足のインナーマッスルと靴の関係、感じやすい足裏はアーチも強くなった証拠か

足のインナーマッスルを靴の中で動かす練習は、裸足と同じなのか。薄い靴で歩く試験、足裏の感覚、筋力とアーチの研究を読み分ける。感じやすさを効果の証拠にせず、通勤靴と室内で何を記録し、何を比べればよいかを考える。靴を買い替える前に知りたい、研究の対象と限界も扱う。

玄関で靴を脱ぐ前に、靴の中で土踏まずを少し持ち上げてみる。その場で靴を脱ぐと、同じつもりの動きが妙に分かりやすい。靴の中では練習にならなかったのか。それとも、足裏を感じやすくなっただけなのか。

答えの芯は、靴を履いたかどうかだけで練習の価値は決まらず、足裏の感じ方と筋肉の変化も同じではない、ということだ。薄い構造の靴で歩いて筋力や筋肉の大きさが増えたランナーの試験がある一方、高齢者では足を感じやすくなったという回答があっても、筋肉の大きさに集団全体の有意な変化はなかった。ランナーと高齢者の結果を、18〜39歳の女性の通勤靴での練習にそのまま当てはめることはできない。[2][6]

既存記事「インナーマッスルの足裏は指を丸めて鍛える?土踏まずを縮める運動との違いを読む」には、足指運動の種類の比較を譲る。ここで考えるのは、靴という条件を替えたとき、感じた違いを何の変化として受け取るかである。通勤中の足と室内の足を、同じ物差しで眺めるための話だ。

既存の「インナーマッスルを鍛える靴は速歩きで違う?足元の揺れと体幹の働きを分ける」には歩行速度と体幹の問いを、「インナーマッスルの練習は寝る前にまとめる?夕方に分ける運動と眠りの違い」には時間帯の問いを譲る。「インナーマッスルは動きを想像しても働く?腹筋の変化と実際の練習を研究で読む」の運動イメージとも区別し、ここでは足そのものの測定結果に絞る。

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靴の中の動きと、靴で歩く訓練は別の問いだ

足の内在筋とは、足の内部にある筋肉を指す。足の構造を支えることや、地面からの身体感覚に関わるものとして研究されている。日常語の「インナーマッスル」からお腹だけを想像しやすいが、足にも研究の対象となる小さな筋肉がある。[6] ただし、小さい筋肉に意識が向いた感覚だけを、鍛えられた証拠にはできない。

靴に関する実験を読むとき、最初に確かめたいのは、靴の中で特定の運動をしたのか、その靴で日常的に歩いたのかである。ランナーを対象とする試験は、薄い構造の靴で歩く群と、足の筋力運動をする群、対照群を比べていた。靴の中で土踏まずを縮める動きを、裸足の同じ動きと直接比べた試験として読むことはできない。[2]

この違いは、生活に置き換えるほど大きくなる。駅まで歩く間ずっと靴を履くことと、デスクで座ったまま足を動かすことは、練習の内容が違う。「靴を履いていても筋肉は変わり得る」という研究結果から、「通勤靴の中で好きな動きをすれば同じ効果」とは進めない。[2] 靴という名札だけを同じにしても、実際に足がしている仕事は異なる。

研究で扱われるミニマリストシューズは、薄い構造の履物を指しているが、手元の通勤靴をそのまま同じ条件とみなすべきではない。高齢者の研究でも、使用時間を段階的に増やす計画が設けられていた。[6] 研究に靴が登場したというだけで、履物の名前より先に買い物の予定を立てる必要はない。

靴の中と室内を比べたいなら、まず問いを小さくするとよい。「鍛えられたか」ではなく、「どちらなら動きを確認しやすいか」である。これは日々の記録の問いだ。筋力の変化を知りたいときには、感じ方とは別の評価が必要になる。足の筋力評価の系統的レビューでも、筋力を測る方法と、画像で筋肉の形をみる方法は区別されている。[16]

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歩く靴で筋力が増えた試験は、誰の何が変わったのか

ランナー57人を無作為に分けた試験では、薄い靴で歩く群、足の筋力運動群、対照群を8週間追った。全群が研究前のランニング量を保ち、靴で歩く群はその靴での毎日の歩数を週ごとに増やした。足の運動群は、負荷を進める筋力運動を週5日以上行った。[2] 18〜39歳の女性でも、ランニング習慣や歩行量が違えば、同じ増え方になるかは別に確かめる必要がある。

開始時から8週後にかけて、靴で歩く群と筋力運動群では、測った筋肉の大きさと筋力が有意に増え、対照群には変化がなかった。一部の筋肉では4週の時点から大きさの増加がみられた。[2] この結果は、特別な足指運動だけが足を鍛える入口ではないことを示す。ただし、変化の割合を示す数字ではないため、「どれほど強くなれるか」の予告には使えない。

