朝の空腹の有酸素運動はどの脂肪を使うか、脂肪酸の量と種類を分けて読む

朝食前に動くと、特定の脂肪から先に使われるのだろうか。朝の空腹の有酸素運動について、血中の脂肪酸濃度、運動中の脂肪酸化、摂取した油から生じるケトン体を分けて考える。比較試験とメタ分析をたどり、鎖の長さによる選別や長期の体脂肪減少まで結びつけないための読み方を示す。

朝食の皿を出す前に、散歩用の靴を履く。「今なら脂肪が使われやすい」と聞いたことはあるが、使われるのは昨日食べた油なのか、体に蓄えた脂肪なのか。さらに、脂肪酸の鎖が短いものから順に使われるのか。朝の散歩の前に、問いがずいぶん細かくなる。

答えの芯は、空腹によって運動中の脂肪利用が変わることと、脂肪酸の種類ごとの動員順位を決めることは別、という点にある。空腹と食後を比較した試験では脂肪酸化に違いが出ているが、それを鎖の長さ別の優先順位として読むことはできない。[1][5]

また、血中の脂肪酸が少なくなったことだけで、体脂肪が多く減ったとも判断できない。健康な成人を対象にしたメタ分析でも、空腹運動が糖や脂質の代謝に必ず優れるという結論にはなっていない。[17] 朝食を我慢した時間を、そのまま成果の点数にしなくてよい。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

「どの脂肪」を知りたいのか、問いをほどく

「脂肪が使われる」という言葉には、血液で測る脂肪酸と、運動のエネルギーとして使う脂肪と、食事として口に入れる油が混ざりやすい。研究でも、血中の非エステル化脂肪酸濃度、呼気から調べる脂肪酸化、食後のケトン体濃度は、それぞれ異なる測定項目として扱われている。[5][12] 同じ脂肪という文字が付いても、測っている場所と反応はそろっていない。

ここで脂肪酸化とは、研究で評価される脂肪のエネルギー利用を指す。一方、非エステル化脂肪酸という名の血液の測定値は、脂肪酸が血中にどれほどあるかという濃度である。運動中の血液と呼気を同時に調べた試験は、両者を別々に報告している。[5] 濃度の数字に、そのまま燃焼量という札を貼り替えることはできない。

鎖の長さで違う動員を考えるなら、比較したいのは種類別の出入りである。しかし、空腹条件で総体としての脂肪酸化が増えたという結果は、個々の脂肪酸の順番を直接表す結果ではない。[1][5] 「多く使った」と「この種類を先に使った」は、答えるべき問いが違う。

既存記事「脂肪燃焼は油の種類で速さが違う?飽和と不飽和の脂肪酸を追った研究を読む」には油の種類の比較を譲り、ここでは朝食前の運動で得た測定値を、どこまで脂肪酸の選別の話にできるかを考える。朝食の献立を油の順位表にする前に、研究が何を数えたのかを確認したい。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

血中の濃度と、運動中に使う量を分ける

健康な成人を対象とした系統的レビューとメタ分析は、無作為化比較試験をまとめ、空腹時と食後の単回運動を比べている。対象は合計302人、28研究で、運動時間は36〜150分だった。血糖、インスリン、中性脂肪、遊離脂肪酸、呼吸交換比が評価されている。[17] 健康な成人全体の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、対象を絞った評価が必要である。 日々の運動を長く続けた後の体型ではなく、運動の前後に起きた反応が中心である。

食後の運動と比べると、空腹運動では運動前後の遊離脂肪酸濃度の変化が平均で0.121 mmol/L低い方向にあった。同じ比較で、血糖とインスリンは上昇が大きかった。[17] 「空腹だから血液の脂肪酸は必ず増えるはず」という一直線の説明では、この結果を扱いきれない。

ただし、この濃度の低下を「それだけ多く体脂肪を消費した」と置き換えるのも早い。メタ分析が示した値は運動前後の血中濃度の群間差であり、脂肪酸の種類別の消費量でも、減った体脂肪の重量でもない。[17] 数字を引用するなら、数字の名前も一緒に残す必要がある。

さらに、呼吸交換比と中性脂肪の運動前後の変化には、空腹時と食後の有意な差がなかった。[17] 呼吸交換比は呼吸ガスから得る指標として評価されている。血液の項目に差があっても、指標ごとに結果は異なる。「脂肪代謝がよくなった」と一語で片付けず、どの項目の話かを確かめるところから始まる。

