ダイエット中の間食は同じ糖質量なら同じ反応?別の日の血糖を比べる条件

ダイエット中の間食は、同じ糖質量なら別の日も同じ血糖反応になるのか。食品を比べる試験と成分分析の精度、人による反応の違いを分け、記録を比べる前にそろえたい食品・量・測定時点を考える。低GI食の長期試験も読み、平均的な効果を自分の翌日の数値へ置き換えない見方を示す。

昨日と同じおやつなのに、今日は食べた後の感じが違う。袋に書かれた糖質量は変わらない。これを血糖の違いと考えてよいのだろうか。食後の感覚をメモすることと、血糖を測ることは分けて考えたい。

体感だけで血糖の高低は判定しない。同じ糖質量でも食品が違えば食後の反応が違う場合はある。一方、人による違いを示した研究から、そのまま自分の別の日の変動幅を計算することはできない。食品を比べる問い、人を比べる問い、日を比べる問いを分けて読む必要がある。[6][20]

時刻そのものの論点は既存記事「間食は寝る前ほど血糖が上がる?同じ食品と体内時計、夜の時刻を研究で読む」に譲る。こちらで考えるのは、別の日の記録を並べたときに、何がそろっていれば食品の比較として読めるのか、という問題である。

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同じ糖質量でも、食品まで同じとは限らない

「糖質量を合わせた」と「食べたものを合わせた」は別の条件だ。糖質の量が同じなら、体に入ったものの性質もすべて同じ、とはいかない。糖質量をそろえて食品を食べ比べた試験は、その違いを具体的に示している。[6]

糖尿病のない成人10人が参加した、無作為化された急性の比較試験がある。対象者の平均年齢は42.0歳、平均BMIは28.0で、カカオの果肉とブドウ糖を別の機会に摂った。いずれも利用可能炭水化物25g分で、食後120分間の反応が調べられた。「利用可能炭水化物」は、ここでは消化・利用される炭水化物の量を合わせるための研究上の条件である。平均年齢42.0歳の成人の結果を、18〜39歳の女性全体へそのまま当てはめることはできない。[6]

結果は、カカオの果肉の血糖上昇の累積指標が、ブドウ糖より50%小さかった。増分曲線下面積と呼ばれる指標で、値はそれぞれ83.5と166.1mmol×min/Lだった。これは食後のある瞬間の値ではなく、食前からの上昇を時間に沿ってまとめた数値である。同じ25gでも、比較した食品の反応は一致しなかった。[6]

ただし、これは身近なお菓子をすべて順位づけする試験ではない。対象は少人数の成人で、特定の果肉とブドウ糖を比較した結果だ。果物なら何でも同じ差が出る、あるいは糖質を同じだけ含む食品はどれもこの割合で違う、と広げることはできない。[6]

夕方の売り場で袋の表示を見比べるとき、糖質量は量を確かめる手掛かりになる。しかし、それだけで食後反応の完全な設計図にはならない。この試験の価値は「この食品だけを買えばよい」という買い物の答えより、量を合わせても比較が終わらないことを示した点にある。[6]

カカオの果肉のGIは51±4と報告された。この値と、増分曲線下面積が50%小さいという結果も、同じ数字の別表記ではない。前者は食品の血糖反応を表す指標、後者は比較条件に対する累積反応の差である。数字だけを拾って「血糖が51になる」と受け取らないよう、指標の名前と組にして読む必要がある。[6]

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食品の量が正確でも、体の反応の再現性とは別である

炭水化物を測る研究には、食品を分析する研究と、人が食べた後を測る研究がある。「繰り返しても安定して測れた」と聞いたとき、どちらの話かを確かめたい。食品の成分を正確に測れることから、人の血糖も別の日に同じになるとは結論できない。[3][20]

食品中の利用可能炭水化物を直接測る方法を開発した研究では、消化されるでんぷん、マルトデキストリン、ショ糖、乳糖、ブドウ糖、果糖などが測定対象とされた。穀類、野菜、果物、乳製品など幅広い試料を扱い、酵素で分解してできた糖を測る方法が検証された。これは人に食べてもらう試験ではなく、成分分析法の研究である。[3]

この方法の単一施設での検証では、利用可能炭水化物を44.1〜88.9%含む試料について、日を変えた分析の相対標準偏差は3.58%未満だった。相対標準偏差は、測定値の散らばりを平均に対する割合で表す指標だ。数字が示すのは、この分析法で食品成分を測るときの精度である。[3]

