間食のモッツァレラチーズは漬け汁で変わる?塩分とカルシウムの行き先を読む

モッツァレラチーズの漬け汁を捨てると、塩分やカルシウムも減るのか。乳製品のレビューと塩漬けチーズの製造実験から、水に溶ける成分とたんぱく質に結びつく成分を読み分ける。別種のチーズの実験値を家庭の水切りへ当てはめず、間食を選ぶときの表示の見方まで考える。

夕方、冷蔵庫からモッツァレラを出す。白い玉を皿へ移し、容器に残った汁を流す直前に手が止まる。ここにカルシウムまで流れているのか。それとも、塩分だけを捨てられるのか。

答えの芯は、漬け汁は成分の移動に関わるが、塩分とカルシウムを同じ動きとして扱えない、である。乳製品のレビューでは、乳のナトリウムは主に水の側に存在し、カルシウムは一部がたんぱく質の集まりに結びついている。チーズのミネラル量は酸性にする工程や水分を除く工程、塩漬けによって変わる。[1]

ただし、製造中の塩漬けと、食べる直前に容器の汁を切る操作は別だ。ここでは塩漬けチーズの実験を使い、成分が変わる条件を読む。モッツァレラのダイエット効果を漬け汁の有無で判定する話には進めない。対象は乳やチーズの成分と物性であり、18〜39歳の女性の体重やカルシウム吸収への効果に、そのまま当てはめることはできない。[1][3][4][16]

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カルシウムは水の側とたんぱく質の側に分かれる

漬け汁の白さを見て、栄養が丸ごと溶け出していると想像したくなる。乳のミネラルは、成分によって居場所が異なる。レビューで扱われた乳では、カルシウムのおよそ3分の1が水の側にあり、残りは主にカゼインミセルという乳たんぱく質の集まりと関わっている。ナトリウム、カリウム、塩化物は基本的に水の側に分布する。[1]

この「分布」は、液体の側にどれだけ存在し、たんぱく質の側にどれだけ結びつくかという見方だ。カルシウムという名前が同じでも、自由な状態やほかの成分と結びついた状態がある。乳製品のカルシウムには、クエン酸やリン酸などとの関わりもあるとレビューは整理している。単に「水があるから全部流れる」とは捉えられない。[1]

ここで乳の割合を、そのまま市販モッツァレラの割合に置き換えてはいけない。乳からチーズになるまでに工程が入り、ミネラルの残り方が変わるためだ。レビューでは特に酸性にする工程がカルシウム量と強く関係し、それが水分を除く工程と重なると、チーズ中のカルシウムが少なくなるとされている。[1]

したがって、「乳では水の側にある分がある」という知識と、「この容器の汁を捨てると何がどれだけ減るか」という計算には距離がある。前者は成分の居場所を知るための説明、後者は個々の商品と操作についての問いだ。乳の分布比だけから、皿のモッツァレラに残る量を算出することはできない。[1]

台所では、白い汁も白いチーズも同じ色に見える。色は便利な目印だが、ミネラルの内訳表にはならない。乳のレビューが示す、水の側とたんぱく質の側という分け方を先に置くと、汁に成分がある可能性と、固形物に成分が残ることを同時に考えられる。[1]

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塩漬け実験では塩分が増え、別のミネラルは減った

具体的な量を調べた研究として、羊乳のハルーミを使った製造実験がある。表面に塩をする方法と、食塩水へ浸す方法を比べたものだ。食塩水の濃度は7%、10%、13%、温度は4℃または20℃、時間は3、6、24、48時間という条件で調べられた。間食をした人の試験ではない。[4]

食塩水に浸したチーズの食塩量は、100g当たり2.17±0.01〜4.97±0.10gの範囲だった。浸す時間と食塩水の濃度が増すほど食塩量は増え、ナトリウムの増加はカリウムの減少と関連していた。一方、水分量は食塩水の濃度、温度、浸す時間が増すほど低下した。[4]

カルシウムも方法で違った。24時間の乾塩処理では100g当たり1064〜1093mg、24時間または48時間の食塩水処理では751〜922mgだった。リン、マグネシウム、カリウムにも同じ方向の違いがあった。つまりこの実験では、塩漬けによる変化を「食塩が足されただけ」とは説明できない。[4]

