ダイエットの緑茶は運動後の回復にもよい?酸化の数値と筋肉痛を分けて読む

ダイエットのために選ぶ緑茶は、運動後の筋肉痛や回復にも役立つのか。緑茶抽出物の比較試験と系統的レビューから、酸化ストレス、筋損傷の指標、痛み、運動成績の違いを読む。単回摂取と継続摂取、普段のお茶と研究用の成分量を分け、帰り道の飲み物に期待できる範囲を考える。

朝、台所でお茶をいれるためにしゃがむと、昨日の運動をふくらはぎが思い出させる。湯のみを手に取り、「これで筋肉痛も軽くなるなら」と考える。飲み物を選ぶ場面では、脂肪のことと翌日の脚のことが、同じ期待に入りやすい。

緑茶には運動に伴う酸化ストレスの指標を改善する可能性がある。ただし、緑茶抽出物を使った比較試験では、筋損傷の指標が減っても筋肉痛は変わらず、別の試験では酸化ストレスが抑えられてもスプリント成績は改善しなかった。血液の数字と、階段を下りる脚の感覚は、分けて読む必要がある。[10][15][18]

体重への期待は既存記事「緑茶カテキンの減量効果はどれほどか 痩せる数字と普段のお茶の距離を読む」に譲る。また「ダイエット中のワインは運動後でもよい?晩酌と筋肉の回復を分けて読む」が扱う晩酌の問いとも区別する。ここで確かめるのは、緑茶の抗酸化という言葉を、運動後の回復にどこまで結び付けられるかである。

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酸化ストレスが減ると、何が変わったことになるか

酸化ストレスとは、反応性の高い物質と、それに対処する抗酸化側との釣り合いが崩れた状態を指す。緑茶と運動を扱うレビューは、運動の強さや長さ、運動の特徴、体力水準によって、この反応が変わると整理している。「運動をした」という共通点だけでは、体内反応を一律には扱えない。[13]

緑茶に含まれるカテキンやポリフェノールには、抗酸化や抗炎症に関わる作用が研究されている。だが、作用の説明と、生活で欲しい結果の確認は別の仕事である。抗酸化に関わる物質を摂ったあと、血液の検査値が変わったのか、痛みが減ったのか、次の運動で力を出せたのか。どこを測った研究なのかで、受け取れる答えが変わる。[13][15][18]

たとえば男性の短距離選手の試験では、血中の総抗酸化能という、抗酸化側の働きを示す指標や、酸化ストレスの指標が評価された。同時に筋損傷に関する指標とスプリント成績も調べている。18〜39歳の女性の日常の運動にそのまま当てはめられるかは、別に検証が必要だ。結果は一斉に良くなる形ではなかった。緑茶抽出物で変わった項目も、変わらなかった項目もあったのである。[18]

この食い違いこそ、読む価値がある。回復という言葉に含めたいものは、読者によって違う。階段で痛まないこと、仕事中に脚が気にならないこと、次の練習で同じ力を出せること。研究が血液の変化を見つけたとき、これらをまとめて達成したように読めば、飲み物への期待が結果を追い越してしまう。[15][18]

「抗酸化だから回復によい」と聞いたら、その後ろに測定項目を足して読むとよい。何の指標に変化があり、何には差がなかったのか。高強度運動後の栄養を扱うレビューも、緑茶の根拠は、機能面で一貫した回復改善を示すというより、酸化ストレスの調節に関して強いと整理している。[2]

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続けて摂る研究と、その場で飲む研究は違う

緑茶と運動後の酸化ストレスを調べた系統的レビューは、無作為化された試験と、無作為化されていない対照試験を合わせて11件検討した。系統的レビューとは、決めた条件で研究を集めて全体の傾向を調べる方法である。このレビューでは、採用された研究の方法上の質は、いずれも中程度と評価された。[10]

整理された傾向は、単回摂取と継続摂取で違っていた。単回の緑茶摂取は、全体として抗酸化状態や運動に伴う酸化ストレスを改善するようには見えなかった。一方、運動前から1週間を超えて、カテキンを1日400〜800mg摂る条件では、総抗酸化状態の改善と酸化ストレスからの保護が示唆された。[10]

