腕立てと腹筋とスクワットを毎日するなら、選んだテンポと疲れて落ちた速さを分ける

腕立てと腹筋とスクワットを毎日続けていると、同じ回数でもきつさが違う日がある。初めからゆっくり動くことと、疲れて動作が遅くなることを分け、休憩や直前の運動で変わる速さを論文から読む。競技者の実験と自宅での運動の違いを踏まえ、翌日に比べられる記録の残し方を考える。

帰宅してマットを敷き、昨日と同じ腕立てを始める。回数の欄は埋まったのに、終わり際だけ床を押すのが重い。腹筋もスクワットも済ませたが、日付の横の丸印では、その違いが見えない。

毎日行うなら、初めに選んだテンポと、途中から落ちてきた速さを分けて見たい。訓練経験者を対象とした実験の結果を18〜39歳の女性の自宅運動にそのまま当てはめることはできないが、同じ重さでも反復の区切り方によって動作速度の低下が異なった。一方、速さの違いと、運動後にできる腕立ての回数の違いは、一致しなかった。[7]

ここで考えるのは、速く動けば優秀かという順位ではない。毎日の比較に何をそろえるかである。既存記事「腕立てと腹筋とスクワットを毎日記録するなら、手を離す反復は別の欄に分けよう」には反復の種類の区別を譲り、こちらでは始めと終わりの速さ、休憩、直前の運動に焦点を絞る。

既存記事「スクワットの呼吸法は速い動きにも合わせる?反復のテンポと息を分けて考える」には呼吸と動作の対応を、「女性の毎日の腹筋は隣の速さで効く?見える動きと自分のテンポを分ける」には他者の動きへの同調を譲る。「スクワット毎日のテンポは強拍で変わる?同じ速さでも迷う動作の区切りを読む」が扱う音の区切りとも分け、ここでは運動中と直後に測った速度の変化を読む。

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ゆっくり始めた日と、途中から遅くなった日は違う

スマホを見ながら数を急いだ日と、動きを確かめながらゆっくり進めた日。同じ種目名を付けても、比べたい条件がそろっていない。この場面では、回数だけを増減させて成長や不調を決める前に、どんな動き方を選んだかを言葉にしておきたい。これは運動処方ではなく、自分の記録を読み違えないための整理である。

速さをそろえたトレーニングを調べた研究として、女性17人を運動群と非運動対照群に無作為に分けた実験がある。運動群は専用機器で胸を押す動作と座って引く動作を、週2日、6週間行った。押す局面と戻す局面はそれぞれ3秒で、動作の速さを制御する等速性の運動だった。[12]

運動群では、修正版の腕立ての最大反復回数が平均39.5回から55.3回へ増え、ベンチプレスで持ち上げられる最大重量も38.6kgから43.0kgへ増えた。対照群では測定項目に変化が示されなかった。ゆっくり動く条件での訓練にも、別の動作の筋力や持久的な反復への持ち越しが認められた実験である。[12]

ただし、これは速いテンポと遅いテンポの優劣を直接比べた試験ではない。専用機器の運動と家庭の腕立てを同一視するのも適切ではない。示されたのは、特定の速度と負荷で行った訓練後に、別の検査の成績が上がったという関係だ。「遅い動作はすべて疲労の証拠だ」という見方には合わないが、「遅くすれば必ず効果が高い」という結論にもならない。[12]

対して、重い運動の終盤で速さが落ちることを扱った実験では、同じ負荷でも行う回数によって最後の動作速度が違った。こちらは初めから遅いテンポを選ぶ話ではなく、ひとまとまりの反復の終わりにどれだけの速さを出せたかという話である。[2]

家庭で書き残すなら、「今日はゆっくり動くつもりだった」と「いつものつもりなのに終わりで遅れた」は別の文になる。前者を後者に読み替えると、丁寧に動いた日が不調の日になってしまう。日記の欄は同じでも、中に入れる出来事は区別したい。

また、平均値と自分の目標値は別物だ。女性の訓練実験で示された腕立ての回数は、修正版の検査の結果であり、その回数を毎日の宿題にするための数字ではない。種目の名称だけでなく、対象、機器、訓練期間、測った課題までを一緒に読むと、研究の数字を自分へのノルマに変えずに済む。[12]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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同じ総回数でも、休む場所で速さは変わった

休憩は、運動を終えた後だけにあるものではない。反復の途中に挟む休みを比べた無作為化クロスオーバー試験がある。クロスオーバーとは、参加者が異なる条件を体験して比べる研究方法だ。訓練経験のある12人が、ベンチプレスを中心とした異なる構成の運動を行った。18〜39歳の女性の自宅運動で同じ差が出るかは、別に確かめる必要がある。[7]

