体脂肪を落とす成果はソフト更新で変わる?DXAの解析版をまたぐ記録の読み方

体脂肪を落とすために続けた運動の成果を、解析ソフト更新前後の数字だけで判定してよいのか。DXAで同じ測定データを再解析した小児の研究と、体重が安定した成人女性の研究を手がかりに、脂肪量の変化と解析条件の違いを分け、測定施設に確認したいことや記録の残し方を考える。

運動を続け、久しぶりに体組成の検査を受けた。結果の紙では脂肪が増えている。検査結果を机に並べ、食事のどこが悪かったのかと考える前に、確認したい欄がある。測定した日付だけでなく、解析に使ったソフトの版である。

DXAという体組成の測定法では、解析ソフトの変更によって脂肪量の推定値が変わることがある。同じ小児の測定データを別の版で解析し直した研究でも、脂肪量と脂肪以外の組織量の値が変わった。この小児研究の差の大きさを18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。前後差を読むには解析条件の確認が必要だ。[12]

測り方全般の比較は既存記事「体脂肪率はどこまで信じてよいか 家庭用体組成計とDXA、精度の違いを読む」に譲る。ここで扱うのは、検査を続けている途中で解析版が変わった場面だ。体脂肪を落とすのに何ヶ月かかったかを数える前に、記録をつなぐ条件を点検したい。

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DXAの数字には、解析する条件も含まれる

DXAは、二重エネルギーX線吸収測定法という名称の略で、体組成の評価と、その変化の測定に使われる方法である。ただし、数字の妥当性を考える際には、水分状態、ソフトの版、装置の構造、測定される集団が論点になる。体組成評価の検証研究を検討したレビューは、これらをまとめて扱っている。[1]

このレビューでは、DXAによる変化の評価を支持する研究と、限界を示す研究の両方が取り上げられた。著者らは、食い違いを単に装置の優劣として片づけず、検証方法の妥当性を調べている。経過を評価する場合には、DXAの総質量の推定が、開始時と終了時の体重計の測定を正確に反映しているかも重要だとした。[1]

ここから日常の記録に引き寄せて考えると、検査名が同じであることと、比較条件が同じであることは分けたい。前の紙にも今回の紙にもDXAと書いてある。それだけでは、解析版まで一致しているかは分からない。ソフトを確認するのは細かい機械の趣味ではなく、何を比べているのかを確かめる作業だ。[1][12]

また、総量が一致すれば内訳も一致する、とは限らない。小児の測定データを再解析した研究では、体重の推定値が変わらなくても、脂肪量と骨を除いた除脂肪軟部組織量が変わった。後者は脂肪以外の軟らかい組織の量であり、脂肪量とは別の欄である。合計の確認と内訳の確認は、両方が必要になる。[12]

家庭用体組成計のアプリ更新を気にして検索した人もいるだろう。ただし、ここで示す数値はDXAの特定の装置と解析条件で得られたものだ。家庭の機器が更新された際に、同じ方向や大きさで値が動くという説明には使わない。自分の記録について確認する相手は、その機器や検査を扱う施設になる。

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同じ測定データの再解析で、脂肪量は変わった

ソフトだけの違いを理解する手がかりになるのが、小児の全身測定データを解析し直した評価研究だ。対象は年齢1.7〜17.2歳の測定データ1,384件で、以前の解析版から別の版に変更し、性別、年齢、体重を考慮して脂肪量などを比べている。別の日に検査を受け直した結果の比較ではない点が、この問いには大切だ。小児を対象にした結果であり、18〜39歳の女性で同じ幅の差が出るかは分からない。[12]

体重40kg未満の対象では、新しい版の脂肪量は高く、骨を除いた除脂肪軟部組織量は低くなり、DXAが推定した体重は変わらなかった。より年少で小柄な子どもへの影響が大きく、男児より女児で影響が大きかった。解析の違いは全員に一律ではなかったのである。[12]

同じデータを解析し直している以上、この差を「その間に脂肪がついた」とは読めない。結果の紙に脂肪量の増加が出ても、その成り立ちを確認する必要がある具体例だ。ここで否定されるのは、解析版が変わっても必ず同じ値になる、という思い込みである。[12]

一方、この研究から成人女性の検査値がどれだけ変わるかを計算することもできない。子ども、とりわけ体重の軽い対象で大きかった影響を、そのまま働く大人の体に当てはめない。研究の対象を添えることは、読みづらい注釈を増やすためではなく、自分に使える話の範囲を区切るためだ。[12]

