脂肪燃焼のお茶は体質で反応が違う?酵素の遺伝子と体脂肪の試験を分けて読む

脂肪燃焼を期待して同じお茶を飲んでも、友人と反応が違うのは遺伝子のせいなのか。カテキンの代謝に関わる酵素COMTを手がかりに、人で確かめた成分の変化、血液の指標、長期の体脂肪試験を比較する。ペットボトルのお茶と高用量の抽出物の違いも踏まえ、体質という言葉で判断する前の読み方を考える。

同じ緑茶なのに、飲む人が違えば体脂肪への反応も違うのか。ペットボトルの成分表示を眺める。友人は「これを飲んで変わった」と話すが、自分には何も分からない。そこで浮かぶのが、効く体質と効かない体質があるのでは、という疑問だ。お茶の棚の前で、遺伝子まで気になってくる。

答えの芯は、成分の代謝に遺伝子型の違いが関わるという研究はあるが、それだけで脂肪燃焼や体脂肪の減り方を個人別に予言できない、である。閉経後の過体重・肥満の女性を対象とする長期試験では、COMTの遺伝子型による体脂肪への効果の違いはなかった。18〜39歳の女性への適用は、対象をそろえた検証が必要だ。[15]

既存記事「脂肪燃焼のお茶は作り置きしても同じ?保存中の酸素とカテキンを研究で読む」に保存の問いは譲り、ここでは飲んだ後の体内で起こる違いを扱う。ボトルの中で成分が残る話と、体に入った成分がどのように扱われるかは、別の問いである。また「脂肪燃焼のコーヒーは誰でも同じ反応?ラテを選ぶ前に分解と遺伝子の研究を読む」が扱うカフェインの分解の問いとも区別し、ここではカテキンとCOMTの関係を中心に読む。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

COMTは「お茶が効く遺伝子」の名前ではない

緑茶にはポリフェノールの一群であるカテキンと、カフェインが含まれる。緑茶抽出物と脂肪の代謝を扱ったレビューは、効果を認めた研究がある一方で、研究全体としての結論は定まっていないと整理している。研究の設計、成分が体内で利用される程度、脂肪酸化の測定のばらつきなどが、結果の違いに関わる可能性を挙げている。[1]

COMTはカテコール・オー・メチルトランスフェラーゼという酵素の略称である。カテキンの代謝を考えるときに登場するが、熱産生の説明では、ノルアドレナリンの分解に関わる酵素としても登場する。熱産生とは体が熱を作ることだ。緑茶のカテキンの一種であるエピガロカテキンガレート、略してEGCGがこの酵素を阻害し、刺激を長引かせるのではないか、という仮説が提案されてきた。[3]

ここには、酵素が成分を代謝する話と、成分が酵素の働きを抑える話が重なっている。「カテキンを分解する酵素」とだけ覚えると、どちらの方向を調べた研究なのかを見失いやすい。ノルアドレナリンの作用が長く続くという筋道も、実際に人で脂肪酸化が増えるかとは分けて確かめる必要がある。[1][3][4]

遺伝子型はこの酵素の働き方を比較する手がかりになる。人を対象とした試験では、COMTのrs4680という位置の違いから、低活性とされるAA型と高活性とされるGG型を分けて調べている。ただし、この区分は酵素の活性についての分類である。「痩せる型」「痩せない型」という名前ではない。[10][15]

たとえば成分が尿に多く出たという結果には、体内での処理の違いという意味がある。そこからすぐ「脂肪が多く燃えた」とは読めない。尿中の成分と体脂肪量は別の測定対象であり、体内で何かが違うという発見と、本人が求める変化が起きるという判断の間には距離がある。[13][15]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

酵素を抑える説明は、人でどこまで確かめられたか

熱産生の仕組みを論じた2006年のレビューは、EGCGがCOMTを阻害し、ノルアドレナリンによる刺激を長引かせることを、緑茶抽出物の作用を説明する可能な筋道として挙げた。仕組みの提案は、何を測れば仮説を検証できるかを示す役割を持つ。[3]

その後の2013年のレビューは、このよく引用される仕組みについて、人の体内での裏づけが乏しいと指摘した。試験管の中で酵素に作用することと、飲んだ人の脂肪代謝が同じ筋道で変わることは、同じ証明ではない。緑茶抽出物が脂肪酸化を増やす正確な仕組みは明確でない、という評価である。[1]

この点を具体的に調べたのが、健康で身体活動のある男性27人のランダム化比較試験だ。参加者は緑茶抽出物の群とプラセボの群に分かれ、7日間飲料を摂取した。抽出物群は1日あたりカテキン1200mgとカフェイン240mgを摂取し、その後の測定日には安静と中強度の自転車運動中の血液を調べた。活動的な男性での結果であり、18〜39歳の女性の反応を直接示す試験ではない。[4]

