烏龍茶のダイエット効果は脱カフェインでも同じ?消化中の成分の行き先を読む

夜に飲む烏龍茶を脱カフェインに替えると、ポリフェノールまで失われるのか。抽出方法で変わる抗酸化活性、模擬消化で残る成分、動物と人の試験を分けて読む。残存量と体に届く量、体重への効果を混同せず、成分表示から自分の一杯を選ぶための判断の順序を整理する。

夕食の湯飲みに注ぐ前に、烏龍茶の袋の「脱カフェイン」で手が止まる。カフェインと一緒に、お茶らしい成分まで抜けているのだろうかと気になる。ダイエットを意識して選んでいた人なら、替える意味があるかも知りたいはずだ。

答えの芯は、脱カフェインでも茶のポリフェノールを含むものはあるが、元のお茶と同じ成分構成、同じ働きと一括りにはできない、ということだ。緑茶の加工実験では除去方法によって抗酸化活性が変わり、茶の模擬消化実験では、脱カフェイン処理が調べた成分の安定性や濃度を高める可能性も示された。単純な「全部なくなる」という話ではない。[16][17]

既存記事「ウーロン茶と紅茶のダイエット効果 脂肪が燃える数字と続かなかった体重差」には、消費や体重をめぐる問いを譲る。ここで追うのは、カフェインを除く工程と、そこを通った茶成分の行き先だ。成分が残ることと、人の体重が減ることは別に確かめる必要がある。健康な成人とメタボリックシンドロームの成人を対象とした脱カフェイン緑茶抽出物の試験でも、体重にはプラセボとの差がなかった。18〜39歳の女性の普段の烏龍茶にそのまま当てはめるには、対象と摂取の形が異なる。[1]

既存の「ダイエットのデカフェは製法でも違う?カフェインを抜く工程と残る成分を読む」には製法一般の比較を譲る。こちらでは烏龍茶が含まれる模擬消化実験を軸に、カップに入った後、消化の途中で何が残るかまで追う。とくに成分ごとの利用可能性を分け、加工直後の抗酸化活性と同じ物差しで扱わない。加工の前後だけを見る比較から、消化中の行き先を見る比較へ進むことが、この記事の問いである。[16][17]

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脱カフェインという名前だけでは残る成分は決まらない

「何を除いたか」と「何がどれほど残ったか」は、隣り合うが違う情報である。脱カフェインの緑茶抽出物を扱った系統的レビューでは、製造工程によってカテキンの構成が大きく変わると整理されている。カテキンは、茶に含まれるポリフェノールの一群として調べられている成分だ。カフェインの情報だけで、その構成まで代表させることはできない。[3]

たとえば、買い物中の関心がカフェインなら、まずその量の表示を見る。一方、いつもの烏龍茶と茶成分を比べたいなら、ポリフェノールや個別成分についての情報を別に探すことになる。「カフェインを減らしたからカテキンも同じ割合で減った」と推定する読み方では、製造工程による違いを飛び越えてしまう。[3]

緑茶を使った加工実験は、この違いを具体的に見せる。インドのアッサムの異なる地域から集めた生葉について、熱水抽出と酢酸エチル抽出による脱カフェインを比較した研究では、どちらの方法も抗酸化活性に影響した。採取地による差もあり、ある地域の試料では総ポリフェノールやフラボノイドの含有量、抗酸化活性が最も高かった。同じ緑茶、同じ脱カフェインという分類の内側にも幅がある。[17]

ここでの酢酸エチル抽出は、研究で比べた加工方法の名称である。家庭でその処理をまねする話ではない。読者が持ち帰れるのは、除去の工程が茶の他の性質にも関わる、という見方だ。また、この結果はアッサムの緑茶の実験であり、店頭の烏龍茶の残存率をそのまま計算する材料にはならない。[17]

茶売り場では、分類名が大きく、詳しい量は小さく書かれていることがある。大きな文字だけで判断を終えず、比較できる情報がどこまであるかを見る。製法の説明がある商品と、成分量まで示した商品では、答えられる問いが違う。製法は「どう作ったか」の手がかりであり、その商品を飲んだ人の体重変化を表す数字ではない。[3][17]

「黒 烏龍茶 ダイエット 効果」と検索してたどり着いた場合も、ここでは名前の印象から成分の量を決めない。製造工程で構成が変わるという知見に沿えば、比べる対象は表示された内容と測定条件である。濃そうな呼び名を、ポリフェノールの残存率の代わりにする理由はない。[3]