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

糖質の有無だけでは、脂肪酸の役割を切り分けにくい

朝食を取る場合と取らない場合では、糖質が利用できる状態も変わる。脂肪酸が多く利用できることと、糖質が少ないことのどちらが筋肉の反応に関わるのか。この切り分けに取り組んだのが、活動的な男性8人を対象としたクロスオーバー試験である。同じ人が条件を替えて比べる設計で、糖質、ナイアシン、空腹条件を比較した。[5] 男性で得た反応を18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、女性を対象とする検証が必要だ。

参加者は各条件で60分間、自転車運動を行った。糖質を取る条件では、空腹条件より血中の非エステル化脂肪酸濃度と脂肪酸化が低くなった。一方、糖質条件とナイアシン条件の間では、この両項目の違いはごく小さかった。[5] ナイアシンはここでは脂肪酸の利用可能性を操作する研究上の条件であり、朝の運動のために摂取を勧める材料ではない。

似た脂肪酸濃度と脂肪酸化になっても、筋肉の反応には違いが残った。筋肉内に蓄えられた糖質であるグリコーゲンの正味の使用量は、糖質条件よりナイアシン条件で大きかった。また、アセチルCoAカルボキシラーゼという酵素のリン酸化は、糖質条件で他の条件より低かった。[5] リン酸化はこの研究で調べた筋肉内の分子反応の指標である。

ここから読めるのは、糖質を取ったことの影響を、血中の脂肪酸だけで説明しきれないという点だ。[5] 同時に、この結果を「空腹なら短い鎖の脂肪酸が先に動く」と翻訳することもできない。分子反応の差、血中濃度の差、脂肪酸の種類別の差は、それぞれ確かめる必要がある問いなのだ。

中鎖の油を飲む試験は、蓄えた脂肪の順位表ではない

鎖の長さという検索語で出会いやすいのが、中鎖脂肪を摂取する研究である。健康な若い女性11人を対象とした無作為化二重盲検クロスオーバー試験では、一晩の絶食後に炭素数8の脂肪酸からなる中鎖脂肪と、量を変えたブドウ糖を摂取した。平均年齢は22.5歳で、血中のβヒドロキシ酪酸、血糖、インスリンが追跡された。[12]

βヒドロキシ酪酸は、ここでケトン体の反応を評価するために測定された物質である。中鎖脂肪の量を一定にすると、ブドウ糖の量が増えるほどケトン体の生成は低下する方向だった。低量・中量のブドウ糖と組み合わせた条件では対照より濃度が増えたが、最も多いブドウ糖の条件では有意な増加にならなかった。[12]

同じ試験で、中鎖脂肪とブドウ糖を同じ比率でともに増やすと、ケトン体の生成は増えた。[12] 片方を一定にした比較と、両方を増やした比較では、変えているものが違う。油の名前だけを切り取って「この種類なら常に反応が大きい」と覚えると、組み合わせを調べた研究の意味を落としてしまう。

この試験は、摂取した中鎖脂肪とブドウ糖の組み合わせに対する反応を調べたものだ。[12] 朝の有酸素運動で、体に蓄えられた脂肪酸のどの種類が先に動員されるかという問いとは場面が違う。飲んだ油の反応を見て、蓄えた脂肪の取り出し順まで決めないことが、鎖の長さをめぐる情報を読む際の境目になる。

中鎖脂肪の試験では、摂取後の測定は最長300分にわたって行われた。[12] これは飲んだ直後だけを比べた話ではないが、運動を習慣にした後の変化を追った時間でもない。朝に摂取して昼まで血液の反応を見る場面を想像すると、通勤前に歩き、その生活を続ける場面との違いが見えやすい。測定に時間をかけた研究でも、評価できるのは、その測定期間内の反応である。

また、脂肪酸の利用可能性を操作した男性の試験は、血液や呼気に加えて運動前後の筋肉も調べた。男性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは別に検証する必要がある。遺伝子の発現を広く調べた結果では、運動に伴う変化に比べて条件間の違いは少なかった。[5] 特定の酵素の反応に違いがあることと、筋肉全体の反応が一律に大きく変わることも区別される。目立つ分子の名前だけで、その朝の運動に合格や不合格を付けないでおこう。

数字で読む朝食前の脂肪利用

302人・28研究:空腹時と食後の単回運動を比べたメタ分析に含まれた。[17]

−0.121 mmol/L:空腹条件でより低かった、運動前後の遊離脂肪酸濃度の変化の平均差を示す。[17]

8人・60分:糖質と脂肪酸の利用可能性を切り分けた、男性の自転車運動試験の人数と運動時間だった。[5]

11人:中鎖脂肪とブドウ糖を摂取した試験に参加した、健康な若い女性の人数である。[12]

35人・30分:朝夕の空腹運動と食欲を調べた試験の主な参加人数と、各回の走行時間である。[1]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約