結果として、安静時にも運動時にも、アドレナリンとノルアドレナリンによる刺激の増強は認められなかった。一方、脂肪の代謝や脂肪分解などに関係する代謝物には違いが生じた。体内の代謝が動いたことと、想定された神経系の刺激が強まったことは一致しなかったのである。[4]

この試験の焦点は、観察された代謝の違いをCOMT阻害による刺激の増強だけで説明することの妥当性にある。ここを省いて「酵素を抑えるから脂肪が燃える」と言い切ると、仮説が検証済みの説明に変わってしまう。[4]

また、この試験で使ったものはカフェインも含む抽出物であり、参加者は活動的な男性である。若い女性が通勤途中に選ぶペットボトルのお茶と同じ条件と考えないことが大切だ。成分、対象、摂取期間、測った項目をそろえて初めて、研究と日常の距離を考えられる。[4]

遺伝子型の違いは、まず代謝や血管の測定に現れた

COMTの型を直接比較した試験では、人の反応の違いも観察されている。50人が参加したランダム化二重盲検クロスオーバー試験では、低活性とされるAA型と高活性とされるGG型がそれぞれ25人ずつ参加した。クロスオーバーとは、同じ参加者が条件を替えて比較を受ける設計である。[10]

参加者は緑茶抽出物1.06gまたはプラセボを摂取し、90分後に血管の指標や血圧を測定された。指先の脈の波を使う反射指標では、遺伝子型と摂取条件の組み合わせによる違いが認められた。AA型では、プラセボで見られた指標の上昇が緑茶抽出物によって抑えられた。[10]

尿の測定でも違いがあった。摂取後の最初の5.5時間には、メチル化されたエピガロカテキンの濃度がGG型で高かった。メチル化は、ここでは成分が体内で化学的な変化を受けた形を指す。この試験は、急性の摂取後に小さな血管の緊張やカテキンの処理が遺伝子型で異なり得ることを示している。[10]

一方、座りがちな40〜69歳の過体重・肥満の男性を対象にした別のクロスオーバー試験でも、COMTの型は尿中のカテキン関連成分の蓄積に影響した。高活性のG型を両方持つ人では、一部の尿中成分の平均濃度が低かった。研究者は、その先の代謝物へ速く処理される可能性を挙げている。40〜69歳の男性の結果を18〜39歳の女性に当てはめるには、性別と年齢の違いを検証する必要がある。[13]

この尿中濃度の読み方は、先の試験と単純に大小を並べられない。測定する成分の形や採取の時間、単回摂取か継続摂取かが違うためだ。尿の数値を体内に残った有効成分の点数のように使うのではなく、その研究がどの段階を見たのかを読む必要がある。[10][13]

男性の試験では、血中や尿中の緑茶成分が増えたにもかかわらず、血圧や測定した代謝指標に効果は認められなかった。成分を摂取できたことと、期待した健康指標が変わったことを分けて示す結果である。体に入ったという確認だけで、目的の達成を判断することはできない。[13]

ペットボトルを選ぶときは、研究で使った「緑茶抽出物」という言葉も立ち止まる場所になる。急性の血管試験は抽出物の重さで条件を示し、活動的な男性の試験はカテキンとカフェインの量を示している。名称が同じ緑茶由来でも、比較している摂取条件を確認せずにひとまとめにはできない。[4][10]

とくに、抽出物全体の重さと、その中にある特定のカテキンの重さは分けて読む必要がある。長期の女性の試験は総カテキンとEGCGを別々に示している。成分名を外して数字だけ並べると、異なる物差しを同じものとして比べてしまう。ボトルの表示を研究の条件に照らす際も、まず名前をそろえることが先である。[11]

もうひとつ確認したいのは、反応を追った時間である。飲んだ後の短い時間に血管や尿を調べた試験は、その時間帯の反応を捉える。継続摂取した男性の試験は、継続した条件での成分や体重を比較する。単回摂取で型の違いが見えたから、その違いが毎日同じように積み上がると考えることはできない。[10][13]

数字で読むカテキンと遺伝子の試験

50人:AA型とGG型を各25人ずつ比較した急性摂取の試験である。[10]

90分:抽出物摂取後に血管機能や血圧を評価した時点であり、長期の体脂肪測定ではない。[10]

27人:安静と運動で代謝物を調べた、活動的な男性の試験の規模である。[4]

237人:閉経後の過体重・肥満の女性で体重などを比較した長期試験の解析対象である。[11]

121人:体組成を調べた別の解析対象で、COMT型による効果の違いは認められなかった。[15]

12か月:女性の体重・体組成を検討した介入期間である。急性の反応と時間の尺度が違う。[11][15]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約