空腹時のエネルギー源は順番に変わる?ケトン体の測定値を朝の運動成績にしない

空腹時のエネルギー源は、糖から脂肪へ単純な順番で交代するわけではない。ケトン体を作る肝臓と利用する組織の働き、呼気アセトンを追った食事試験を手がかりに、測定値を朝の運動成績にしない読み方を考える。体重や食事量との違い、女性の日常へ研究を当てはめる際の注意点も整理する。

朝食を取らずに歩いた朝、ケトン体の数字が上がっていた。「今日はよく脂肪を使えた」と記録したくなる。しかし、食べる時間を変えた人の試験では、体重がより減った群のほうが、途中から呼気のケトン体指標は低かった。高い数字をそのまま良い成績と読むと、この結果を取り違える。[7]

空腹時のエネルギー源を、糖がなくなったら脂肪、その次にケトン体という順番で考えると、この結果は不思議に見える。実際には空腹に応じて肝臓が糖とケトン体を供給し、脂肪組織から届く脂肪酸も代謝の流れに加わる。燃料の供給は、単純な交代制ではない。[3][20]

朝食の有無と脂肪利用の比較は、既存記事「朝食前の運動は脂肪を燃やすか 空腹時の燃焼と体脂肪の減少を分けて読む」に譲る。ここで考えるのは、ケトン体を測ったときに何を読み取れるかである。運動を頑張った証明にする前に、作る側と使う側、測った時期を確かめたい。[7]

既存記事「有酸素運動のエネルギー源は変わる?脂肪を使う力と同じ負荷で比べる意味を読む」が扱う、運動を続けたあとの脂肪利用能力の評価もここでは追わない。こちらは食事時間の試験におけるケトン体指標の推移から、測定値を読む際の区別を考える。[7]

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

空腹でも糖の供給は続いている

空腹時の肝臓の働きを整理したレビューによると、肝臓は他の組織へ届ける燃料として糖とケトン体を作る。糖の供給には、蓄えたグリコーゲンを分解する経路と、糖を新しく作る糖新生という経路がある。ケトン体を作る経路には、それに先立つ脂肪の分解と脂肪酸の酸化が関係する。[3]

ここで大切なのは、ケトン体の登場を糖の完全な退場と読み替えないことである。肝臓が複数の経路で燃料を供給するという説明は、「何番目の燃料だけを使っているか」という問いとは形が違う。ケトン体が増えたという事実だけで、糖の供給が止まったとは判断できない。[3]

また、この調整をインスリンの低下だけで説明するのも単純すぎる。レビューは、グルカゴンやアドレナリン、遊離脂肪酸などの合図が互いに協力し、肝臓の燃料生産を調整することを述べている。遊離脂肪酸とは、脂肪組織などから放出されて運ばれる脂肪酸である。[3]

朝の中央線に乗る前に歩いたとしても、体内の燃料供給は複数の経路で進む。食べていないという条件に対し、燃料を供給する仕組みがまとまって応答している。その応答を示す物質のひとつがケトン体であり、空腹の度合いを一列に並べる順位札ではない。[3][5]

このレビューが整理しているのは、哺乳類の空腹への応答とその調節である。18〜39歳の女性の朝の運動にそのまま当てはめるには、運動中の燃料利用を確かめる研究が別に必要だ。健康な女性が朝に歩くと、どの燃料を何割使うかを示す運動試験として読むものではない。仕組みの説明を、自分の今朝の消費量の計算式へ変換しないことが出発点になる。[3]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

ケトン体ができる道と脂肪が減る話をつなぎすぎない

ケトン体に関するレビューでは、ケトン体を作る代謝経路は主に肝臓にあり、空腹や運動などで活性化するとされる。主要なケトン体であるβヒドロキシ酪酸は、糖を利用しにくい状況などで、脳、心臓、筋肉、腎臓といった肝臓以外の組織の燃料になる。[5]

つまり、ケトン体は「脂肪が燃えたあとに残る成果物」とだけ考えるより、その先で使われる燃料として理解するほうが適切である。作られたあとも代謝の流れは続く。測定値は流れの途中を見ているのであり、その朝に体脂肪がどれほど減ったかを直接表示するものではない。[5][7]

脂肪組織と肝臓の関係を扱うレビューは、さらに分岐を示している。空腹時に脂肪組織から出た脂肪酸は、肝臓でケトン体を作るための酸化に使われる一方、中性脂肪の合成や、脂質を運ぶリポたんぱく質の生産にも関係する。脂肪酸の行き先はケトン体だけではない。[20]

脂肪が分解されたという段階、肝臓でケトン体になったという段階、別の組織で燃料として使われる段階は、つながっていても同じ出来事ではない。「脂肪由来」という言葉だけで途中の経路を省くと、血中や呼気の数字を体脂肪の減少量と取り違えやすくなる。[3][5][20]

