ダイエットの間食の餅は玄米なら違う?精米の表示と消化の実験を読み分ける

ダイエット中の間食に玄米餅を選べば、白い餅より消化が遅くなるのか。もち米のぬかから取り出した食物繊維、米粉の挽き方、玄米を使った加工食品の研究を手がかりに考える。試験管内の消化と人の血糖反応、食感と腹持ちを分け、原材料表示から判断できる範囲と選ぶときの確認点を読む。

餅の袋を裏返すと、表の大きな「玄米」の文字から原材料の細かな表示へ視線が移る。白い餅と、粒の残った玄米餅。「間食にするなら玄米の方がよさそう」と思うとき、知りたいのは茶色の印象ではなく、食べた後に何が違うかだ。

答えの芯は、玄米という表示だけでは、でんぷんの消化の速さも減量効果も決められない、である。もち米のぬかから分離した食物繊維には、試験管内ででんぷんの消化に関わる指標を変える働きがある。一方、玄米を使った米菓の加工研究では、発芽や酵素処理によって構造や食感も変わっている。ぬかの成分と、できあがった餅の性質は分けて考えたい。[15][6]

既存記事「ダイエットの餅は団子より消化が速い?つく工程と米の構造から食後の違いを読む」に、つく工程と団子の比較は譲る。ここで確かめるのは、精米の程度を手がかりに餅を選ぶとき、ぬかの実験と加工の実験をどうつなげればよいかだ。白い餅を悪者にするための比較ではない。

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玄米という名前と、ぬかの成分の実験を分ける

精米の表示でまず目が向くのは、米の外側の部分だ。ただし、ぬかを含む食品を食べることと、ぬかから特定の成分を取り出してでんぷんに加えることは、同じ実験条件ではない。もち米の白色種と黒色種のぬかを比べた研究は、水に溶ける食物繊維を分離して、その構造や粘り、糖に対する性質を調べた食品成分の実験である。[15]

この研究では、黒いもち米ぬか由来の食物繊維は、白いもち米ぬか由来のものに比べて粒子が小さく、粘度が高く、網目状の構造が豊かだった。糖を吸着する能力や、糖が広がるのを遅らせる能力も高かった。さらに、でんぷんに加えた試験管内の評価では、糖の吸収に関する速度定数と予測の血糖指標が、白いもち米由来の繊維を加えた場合より小さかった。[15]

この研究の比較軸は、もち米の白色種と黒色種という原料の違いだ。どちらからもぬかを取り、そこから水に溶ける食物繊維を分離している。原料を選ぶ工程、ぬかを取り分ける工程、繊維を分離する工程をたどると、研究に使った材料の輪郭が見える。商品説明に「黒米」「玄米」「米ぬか」とあったら、まず米の種類を指す言葉か、加えた材料を指す言葉かを読み分けるとよい。[15]

市販品を比べるときは、袋の表の名称に加え、裏の原材料名を読む。玄米もち米を使っているのか、ほかの米と組み合わせているのか、米ぬかを材料として加えているのか。実際に書かれた言葉を拾って、原料の違いを整理するための確認だ。研究で扱ったぬかの繊維という材料も、このように由来をたどると位置付けやすい。名称の印象より、材料を具体的に言えることを優先したい。[15]

ぬかを分けて調べる実験には、食品を丸ごと比べるだけでは見えにくい性質を取り出せる利点がある。例えば、白色種と黒色種の食物繊維は、含まれる糖の組成にも違いがあった。黒色種由来のものはグルコースが多く、別の種類の糖は少なく、アントシアニンという色素も含んでいた。単に色が付いた同じ材料を比較しているわけではない。[15]

原材料名を見て疑問が残ったら、袋の別の面や製造者の商品説明を探す。「玄米入り」という言葉を見つけた場合も、その言葉だけをメモするより、原材料欄の米の名称と一緒に残す方が比べやすい。白色種と黒色種の繊維に組成の違いがあった研究のように、材料を細かく特定することが比較の出発点になる。分からない工程は想像で埋めず、確認した材料から選ぶ。[15]

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消化を遅らせる仕組みも、ひとつではない

でんぷんを分解する酵素の働きが弱まれば、消化も遅くなるはずだ。そう考えたくなるが、もち米ぬかの食物繊維の比較は、もう少し入り組んでいる。黒色種由来の食物繊維は、白色種由来のものより糖の吸着や拡散の抑制に優れていた一方、αアミラーゼというでんぷんを分解する酵素を抑える能力は低かった。[15]

