ダイエットの筋トレは途中の重さが変わる?ゴム併用で回数を比べる前の確認

ダイエットの筋トレで重りにゴムを足したら、同じ回数でも同じ負荷なのか。可変抵抗を扱うメタ分析とスクワットの比較試験から、重さをそろえる位置、平均と最大の速度、その日の反応と長期の筋力変化を読み分ける。ゴムの割合をそのまま自宅の処方にせず、記録に残す条件を考える。

スクワットで立ち上がる途中、重りに付けたゴムの張りを感じる。前回と同じ重さと回数でも、「同じだけできた」と記録してよいのか。ゴムを追加した日は、回数の横に負荷の条件も必要になる。[5][19]

重りにゴムなどを組み合わせ、動作中の抵抗を変える方法は可変抵抗トレーニングと呼ばれる。比べるには、回数だけでなく、負荷をどうそろえたか、力と速度のどちらを測ったかが重要である。その場の平均速度に利点を示すメタ分析がある一方、長期の筋力で通常の重りとの差がないとする分析もある。[4][5]

既存記事「ヒップアップのゴムは伸びるほど重い?重りとは違う負荷のかかり方を研究で読む」にはゴム単体の負荷の話を譲る。「スクワットは上ほど重くすると効果が違う?鎖やゴムで変える負荷を研究で読む」とも問いを分け、ここでは重りとゴムを併用した記録を、重りだけの回数とどう比較するかに絞る。

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同じ回数の横に、負荷の条件を書けるか

筋トレの記録で使うレップ数とは、動作を繰り返した回数のことだ。可変抵抗を調べた試験でも回数は指定されているが、その数字は負荷設定と組み合わせて読む必要がある。重りだけの日にできた反復と、ゴムを加えた日の反復を比較するなら、ゴムを足した際に重りを減らしたのか、据え置いたのかを先に確かめたい。[5][19]

この区別を具体的に示すのが、トレーニング経験のある男性20人を対象にしたスクワットの比較試験である。参加者は別々の日に、ゴムありとゴムなしを無作為な順で行った。いずれも3回を3セット、重りは最大挙上重量の55%とし、ゴムありでは、その55%の重さに対して20%に相当するゴムの力を加えた。対象はトレーニング経験のある男性であり、この結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、性別と経験の違いを考慮する必要がある。[19]

最大挙上重量は、その種目で1回持ち上げられる最大の重さを指す。この試験の「20%」は最大挙上重量そのものを分母とする数字ではない。「55%の重さに対して」という条件まで付いて初めて負荷の説明になる。割合を見たら、何に対する割合かも一緒に読む必要がある。[19]

したがって、この比較はゴムを加えるときに重り側を減らして総量をそろえた比較とは異なる。反復の回数は一致していても、抵抗の構成は一致していない。研究を日常の記録へ移すときも、「ゴムあり」を付けるだけで済ませず、重りを変えたかどうかを残すほうが、次回に比較する条件がはっきりする。[5][19]

たとえば仕事帰りに前回の記録を開いたとき、「回数が減った」という欄だけでは理由を選べない。器具の条件を変えた日なのか、同じ設定で反復できなくなった日なのか。まずその違いを分けて書く。これは運動の成績を良く見せる工夫ではなく、違う課題を同じ欄で採点しないための整理である。

ゴムを付けた動画が派手でも、記録の仕事は地味だ。見た目の新しさより、何と何を比較しているのかを言葉にする。可変抵抗の急性効果をまとめた分析では、負荷をそろえる方法によって速度やパワーの結果が異なっており、この地味な条件が読み方を左右している。[5]

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速くなったのは、下ろす時か立ち上がる時か

先ほどの男性20人の試験では、ゴムを加えた条件で下ろす局面の最大速度と、立ち上がる局面の力の立ち上がり率が大きかった。一方、立ち上がる局面の最大速度と平均速度は、ゴムなしのほうが大きかった。その他の測定変数には差が認められなかった。経験のある男性の結果なので、18〜39歳の女性でも同じ速度差が出るかは別に確かめる必要がある。[19]

力の立ち上がり率とは、短い時間にどれだけ力が増すかを表す指標である。速く力を増やせることと、動作全体を速く終えることは、同じ測定ではない。この試験も「ゴムを足せば速くなる」という一文では表せない。下ろす速度、立ち上がる速度、力を増やす速さで、結果の向きが分かれたからだ。[19]

日常の感想なら「勢いよく動けた」で済む場面もある。だが、その感想を研究の結果と結び付けるなら、どの局面を指すかを合わせたい。立ち上がる速度を見たい人が、下ろす速度の結果を根拠に選ぶと、評価したい動きと引用した数字がずれてしまう。[19]

