ピラティスの頻度を毎日と組む計画錯誤、移動と着替えの見積もりを実測で直す

ピラティスを毎日続けたいのに、仕事帰りには間に合わない。頻度を決める前に、レッスン以外の移動や着替え、帰宅後まで予定に入れているかを確認したい。時間を短く見積もる計画錯誤の研究から、予定の分解、過去の記録の使い方、実際の出発時刻で通い方を見直す方法を考える。

レッスン開始には間に合うはずだった。ところが更衣室でウェアを取り出す頃には、もう開始時刻が迫っている。予約したのはレッスンの枠だけで、仕事の片づけから着替えまでの時間は、予定表の外に置いたままだった。

ピラティスの頻度を毎日と組むなら、まず「通う」という予定の見積もりを点検したい。確認するのは、通うための時間をどこまで数えたかである。必要な時間を短く予想する傾向は「計画錯誤」と呼ばれ、作業をひとまとめにした見積もりと、細かく分けた見積もりの差が実験で示されている。[4][7]

ここで答えるのは、毎日なら体がどう変わるかではなく、毎日通えるという予定が生活の中で成立しているか、という問いだ。「ピラティスの頻度は誘われた回数で決めるか、断りにくさと自分で選ぶ継続を考える」には人との関係を譲り、この記事では出発から帰宅までの時間を扱う。心理学の知見を予定の点検に応用するのであり、ピラティスの最適な回数を実証した研究として読むものではない。

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毎日の予定に、レッスン以外の動作は入っているか

計画錯誤を調べた整形外科の研究では、同じ施設の専門研修を受けた外科医9人が、3か月にわたって手術時間と手術室の総利用時間を予測した。対象は759件である。総利用時間は17.3%短く見積もられていた一方、手術そのものの時間には有意な過小評価がなかった。中心となる作業の予測と、その前後を含む全体の予測は一致しなかったのである。外科医の業務を観察した研究なので、18〜39歳の女性の通う時間に、その数値をそのまま当てはめることはできない。[4]

この研究は通勤者のピラティスを調べたものではない。手術室の割合を、自分の所要時間にそのまま掛ける使い方もできない。ただ、慣れた中心作業を見積もれることと、その周囲まで含めて見積もれることを分けて考える材料になる。レッスンの終了時刻を知っていても、帰宅の時刻まで把握したことにはならない。[4]

たとえば職場を出る支度、駅までの道、電車を待つ時間、スタジオでの着替え、終わった後の帰路がある。これらは今回の研究で測定された内訳ではなく、読者が自分の予定表を点検するための項目だ。「レッスンに間に合うか」だけでなく、「何を終えてから出発できるか」「帰宅後の用事はどこに置くか」まで書くと、予定の対象がはっきりする。

毎日という言葉は、曜日の違いも平らにする。職場から直行する日と、いったん家に寄る日では経路が違う。講義が早く終わる日と、片づけまで必要な日も同じではない。まず違う条件を同じ空欄へ押し込めていないかを見る。行けなかった日の理由を、運動への意欲だけに置かないための点検である。

なお、外科医の研究でも見積もりのずれは状況によって異なった。病院と外来手術施設では手術時間の過小評価と過大評価の方向も異なっている。経験のある人でも必ず短く読む、という単純な法則ではない。自分の生活で何を数え落としたかに焦点を戻したい。[4]

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「通う」を分けて足すと、予定の大きさが変わる

ForsythとBurtは、将来の作業に割り当てる時間を扱う3つの実験を行った。ひとつの作業として時間を答える場合と、その作業を構成する小さな作業それぞれに時間を割り当てて合計する場合を比較した。どの実験でも、ひとまとめの作業に割り当てた時間は、小さな作業の合計より有意に短かった。[7]

この違いは分割効果と呼ばれる。時間を丸めて答えることだけが差の原因なのかも検討され、時系列の線に印を付ける答え方でも効果が認められた。単に端数を切り捨てたから、という説明だけでは捉えられない結果である。ただし、この実験が示すのは見積もりの差であり、分けて足せば必ず正確になるという保証ではない。[7]

生活への応用例として、予定表の「ピラティス」を、仕事の片づけ、移動、到着後の準備、レッスン、帰る準備、帰宅へと分けてみる。各項目には自分が実際に使った時間を当てる。研究で決められた理想の配分ではなく、ひとまとめの予定で見えなくなっていた動作を取り出す作業である。[7]

