腹筋を座って鍛えるなら脚も引く?上体と脚を寄せる動きの分担を研究で読む

座って上体と脚を寄せる腹筋運動は、お腹だけの仕事なのか。起き上がりや脚上げを比べた研究から、体を丸める動きと股関節を曲げる動き、足の支えで変わる筋活動を読む。器具や回数だけで選ばず、何を動かす練習かを確かめる視点と、座位の動作へ応用するときの注意点を示す。

胸と膝が近づけば、それだけで腹筋を鍛えたことになるのだろうか。マットへ座り、後ろへ倒した上体と伸ばした脚を、胸の前で近づける。動画の見本は舟をこぐように滑らかだが、自分は太ももの前ばかり忙しい。腹筋の一覧から選んだはずなのに、お腹の担当者は休憩中なのかと気になる。

脚を引く動きに股関節を曲げる筋肉が加わること自体は、不思議ではない。起き上がりや脚上げを比べた研究では、股関節を曲げる運動で股関節屈筋が強く活動し、腹筋も同時に活動している。脚が働いたから腹筋運動として失敗、とは判断できない。[7]

ただし、座って上体と脚を寄せる運動の優劣を、そのまま決める話ではない。ここでは起き上がり、脚上げ、体幹の力の測定を手掛かりに、見た目が似た動作の中で何を分けて見るかを考える。既存記事「女性の腹筋運動は膝を曲げる角度で違う?股関節の働きとお腹の負担を研究で読む」に膝の角度の話を譲り、こちらは上体と脚を同時に寄せる場面に焦点を置く。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

座った姿勢より、どこで折り曲げるかを見る

体幹屈曲とは、胴体を丸める方向の動きである。股関節屈曲は、太ももと骨盤側が近づく方向の動きだ。この違いは、腹筋運動の比較実験で重要な区別として扱われている。体を起こすという同じ説明でも、胴体を丸める運動と、股関節を軸に上体を起こす運動は区別される。[4][7]

座って膝を胸へ寄せるとき、画面の中では胸と膝の距離が短くなる。しかし、その距離だけでは動きの内訳を説明しにくい。上体を丸めて近づいたのか、太ももを引いて近づいたのか、両方なのか。まずこの問いを持つと、腹筋運動という名前より具体的にフォームを観察できる。これは比較研究で分けられた動作を、日常の観察へ置き換える考え方である。[4][7]

訓練経験のある男性18人が、従来型と体幹屈曲を重視した修正版の起き上がりを、それぞれ30秒行った比較研究がある。研究者は筋電図で腹直筋、外腹斜筋、大腿直筋の活動を記録し、映像で体幹と股関節の動きを測った。筋電図とは、筋肉が活動するときの電気的な信号を記録する方法だ。男性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできず、性別や体格、訓練経験の違いを踏まえて動作を観察する手掛かりとして読む。[4]

腹直筋はお腹の前面、外腹斜筋は脇腹側の筋肉である。大腿直筋は太ももの前の筋肉で、この研究では股関節屈筋側の活動を調べる対象になった。結果は、従来型のほうで大腿直筋の平均活動と積算した筋活動が大きく、修正版のほうで腹直筋と外腹斜筋の平均活動と積算した筋活動が大きかった。[4]

動きの測定もこれに対応した。修正版では体幹を丸める最大角度が大きく、従来型では股関節を曲げる最大角度が大きかった。見た目に「上体を起こせた」ことは共通でも、どこを動かすかによって筋肉の分担が変わったのである。腹筋へ重点を置くなら、起き上がる高さだけで評価しない理由になる。[4]

ここで修正版を、座って脚を引く運動の完成形と呼ぶことはできない。比較されたのは起き上がりの様式であり、動作も対象も具体的に決まっている。持ち帰りたいのは、胸と膝を遠くから大きく近づけるほどよい、という採点をいったん外すことだ。自分が練習したい動きと、実際に大きく動いた部位を照らし合わせる視点が残る。[4]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

脚の付け根とお腹は一緒に働く

健康な男性6人が、静止するものと動くものを含む38種類の運動を行った実験では、起き上がりの脚の位置や支え、片脚と両脚の脚上げなどを比較した。お腹や太ももの筋肉には表面電極を使い、骨盤内側の腸骨筋には細いワイヤー電極を使って活動を記録した。骨盤内側の筋肉も調べた点が、この問いには役立つ。対象は健康な男性であり、18〜39歳の女性にも同じ筋活動の分担が生じるかは、この実験だけでは判断できない。[7]

この実験で股関節屈筋が強く活動したのは、上体全体を持ち上げるか脚を持ち上げる、股関節屈曲を含む運動だった。一方、腹筋は、体幹を丸める起き上がりでも股関節を曲げる起き上がりでも、はっきり活動していた。股関節屈筋と腹筋は、どちらかしか参加できない関係ではなかった。[7]