また、最大速度は動作中の最も速いところ、平均速度は対象とした局面を通した速さの指標である。瞬間的に速い点があることと、全体の平均が高いことも区別する。急性効果のメタ分析で平均速度と最大速度を別々に扱うのは、その違いを消さずに比較するためだ。[5]

この男性の試験から、若い女性の自宅での運動にも同じ差が出ると断定はできない。対象は経験のある男性であり、課題は重りを使うスクワットだった。自分が行っている種目に置き換える前に、対象と動作の距離を確かめる。その距離を飛ばして、ゴムを足すこと自体を上達の印にする必要はない。[19]

平均の利点は、負荷のそろえ方で読み直す

その日の運動中に起きる変化を急性効果と呼ぶ。可変抵抗と一定抵抗の急性効果を比較した系統的レビュー・メタ分析は、参加者が条件を入れ替えて行う交差比較の16研究、計207人を統合した。平均速度の標準化平均差は0.675、平均パワーは1.022で、可変抵抗側が高かった。[5]

標準化平均差は、測定値のばらつきを基準にして群間の差を表す指標である。速度の単位でも、増加率でもない。0.675を「速度が67.5%上がる」とは読めない。別の尺度で得られた結果を統合するための数字であり、明日の自分の動きがその割合で速くなる予測には使わない。[5]

さらに、この分析では平均速度に関する根拠の確実性は中程度、平均パワーでは低いと評価された。効果の数値が大きい側を、そのまま確かな結果として選ぶのも早い。数字の大きさと、その結果にどれほど確信を置けるかは別の欄である。[5]

負荷を同等にする設定に限った分析では、平均速度の標準化平均差は0.903、平均パワーは1.456であった。一方、可変抵抗側の負荷が高い設定では、最大速度が低い方向の結果が示され、その標準化平均差は−0.481だった。ただしこの最大速度の結果は境界的な有意性で、根拠の確実性も低いと評価されている。[5]

これを読むと、ゴムありかゴムなしかという分類だけでは足りないことが分かる。どちら側が重い設定だったかを隠して平均値だけを並べると、器具の違いと負荷量の違いが混ざってしまう。「同じ回数でも軽く感じた」という経験を比べるときも、重りの変更を含めて条件を戻してみる視点が役立つ。[5]

研究の数字は、器具の宣伝文句より説明が長い。しかし、長い条件を削りすぎると別の話になる。平均のパワーに利点があったことを、最大速度も必ず増すという話へ広げない。どこに利点があり、どこには同じ答えを置けないかを残すほうが、次に選ぶ条件を考えやすい。[5][19]

比較を読む順番は、まず対象、次に負荷設定、その後に測定項目である。たとえば、平均速度に関する統合結果と男性のスクワット試験が違って見えても、直ちに矛盾とは決められない。統合分析には複数の負荷設定が入り、個別試験では重りにゴムの力を追加している。比べ方を確認してから、結果の向きを読む必要がある。[5][19]

もう一つ気を付けたいのが、パワーという言葉である。ここでは運動中の機械的な出力の指標として扱われている。「運動を頑張れた」という気分の評価とも、日常語の元気とも異なる。研究で平均パワーが高かったことから、疲れにくさや暮らし全体の調子まで同じ方向へ変わると推測はしない。測定された出力の話として受け取る。[5]

回数表を読むときも同じだ。スクワット試験の3回を3セットという設定は、その条件で速度や力を比較するための実験課題である。ダイエットを始めた人の標準回数として提示された処方ではない。対象者が経験のある男性だったことを含めて読むと、実験を理解するための数字と、自分が採用する数字を分けられる。[19]

スマホに残すメモも、研究の表をそのまま再現する必要はない。「いつもの重りのままゴムを追加」「立ち上がる時の感じを確認」と書けば、次回は少なくとも何を変えた日の記録か分かる。そこに実際の回数を添える。負荷設定で結果が異なる研究を読む際には、このように比較の条件を先に固定する考え方が出発点となる。[5]

数字で読むゴムと重りの比較

16研究・207人:その場の力、速度、パワーを比較した急性効果のメタ分析。[5]

0.675:平均速度の標準化平均差。増加率ではなく、根拠の確実性は中程度。[5]

17研究・491人:健康な成人の長期的な筋力とパワーを比較したメタ分析。[4]

18〜37歳:その長期比較に含まれた参加者の年齢範囲。[4]

0.28〜0.37:別のメタ分析で、長期の最大筋力と跳躍距離に示された標準化平均差の範囲。[1]

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宮川涼 Founder

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