女性の筋トレ大会はポーズ練習でも疲れる?静止のきつさと呼吸を読み解く

女性の筋トレ大会に向けたポーズ練習は、動かないから軽いとは限らない。競技者の等尺性持久力、女性を含む静止運動、呼吸と血圧の研究から、保持時間と力の強さ、休憩の見方を整理する。男性の実験を女性の舞台へそのまま当てはめず、写真に写る形と体の負担を分けて考える。

鏡の前では腕も脚も止まっている。それなのに、ポーズをほどいた瞬間に大きく息を吐く。女性の筋トレ大会を調べ始めた人には、重りを持ち上げる練習より、こうした静止のきつさのほうが意外かもしれない。静止を含む運動でも疲労は調べられており、動きの少なさだけで負担の小ささは決められない。[9][19]

答えの芯は、形を保つ時間と、そこで出している力を分けて見ることにある。ボディビル競技者を対象にした実験でも、最大の力を出す能力と、その一部の力を保ち続ける能力は別々に評価されている。その試験は男性対象であり、18〜39歳の女性の大会練習への適用は未検証である。[8]

「女性の胸筋トレは手幅で何が変わる?押す動きの胸と腕の負担を読み解く」が扱う押す動作とは問いを分ける。また「女性の筋トレ大会前は糖質で筋肉が張る?筋肉量と違う見た目の変化を読む」に見た目づくりの話を譲り、ここではポーズ中の負担を考える。大会の種類を探す段階でも、種目名を覚えることと、静止練習を体力的に評価することは別の準備である。

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ポーズを保つ力は、持ち上げる力と同じか

等尺性収縮とは、力を出しながら関節の位置を保つ収縮である。研究では最大随意等尺性収縮、つまり自分の意思で静止中に出せる最大の力を基準に負荷を設定する。競技者の持久力試験では、その最大値の70%を保って疲れるまで続ける課題が使われた。最大値を測る検査と、保持が続くかを見る検査は、同じ筋肉でも問いが違う。[8]

この研究は男子大学生のボディビル競技者16人を対象とした無作為化二重盲検クロスオーバー試験である。参加者が異なる条件を経験し、硝酸塩を含むビートルートジュースとプラセボを比較した。肘を曲げる筋群、体幹、前腕、膝を伸ばす筋群を対象にした等尺性持久力の課題を、周回して実施している。男性競技者で得られた結果を18〜39歳の女性へそのまま当てはめるには、女性対象の検証が必要だ。[8]

結果を読むときに大切なのは、飲料の名前より評価の分かれ方だ。最大随意等尺性収縮には有意な効果がなかった一方、最後の周回では一部の筋群の持久力が改善した。最大筋力が上がらなくても保持の成績は変わり得る、という違いがこの実験の中にある。すべての部位に同じ変化が出たという結果でもない。[8]

ただし、実験で設定された70%は、自宅の鏡の前で目分量に再現する数字ではない。実験の基準は測定された最大の力であり、本人が「かなり力を入れた」と感じる程度とは区別したい。舞台の写真で同じように見えるポーズでも、実験装置で力をそろえた課題と同一には扱えない。研究の設定を、そのまま練習の処方箋にしない読み方が必要である。[8]

たとえば練習記録を見直すなら、「形を覚えたか」「保てたか」「どこが先につらくなったか」を別の欄に書く方法がある。これは競技成績を保証する手順ではなく、最大筋力と持久力を別々に評価した研究から考える記録の工夫だ。重い物を扱えた日の記録だけでは、保持中に何が起きたかは残らない。[8]

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保持時間と直後の最大筋力を分けて読む

静止を含む課題には、限界まで位置を保ったあと、負ける方向の動きにゆっくり抵抗する方法もある。偏心性の準等尺性運動と呼ばれるもので、完全な静止だけを続ける課題とは異なる。女性11人、男性9人の活動的な成人を調べた研究は、この方法で足首を伸ばす筋群にかける負荷を比較した。[7]

参加者は最大随意等尺性収縮の75%と90%の条件で、それぞれ単発の収縮を組み込んだ3セットを行った。75%では90%より総収縮時間が長く、トルクを時間にわたって積み重ねた量と動いた範囲も大きかった。しかし運動前後の最大随意等尺性収縮のトルクには、有意な低下が認められなかった。[7]

トルクは関節を回そうとする力の指標である。この実験は、軽い側の条件で長く保てたことと、直後に最大の力が落ちたかどうかを分けて示している。「長く止めたから必ず最大筋力が落ちる」とも、「力が落ちなかったから何も負担がなかった」とも読まない。測った結果の名前を省くと、結論が必要以上に大きくなる。[7]