さらに両脚上げでは腹筋の活動が必要だったが、片脚上げでは同じ結果にならなかった。脚を上げる運動をすべて同じ箱に入れると、この区別が消えてしまう。座った動作でも、脚を引くという言葉だけで、お腹が働くかどうかを即答しないほうがよい。研究の動作を確かめてから、自分の動作との共通点を考えたい。[7]

筋肉ごとの差もあった。両脚上げは、股関節を曲げる起き上がりより腸骨筋と縫工筋の活動が高かったが、大腿直筋では逆だった。股関節屈筋をひとまとめにして、太ももの前の感覚だけで全員の働きを代表させるのも粗い読み方になる。脚の付け根側に負担を感じたときは、その感覚と腹筋の不参加を直結させないことが大切だ。[7]

ただし、この結果は少人数の健康な男性が実験条件で行った運動の記録である。女性や運動を始めたばかりの人に、同じ活動の順位が必ず出るという保証ではない。また、筋活動が大きかった運動を続ければ、他より必ず筋肉が育つという長期の成績表でもない。測っているのは運動中の活動であり、運動後の見た目の変化とは別の問いだ。[7]

腹筋の種目一覧を見るなら、名前の横に動きの説明を書き足すと考えやすい。「上体を丸める」「脚を引く」「両方を組み合わせる」と言葉にするのである。これは優劣の順位づけではない。同じ腹筋という見出しの下でも、比較実験の中身が異なっていたことを、選ぶ側のメモに反映する工夫だ。[4][7]

倒す角度と足の支えは、同じ物差しにならない

上体を大きく倒せば、どの腹筋運動でもお腹の活動が同じように増えるのだろうか。男性6人の実験では、体幹を丸める起き上がりは屈曲角度が増すほど腹筋の活動が増えたが、股関節を曲げる起き上がりでは逆の傾向だった。角度の意味は、どの種類の動きかとセットで読む必要がある。男性の結果なので、18〜39歳の女性の座位運動でも同じ傾向になるかは別途確かめる必要がある。[7]

この違いを座位の運動へ考え方として応用するなら、背中が床へ近づいたという見た目だけで強度を決めないことになる。上体を倒す範囲を変えたとき、脚の引き方や足の支えも同時に変えたなら、何が負担を変えたかは分けにくい。動画をまねる際の観察では、動きを変える理由を言葉にしておきたい。[7]

足の固定も分担に関わる。14人を対象とした別の実験では、手を床に沿って動かす距離、膝を曲げるか伸ばすか、足を固定するかしないかを変え、静止した収縮中の筋活動を比べた。足を固定すると、測った腹部の各部位の活動は有意に低下し、大腿直筋の活動は高まった。[6]

足が動かず起き上がりやすいことと、お腹の活動が大きいことは、この実験では一致しなかった。自宅で家具に足を掛けて上体を寄せる場合も、できた回数だけでは腹筋の働きを評価できない、という見方につながる。ただし、実験は静止した収縮の比較であり、家具を使った座位運動の負担を直接測ったものではない。[6]

手を動かす距離にも、単純な「遠いほど上」という関係はなかった。下部腹直筋の活動は10cmの位置で最も高く、大腿直筋の活動は5cmで最も低く、上部腹直筋の活動は15cmで最も低かった。測る筋肉が変われば、同じ距離の評価も変わる。これらの距離を、座った脚引きの推奨幅として使うことはできない。[6]

膝を曲げた姿勢と伸ばした姿勢の間には、有意差がなかった。曲げた姿勢で下腹部の安定に関わる筋活動が高く、大腿直筋の活動が低い傾向はあったが、明確な差と同じには扱えない。足を固定する違いと、膝を曲げる違いを混同しないことが、この研究を読むうえでの要点だ。[6]

研究を自宅の練習へ持ち帰るなら、動作を観察する問いと、効果を断定する問いを分けたい。足を支えたら上体を起こしやすかった、という観察は残せる。しかし、それだけで腹筋への刺激が増えたとは決めない。足の固定によって腹部と大腿直筋の活動が逆方向に変わった結果は、楽に動ける理由を筋肉の分担から考える手掛かりになる。[6]

また、修正版の比較では、外腹斜筋の最大活動は従来型のほうが大きかった一方、平均活動と積算した活動は修正版のほうが大きかった。瞬間の最大値と、運動している間の活動を同じ意味にしないことも必要だ。「こちらのほうが働く」という短い説明を読むときは、何の値を比べたのかまで確かめたい。[4]

数字で読む上体と脚の分担

18人:従来型と修正版の起き上がりを比べた訓練経験のある男性の人数である。[4]

30秒:上の比較で、それぞれの起き上がりを反復した時間だ。推奨運動時間ではない。[4]

38種類:健康な男性6人の実験で比較された、静的・動的な運動の数である。[7]

14人:足の固定、脚の姿勢、手の移動距離を変えた筋活動実験の対象者数だ。[6]

10cm:下部腹直筋の活動が最も高かった手の位置で、座位運動の目標距離ではない。[6]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約