つまり、この実験では「酵素を強く抑える方が、すべての消化指標でも優れている」という単純な並びになっていない。粘度、粒子の大きさ、網目構造、糖との関わりなど、別の性質も同時に動いていた。研究では食物繊維と酵素の相互作用に伴う酵素の構造変化も調べられている。消化という結果を、食物繊維があるかないかだけで説明し切らないことが大切だ。[15]

この結果を表示の読み方につなげるなら、「食物繊維」という共通の呼び名の内側にも性質の違いがあると覚えておきたい。黒色種由来の繊維では、粘りや網目の構造と、糖を吸着する能力が併せて調べられている。商品の説明でも、何の成分を特徴として挙げ、その特徴を何で確かめたのかをたどるとよい。原料の名前と性質の説明を組にして読むための視点である。[15]

酵素と繊維との結び付き方にも違いがあった。白色種由来の繊維と酵素の相互作用には、水素結合などが関わり、黒色種由来では水となじみにくい部分同士の相互作用が関わっていた。いずれも酵素の構造の一部が変化していた。粘度だけでなく、材料同士の結び付きまで調べることで、糖の動きや酵素への作用が同じ順位にならない背景を考えられる。[15]

精米の程度と、粉に挽く方法は別の条件だ

米の加工を扱う英語の論文では、挽き方を示す言葉が登場する。今回の製粉研究が比較したのは、乾いた条件、水を使う条件、その中間の条件で米を粉にする方法である。外側をどこまで削ったかという精米の程度と、どのように粉にしたかという製粉方法を混ぜると、研究の読み方が変わってしまう。[4][18]

もち米粉と、それで作った団子を調べた実験では、乾式製粉は湿式製粉より、損傷でんぷんの割合が高く、粉の粒子も粗かった。損傷でんぷんとは、ここでは製粉によって傷ついたでんぷんを指す。乾式の粉では、加熱したときの粘度や糊化温度、結晶性なども低かった。糊化は、でんぷんを加熱して性質が変わる現象であり、食感を考える際の手がかりになる。[18]

別の食品実験では、もち米だけでなく、うるち米の種類も含めて製粉方法を比較した。乾式では損傷でんぷんが多く、溶けやすさと膨らみやすさが増す一方、糊化温度と糊の粘度は下がった。湿式では損傷が少なく、粒子は細かかったが、膨らみやすさや溶けやすさは低かった。粉の細かさだけを見ても、でんぷんの傷つき方までは分からない組み合わせである。[4]

この比較は「粗いほど自然で消化が遅い」「細かいほど消化が速い」と決める危うさを教える。粒子の大きさと損傷の程度が同じ方向に動くとは限らず、粘度なども変化するからだ。ただし、これらは米粉の物性や団子の品質を調べた実験である。損傷でんぷんが多かったという結果だけから、人の食後血糖がどれだけ上がるかを数値で割り当てることはできない。[4][18]

棚の前では「玄米か白米か」という選択に見える。しかし、研究を読むと、その先に製粉条件という別の分かれ道がある。原料の区分が同じでも、加工条件まで同じと想定しないこと。商品を比べるときは、見える粒や色で製造工程を推測するより、表示や説明で確認できることを拾う方が、根拠との距離を保てる。[4][18]

製粉研究でいう品質の良さも、消化の遅さと同義ではない。湿式で作った粉の団子は、乾式のものと比べて表面や弾力などに違いがあった。作り手が求める滑らかさや加工への適性を調べる研究と、食べる人が求める食後の満足感を調べる研究では、良いと判断する物差しが異なる。「品質が改善した」という結論を見たら、何の品質なのかまで読みたい。[18]

数字で読む米ぬかと加工の実験

米ぬか油を使った乳化物を加えた米のケーキでは、速く消化されるでんぷんが70.35%から55.03%へ変化した。試験管内での結果である。[2]

同じ実験の難消化性でんぷんは4.22%から14.39%へ増えた。乳化物を組み込んだ食品での比較である。[2]

予測の血糖指標は94.61から84.73へ下がった。消化評価から予測した値である。[2]

玄米を使った米のケーキの加工実験では、ある品種の相対結晶性が33.06%から41.43%へ変化した。でんぷんなどの構造を表す指標である。[6]

別の品種では23.47%から24.95%へ変化した。同じ加工研究でも、材料によって変化の幅が違った。[6]

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宮川涼 Founder

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