スクワットは毎日同じ速さで行う?一回の所要時間と途中の減速を分けて読む

スクワットを毎日同じテンポで行っていても、立ち上がりの途中まで同じ速さとは限らない。一回の中の減速、反復を重ねた疲労、平均速度と最高速度の違いを研究から読む。重いバーベルと自重運動を区別し、所要時間だけでフォームや筋トレの成果を決めないための観察点を整理する。

床に敷いたマットの上で、動画の拍に合わせてスクワットをする。しゃがんで、立って、またしゃがむ。音には遅れていないのに、立ち上がる途中だけ動きが鈍く見える。昨日と同じテンポを守れたら、今日も同じ動作だったと考えてよいのだろうか。

答えの芯は、全体の所要時間と途中の速さを分けることだ。重いバーベルを担ぐスクワットでは、立ち上がりの最初に加速したあと、一時的に減速する区間が観察される。自重のスクワットでも動作の区間ごとに速度を調べた研究があり、疲労による変化は全体の時間だけでは捉え切れない。[3][6]

毎日の実施がよいかという頻度の問いとは切り分けたい。ここで扱うのは、同じテンポの内側に何があるかである。既存記事「ワイドスクワットは速く立つつもりで行う?実際の速さと力の出し方を分けて読む」には動作の意図を、「スクワットは立ち上がる途中でなぜ止まる?脚の角度と力が出にくい位置を読む」には止まりやすい位置の仕組みを譲る。こちらは、途中の減速と全体の記録が一致しない場面を読む。

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同じテンポでも、立ち上がりの中身は違う

テンポは動作の時間をそろえる目印になる。しかし、立ち始めから立ち終わりまで速度が一定だという意味ではない。筋力トレーニング経験者を調べた研究では、最大に近いバーベルスクワットの上昇局面に、最初の加速に続いて減速する領域があると説明されている。この区間がスティッキング領域である。「スティッキング」はここでは、上昇中に速度が落ちる区間を指す。[3]

途中で減速しても、上昇は続くことがある。上昇を続けながら速さが下がることと、動きそのものが止まることは分けて読む必要がある。研究は上昇中の領域を分け、バーの速度や体の角度、筋肉の電気的活動を調べている。「立てたか、立てなかったか」だけより細かい単位で、成功した反復の中身を見ているのである。[3][5]

動画で同じ拍に立ち終わる人を見ても、その途中の動きまで同一と考える必要はない。全体の時間を比べるなら、それは全体の時間の比較である。どこで減速したかを比べたいなら、動作の途中を見る。これは評価の目的を決めるための整理だ。研究でも、上昇全体に加え、減速する前、減速中、その後を分けて計測している。[4][5]

家の時計は、しゃがみの途中を採点してくれない。テンポを守れたという記録は残しつつ、それだけで昨日と同じ負担だったと決めない見方が役に立つ。動作の区間と反復回数を分けて見る研究にならえば、途中で鈍る場所と、反復を重ねて鈍り始める時点を別の観察欄にできる。[1][6]

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遅い場所が、そのまま最も力を出せない場所とは限らない

途中で遅くなった映像を見て「そこが一番弱い」と断定したくなる。ところが、動きながら挙げる場合と、同じ高さで動かずに力を出す場合では、力の小さくなる位置が一致しなかった研究がある。対象は筋力トレーニング経験のある男性11人で、最大重量のスクワットと、上昇中の異なる高さで行う静止したスクワットを比較した実験である。18〜39歳の女性の自重運動に同じ位置関係が生じるかは、この男性の最大挙上実験からは決められない。[7]

動く条件では、減速が最大になる出来事の周辺で力が最も小さく、2179±212 Nだった。静止する条件では、最も低いバーの高さで力が最も小さく、1735±299 Nだった。Nは力を表す単位である。この差は、目に見える減速の位置を、静止した姿勢で出せる力の最小位置へそのまま置き換えられないことを示している。[7]

研究者らは、股関節や膝を伸ばすために必要な作用と、筋肉が力を発揮する条件、切り返し後の増強作用の減少が組み合わさる可能性を挙げている。複数の要因を組み合わせた説明であり、特定の筋肉だけを原因とする結論ではない。[7]