このとき、同時に進められる用事と、順番を待つ用事も区別したい。電車の中で連絡を返せるとしても、乗車前の移動まで消えるわけではない。帰り道の買い物を「ついで」と呼んでも、買い物が終わるまで帰宅はできない。ついでという言葉は便利だが、時計を止める機能はない。

分けた結果、今の予定には収まらないと分かったら、それ自体が判断材料になる。毎日という目標を守るために、各項目を都合よく縮め直す必要はない。まず実際の生活で成り立つ経路と時刻を確認する。時間の分解を、予定を詰める技術ではなく、詰め過ぎを発見する道具として使うのである。[7]

前に行けた日の記憶だけでは、次の予定を決められない

過去の経験も、次の予測をずらす基準になりうる。Thomasらは、先に行った作業の経験が次の作業時間の予測にどう影響するかを3つの実験で検討した。短い作業の後では長い作業を短く予測し、似た処理を含む長い作業の後では短い作業を長く予測する結果が得られた。直前の経験が基準になっていたのである。[13]

最初の値や直前の経験が判断の基準となり、そこからの修正が十分でない見方を、ここでは足場に引っ張られる見積もりと考えると分かりやすい。この研究は、過去の作業経験が無視されるばかりではなく、利用の仕方によって予測がずれることを示した。経験を使うか使わないかだけでは説明が足りない。[13]

スタジオにすぐ着いた休日の記憶を、平日の仕事帰りへ持ち込んでいないだろうか。休日は家から出発し、平日は職場から向かうなら、同じ目的地でも条件は違う。これは研究から着想した確認例であり、休日の記憶が通学・通勤者の見積もりをどれだけ変えるかという効果量ではない。[13]

記録を使うなら、所要時間と一緒に出発地点、途中の用事、到着前に必要だった準備を残す案がある。速く着いた日の数字だけを見るより、次に予定している日との共通点と違いを説明しやすい。遅れた日を単なる失敗として捨てず、何に時間を使った日だったかを残す。比較対象を選ぶための記録と位置づけたい。

ここには理論上の論点もある。Royらの論評は、過去の時間についての記憶自体が偏っている可能性を挙げ、未来の所要時間を短く見積もる原因は複数ありうると論じている。過去を思い出さないことだけを唯一の原因にしない立場である。実測の記録と「すぐ着いた気がする」を分ける発想は、この区別から得られる。[14]

比較する記録は、速いか遅いかだけで選ばない。たとえば職場から直行できた日には、家で荷物を用意する工程がなかったのかもしれない。いったん帰宅した日には、その工程が入る。着いた時刻だけが同じでも、必要だった動作は異なることがある。「前回と同じくらい」で済ませる前に、今回も同じ手順で動けるかを照合する案である。[7][13]

手術室の研究には、経験とともに見積もりが変わった結果もある。対象の最初の25%と最後の25%を比べると、手術時間の予測と実測との絶対的な差は13.6分から10.9分へ小さくなった。ここでいう絶対的な差は、長く予想したか短く予想したかの方向を外したずれの大きさだ。総利用時間の17.3%という過小評価とは別の指標なので、混ぜて読まないことが必要である。[4]

この結果を、記録するだけで通う時間の予測も改善するという因果関係に置き換えることはできない。それでも、予定と実際の差を比べるときには、短く見積もった方向と、ずれの大きさを分ける見方が使える。いつも到着が遅れるのか、早い日と遅い日が混在するのかでは、点検したい条件が違う。[4]

前者なら予定から抜けた動作を探し、後者なら出発地点や途中の用事で日を分けてみる、という使い方が考えられる。帰り道に買い物をする日も、まっすぐ帰る日も、同じ「通えた日」の記録に畳まない。予定表へ残したいのは、最短だった日の記念ではなく、次の曜日に照らせる条件である。

数字で読む時間の見積もり

9人・759件:整形外科医が自分の手術と手術室の総利用時間を予測した研究の規模である。[4]

17.3%:同研究で総利用時間が短く見積もられた割合。通う時間に適用する補正率ではない。[4]

3実験:作業全体より、小さな作業に分けた時間の合計が長くなった実験の数である。[7]

3実験:先行する作業の長さが、次の作業の時間予測に影響した研究の実験数である。[13]

154人・4週間後:判断の偏りを減らす訓練の研究で、参加人数と訓練後の評価時点を表す。[8]

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宮川涼 Founder

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