研究では、解析版の変更に伴って体脂肪率による区分も動いた。女児の14%、男児の10%が「正常」から「肥満リスクあり」へ、さらにそれぞれ7%、5%が肥満の区分へ再分類された。これはその集団と分類方法で起きたことであり、読者の診断や目標値を示す数字ではない。[12]

数字が動くと、その横につく言葉まで変わる場合がある。だから区分の名称を見たときも、生活が変化した結果なのか、解析の条件が変わった結果なのかを混ぜない。小児について医学的な評価が必要な場合は、保護者が紙の数値から独自に食事を変えるのではなく、医師に判断を求める場面である。

成人女性でも、再現性と版によるずれは別だった

成人女性の検証研究もある。体重が安定している、肥満のある閉経後の白人女性20人、年齢40〜70歳を対象に、開始時と3ヶ月後の全身・部位別の体組成を測定し、解析ソフトの版を比較した。同じ日に重ねて行う測定については、そのうち9人のデータで評価している。閉経後女性の検証なので、18〜39歳の女性に数値をそのまま当てはめることはできない。[20]

この研究では、版の違いによって脂肪量と除脂肪軟部組織量に系統的な差があり、新しい版の値が高かった。一方で、繰り返して測った際の再現性は両方の版で同程度だった。再現性とは、繰り返すとどれくらい似た結果が得られるかという性質だ。よくそろう測定同士でも、版が違えば値の位置がずれる場合がある。[20]

脂肪量の変動係数は新しい版で1.2%、以前の版で1.3%だった。変動係数は測定値に対するばらつきの割合を表すもので、体脂肪率がその分だけ上下したという意味ではない。小さいばらつきと、版をまたいで同じ値が出ることを同一視してはいけない。[20]

また、新しい版では体重計とDXAによる体重推定の平均的な差が小さくなった。改善された部分があることと、古い記録へそのまま接続できることは別の話になる。更新は悪い、古い版に戻すべきだ、という結論でもない。改良された評価を使いながら、前後比較の条件を確認するという読み方が必要だ。[20]

この研究の成人は閉経後で、対象の人種と肥満の条件も限られる。若い女性全般の更新幅を示す数値にはしない。小児の研究と成人女性の研究では、除脂肪軟部組織量が動く方向も同じではなかった。異なる装置や版、対象をひとまとめにして「更新すると脂肪が増える」と覚えるより、実際に使った条件を確認するほうが役に立つ。[12][20]

成人女性の研究で、短期の再現性と長期の再現性を分けて調べた点にも目を向けたい。同日の繰り返しと、経過を置いた測定は、似ているようで異なる比較だ。研究では3ヶ月の再現性は短期よりわずかに低い程度だったが、部位や項目によってばらつきの程度は異なった。全身の脂肪量の結果だけで、腕などの部位別の値まで同じ安定性だと見なすことはできない。[20]

ただし、部位ごとの精度をこの文章の中心にはしない。今回の問いで押さえたいのは、繰り返しによるばらつきを調べる作業と、版を切り替えた際の値の差を調べる作業が分かれていることだ。検査施設から「再現性はよい」と説明された場合にも、それが以前の解析版との比較を含む説明なのか、同じ版での測定の安定性なのかを尋ねる余地がある。[20]

研究の年齢や対象を読むことは、結果を切り捨てることでもない。小児の再解析は、解析だけで値が変わりうることを分かりやすく示す。成人女性の検証は、再現性が保たれていても版間の差が存在する例を示す。それぞれが示す事実を分けて受け取れば、自分と同じ年代の数字ではなくても、検査時の確認事項を考える手がかりにはなる。[12][20]

数字で読む解析版と測定値

1,384件:小児の全身測定データを別のソフト版で再解析した件数である。[12]

40kg未満:小児の研究で脂肪量の増加と除脂肪軟部組織量の減少が示された対象の体重範囲である。[12]

20人・3ヶ月:体重が安定した閉経後女性の研究の人数と経過観察の間隔である。[20]

1.2%と1.3%:成人女性の研究で比較された脂肪量の変動係数で、脂肪の増減率ではない。[20]

99人:同日に複数のDXA装置と立体画像による評価を受けた健康な成人の人数である。[3]

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