もっとも、この数字をモッツァレラの成分表に転記することはできない。実験対象はハルーミであり、比較したのは製造時の処理方法だ。数字が教えるのは「自宅で汁を捨てればこの量になる」という答えではなく、チーズと液体が接する条件によって、複数のミネラルが違う方向に変わりうるという事実である。[4]

ここにはもう一つ注意点がある。食塩やカルシウムの値は、どちらもチーズ100g当たりの濃度だ。水分量も処理によって変わっているので、濃度の差を、そのまま同じ塊から流れ出した成分の総量として読むのは避けたい。濃度と塊全体の量を分ける必要は、研究で水分量にも差が出たことから分かる。[4]

研究者はこの条件で、乾塩処理を栄養面から適した方法と評価した。ただし、それは試験したハルーミの方法の比較である。家庭のモッツァレラを乾かしたほうがよいという提案へ広げる理由にはならない。製造法の評価と、買った食品の扱いは分けて読む。[4]

漬け汁はチーズの重さや体積にも関わる

汁から出したチーズが重いと、成分も多く残っていそうに見える。しかし、液体との接触はチーズの重さと体積そのものも変える。ラグザーノという別種のチーズを使った実験では、食塩水の濃度、カルシウム濃度、温度を変え、24時間後の状態を測った。表面の皮ができる影響を避けて、内部構造の反応を調べた研究である。[16]

使われたのは、およそ40〜50gに切り分けたチーズと300mLの液体だった。塩濃度は2%、10%、18%、26%など、温度は4℃、12℃、20℃で比較された。塩濃度が高いほどチーズの重さと体積は小さくなり、低温かつ2%の食塩水では、最大30%の体積増加が起きた。[16]

さらに、液体にカルシウムを加えない条件では、どの温度でも重さと体積が増えた。高いカルシウム濃度である0.4%では離水、つまりチーズから水が出る現象が起き、特に20℃では体積が16.5%減った。液体の塩だけでなく、カルシウムも構造の膨張や収縮に関わっていた。[16]

この結果は「水を吸って大きくなったら、栄養も同じ割合で増える」という見方を止める材料になる。実験で増えたのは体積や重さであり、それだけでカルシウムやたんぱく質の総量が増えたことにはならない。液体の条件によって物性が動く食品を、見た目の大きさだけで比べるのは難しい。[16]

また、温度で重さや体積に差が出た一方、この実験では組成は塩漬け温度の影響を受けなかった。外形と成分は、それぞれ測って確かめる項目である。ぷっくりした形を栄養の証明にするのも、縮んだ形を栄養が抜けた証拠にするのも、実験が測ったものを飛び越えてしまう。[16]

塩漬けの濃度や温度は、ここでは現象を確かめるための実験条件である。自宅で同じ液体を作って保存する手順としては扱わない。食べる前の皿の上で気になる変化を、製造研究の条件と照らして理解するための数字だ。[16]

実験では、化学分析に加えて微細な構造も調べられ、内部の空隙の測定が重さや体積の変化を裏づけた。単に外からふくらんで見えたという観察ではない。液体の条件を変えたときに、チーズの構造まで応答したことを確認している。[16]

一方、食塩水の温度とカルシウム濃度は、同じ変数ではない。温度の違いで組成が変わらなかった結果と、カルシウム濃度が組成にも影響した結果を一緒にすると、何が作用したかを取り違える。研究を読むときは「液体につけたら変わった」で止めず、どの条件が、どの測定値と結びついたかまで追うとよい。[16]

ハルーミの実験では、食塩量と水分量に加えて食感も測った。硬さや砕けやすさも調べられ、乾塩処理のチーズは、濃度13%の食塩水で24時間を超えて処理したものより、その値が有意に低かった。成分と食感の両方が動く条件を比べた結果であり、柔らかさだけから特定のミネラル量を読み取る試験ではない。[4]

数字で読む漬け汁とミネラル

乳ではカルシウムのおよそ3分の1が水の側にある。市販チーズの割合を示す数字ではない。[1]

ハルーミの食塩水処理では、食塩量は100g当たり2.17〜4.97g。濃度と時間によって変わった範囲だ。[4]

同研究の乾塩処理のカルシウム量は100g当たり1064〜1093mg。食塩水処理とは別の条件である。[4]

ラグザーノの24時間の実験では、低塩・低温の条件で最大30%の体積増加。栄養の増加率ではない。[16]

同研究では、液体のカルシウム濃度0.4%、20℃で体積が16.5%減少。家庭の保存条件の推奨値ではない。[16]

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宮川涼 Founder

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