岩盤浴とサウナは出た後に熱さを思い違う?体験中の負担と帰り道の感想を読む

岩盤浴やサウナから出た後の「気持ちよかった」で、中にいた間の熱さや体への負担まで判断できるだろうか。加温中の快適さ、体温、運動後の回復を調べた研究から、感想と測定の違いを読む。記憶の偏りを決めつけず、体験中と退出後を分けて残す記録の使い方と、次の利用を考える手がかりを示す。

サウナ室では出口が気になったのに、着替えを終えると「今日は気持ちよかった」と口にする。けれど、中にいる間には「そろそろ出たい」と思った場面もあった。岩盤浴やサウナを振り返るとき、どちらを次の予定の材料にすればよいのだろう。

答えの芯は、帰り道の満足度と、体験中の熱さや身体反応を別々に扱うことである。健康な若い男性を対象に加温方法を比べた試験では、加温終了時の快適さと体の中心部の温度をそれぞれ評価している。18〜39歳の女性への当てはめには、性別と加温条件の違いを考える必要がある。心地よさだけで体内の変化を言い表してはいない。[18] この試験が比べたのは加温方法であり、退出後の記憶の変化ではない。

既存記事「岩盤浴とサウナは立つと脈の反応も違う?暑さと血圧を戻す反射を読み解く」には、姿勢を変えたときの循環の話を譲る。ここで考えるのは、体験中に残す評価と、終わってからつける感想の役割である。思い出を疑うためではなく、気持ちよかった日にも途中の出来事を消さないための読み方だ。

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「気持ちよかった」は、いつの評価なのか

「熱かった」「快適だった」「疲れが取れた」。日常では同じ感想のまとまりとして話しやすい。しかし、何を確かめたのかを考えると、問いはそれぞれ違う。熱さの強さを尋ねること、気持ちよさを尋ねること、体温や呼吸を測ることを分けた研究では、加温方法ごとの特徴も別々の結果として扱われている。[18]

健康な若い男性14人を対象とした無作為化比較試験では、蒸し砂浴、温浴、サウナを順番の偏りを抑えて比べた。加温は各20分で、呼吸や循環の反応と感覚を、加温前・加温中・加温後に評価している。[18] 18〜39歳の女性が同じ反応を示すかは、この男性の試験と分けて考える。研究者は終了時の感想と途中の身体反応をそれぞれ測っている。この測る時点の区別を、利用者の振り返りにも借りたい。

たとえば「出る前は早く外へ行きたかった。着替えた後は落ち着いていた」と書く。この文章には矛盾がない。違う時点の経験を、それぞれの言葉で残しているからだ。帰宅してから「結局よかった」と感じても、途中の感想を訂正する必要はない。反対に、途中が快適だったからといって、帰宅後の気になる変化を無視する理由にもならない。

ここでいう記録は、日記に点数をつける競争ではない。「良かったか悪かったか」だけに丸をつけると、次に何を変えたいのかが見えにくい。部屋にいる間の熱さ、出た直後の感覚、帰宅後の感想というように、言葉の置き場所を決める提案である。この記録法自体に健康効果が確立している、という意味ではない。

体験中に出たいと思ったのに、帰り道ではまた行きたいと思う。その食い違いだけを見て、記憶が間違ったと決めるのも早い。楽しい外出にも疲れる時間はある。体験全体への好意と、その途中の負担は両立する。「また行きたい」を残しながら「次は途中で切り上げたい」も残せる形にすることが、この記事の出発点になる。

たとえば友人から「どうだった」と聞かれたとき、施設で過ごした時間全体の話をするのか、部屋を出る頃の話をするのかは、会話の中では省略されやすい。自分のメモでは、その省略を少し戻してみる。誰かに話すための短い感想と、自分の次の予定のための詳しい記録は、長さが違ってもかまわない。「中では」「着替えてからは」と書き出すだけでも、違う場面を同じ評価に押し込まずに済む。良い感想を書くための記録ではなく、場面を取り違えないための記録と位置づけたい。

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快適さと体温は、同じ欄に入れない

先ほどの試験で用いられた温度は、蒸し砂浴がおよそ50°C、温浴がおよそ41°C、サウナがおよそ80°Cだった。体の中心部の温度、すなわち深部体温の上昇は、温浴、サウナ、蒸し砂浴の順に大きかった。[18] 部屋や湯の温度を低い順に並べても、そのまま体内の温まり方の順番にはならない。表示温度は体験を説明する条件であって、身体反応そのものではない。

