HIITを毎日しても動きが上達しない?練習の停滞を翌日の再現から見直す

HIITを毎日続けても動きが上達しないと感じたら、練習中の成績と時間を置いた後の定着を分けて見たい。若年成人、高齢者、脳卒中後の人を対象にした研究を読み、うまくできた感覚だけでは決まらない技能の評価、効果が出なかった課題、翌日に確かめる記録の作り方を考える。

足を戻して向きを変える。その切り替えだけ、見本より遅れる。昨日も今日も同じ切り替えで足が止まる。運動した印は手帳に増えるのに、動作の手応えは変わらない。「HIITを毎日やっているのに結果が出ない」と検索したくなるのは、体重のことだけではない。

動きの上達を考えるなら、まず練習中の成績と、時間を置いて同じ動きを再現できるかを分けたい。高齢者の実験では、HIITの後に練習するとその場の正確さは低かったのに、時間を置いた検査では技能の改善が保たれた。その日の出来栄えだけでは、学習の評価が変わってしまう例である。[2] 高齢者の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。

ただし、単発のHIITと技能課題を組み合わせた実験を、毎日続けることの優劣や、停滞の原因を決める証拠に置き換えてはいけない。若年成人の試験では習得が良くなった一方、ピアノの実験では練習した旋律の保持に上乗せがなかった。[6][3] 「毎日なら上達する」とも「上達しないのは毎日だから」とも、この違いからは決められない。

既存記事「HIITは新しい動きの練習前か後か?覚える速さと翌日に残る技能から順番を読む」には、運動を置く順番の比較を譲る。ここでは予定表の組み替えより先に、停滞と呼んでいるものが何の成績なのかを確かめる。

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毎日できたという記録に、動作の成績を添える

運動したかどうかと、狙った動作ができたかどうかは別の問いである。運動学習を調べる研究では、力を目標に合わせる課題や、決まった順序で反応する課題などを使い、誤差や正確さを評価している。参加できた回数だけを学習の成績にはしていない。[6][12] 毎日の実施記録を消す必要はないが、それだけでは足の切り替えを覚えたかは分からない。

たとえば、動画を最後まで流せたこと、合図のたびに次の姿勢を思い出せたこと、目標に沿って動けたことを、同じ「できた」に詰め込まない。これは記録の分け方の提案である。研究でも、動作を練習している最中の獲得と、後から調べる保持を区別するため、何を観察したかを先に決めている。[1][2][3]

ここでいう保持は、練習から時間を置いた後に技能がどれだけ残っているかを試すものだ。練習直後にすらすらできた状態と同義ではない。脳卒中後の人の試験では翌日に、高齢者の実験では同じ日の後刻に、ピアノの実験ではさらに先の時点まで調べている。[1][2][3] 観察する時刻が変われば、答えたい問いも変わる。

「昨日と同じところで迷った」と書く場合も、その前に動画を見たか、見本を止めて確かめたかを添えられる。動画を追いながらできた場合と、動く順序を思い出してできた場合を、同じ条件だったことにはしないためだ。こうしたメモを診断に使うのではなく、次に指導を受ける際の質問の材料にする。

中央線の帰り道では「今日も実施」の丸がいちばん書きやすい。正確さを文章にするのは少し面倒だ。しかし「最後まで動いたが、切り替えで見本を見直した」と書けば、継続できた事実と、練習したい箇所を同時に残せる。自分を採点し直すというより、丸の横に意味を置く作業である。

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若年成人で習得が良くても、毎日の定着とは違う

Kendallらの無作為化比較試験では、18〜40歳の60人が、有酸素運動だけのHIIT、有酸素運動と抵抗運動を組み合わせたHIIT、休息の群に分けられた。参加者は男性27人、女性33人で、運動群は20分間の映像による運動を行い、その後に力を調節する追跡課題を練習した。[6] 年齢が重なる参加者を含むが、男女を合わせた結果を18〜39歳の女性だけの効果としてそのまま当てはめることはできない。

有酸素運動だけのHIIT群は、休息群より総合的な誤差が有意に小さかった。研究では、とくに空間的な正確さの改善が習得の向上に関わったと解釈されている。[6] HIITの後には何をしても不器用になる、という一方向の説明には合わない結果だ。ただし、日常の動作がどれほど改善するかに換算できる差ではない。

大切なのは、比較の対象が練習中の技能獲得だったことである。参加者がその場で力を調節する課題を学んだことと、自宅の複合動作を毎日続けて覚えたことは、問いが違う。[6] 研究で有利だったからといって、今日の運動を増やすほど明日の切り替えが滑らかになるという式は作れない。