分析の手順にも、人の食事と違う点が見える。消化されるでんぷんは、酵素とともに37°Cで4時間、振とうまたは攪拌しながら分解された。ショ糖や乳糖などは、それぞれに対応する酵素で構成する単糖へ分けて測る。温度と時間と使う酵素を決めた操作によって、何を測った値なのかが定まる。[3]

この方法ではブドウ糖、果糖、ガラクトースを別々に測ることも重視されている。炭水化物の総量だけでなく、その内訳に関する情報を得る分析である。成分を詳しく把握する研究の役割は大きいが、それでも完成した数値と食後の血糖の曲線は別の情報である。成分を調べる段階と、人の反応を確かめる段階をつなぐには、人を対象とした検証を読む必要がある。[3][20]

この3.58%を、自分の食後血糖の許容幅として使うことはできない。食品を酵素で分解して測る実験と、人が消化して反応する場面では、測っている対象が違うからだ。でんぷんの構造を扱うレビューでも、試験管内のモデルによる理解と、人の血糖反応を予測することには区別が必要とされている。[3][20]

家庭でメモを読むときにも、この区別は役に立つ。「同じ袋から同じ量を食べた」は食品側の条件であり、「同じ結果が出るはずだ」は体の反応についての予想である。前者をそろえたことだけで後者まで保証された、と考えない。計量の正確さを高めることと、記録の読み方を慎重にすることは両立する。[3][20]

人による違いを、自分の日ごとの差に置き換えない

でんぷんの結晶構造をまとめたレビューは、消化のされやすさに分子の詰まり方や構造の安定性が関わると整理している。その一方、人の試験では、結晶構造を変えた食品への血糖反応に大きな個人差が認められるとしている。食品構造の情報だけで全員の反応を予測するのは難しい。[20]

ここでいう個人差は、人と人の違いである。友人と自分の反応が違うことと、自分の昨日と今日の反応が違うことは、比較の単位が異なる。人と人の違いを見つけた結果を使って、「同じ人でも別の日にはこれだけ変わる」と数値化するのは避けたい。[20]

たとえば友人が「このおやつは自分では上がらなかった」と話していても、それは友人の経験である。自分が違う数値になったとき、食べ方が下手だったという話にはならない。食品構造への反応に個人差があるという研究は、他人の結果を自分の合否判定に使わないための背景になる。[20]

対象者の状態にも目を向けたい。慢性腰痛のある人などを調べたクロスオーバー試験の二次解析では、ショ糖を摂った後の反応と、年齢、食事の質、精神的な健康状態などの関連が調べられた。ここでクロスオーバーとは、同じ参加者が異なる条件を経験する比較の組み方である。解析対象となった結果は女性に特有で、男性への一般化にも注意が必要とされた。慢性腰痛患者と健康な対照者を扱った解析であり、18〜39歳の健康な女性の間食選びへそのまま当てはめることはできない。[19]

その研究では、年齢が高いこと、食事の炎症性が高いこと、精神的な健康状態が良好でないこと、食事の質が低いことなどが、食後反応の変化を予測する変数として関連していた。ただし二次解析の関連であり、精神状態が血糖の違いを引き起こしたと断定する結果ではない。[19]

仕事が立て込んだ日の記録を見て、「ストレスが原因だ」と決めるのも早い。関連する項目が見つかったことは、その日の数値の理由を特定したこととは違う。食品の評価に入る前に、対象者、比較条件、解析の性質を確かめる。研究を生活に近づけるときほど、この順序を守りたい。[19]

数字で読む糖質量と血糖の比較

10人:糖尿病のない成人を対象とした、カカオの果肉とブドウ糖の急性比較試験の人数である。[6]

25g:その試験でそろえた利用可能炭水化物の量。食品そのものの重量ではない。[6]

120分:その試験で食後の反応を追った時間。長期の食生活の結果とは異なる。[6]

50%:果肉の増分曲線下面積がブドウ糖より小さかった割合。瞬間の血糖値が半分という意味ではない。[6]

3.58%未満:食品成分分析の日間相対標準偏差であり、人の食後血糖の日間変動幅ではない。[3]

1,973人:低GI食のメタ分析に含まれた参加者数。幅広い対象者をまとめた数字である。[16]

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宮川涼 Founder

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