一方、筋力トレーニング経験のある男性18人を調べた動的な肘曲げ運動の試験では、力を出している時間と、重量と反復回数の積で表す負荷量を変えて比較した。疲労は両者に関係したが、最大随意等尺性収縮などで見た疲労の違いは、とくに力を出している時間の違いと関連していた。男性の動的な肘曲げの結果であり、18〜39歳の女性の静止ポーズへの直接の適用は未検証である。[17]

この結果と足首の研究は、片方が正しく片方が間違いという関係ではない。肘を反復して動かす運動と、足首で準等尺性収縮を行う運動では条件が異なる。時間が大事な実験もあれば、時間が長い条件でも最大トルクの有意な低下が出ない実験もある。保持秒数を万能の負担計にしない、という点で両方を読む価値がある。[7][17]

練習動画を比べる際にも、止まっている長さだけを切り取らないほうがよい。姿勢へ入る前に何をしたか、どの部位に力を込めたか、途中で形が変わったかを一緒に記録する。実験が部位や力の条件を分けていることを、日常の観察にも持ち込む考え方だ。秒数と姿勢の変化を並べれば、保持のどの部分が変わったかを相談しやすい。[7][9][17]

練習の予定表に「ポーズ」とだけ書くと、位置を覚える時間も、強く力を入れて保つ時間も同じ箱に入る。だが、研究では力を出す時間をそろえた条件と、重量と回数の積をそろえた条件を区別していた。同じ練習時間という記録だけで負担を比べるより、何を続けた時間なのかを書き添えるほうが、研究の考え方に近い。[17]

たとえば鏡を見ながら姿勢へ入り直した日と、形を変えずに保とうとした日を比べるなら、合計の滞在時間だけで優劣を決めない。これはどちらの練習が優れているかを示す実験結果ではない。時間、力、姿勢の変化という別の条件を混ぜず、次の相談で比べられるようにする提案である。時計は時間を測れるが、力の入れ具合までは採点しない。[7][17]

女性なら静止に強い、とひとくくりにできるか

女性は保持が得意だから練習の負担を軽く見てよい、とは決められない。筋力トレーニング経験のある25人、そのうち女性12人を対象に、片腕の準等尺性の肘曲げを4回行った比較研究がある。筋肉の電気的な活動を皮膚の上から調べる表面筋電図や、肘の角度などを評価した研究である。[9]

筋電図や、トルクを時間で積み重ねた値には、絶対値として男女差や反復による違いがあった。しかし相対値で表すと有意な性差は認められなかった。さらに反復が進むにつれて筋電図の振幅や肘の角度が変化した。性別のラベルだけでなく、何を基準に比べた数字かが結果の見え方を左右している。[9]

絶対値とは、そのままの測定値である。相対値は基準に対してどれくらいかを表す。この違いを省いて「女性は疲れない」と言ってしまうと、この研究が区別した比較をつぶしてしまう。女性同士であっても、別の人の保持記録を自分の練習量の根拠にする前に、力の入れ方や課題がそろっているかを考えたい。[9]

ここで女性を含む足首の研究も役に立つ。あちらは男女の優劣を決めるための結果ではなく、負荷条件で収縮時間などがどう違ったかを示した実験だ。参加者に女性がいることと、女性の競技ポーズだけの答えが出たことは同じではない。競技者の試験、男女比較の試験、負荷を比べた試験を並べることで、答えを借りられる範囲がはっきりする。[7][8][9]

研究の対象に自分と同じ性別が含まれていると、答えが身近に感じられる。それでも、参加者が筋力トレーニングの経験者なのか、競技者なのか、普段から活動的な成人なのかは確認したい。女性という共通点だけで異なる運動課題をつなぐより、対象と動作を対にして読むほうが、練習へ持ち帰る問いを選びやすい。[7][8][9]

数字で読むポーズ練習の周辺研究

16人:等尺性持久力を調べた男子大学生のボディビル競技者。女性対象の試験ではない。[8]

70%:その競技者試験で保持課題に用いた最大随意等尺性収縮に対する強度。[8]

20人:足首の準等尺性運動の参加者。女性11人と男性9人であった。[7]

25人:肘曲げの男女比較研究の参加者。このうち女性は12人であった。[9]

31人:静止収縮や呼吸などと血圧の関係を調べた健康な男性の人数。[19]

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宮川涼 Founder

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