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抗酸化活性の低下と、成分の消失は分けて読む

緑茶の加工研究では、熱水を使う条件として100℃、3分が用いられた。そのとき、DPPHという測定法の抗酸化活性は、処理前の1403.07から処理後の996.1へ下がった。FRAPという別の測定法でも1587.1から1165へ下がっている。単位はいずれも研究で用いたmM TE/gで、試料の重さに対する抗酸化活性の指標である。[17]

この数字で分かるのは、実験条件のもとで測った活性が低下したことだ。「カテキンがそのまま同じ割合でなくなった」「人の体内で働く力が同じ割合で下がった」とは読めない。研究は抗酸化活性だけでなく、総ポリフェノールやフラボノイドも調べている。項目を分けて測っている以上、活性の数字を、すべての茶成分の残存量に置き換えないことが大切だ。[17]

抗酸化活性とは、この場合、決められた測定系で試料の反応を評価したものを指す。DPPHとFRAPは別々の試験名であり、同じ茶でも得られる数値が違う。測定法を省いた数字だけが並ぶと、大きい方がどんな意味で大きいのか見えにくくなる。夕食のお茶を選ぶ表に、異なる測定法の数値を混ぜて順位をつけても、この研究の比較にはならない。[17]

さらに、酢酸エチルを使った抽出物では、熱水抽出物より高い抗酸化活性が観察された。脱カフェインという操作の結果を「下がる」の一語で片づけられないのは、その工程に違いがあるからだ。ただし、ここでの比較から、特定の市販品を上位に置くこともできない。研究で扱った茶葉と抽出方法についての結果として読む。[17]

この研究では、ハイビスカスの植物抽出物を茶抽出物と組み合わせると、脱カフェインによる抗酸化活性の損失を小さくできることも報告された。だが、別の植物を加えた後の測定値は、茶にもともとあった成分が元通り残った証明とは区別する必要がある。混合したものの活性と、加工前後で同じ茶成分を追う作業は、同じ問いではない。[17]

家庭で読むなら、「抗酸化活性を維持」という説明に出会ったとき、茶だけの比較なのか、何かを加えたものなのかを見るとよい。数値の持ち主を確かめる感覚である。お茶の成分表に、別の材料の働きを黙って引っ越しさせない。研究では混合物の結果が示されているのであり、家庭で適当に混ぜれば同じになるとは決められない。[17]

飲む前の量と、消化中に残る量は違う

加工を終えた茶に成分があっても、飲んだ後の行き先は別の段階である。茶の模擬消化研究では、9種類の茶の浸出液について、ポリフェノールやカフェイン、抗酸化活性を調べた。模擬消化とは、口、胃、十二指腸に対応する消化の過程を実験室で再現し、その途中で成分がどう変わるかを見る方法だ。人に飲ませて血液中の量を測った試験とは分けて読む。[16]

研究では、対象とした14種類のフェノール性化合物を追い、主な変化は胃と十二指腸の段階で起こった。脱カフェイン処理は、評価した化合物の消化中の安定性や濃度を高めるように見えたという。加工時に活性が低下した緑茶の研究と並べると逆向きに聞こえるが、測っているものも時点も違う。除去直後の活性と、消化過程での成分の残り方は別々に動きうる。[16][17]

具体的には、没食子酸、クロロゲン酸、ケルセチンでは、白茶、緑茶、烏龍茶の浸出液において、実験上の利用可能性を表す指標が90%を超えた。一方、レスベラトロールとカフェ酸では、その指標は0%だった。成分ごとに残り方が違うことが、この比較の読みどころである。[16]

ここで90%を超えるという数字を、「飲んだ量の90%以上が血液に入る」と言い換えてはいけない。研究の指標は模擬消化での利用可能性であり、体内への吸収率そのものではない。カップの中の量、消化過程で利用できる状態の量、体の中に届いた量は、順番に確認する必要がある。[16]

日常の比較でも、パッケージの含有量と「吸収される」という説明を同じ欄に置かない方が整理しやすい。茶に残っていることを知りたいのか、消化後にも残ることを知りたいのかで、欲しいデータが変わる。模擬消化の研究はその途中を照らすもので、烏龍茶を飲んだ人の減量結果を測ったものではない。[16]

数字で読む脱カフェインと茶成分

100℃、3分:緑茶の熱水による脱カフェインで検討した処理条件に当たる。[17]

1403.07から996.1 mM TE/g:同研究のDPPH法による抗酸化活性の変化である。[17]

9種類:模擬消化実験では、この数の茶の浸出液を比べた。[16]

90%超:烏龍茶などで調べた没食子酸などの、模擬消化における利用可能性の指標である。[16]

20週間:脱カフェイン茶ポリフェノール抽出物を餌に加えたマウス研究の期間である。[20]

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宮川涼 Founder

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