また、運動群をまとめて「HIITが効いた」と読むと、有酸素運動だけの群で示された結果の輪郭が消える。研究内でも運動内容を分けている以上、自分が見ている動画の名前だけで同じ条件だとは判断しない。[6] 種目の分類を覚えるより、研究が比べた運動と覚える課題を別々に見ることが役に立つ。

練習中の誤差が減ったという結果には価値がある。それでも、その場の成功を後日の成功まで広げない読み方が必要だ。自分の記録でも、動いている間に慣れた箇所と、次に始めるときに思い出せた箇所を別にすれば、「毎回やり直している感じ」の中身を尋ねやすくなる。

その場で苦戦しても、時間を置くと残ることがある

Taylorらの研究では、55〜75歳の健康な高齢者24人が、20分間の自転車によるHIIT、または同じ時間の活動を伴う休息を行ってから、順序に沿って握る力を調節する新しい課題を練習した。練習中の成績に加え、6時間後の保持が調べられた。[2] 対象年齢が異なるため、この結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。

HIITの条件では、休息の条件より練習中の正確さが低く、とくに年齢が高い参加者でその傾向が目立った。ところが時間を置くと、運動条件では技能の改善が保たれ、休息条件では技能が低下した。[2] 練習終了時には見えなかった違いが、後の検査で表れたのである。

この実験は、苦戦している人へ「実は必ず上達している」と言うための証拠ではない。対象は高齢者で、課題は握る力の順序学習だ。[2] 若い女性の跳ぶ動作に同じ反応が起こると決めるのではなく、練習中の正確さと時間を置いた保持が別の方向を向きうる点を受け取る。

Nepveuらの無作為化比較試験は、運動障害の程度が異なる慢性期の脳卒中患者22人を対象にした。技能課題を練習した直後に15分間のHIITを行う群と、休息する群を比べ、24時間後に保持を検査した。HIIT群の保持は休息群より良好だった。[1] 運動障害を伴う患者の結果であり、健康な18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。

この試験の目的は、脳卒中後に障害された運動機能の回復に関わる技能保持を調べることだった。病気による左右の運動野の状態の違いが問題になる臨床研究であり、健康成人のHIIT動作の停滞とは出発点が異なる。別の実験セッションでは、段階的に負荷を増す最大運動試験の前後に、手の筋肉に対応する運動野を磁気刺激して反応を調べている。[1] 家庭での運動頻度や強度の処方に使う研究ではなく、治療中の運動は医師に相談する対象である。

高齢者の研究と脳卒中後の試験を並べても、改善幅を直接比べることはできない。対象、課題、運動の位置、検査までの時間が異なるからだ。[1][2] 「どちらが強く効いたか」を急ぐより、それぞれがいつの技能を評価したかを見るほうが、毎日の記録に持ち帰る問いがはっきりする。

同じ「残った」という結果でも、比較相手を確認したい。脳卒中後の試験では練習後に休息した群と比較し、高齢者の実験でも活動を伴う休息が対照だった。[1][2] 運動をした人の内部で昨日より上手になったという話と、比較条件より保持が良かったという話は異なる。個人の手帳で変化を追うことはできるが、その記録だけで運動による効果と断定する材料にはならない。

この脳卒中患者の試験では、最大運動試験により、GABAAという受容体を介する短い間隔の皮質内抑制の左右差が減った一方、ほかの興奮性の指標の変化は統計的に有意ではなかった。[1] 抑制とは神経活動にブレーキをかける働きに関わるもので、すべての測定値が一斉に改善したという結果ではない。さらに、最大運動試験で測った脳の反応と、別のセッションでHIIT後に調べた技能保持を、同じ介入による一続きの因果として扱うことも避けたい。[1] 脳卒中後の神経系を扱うこの結果は、健康な18〜39歳の女性にそのまま当てはめられない。

日記に「上達なし」とだけ書くと、何を試したかが後から読めなくなる。代わりに、始めるときに迷った箇所、途中で確かめた合図、終えるときに再現できた流れを文章で残す。これなら、次回に同じ場面を見てもらうための手掛かりになる。成績を研究と同じ尺度にそろえる必要はないが、自分の中で比較する場面は明らかにしておきたい。

数字で読む練習中と練習後

60人:若年成人を対象とした無作為化比較試験。力を調節する課題の習得を比較した。[6]

20分間:同試験で運動群が行った映像によるHIITの長さであり、毎日の推奨時間ではない。[6]

6時間後:高齢者の実験で保持を確かめた時点。練習中とは結果の方向が異なった。[2]

24時間後:脳卒中後の人の試験で、HIIT群の技能保持が良好だった検査時点である。[1]

25人:ピアノの探索的試験の参加者数。練習した旋律の保持にHIITの優位性はなかった。[3]

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宮川涼 Founder

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