ホエイプロテインのモカ味は苦いほどコーヒーが多い?焙煎と乳成分から読む

ホエイプロテインのモカ味を飲んで、苦いほどコーヒーが多いと思っていないだろうか。焙煎と抽出条件、乳たんぱく質との結びつき、香りと味の評価を食品研究から読み分ける。配合量やカフェイン量を舌で推測せず、表示と飲む条件を確かめて、自分が続けやすい一杯を選ぶための記事である。

シェイカーのふたを開けると、香ばしい匂いがする。モカ味のホエイプロテインをひと口飲むと、思ったより苦い。前に飲んだものよりコーヒーが多いのか、それとも焙煎が違うのか。袋の裏より先に、舌が成分表を書き始める。

答えの芯は、苦味の強さだけではコーヒーの配合量を決められない、である。コーヒーの苦味には複数の成分が関わり、焙煎・抽出条件によって味の評価は変わる。乳たんぱく質を加えた飲料でも苦味、渋味、甘味が変化している。したがって、異なる配合のモカ味を苦さだけで並べても、コーヒー量の順にはならない。[2][7][8][16]

既存の「プロテインのコーヒー割りは苦味で選べる?成分の結合と消化を混同しない読み方」には消化との関係を譲り、ここではモカ味を選ぶときの配合量の推測を扱う。「ソイプロテインのケーキは焼き色が濃いほどよい?糖とリシンの反応を読む」が扱う加熱食品の栄養評価とも区別し、飲料の苦味と香りを読み解く。

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苦味はコーヒー量だけの目盛りではない

食品の苦味に関するレビューでは、苦味を生む成分としてアルカロイド、ポリフェノール、テルペノイド、アミノ酸などが挙げられている。苦味は、成分が受容体という刺激を受け取る仕組みに結びつき、その信号が脳へ伝わることで生じる感覚である。飲んだときの苦さは、コーヒーという原料名を直接読み取った結果ではない。[2]

コーヒーを対象とした研究でも、苦味は単独の指標で扱われていない。焙煎したアラビカの試料と飲料の感覚評価を組み合わせた分析では、カフェインとクロロゲン酸類が苦味に関連し、脂質とたんぱく質はボディと呼ばれる飲みごたえに関連していた。酸味、風味、総合品質も別の評価項目であり、それぞれ複数の成分との関係が調べられている。[16]

ここでの「関連」は、ある成分だけを増減させたら、あらゆる飲料の苦味が同じ幅で変わるという意味ではない。研究はコーヒー試料の成分と感覚評価を結びつける予測モデルを作ったものである。18〜39歳の女性が市販のモカ味を飲んだ際の評価に、そのまま当てはめることはできない。市販のモカ味の苦さを入力すれば、コーヒーの粉の重さが出てくる計算式として使うことはできない。[16]

仮に飲み比べた袋の片方が苦くても、知りたい問いは残る。コーヒー由来成分が違うのか、抽出の条件が違うのか、乳成分を含む全体の組み合わせが違うのか。苦味と成分の関係を調べた研究、焙煎条件を比べた研究、乳を加えた研究は、その候補を分けるために役立つ。それらを飛び越えて「苦いから配合が多い」と確定するのは早い。[7][8][16]

この違いは、好きな味を選ぶ自由を狭める話ではない。苦い方を好むなら、その感想は選択の材料になる。ただし「好きな苦さ」と「コーヒーが多いこと」は別々に記録する。飲んだ感想には感想の役割があり、原材料表示には表示の役割がある。測りたいものを、味の印象だけに代行させない読み方である。[7][16]

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焙煎と抽出は同じ豆でも味を動かす条件である

コーヒーの配合量を考える前に、コーヒーそのものの条件を見る必要がある。アラビカ豆の焙煎度と抽出温度を比較した食品研究では、生理活性成分や栄養成分の溶け出し方が両方の条件から影響を受けていた。電子舌という味に応じた信号を測る装置でも、苦味、うま味、濃厚さ、渋味の系統的な違いが観察されている。[8]

この結果が示すのは、コーヒーが入っているかどうかに加え、どう加工し、どう抽出したかが飲料の性質に関わるということである。モカ味の比較でコーヒーの存在だけに注目すると、その途中の工程を見落とす。原料の量が同じかどうかを確かめる前から、味が違う理由を量だけに絞る必要はない。[8]

