生理中に運動すると拍子が違って聞こえる?音の速さと動作の遅れを分けて考える

生理の日、いつもの曲なのに運動の拍子に乗りにくい。その感覚だけで聴覚や運動能力の低下とは決められない。月経周期と運動の研究を手がかりに、音の速さ、実際の動作、きつさを分けて考える。心拍や時計の数値の読み方、記録しておきたい場面、無理なく続けるための相談の仕方も整理する。

曲は知っている。次に腕を上げる場所も覚えている。それなのに、生理の日のレッスンでは音だけが先へ行くように感じる。腕を下ろしたまま、「今日は曲のほうが急いでいるのか」と戸惑う。

ただし、拍子に乗りにくかったという経験から、生理中は音を聞き分ける力が落ちるとは決められない。月経周期と運動の研究では、体感するきつさと、実際に測った運動の結果が別々に変わる例がある。まずは聞こえ方、動作の速さ、きつさを別の問いとして扱いたい。[16]

既存記事「国分寺のヨガ初回は先生の目を見続けるべきか、合図と動作観察を分けて考える」には、合図を見る場面の話を譲る。ここで考えるのは、生理の日にいつもの拍に合わせにくいとき、その経験から何を判断し、何を保留するかである。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

音が速く感じることと、動きが遅れることを分ける

レッスン後の「速かった」には、違う出来事が混ざっている。曲そのものが速く感じたのか。曲の拍は分かるが腕を戻す動作が間に合わなかったのか。動きは合っていたが、続けるのがきつかったのか。日常の記録では、この区別をつけるところから始めたい。どれも本人にとって大切な経験だが、同じ言葉で残すと後から比べにくい。

ここでは音の拍を捉えることを「聞く側」、捉えた拍に合わせて動くことを「動く側」と呼んで区別する。これは記録を整理するための呼び分けであり、生理中の耳や脳に特定の変化があると診断するものではない。自転車で測ったきつさの違いを、音楽の感じ方の変化へそのまま置き換えないことが大切だ。[16]

たとえば「曲は普段と同じに聞こえた。腕を戻すところで追いつけなくなった」と書けば、相談したい場面が伝わる。「最初から曲がせわしなく感じた。動作が合っていたかは分からない」でもよい。後者を無理に動作の失敗へ変換する必要はない。分からない箇所を残した記録のほうが、聞こえ方と動作を勝手につなぐことを防げる。

月経周期と運動を扱う統合的レビューも、全員に同じ周期別の運動処方を当てはめるより、個人の症状に応じた対応を支持している。したがって、この切り分けは「生理だからできない」という予定表を作るためではない。その日の困りごとを、本人と指導者が同じ場面として話せるようにするための工夫である。[11]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

同じ運動でも、きつさと測定結果はそろわない

この違いを具体的に示すのが、身体活動のある自然月経の女性15人を対象としたランダム化クロスオーバー試験である。同じ参加者が月経周期の異なる時期に運動し、結果を比べた。実施したのは、脂肪の酸化が最大になる強度での1時間の自転車運動だ。ヨガの拍合わせを調べた実験ではない点は押さえておきたい。[16]

比較した時期は、卵胞期早期、排卵周辺期、黄体期中期である。卵胞期早期は周期の初めに当たる時期として、排卵周辺期は排卵の前後として、黄体期中期は排卵後の時期として読むと比較の位置がつかみやすい。この試験では、アプリによる追跡だけでなく、尿中の黄体形成ホルモンの検査や基礎体温などを使って時期を確認している。[16]

結果は一枚岩ではなかった。運動中に酸化された脂肪の総量、炭水化物の総量、消費エネルギーの総量には周期の時期による有意な主効果がなかった。一方、平均心拍数は卵胞期早期より排卵周辺期で高く、主観的なきつさは黄体期中期でほかの時期より高かった。月経症状の点数が高かったのは卵胞期早期だった。[16]

つまり、症状が強い時期、運動がきつく感じる時期、心拍が高い時期を、すべて「生理中」と一括りにすると試験の結果を取り違える。本人の体感を尊重することと、違う指標を同じものとして扱うことは別である。きつさが増えたから脂肪の利用が減った、とも、この結果からは言えない。[16]

音楽に合わせる場面への持ち帰り方も限定したい。「きつかったから耳の働きが落ちていた」と原因を決めるのではなく、「曲の感じ方とは別に、きつさも残しておこう」と考える。そのほうが、研究で実際に分かれて動いた指標を日常の観察に生かせる。自転車の結果は、拍を聞き取る能力の検査結果ではない。[16]