対象はランナーである。運動習慣の異なる人に同じ増え方を約束することや、仕事用の靴を履いて座る時間に同じ効果を当てはめることは避けたい。試験の魅力は、生活の歩行を使う選択肢が検討された点にある。楽に結果だけを得る靴が見つかった、という話へ縮めると、歩数を増やした過程が消えてしまう。[2]

対照的なのが、65歳以上の24人に薄い履物を日常で16週間使ってもらった研究である。使用時間を段階的に増やし、足の筋肉を超音波で測ったが、集団全体では測定した5つの筋肉の断面積に有意な変化はなかった。母趾外転筋という親指側の筋肉では、13人に臨床的に意味のある増加がみられたものの、反応した人の特徴は明確ではなかった。65歳以上の結果であり、18〜39歳の女性の筋肉の変化を予測する値には使えない。[6]

その一方で、足への意識や感覚が改善したとの回答は72.7%、バランスが改善したとの回答は63.6%だった。[6] これらは本人の回答であり、機器で測った筋肉の増加率ではない。回答が前向きだった事実は大切だが、そのまま「筋肉が増えたから感覚がよくなった」と結び付けることはできない。

ランナーの無作為化試験と、高齢者の使用前後を追った研究は、対象も比較の作り方も異なる。[2][6] 結果を並べると、薄い靴は効くか効かないかの多数決をしたくなる。しかし、実用上の答えはもっと具体的だ。歩行を使う訓練には可能性があるが、自分が感じた変化、測定した筋力、筋肉の大きさを別々に確かめる必要がある。

足裏を感じることと、アーチを制御することを分ける

土踏まずが動いた感じがする。足指が床を押せる。片足立ちがしやすい。これらは似た言葉で語られがちだが、研究では別の検査として扱われる。扁平足の大学生36人を対象とした無作為化試験では、ショートフット運動と足指を曲げる運動を8週間行い、足指の把持力、足裏の感覚、片足立ちなどを調べた。扁平足の大学生を対象とした結果であり、18〜39歳の女性全般へ広げる際には、足の状態の違いも考える必要がある。[1]

ショートフット群では、介入前後で足指の把持力、左右方向の足圧中心の揺れ、お尻の筋肉が働き始める時刻に有意な変化があった。足指を曲げる群では、評価項目に有意な変化はなかった。[1] 足圧中心とは、足裏で受ける力の中心となる位置で、ここでは立つときの揺れを評価するために用いられた指標である。[1]

ここで注目したいのは、測定項目の多さと、実際に変わった項目を区別することだ。足裏の感覚も調べた研究だからといって、感覚が改善したことまでこの結果に付け足せない。[1] また、片足立ちの左右の揺れに変化があったことを、歩き方全体や腰の状態まで変わった証拠として扱うことも避けたい。

アーチは足の内側の縦の弓状構造を指す。健康な人の足の内在筋運動を調べた系統的レビューは、4件の無作為化試験をまとめた。アーチの動きやすさは短期の4週間では変わらず、8週間では変化がみられたが、根拠の質は低いと評価された。機能面には短期と中期の改善が報告された。[18] 健康な人のレビューであっても、18〜39歳の女性に絞った効果としては扱えない。形が早く変わらないことだけで、練習全体を失敗と判定するのも早計である。

アーチの「高さ」と「動きやすさ」も、言葉を取り替えてよい指標ではない。健康な人のレビューが扱ったのは内側の縦アーチの可動性と機能であり、履物研究で測った筋肉の断面積とは異なる。[18][6] 写真で土踏まずの輪郭を見比べるだけでは、研究の評価を家庭で置き換えたことにはならない。記録の見出しに、形を見たのか、動きを感じたのかを書き添えるだけでも、後で話が混ざりにくくなる。

研究では座って行う段階から立って行う段階へ進める方法が多かった。[18] そのため、昨日は靴を履いて座り、今日は裸足で立ったという比較では、履物と姿勢の変更が重なる。裸足だから動きやすかったのか、立ったから印象が変わったのかを、その記録だけで決めるのは難しい。比べるなら姿勢や運動の内容をそろえる、そろえられなければ異なる日の経験として残す。その程度の控えめな整理でよい。

数字で読む足の練習と履物

57人・8週間:ランナーの試験では、薄い靴での歩行と足の筋力運動の両群で筋力と筋肉の大きさが増えた。[2]

24人・16週間:高齢者の履物研究では、測った筋肉の断面積に全体として有意な変化はなかった。[6]

72.7%:同研究で足への意識や感覚の改善を回答した割合。筋肉の増加率とは異なる。[6]

4件:健康な人のアーチと機能を検討した系統的レビューに含まれた無作為化試験数である。[18]

4週間と8週間:同レビューでは、アーチの動きやすさの結果が評価時期によって異なった。[18]

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宮川涼 Founder

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