加温終了時の快適さでは、蒸し砂浴のほうが温浴やサウナより快適という結果だった。研究は蒸し砂浴について、温浴やサウナより呼吸と感覚の負担を抑えながら、血圧低下の利益が得られる可能性を示している。[18] 対象は健康な若い男性であり、18〜39歳の女性の快適さや身体反応へ、そのまま当てはめることはできない。血圧の変化も、誰にでも望ましい変化と読み替えるべきではない。

大切なのは、快適さを低く評価することではない。気持ちよい時間を選びたいなら、快適さはその目的に合った評価だ。一方、「体がどれだけ温まったか」という問いには体温の測定が必要になる。試験が感覚と生理反応を並べて評価しているのは、尋ねていることが違うからである。[18] 好き嫌いの感想を温度計に働かせる必要はない。

蒸し砂浴は岩盤浴と同じものでもない。研究で比べた方法の名前を、検索した施設の名前へそのまま置き換えないことも必要だ。[18] 「横になって温まる」という見た目の近さだけで、研究と同じ結果を期待するのは飛躍になる。自分の利用条件を読む際は、何を使って、どのように加温した研究かまで確認したい。

友人が「あまり熱くなかった」と話したとする。その言葉は、友人の感覚を知る材料にはなる。しかし、自分の体内の温度や循環の変化を測った値にはならない。加温による身体反応と感覚を別々に調べた試験の読み方からも、体験談を測定の代わりに置かないことが大切である。[18] 感想は感想として受け取り、そこへ別の保証を足さない。

すっきりしたことと、回復したことを分ける

運動の後に温まり、帰る頃には気分が切り替わっている。こうした日に「回復した」と表現したくなることはある。けれど、運動後の加温を調べた系統的レビューで問われたのは、主に測定された身体パフォーマンスである。健康な成人を対象とする14研究、計194人が含まれ、研究全体の根拠の質は低いものから中等度と評価された。18〜39歳の女性だけを対象とした結果としては扱わず、運動内容や加温方法を含めて読む必要がある。[7]

直後の回復を扱った9研究では、効果なしが4研究、有益な効果が4研究、不利益が1研究だった。[7] この内訳は、温めれば必ず次の運動が良くなる、という言い切りを支えない。一方で、有益な結果があったことまで消して「一切意味がない」とするのも違う。方法や運動種目、評価の時点が異なる研究を読んだときの答えは、条件によって結果がそろわない、である。[7]

長い期間の介入では、暑い条件でのランニング成績を改善する可能性が示された一方、自転車の成績や最大酸素摂取量には効果がみられなかった。[7] ここでも、ある項目が良くなったことを、回復や体力のあらゆる面に広げない読み方が必要になる。

自分の記録なら「終わった後は気分が軽かった」と「翌日の運動が普段どおりできた」を分ける。前者を後者の証明には使わない。逆に、翌日の動きが重かった日にも、温まる時間を心地よいと感じた経験そのものを取り消さなくてよい。感想と行動の記録を別にすると、何を目的に利用したいのかも書きやすくなる。

岩盤浴とサウナの両方を予定する場合も、「前回は帰りにすっきりした」を、追加の加温が必要という理由にしない。温浴やサウナなどの急な加温を扱う救急医学のレビューは、共通する反応として、末梢の血管の拡張、循環への負担、体内への熱の蓄積などを挙げている。臨床上の有害事象を扱うレビューであり、18〜39歳の女性の施設利用でどれほど起こるかを表すものではない。[5] 利用する種類の数と、体にとって望ましい結果は同義ではない。

研究の内訳を日常に置くときには、人数と研究数の違いにも注意したい。有益だった4研究という数字は、利用者のうち一定の割合が必ず回復するという確率ではない。レビューは方法や運動、回復を測る時間の違いが大きく、結果を統計的にまとめるメタ分析は行えなかったとしている。[7] 自分に合う温まり方の当たりくじの数として数えず、結論をひとまとめにしにくい理由として読む数字である。

数字で読む、感想と測定の距離

14人:蒸し砂浴・温浴・サウナを比べた試験の対象。健康な若い男性に限られる。[18]

20分:同試験で各加温に設定された時間。利用者全員への推奨時間ではない。[18]

194人:運動後の加温と身体パフォーマンスを扱った14研究の参加者の合計。[7]

4・4・1研究:直後の回復で、効果なし・有益・不利益を報告した研究の内訳。[7]

20人:繰り返す暑い作業条件で、認知課題と主観的負担を調べた探索的試験の対象。[11]

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宮川涼 Founder

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