一方、この研究から「深煎りなら必ず苦い」「冷たい飲料なら必ず弱い」といった共通の順位を作るのも行き過ぎである。対象は焙煎度や抽出温度を変えたエスプレッソである。18〜39歳の女性の味の好みに、その測定結果をそのまま当てはめることはできない。加工条件が味を動かすという知見と、特定の袋の味の予測は、距離を置いて扱いたい。[8]

台所での確認に置き換えるなら、袋に記載された作り方を起点に、使った粉と液体を記録することになる。コーヒーを足した場合には、追加前のモカ味と追加後の飲料は別の配合である。追加した後の苦さだけを覚えていても、元の商品同士を比較したことにはならない。抽出条件が成分と味に影響した研究を踏まえると、混ぜる前の条件を残す意味が見えてくる。[8]

たとえば、ある日はコーヒーを加え、別の日は水だけで作って「今日は本格的だ」と感じたとする。その記録は飲み方の好みには役立つが、モカ粉末のコーヒー配合量を比べる記録にはならない。どの段階で違いが入ったかをたどれるようにする。研究で焙煎と抽出を分けて調べるのと同じく、日常でも変更した条件を分ける発想が大切である。[8]

乳たんぱく質は味の背景ではなく配合の一部である

ホエイとコーヒーを考える際、乳由来のたんぱく質を、味とは無関係な白い背景として扱わない方がよい。茶やコーヒーのポリフェノールとたんぱく質の相互作用を扱ったレビューでは、両者が結びつき、溶けたままの複合体や溶けない複合体を作ることが整理されている。ポリフェノールは飲料の苦味や渋味に関わる成分でもある。[3]

複合体とは、ここでは成分同士が結びついてできるまとまりのことである。レビューは、水となじみやすい部分やなじみにくい部分を介した相互作用を扱い、茶・コーヒーの味や成分の性質への影響を論じている。単に黒い飲料を白く薄めるという図だけでは、この組み合わせを説明しきれない。[3]

乳を加えたコーヒーを調べた食品研究は、実際の感覚評価にも踏み込んでいる。乳たんぱく質の濃度が増えると、苦味、渋味、甘味などの感覚特性が変わり、総合的な受け入れられやすさが改善した。たんぱく質濃度が90 mg/mLの条件では、総合評価は10点満点で7.40点となり、ブラックコーヒーの3.88点より有意に高かった。[7]

ただし、これは苦味だけを採点した数字ではない。総合的に好まれることと、苦味の強度が低いことは同義ではないし、この点数をそのままモカ味商品の順位にもできない。研究の対象は乳を加えたコーヒーであり、濃度も実験の条件である。18〜39歳の女性の好みに、その総合評価をそのまま当てはめることはできない。家庭で同じ濃度に合わせるための処方として読む数字ではない。[7]

乳を加えた研究では、コーヒーの濃度が高い条件で平均粒子径が大きくなり、飲料の系が不安定になる傾向も見られた。乳たんぱく質濃度の増加に伴って泡の膨張率は高まり、泡の安定性はやや下がっていた。配合の変更は、舌で感じる味だけでなく、液体の中の粒子や泡の状態にも関わっていたのである。[7]

この観察を読むときも、見た目を新たな配合量の定規に置き換えないことが大切だ。泡が多いから乳たんぱく質が必ず多い、と市販品に逆向きに当てはめることはできない。研究は組成や処理条件を調べたものである。目の前の飲料の泡を比べる際にも、作り方を合わせて観察する必要がある。苦味以外にも変わる要素があると理解するための結果である。[7]

また、乳たんぱく質全体を扱った結果と、ホエイを使った結果は区別して読む。前者の評価点を、そのままホエイだけの効果の大きさに置き換えない。自分が買った粉の原料と、研究で用いた飲料の構成を見比べることで、参考になる部分を選べる。[5][7]

数字で読むモカ味の手掛かり

51試料:焙煎アラビカの成分と、苦味などの感覚評価を結びつけた予測研究の対象数である。[16]

90 mg/mL:乳入りコーヒーの総合評価が高かった実験条件のたんぱく質濃度であり、推奨する飲み方ではない。[7]

7.40点と3.88点:乳入りコーヒーの条件とブラックコーヒーの総合評価であり、苦味の得点ではない。[7]

4℃・12時間:ホエイを抽出媒体に使った水出しコーヒーの製造条件である。[5]

ここまでの数字は、同じ単位にそろえて足せるものではない。試料数は研究の規模、濃度は配合条件、評価点は感覚評価、温度と時間は工程を表す。どれかの数字が大きい商品を探すのではなく、苦味の印象だけでは見えない条件があると理解するための手掛かりとなる。[5][7][16]

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宮川涼 Founder

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