあるばらつきまで含めて読む必要がある。中殿筋が約6割だった、という部分だけを切り出して、全員が同じ強さで使えるとは考えない。[5]
一方、中殿筋や小殿筋後部の活動を大腿筋膜張筋の活動と比べると、内旋を含む条件で比が大きくなったのは、上げ始めや下ろし終わりだった。小殿筋後部の比は3.80±3.65、中殿筋の比は2.62±1.72だった。筋肉そのものの活動が最大となる局面と、別の筋肉に対する活動比が最大となる局面は一致しない。[5]
ここが、「内向きがよい」という短い合図では抜け落ちやすい部分だ。中殿筋を大きく活動させたいのか、大腿筋膜張筋に対して相対的に活動させたいのかで、注目する場面が変わる。また、この研究では大腿筋膜張筋の活動自体に有意差はなかった。内旋なら必ずその筋肉の活動が下がる、と扱うことはできない。[5]
家で見本を確認するなら、つま先の静止画だけでは研究の条件を再現したことにならない。脚が体の真横なのか後ろ側なのか、止めているのか動いているのかも確認項目になる。研究結果を運動選びへ移す際の見方として、向きと局面を一緒に扱いたい。角度だけをそろえれば同じ刺激、という読み方は避けるべきである。[5][14]
対象者の違いも、運動を選ぶときの手掛かりになる。健康な大学生の実験と、中殿筋の筋力が弱い人の実験では、出発点が異なる。それでも内旋で中殿筋の活動が高いという共通点があったことは参考になる。一方、深い筋肉を測った動的な実験の対象は健康な男性であり、その平均値を女性の自分の目標値にする読み方は適切ではない。[5][14][15]
実験で「有意に高い」とされたことは、比べた条件の間に統計的な差が認められたという意味である。脚の見た目が分かるほど変わった、日常で実感できるほど筋力が増えた、という意味を足してはいけない。内旋と外旋の比較では、活動の増加を何倍と断定するより、どの対象のどの課題で差が出たのかを文章ごと覚える方が、練習へ持ち帰りやすい。[14][15]
数字で読む横向き脚上げ
20人:健康な大学生の等尺性脚上げでは、内旋で中殿筋の活動と大腿筋膜張筋に対する活動比が高かった。[15]
19人:中殿筋の筋力が弱い対象でも、内旋で中殿筋の活動が中間の向きより高かった。[14]
59.2±36.1%MVIC:健康な男性の実験で、伸展と内旋を合わせた脚上げ後半の中殿筋活動である。[5]
13.2%:外旋を伴う脚上げ後の中殿筋の磁気共鳴画像指標の変化で、筋力の増加率ではない。[1]
6週間:外部の重りの有無を比べた無作為化比較試験の期間で、両条件で股関節外転筋力が改善した。[3]
外向きの研究は、内向きの結果と矛盾するか
外旋はよくない、と結論を急ぐ前に、別の測り方にも目を向けたい。健康で活動的な男女10人を調べた実験では、片脚ブリッジ、横向きで膝を開くクラムシェル、その逆の動き、外旋を伴う横向き脚上げを比較した。各運動を40回行う前後に、筋肉の反応を磁気共鳴画像で評価している。女性も含むが男女を合わせた少人数の結果であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは分けて考えたい。[1]
画像で調べたのは、筋肉のT2緩和時間という指標の変化である。この実験では、中殿筋の変化はブリッジで11.6%、外旋を伴う脚上げで13.2%であり、クラムシェルの4.5%より大きかった。外旋を伴う脚上げは、小殿筋で18.1%、大腿筋膜張筋で17.8%となり、ほかの運動より反応が大きかった。[1]
研究者は、比較した運動の中では外旋を伴う脚上げが表層と深部の殿筋を幅広く活動させたと結論している。一方で、クラムシェルやブリッジにも特定の筋肉を選択的に働かせる利点があった。外旋を含む運動を採用することにも、狙う筋肉に応じた理由がある。[1]
これと内旋の筋電図研究は、同じ競技の決勝戦ではない。内旋の研究は、同じ種類の脚上げで回転の条件を変え、中殿筋や筋活動比を比較した。画像の研究は、動作の種類が異なる運動同士を比べている。さらに、運動中の電気的活動と、反復前後の画像指標という測定方法の違いもある。[1][14][15]
したがって、画像の13.2%と筋電図の59.2%を並べて、後者が何倍効く、と計算してはいけない。分母も測っている現象も違う。価格の比較に駅までの分数を混ぜるようなもので、数字が並んでも順位はできない。単位が似ているときほど、その数値が何の割合かを読み戻したい。[1][5]
また、画像の研究で反応が高かった大腿筋膜張筋を、内旋の研究では相対的に抑えたい対象として扱っている。同じ筋肉でも、運動の目的によって評価の置き場所が変わるのだ。「なるべく多くの筋肉を働かせる」と「特定の筋肉の比を高める」は別の狙いであり、正反対の結果というより、異なる問いへの答えである。[1][14]
既存記事「ピラティスの横向き脚上げは上ほど重い?重力の向きと股関節の負荷を読む」には、高さと負荷の問いを譲る。ここで扱うのは、同じ脚上げという名前でも、股関節の回転と測る筋肉によって評価が変わるという問いである。持ち上げる高さだけで内旋研究の結果を説明しない。[5][14]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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