筋トレの炭水化物は表示量だけで選べるか、同じ量でも違う補食の加工と配合

筋トレ前の補食で炭水化物の表示を見るとき、糖質と食物繊維の量だけで食後の反応まで決めていないだろうか。消化される炭水化物の測り方、繊維の種類、食品の加工を比べた試験から、表示で分かることと、運動の成果とは分けて考えたいことを、補食選びの場面に沿って整理する。

仕事帰りに筋トレへ向かう前、売り場で穀物の菓子とパンを裏返す。「炭水化物」の数字は似ているのに、片方には食物繊維の文字が大きい。今日はどちらを選ぶか。包装の裏だけで、練習の調子まで予想したくなる場面だ。

見る順序の出発点は、炭水化物の総量と、その中の消化される部分や食物繊維を区別することである。ただし、消化される炭水化物をそろえても、食物繊維の種類や食品の加工で食後の血糖反応は異なり得る。表示は食品を比較する入口であって、体内の反応をそのまま描いた図ではない。[9][16][19]

「筋トレの炭水化物はたんぱく質の代わり?体に残る量と筋肉の合成を読み分ける」には筋肉合成の問いを譲る。また「ダイエット中の糖質は何グラムと記録する?朝から夜の合計と表示を読み直す」が扱う日々の集計とは分け、「ダイエット中の炭水化物は冷やすと変わる?運動日の主食とでんぷんを読む」の冷却による変化とも問いを分け、ここでは補食候補を横に並べたときの比較条件に絞る。おすすめ食品の順位表より先に、何を同じ条件として比べているかを確かめたい。

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炭水化物の欄から、何を取り出して比べるか

食品に含まれる炭水化物を考える際、糖やでんぷんからなる利用可能な炭水化物と、水溶性・不溶性の食物繊維を分ける整理がある。水溶性・不溶性とは水への溶けやすさによる区別である。米を使った料理を調べた研究も、この区別を土台に食品を分析している。炭水化物という大きな欄に目を向けたあと、その内訳へ進む理由はここにある。[17]

利用可能な炭水化物とは、食べた炭水化物のうち体で利用される部分を捉えようとする考え方だ。総炭水化物から食物繊維を引いて計算する方法がよく使われる。一方、その引き算と、実際に消化される量にはずれが生じる場合がある。食物繊維をどの分析法で測ったかによって、消化されにくいでんぷんを拾いきれない場合があるからだ。[9]

ここで、研究の「利用可能な炭水化物」を、売り場の「糖質」という言葉に無条件に置き換えないことが大切になる。研究では測定方法や試験食の作り方も比較の一部である。同じ数字が書いてあるように見えても、何を測った数字なのかという問いは残る。引き算は便利だが、食品の消化過程を直接測る操作とは異なる。[9]

実際に補食を選ぶ場面では、まず表示がどの量の食品に対応するかを読み、次に自分が食べる量と照らす。そのうえで炭水化物と、併記されている内訳を確認するという順にすれば、欄の名前と食べる量を混ぜずに済む。これは特定の量を勧める手順ではなく、異なる食品の比較を始めるための整理である。

例えば、パンを食べ切る予定と、穀物の菓子を途中まで食べる予定では、包装にある数字をそのまま横並びにする意図が違う。メモには表示の言葉を勝手にまとめ直さず、そのまま残したい。「炭水化物」と書かれた欄を、次の日には「糖質」と呼んでいると、食品を変えたのか集計の言葉を変えたのかが分からなくなる。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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食物繊維を引けば、消化される量が決まるのか

この疑問を具体的に示すのが、消化されにくいでんぷんを多く含む結晶性の短鎖グルカンを調べた試験である。難消化性でんぷんとは、通常の消化を受けにくいでんぷんを指す。この試験の素材は、使われた食物繊維の分析法では総食物繊維として検出されなかった。それでも、体の中で利用可能だったのは一部だった。[9]

成人10人に対し、通常のでんぷんと試験素材を、それぞれ単独または混合した形で与えた無作為化試験である。18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、対象と素材の条件を確かめる必要がある。試験では50 gの素材が使われ、呼気中の水素も調べられた。試験素材の50 gは全量が体内で利用されず、呼気の検査は発酵され得ることも示した。「繊維として測られない」ことと「すべて同じように消化される」ことが一致しない例である。[9]

これは、売り場にあるすべての食品の表示が不正確だという話ではない。特定の素材と分析法で生じた、測定と体内反応のずれである。日常の表示を疑って捨てるより、表示から得られる量の情報と、その食品を食べた後の生理反応を分けて扱うほうが、この試験の読み方として適切だ。[9]

