ダイエットの食事制限と運動の割合は?同じ体重減でも違う筋肉の中の変化

ダイエットは食事制限と運動をどの割合にすればよいのか。同程度の体重減を比べた試験から、筋肉内の脂質、インスリン感受性、ミトコンドリアの変化を読み分ける。体重が減ることと筋肉の代謝能力が変わることを分け、研究の数字を自分の食事や運動の配分に直結させない見方を考える。

同じくらい体重が減ったら、食事だけでも運動を加えても、筋肉の変化は同じなのか。夕食の記録と運動の予定を一緒に振り返るとき、体重計だけでは答えが出ない問いである。座りがちな過体重または肥満の成人を対象にした、食事のみと食事に運動を加えた比較試験では、体重減とインスリン感受性の改善が近くても、筋肉のミトコンドリアの変化は異なっていた。[9] この対象で得られた結果を、18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。

したがって、食事と運動の割合を体重だけで決めると、運動の役割を見落とす。筋肉内の脂質が減ること、脂質を利用する能力が変わること、インスリンが働きやすくなることは、並べて読むべき別々の結果である。[6][9] 研究で用いられた配分を、そのまま全員向けの最適な配分と考えることもできない。

既存記事「脂肪燃焼のトレーニングで筋肉内の脂も増える?脂肪滴の場所と使われ方を読む」には脂の置き場所の詳しい話を譲る。ここでの問いは、同じくらい体重が減った人たちを比べたとき、食事だけの場合と運動を併用した場合に何が違ったか、である。体重を減らす必要があるかどうかは個人によって異なる。以下の減量試験は、全員に減量を勧めるためのものではない。

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食事と運動の割合は、まず何を比べるかで変わる

「食事の方が大切」という言葉には、何を大切とするかが抜けている。体重の変化を比べたいのか、運動できる能力を比べたいのか、血糖に関わる代謝の変化を比べたいのか。研究ではそれぞれを別の項目として測定する。同じ介入でも、評価項目によって変化の方向は異なる。[7][9]

健康な過体重の成人を対象にした無作為化比較試験では、48人を対照、食事によるエネルギー制限、食事と運動の併用、低エネルギー食による減量後の体重維持という群に分けている。食事のみの群は必要エネルギーの25%を制限し、併用群は12.5%の食事制限と12.5%の構造化された運動による消費を組み合わせた。評価は6か月後である。[7] 過体重成人の結果であり、18〜39歳の女性全体に適した配分を示すものではない。

この配分は、比較の条件を作るための設計だ。食事と運動を等しく組み合わせた群が存在することと、その配分が生活の中で最善と証明されることは違う。異なる割合を網羅的に競わせた試験として読むべきではない。そもそも試験の割合はエネルギーを基準にしており、食事に気をつける時間と運動時間の割合ではない。[7]

夕食の写真とレッスンの予約表を並べても、この割合は計算できない。研究の数字を生活へ移す前に、何を分母としているかを確認したい。「運動を頑張ったから食事は何割まで自由」といった交換券にもならない。食事による介入と運動による介入を、同程度の体重変化にそろえて比較する。その先に、体重以外の違いが見えてくる。[7][9]

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体重が減っても、筋肉内の脂質は減らないことがある

筋細胞内脂質とは、筋肉を作る細胞の内部にある脂質であり、論文ではIMCLと表記される。肝臓内の脂質や内臓脂肪とは測定する場所が異なる。先の試験がそれぞれを別に測っているのは、「体脂肪」というひとつの言葉では変化を捉えきれないためだ。[7]

6か月後の体重減は、食事制限群で10±1%、食事と運動の併用群でも10±1%だった。数値は平均と標準誤差である。低エネルギー食の群は14±1%、対照群は1±1%だった。介入した群では内臓脂肪、脂肪細胞の大きさ、体脂肪率、肝臓内脂質が減少した一方、筋細胞内脂質には変化がなかった。[7]

体重が減ったから筋肉の中の脂も同じ割合だけ減った、と逆算することはできない。ここでは、体重の変化と肝臓の変化は確認されても、筋肉の脂質はそれらに追随していない。体重計は全身の重さを示すが、どの組織のどの成分が動いたかを報告する機器ではない。[7]

さらに、インスリン感受性、つまりインスリンの働きへの反応のしやすさは、併用群で37±18%、低エネルギー食群で70±34%増加した。食事制限群は40±20%増加する傾向だったが、統計的に有意とはならなかった。[7] 平均値だけを見れば食事制限群の増加率は併用群より大きく見える。それでも、数値の散らばりと統計的な評価を無視して食事のみの勝ちとすることはできない。