また、体重に対して重いバーを扱える人ほど、必ず速度の谷が小さいわけでもなかった。余暇に筋トレを行う男性46人が、膝の角度が90度になるバックスクワットで、限界まで10回できる重量に挑んだ研究がある。体重に対する挙上重量の比で群分けしたところ、比の代表値は1.37と1.76だったが、上昇全体の速度や時間、各領域の運動学的指標に有意な群間差はなかった。男性の加重課題での群間比較なので、18〜39歳の女性の自重運動でも筋力と動き方が同じ関係になるかは別に確かめる必要がある。[4]

この比較が検証したのは筋力そのものの必要性ではない。決められた深さと課題において、相対的な筋力の違いだけでは動き方の群間差を説明できなかった、という結果である。隣で自分より重いものを挙げる人の速度曲線を、自分の完成形とみなす理由はない。[4]

最後の反復は、重さが違っても似て見えることがある

研究を読むときの鍵が、何回目を測ったかである。最初の余裕のある反復と、続けた末の最後の反復を混ぜると、「重い方がどう動くか」という比較の意味も変わる。筋力トレーニング経験のある男性13人を対象とした研究は、1回、3回、6回、10回がそれぞれ限界になる重量を使い、各条件の最後の反復を比べた。18〜39歳の女性が余裕を残して行う自重運動には、性別だけでなく負荷と疲労の条件にも隔たりがある。[5]

ここでいう限界回数は、その重量で実施できる最大の反復回数で、研究ではRMと表される。軽いバーを決められた回数だけ動かした比較とは違う。重さの異なる条件を、いずれも最後のきつい反復で比べている。この前提を外すと、研究の結果を日常の練習へ広げすぎてしまう。[5]

バーと足首、膝、股関節の動きは、反復回数の範囲が変わってもおおむね似ていた。一方、上体の前傾や一部の筋肉の電気的活動には差があった。最大重量を1回挙げる条件では、10回が限界の条件より、減速領域とその後の大腿外側やふくらはぎの一部の筋活動が高かった。[5]

つまり、外から見た軌道が似ていることと、同じ筋肉が同じように働いていることは同義ではない。研究者らは、10回が限界の条件では局所的な疲労が筋活動の違いに関係する可能性を示した。筋活動の測定値を、筋肉の成長量や運動の優劣の順位へ置き換える読み方は避けたい。[5]

男女各13人、計26人を扱った別の比較では、同じように異なる限界回数の最後の反復を調べ、女性で上体の前傾が大きいなどの違いがあった。反復回数による速度の出来事の時間差も報告されている。対象や課題の違いが上昇局面の要求を変えうるという結果であり、女性全員に同じ前傾姿勢を指示する根拠ではない。[3]

この二つの比較を合わせると、「最後まで同じテンポで動けた」という一文に、重さ、限界までの余裕、体の姿勢が隠れていると分かる。日々の記録では、成功の丸印を消す必要はない。その横に、どんな重さを使い、連続した反復のどこを見たかを添える方が、研究の比較条件に近づく。[3][5]

男性13人の比較は、同じ参加者が異なる重量条件を無作為の順序で行う設計だった。人が違うために動きが違うという影響を抑えながら、限界回数の条件を比べている。それでも最後の反復の動きがすべて同じになったわけではなく、上体や筋活動には差が残った。同じ人の映像であっても、回数の条件を伏せてフォームだけ評価すれば、課題に伴う違いを見落とすことになる。[5]

一方、男性46人の研究では、試験の前に動作に慣れる機会が設けられていた。3週間に5回の練習を経てから比較している。初めてバーを担いだ人と、動作に慣れた人をそのまま並べた結果ではない。研究の「差がなかった」は、こうした準備を共有した対象についての結果として読む必要がある。[4]

日常で昨日と今日を比べる場合も、時計に映る時間だけが条件ではない。試したばかりの動作なのか、慣れた動作なのかという背景を書き残せる。練習による変化の大きさをこの比較から計算することはできないが、研究で何をそろえて比べたかは、自分の観察を整理する手掛かりになる。[4]

数字で読むスクワットの途中の速度

男性11人の実験:動的な最大挙上と静止姿勢では、力が最小になる位置が異なった。[7]

男性46人の比較:相対的筋力の異なる群で、上昇全体と各領域の速度などに有意差はなかった。[4]

男性21人の自重実験:疲労しても、加速と減速の各区間の所要時間への有意な影響はなかった。[6]

女性20人の比較:バンド併用では減速領域の前のバー速度が21.0%高く、その後では22.8%低い結果だった。[18]

男性30人の比較:跳ぶスクワットの平均速度は14%高かったが、平均の力とパワーには有意差がなかった。[20]

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宮川涼 Founder

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