高アミロース穀物由来の難消化性でんぷんを扱ったレビューも、時間の長さを分けている。対象となった30報では、速く消化される炭水化物源を置き換えると、食後すぐの血糖・インスリン反応を抑え得る。一方、インスリン抵抗性や感受性の改善まで結論するには証拠が不十分だった。感受性とは、インスリンの働きに体がどれだけ反応するかという性質である。[7]

補食の包装に難消化性でんぷんや繊維を見つけたときも、「食後の反応に関わる可能性」と「長く食べれば体が変わるという保証」は同じではない。さらに筋トレの重量や反復回数は、血糖やインスリンとは別の評価項目である。このレビューの結果を、練習の成績を保証する言葉へ飛躍させないようにしたい。[7]

同じ炭水化物量でも、繊維の中身で差が出る

量をそろえた比較は、内訳を見る意義を明瞭にする。健康な14人を対象にした無作為順の朝食試験であり、18〜39歳の女性だけの結果としてそのまま当てはめることはできない。試験では、利用可能な炭水化物75 g、たんぱく質10 g、脂質14 gをそろえ、アラビノキシランを多く含む繊維の添加量を変えた。アラビノキシランは穀物の食物繊維を構成する成分で、この研究では小麦粉の加工副産物から取り出された。[19]

繊維を加えない朝食に比べ、6 g加えた朝食では食後血糖の増分曲線下面積が20.2%低く、95%信頼区間は5.8〜34.7%だった。12 gでは41.4%低く、信頼区間は25.9〜56.8%だった。曲線下面積は、測定時間の反応を曲線の面積として捉える指標である。ピークの高さだけを示す数字とは区別する必要がある。[19]

この結果で見たいのは、炭水化物を減らしたから反応が小さくなったという比較ではない点だ。利用可能な炭水化物量や他の主要栄養素をそろえたうえで、特定の繊維を加えた朝食を比べている。包装の炭水化物欄が同じでも、その食事に含まれる繊維の条件には違いが残ることが分かる。[19]

ただし、この添加量をそのまま運動前の目標量にしてはいけない。試験の対象は健康な人であり、評価したのは朝食後の血糖とインスリン反応だった。筋トレの最中の快適さや成績を比較した結果として読むことはできない。数字を知る目的は、繊維をできるだけ多く足すことではなく、試験で何を変えたのかを見分けることにある。[19]

別の無作為化クロスオーバー試験では、健康な10人(うち男性5人)が、利用可能な炭水化物を40 gにそろえた穀物製品を食べた。男女を合わせた結果なので、18〜39歳の女性にそのまま当てはめる際には対象の違いが残る。大麦製品は食物繊維12 gと、その中にβグルカン3.5 gを含み、全粒小麦製品は主に不溶性の繊維を約14 g含んでいた。βグルカンは、この研究で大麦由来の水溶性繊維として着目された成分である。[16]

白パンを基準にしたGIは、全粒小麦のクラッカーとクッキーで78と81、大麦のクラッカーとクッキーで49と34だった。GIは食後血糖反応に基づいて食品を順位づける指標である。繊維の総量が多い製品ほど必ず低いGIになる、という並びではない。繊維の由来と食品の形の両方を読む必要がある。[9][16]

比較の設計を売り場の場面に置き直してみる。繊維の量が違う食品を選んだとき、同時に穀物の原料も菓子の形も変わっていたら、食べた後の違いを繊維だけに結びつけるのは難しい。大麦製品の試験は、繊維の由来と加工の組み合わせを区別して調べたからこそ、単なる「繊維が多い食品」の比較より詳しい問いを立てられたのである。[16]

同じことは、広告で研究結果を読むときにも使える。食物繊維という欄の数字だけが強調されていたら、研究では何を同量にしたのか、何を加えたのかを見る。アラビノキシランの朝食試験では、エネルギーと主要栄養素をそろえていた。自分が手にしている食品でも同じ条件が成立すると決めつけず、試験食と購入候補の距離を確認したい。[19]

その距離を確かめることは、表示を読む手間を無駄にしない。量の情報は量の情報として使い、加工や配合の情報をその横に置く。炭水化物の総量を消して繊維の名前だけを見るのでも、総量だけを見て食品の違いを消すのでもなく、比較の条件を順に増やす読み方である。[9][16][19]

数字で読む表示と食後反応

成人10人:繊維の分析値と素材の体内利用のずれを調べた試験の人数である。[9]

30報:高アミロース穀物由来の難消化性でんぷんのレビューが検討した論文数である。[7]

75 g:繊維添加の朝食試験でそろえた利用可能な炭水化物量であり、補食の推奨量ではない。[19]

20.2%:特定の繊維を6 g加えた朝食での、血糖増分曲線下面積の低下である。[19]

40 g:大麦製品と全粒小麦製品の比較でそろえた利用可能な炭水化物量である。[16]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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