重要なのは、筋細胞内脂質が変わらなくても代謝に関わる指標が改善した群があったことだ。筋肉内の脂質の減少を、あらゆる改善の必須条件として扱う考えには、この結果は合わない。[7] 「減ったか、減らなかったか」の判定を急ぐ前に、測定しているものを分ける必要がある。

同程度の減量でも、運動を加えると異なった部分

比較をさらに絞った小規模な無作為化比較試験がある。座りがちな過体重または肥満の成人16人が、16週間の食事のみの介入7人と、食事に運動を加える介入9人に分かれた。筋肉の組織を調べ、ミトコンドリアの量や働きに関わる指標と筋細胞内脂質を測定している。[9] 過体重や肥満のある参加者の比較なので、18〜39歳の女性全体への適用には対象の違いを考える必要がある。

体重減は食事のみで10.8%、併用で9.2%と同程度であり、インスリン感受性も同じように改善した。しかし、有酸素能力が改善したのは併用群だけだった。ミトコンドリアの量と電子伝達系の活性も、併用群で増加し、食事のみの群では変化しなかった。[9]

ミトコンドリアは筋肉のエネルギー代謝に関わる細胞内の構造であり、電子伝達系の活性は、その代謝能力を調べる指標のひとつである。[6][9] 体重の減り方が近くても、この部分への刺激は同じではなかった。食事で体重が変わることと、体を動かすことで筋肉が適応することを、ひとつの達成率にまとめにくい理由がここにある。

興味深いのは脂質の方だ。筋細胞内脂質が減ったのは食事のみの群で、併用群では減らなかった。[9] この項目だけで評価すると、運動を足さない方がよかったようにも見える。しかし、併用群では有酸素能力とミトコンドリアに関わる指標が改善し、インスリン感受性も改善している。脂質が減らないことを、運動の失敗と同一視する読み方は成立しない。[9]

ただし、参加者の少ない試験である。健康な若い女性全体に、同じ変化量が起きると約束するものではない。ここから受け取るべきなのは、自分の筋肉で必ず起きる結果の予報よりも、体重だけでは食事と運動の働きの違いを判断できないという比較の視点だ。[9]

この試験では、ミトコンドリアの大きさも調べられている。体重が減った後には、その大きさは小さくなったが、インスリン抵抗性は改善していた。[9] 抵抗性とはインスリンが働きにくい状態を指す。構造が大きくなること、数や量が増えること、代謝に関わる活性が高まることを、すべて同じ「強くなる」に置き換えてはいけない。筋肉の適応を語るなら、測定項目の名前を残して読む方が正確だ。[6][9]

先の48人の試験でも、インスリン感受性の改善は、体重、脂肪量、内臓脂肪の減少とは関連したが、肝臓内脂質、筋細胞内脂質、脂肪細胞の大きさの変化とは関連していなかった。[7] 同じ介入の後に複数の項目が動いても、その動き同士の関係は別に調べる必要がある。肝臓内脂質が減った事実を認めながら、それだけが感受性を改善した原因だとは決めない。この区別は、食事と運動の比較を読むときにも欠かせない。

家庭の記録で考えると、体重の線が下がった時期に運動も続けていた、という並びは確認できる。しかし、その記録だけで食事と運動がそれぞれどれだけ寄与したかを割り振ることは難しい。無作為に群を分けて比較した研究は、その混ざりを減らすために役立つ。[7][9] 少人数の群平均は、個人の配分表を作るには情報が足りない。平均値の比較から得られるのは、介入によって違いが現れうる項目の見取り図である。

たとえば「体重の変化は近い」「有酸素能力の変化は異なる」「筋細胞内脂質の変化も異なる」と、同じ試験の結果を並べて読む。[9] こうすれば、食事か運動のどちらかを万能とする必要がなくなる。食事による変化を認めることも、運動を続ける意義を考えることも、同じ比較の中で両立する。

数字で読む食事と運動の比較

48人:食事制限と運動併用などを比較した、過体重成人の無作為化比較試験の参加者数である。[7]

10±1%:同試験で食事制限群と併用群に共通した、6か月後の体重減の平均と標準誤差である。[7]

16週間:筋肉のミトコンドリアを調べた、食事のみと運動併用を比べる小規模試験の介入期間である。[9]

10.8%と9.2%:同試験の食事のみ群と併用群の体重減であり、筋肉内の変化には違いがあった。[9]

20人:食事の血糖指数と運動中の燃料利用を調べた、高齢で肥満のある人の無作為化比較試験の対象者数である。[5]

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宮川涼 Founder

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