負荷はいずれも1回だけ持ち上げられる最大重量の85%だった。通常の構成は6回を4セット、セット間の休憩は120秒。別の構成では反復を細かく区切って15秒の休みを挟んだ。合計の反復数が同じでも、まとまって動き続ける長さが違う設定である。[7]

通常の構成では速度の低下率が19.24%だったのに対し、細かく休む構成では5.02%と7.30%だった。血中乳酸濃度も通常の構成の8.90mmol/Lに対し、別の構成では6.13mmol/Lと5.48mmol/Lだった。研究では、細かい休みを入れた構成で速さを保ちやすく、主観的なきつさも低くなったと報告している。[7]

ここでいう主観的なきつさは、その人がどれほど負担に感じたかの評価だ。動く速さ、血液で測る値、本人の感覚を一緒に調べると、回数の合計だけでは隠れる差が見える。ただし、この実験では胸の筋肉の酸素飽和度が構成間で異ならず、運動前後に調べた限界までの腕立てなどの検査にも構成間の有意差は示されなかった。[7]

つまり、「途中で速さを保てた」と「その後の腕立てがより多くできた」は同じ結論ではない。速さに差が出たからといって、改善は測定項目全体には及ばなかった。乳酸の数値も、翌朝の自分の疲れを直接示す点数として扱うものではない。この試験で測った運動直後の反応として読む必要がある。[7]

毎日の記録に戻ると、途中で立ち上がって家事をした日と、続けて終えた日を同じ欄だけで比べるのは粗い。食器を片付けている間は、反復も止まっている。予定して休んだのか、用事で止まったのかを一言添えれば、翌日の自分が状況を思い出せる。

研究の15秒を、そのまま全員の休み方に指定する必要はない。対象は訓練経験者であり、負荷も重いベンチプレスだった。自宅の腹筋や自重スクワットに同じ低下率を当てはめるのではなく、休憩の位置を変えたら比較条件も変わるという点を持ち帰りたい。[7]

直前の運動があると、速くなる場合も遅くなる場合もある

運動を重ねれば、後の種目は必ず遅くなるのだろうか。実験結果はそれほど単純ではない。先に行った運動によって、その後の瞬発的な課題の成績が一時的に上がる現象を、運動後のパフォーマンス増強と呼ぶ。ただし、起こるかどうかは条件によって異なる。[2][5][8]

上半身の実験に選手14人、下半身の実験に選手13人が参加した研究では、最大重量の87%でベンチプレスまたはスクワットを行い、その後に跳び上がる腕立てやジャンプを測定した。先に行う反復を3回、4回、5回に分け、順序を無作為化して比較している。競技選手の結果を18〜39歳の女性一般にそのまま当てはめることはできない。[2]

ベンチプレスの最後の動作速度は、5回条件で平均0.23m/s、3回条件で0.28m/sだった。スクワットでも、最後の速度は3回条件より4回、5回条件で遅かった。それでも、その後の腕立ての最大の力やジャンプ高は、各条件の最も高い成績の時点で運動前より上がり、少ない反復でも反復限界の条件と同様の増強が得られた。[2]

一方、訓練経験のある男性14人が参加した別の実験では、重いベンチプレスの後に行う跳び上がる腕立てで、何もしない対照条件より踏み切り速度と正味の力積が低かった。力積は、力の大きさとそれが加わる時間を合わせて見る指標である。研究者は、用いた負荷による急性の疲労が成績低下につながった可能性を挙げている。訓練経験のある男性の結果であり、18〜39歳の女性でも同じ低下が起こるかは、この実験では判断できない。[8]

成績が上がった実験と下がった実験を合わせると、「前に運動した」という事実だけでは次の動作を予測できない。負荷の設定や測る課題が違う研究を、どちらかが正解という形に並べるのは無理がある。家庭では、腕立てが遅かった日の記録に、直前に別の運動をしたかも添える理由になる。[2][8]

測った時点にも意味がある。選手の実験では、先行する運動の後、2分ごとに12分まで腕立てやジャンプを調べ、その中の最良の時点を評価している。「運動後に成績が上がった」という表現を、終了直後からずっと高かったと読むのは違う。最良の時点での比較と、翌朝の日常動作の感想は、別の時間軸の話である。[2]

数字で読む動作速度と反復

17人の女性を分けた試験では、訓練は週2日、6週間だった。毎日の運動を検証した設定ではない。[12]

12人の交差比較では、通常構成の速度低下率は19.24%だった。細かく休む構成では5.02%と7.30%だった。[7]

選手のベンチプレスでは、最後の平均速度が5回条件で0.23m/s、3回条件で0.28m/sだった。[2]

男性18人の実験では、速度が10%落ちた所でベンチプレスを止めても、その後の跳び上がる腕立ての成績は高まらなかった。[5]

身体活動のある成人30人の検査では、腕立て後の疲労によって投げる課題の成績が低下した一方、握力の変化は一貫しなかった。[4]

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宮川涼 Founder

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