この分岐は、健康上の評価でも意味を持つ。同じレビューは、肥満やインスリン抵抗性では慢性的に増えた脂肪分解が肝臓の処理能力を超え、代謝の問題に関係すると整理する。病的な代謝状態の説明を、健康な18〜39歳の女性の朝の反応にそのまま当てはめることはできない。脂肪が多く動けば、それだけで望ましいという一本道の説明は成り立たない。[20]

だからといって、朝に測った値から肝臓の病気を心配する必要があるという話でもない。ここでの教訓は、代謝の経路を示す数字と健康全体の評価を区別することだ。肝臓と脂肪組織の研究を、そのまま家庭での自己診断の表へ移すことはできない。[20]

体重が減った群で呼気の数字が低かった試験

測定値の読み方を具体的に示すのが、食べる時間を制限した無作為化比較試験の二次解析である。参加者は60人で、摂取エネルギーを制限する食事を8週間続けた。食べない時間が14時間、食べる時間が10時間の群と、それぞれ12時間の群を比較し、空腹時の呼気アセトンを毎週測定した。18〜39歳の女性の朝の運動へそのまま当てはめるには、食事介入と運動という条件の違いを埋める比較が必要だ。[7]

呼気アセトンは、この試験でケトン体を評価するために用いられた指標である。研究では、14時間食べない群のほうが体重減少は大きかったとされる。一方、呼気アセトンは最初の3週間に増加したものの、その時期には群間の有意な差がなかった。[7]

その後の4〜8週では、体重減少が大きかった14時間の群のほうが、呼気アセトンは低かった。群間差は5.45±2.1 ppmで、これは平均値と標準誤差による表示である。有意差を示す値はp=0.012だった。少なくとも、この比較では高い呼気の数字と大きな体重減少が同じ方向に並んでいない。[7]

著者らは、食事時間の制限に適応したあと、脂肪酸の酸化やケトン体の利用が高まったことが、呼気アセトンの低下に関係した可能性を述べている。これは、数字が下がった理由についての解釈である。低い値を利用増加の証拠にするには、その関係を直接確かめる必要がある。[7]

研究の条件も見落とせない。どちらの群も摂取エネルギーを制限しており、比較したのは食べる時間帯の枠である。朝食前に歩いた人と朝食後に歩いた人の運動効果を比べた試験ではない。食事の研究から学べるのは、ケトン体指標と体重の変化が一対一で対応しないという読み方である。[7]

また、測った結果は呼気アセトンで、体重減少が大きいという結果も体重についてのものだ。ここから体脂肪の減少量や筋肉の維持まで一度に決めることはできない。測定した項目の名前をそのまま保つだけで、魅力的すぎる説明に引っ張られにくくなる。[7]

数字を見るときには、まず研究者が比べた問いを言葉に戻すとよい。この試験の問いは、摂取エネルギーを制限している人で、食べる時間の枠が異なると呼気アセトンの推移がどう違うかである。「運動した朝の値が高い人ほど、その後に脂肪が減るか」とは、対象も比較も違う。[7]

次に、測定を続けた期間を見る。初期に上がった指標が、その後も同じ向きへ進むとは限らない。毎週測定する設計だったからこそ、最初の増加と、後半の群間差を分けて捉えられた。開始直後の数字だけを切り取れば、その後に起きる変化を見ないまま説明が完成してしまう。[7]

さらに、群の平均の違いと、個人の明日の変化を区別したい。報告された呼気アセトンの群間差は、研究で比較した集団についての結果である。ある人の値が今日より明日低くても、理由や体重の変化は別に確かめる必要がある。試験の比較単位を、個人の日ごとの採点へ置き換えないことも必要だ。[7]

体重が減る群で指標が低かったという結果は、ケトン体が役立たない証拠でもない。ケトン体は燃料として利用される物質であり、利用のされ方を含めて変化するからだ。価値がないか万能かのどちらかに決めるより、体内の流れと測定結果を分けたほうが、この試験の結果を無理なく読める。[5][7]

数字で読むケトン体指標と食事の試験

60人:食事時間を比べ、毎週の呼気アセトンを解析した試験の参加者数である。[7]

8週間:呼気アセトンの変化を追った食事介入の期間である。[7]

最初の3週間:呼気アセトンは増加したが、比較した群の間に有意な差はなかった。[7]

4〜8週:体重減少が大きかった群で呼気アセトンが低く、群間差は5.45±2.1 ppmだった。[7]

39人:別の食事時間制限の試験では、過体重・肥満と2型糖尿病のある成人が対象だった。[18]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約