速さや跳ぶ力の研究にも、そろわない結果がある

では、運動能力全体が生理中に下がるのか。女性サッカー選手を対象とした系統的レビューでは、15件の前向き観察研究、合計210人を検討している。前向き観察研究とは、対象を追いながら状態や成績を調べる研究である。周期と成績の関連を調べる設計である。対象は競技者であり、18〜39歳の一般女性のレッスン中の動作へそのまま当てはめられるかは別に検討する必要がある。[20]

このレビューでは、5件で卵胞期早期の有酸素能力や短距離走の成績低下が報告された一方、10件では差が見つからなかった。方向転換の敏捷性やパワーに関係する結果にも、一貫した周期の影響はなかった。早期に少し低下する可能性はあるものの、結論は確定していない。[20]

研究数の多い側だけを採って「影響なし」と言い切るのも、低下を報告した研究だけを採って「生理中は必ず遅い」と言うのも適切ではない。対象が少ないこと、周期の確認方法がそろわないこと、実施するテストが違うことが比較を難しくしている。違う結果があるという事実まで含めて読む必要がある。[20]

女子サッカー選手の垂直跳びに絞った別の系統的レビューでは、7件の研究を検討した。一部では卵胞期や排卵期に高い跳躍高が報告されたが、統計的に有意な差は認められなかった。周期を確かめる手順や対象者、測定方法にばらつきがあり、周期が垂直跳びに影響するか判断するには証拠が不十分だとしている。競技者の跳躍を調べた結果なので、18〜39歳の一般女性の拍合わせへそのまま当てはめることはできない。[17]

ここでも「高く跳ぶ」と「拍に合う」は別の成績だ。仮に腕や脚の動きが遅れたとしても、跳躍高の研究を使ってリズム感の低下を説明することはできない。レッスンでの遅れを言葉にするときは、始める瞬間なのか、動きを切り替えるところなのか、続けた後なのかを具体化したい。これは能力の診断ではなく、次の相談を明確にする整理である。[17][20]

研究を比べるときは、まず測ったものの単位を見たい。自転車では運動中のエネルギー利用や心拍、サッカーでは走行の成績や方向転換、跳躍のレビューでは跳んだ高さが扱われている。「運動の調子」という日常語なら同じ箱に入るが、測定では違う結果だ。どれかに差があったとしても、ほかの能力まで同じように変わったとは扱わない。[16][17][20]

次に対象を確認する。女子サッカー選手の結果は、競技の練習を積んだ人の、特定のテストでの成績である。仕事帰りに初めての動作を覚える人とは、練習経験も課題も異なる。競技者の成績を参考にするときほど、「自分にも同じ程度起こるはずだ」と数値を借りないようにしたい。研究が示した範囲を小さく扱うことが、本人の経験を雑に説明しないためにも役立つ。[17][20]

また、有意差がないという表現は、どんな個人差も存在しないという宣言ではない。垂直跳びのレビューでは統計的な検出力の低さも問題になっていた。小さな違いを確かめる力が十分でなければ、差を認めなかった結果の読み方にも注意が要る。一方で、その不確かさを理由に「本当は必ず低下している」と逆の結論を置くこともできない。[17]

レッスンのメモに当てはめるなら、「今日は遅れた」という結果から、すぐに周期と聴覚を結ぶのではなく、その結果がどの場面を指すか確かめる。曲の始まり、同じ動作の繰り返し、別の動きへの切り替えでは、相談したい内容が違うはずだ。曲名や受けたレッスンが同じでも、実際に困った場面を比べることが肝心だ。拍子に乗れなかった日を能力全体の通知表にしないために、比較する対象を狭くするのである。

数字で読む月経周期と運動の比較

15人:異なる周期の時期に自転車運動を行ったクロスオーバー試験の対象者数だ。[16]

1時間:その試験での自転車運動の長さであり、推奨する運動時間ではない。[16]

5件と10件:女子サッカーのレビューで、卵胞期早期の成績低下を報告した研究と、差を認めなかった研究の数だ。[20]

7件:女子サッカーの垂直跳びを検討したレビューの研究数で、有意な周期差は見つからなかった。[17]

31件:月経に伴う心身の状態を扱う統合的レビューに含まれたランダム化比較試験の数だ。症状の研究と、音の拍を聞く課題は区別して読む。[11]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約