ここでの数字は研究条件であり、飲み方の推奨ではない。レビューで調べたのは一定量のカテキンを継続して摂る条件であり、レッスンを終えた帰りに、のどの渇きに合わせてお茶を選ぶ場面とは違う。運動前から続けた研究の結果を、「今飲めば今日の疲れが取れる」に変換することはできない。[10]

単回摂取を直接調べた例もある。サッカー選手16人を対象にした無作為化二重盲検試験では、緑茶ポリフェノール640mgか偽の成分を摂り、きつい筋持久力の運動を行った。二重盲検とは、参加者と評価する側が、どちらを摂ったか分からないようにする方法である。競技者を対象とする結果を18〜39歳の女性の軽い運動へそのまま当てはめることはできない。[20]

運動後には両群で酸化ストレスに関わる血液の指標が増え、回復後の測定でも高い状態が続いた。緑茶成分の単回摂取によって、測定した酸化ストレスや筋損傷の項目に有意な改善は認められなかった。この条件の単回摂取では、運動に伴う血液指標の変化を抑えられなかった。[20]

これは緑茶を飲む楽しみを否定する結果ではない。試験の問いは、強い運動に対して、その量をその時点で摂ることが、血液指標を改善するかであった。飲み物として好きだから選ぶことと、回復の手段として効果を見込むことでは、必要な根拠が異なる。[20]

筋損傷の指標が減っても、筋肉痛は減らなかった

翌日の痛みに近い問いを扱ったのが、運動習慣のない男性20人の無作為化三重盲検比較試験である。緑茶抽出物を1日500mg摂る群と、偽の成分を摂る群に分かれ、15日間の摂取前後に、ふくらはぎの筋群で遅れて出る筋肉痛を起こす運動を行った。18〜39歳の女性でも同じ結果になるかは、この男性の試験だけでは判断できない。[15]

この研究では、痛みを本人が視覚的な尺度で評価した。それに加えて、筋損傷、酸化ストレス、抗酸化状態を示す血液の項目も測定した。痛いかどうかを血液だけで代用せず、感じている痛みを別に確かめた点が、日常の疑問につながる。[15]

結果は、筋損傷の指標は減ったが、筋肉痛の感覚は変わらなかった。血中の酸化損傷の指標と抗酸化状態にも、摂取による効果は認められなかった。緑茶抽出物を続けた群で、回復項目ごとに結果が分かれた。[15]

この結果を「緑茶で筋肉痛が軽くなる」と紹介すれば、研究が実際に確かめた痛みの結果と食い違う。「筋損傷の指標に改善があった」と「痛みが楽になった」は、似た印象を持つが違う文である。採血の結果は、階段の手すりをつかむ必要がなくなったという報告にはならない。[15]

反対に、痛みが変わらなかったことだけで、測定された指標の変化まで無意味だったと切り捨てる必要もない。どちらもこの試験の結果である。研究の価値を全部肯定するか全部否定するかで決めず、改善した対象を小さく正確に言い表すほうが、次の判断に役立つ。[15]

また、対象は運動習慣のない男性で、実験はふくらはぎの筋群を使った条件である。普段から運動する女性のヨガ後や、上半身の筋トレ後に、同じ結果がそのまま起きると決めることはできない。身近な場面に置き換えるときも、誰のどの運動を調べたかは残しておきたい。[15]

筋肉痛の試験で使った500mgは緑茶抽出物の量であり、系統的レビューに出てくる400〜800mgはカテキンの量である。どちらもmgなので数字の大小を比べたくなるが、数えている中身が違う。「多いほうが強い」という並べ方をする前に、抽出物全体の量なのか、特定の成分量なのかを確かめる必要がある。[10][15]

筋肉痛の試験では、緑茶抽出物を摂る群と比較する群に、それぞれ10人が参加した。無作為に群を分け、何を摂ったか分からないようにして比較する設計は、期待の違いなどを抑えて評価するための工夫である。それでも、この人数の男性で得られた結果を、年齢や運動歴の違う人全体の答えとして広げることには慎重さが要る。[15]

運動前から摂る条件にも目を向けたい。筋肉痛の研究は15日間、レビューで継続の効果が示唆された条件は1週間を超える摂取だった。運動直後の飲み物を選ぶ人にとって、気になるのは帰り道から翌日までだが、研究ではそれ以前から摂取している。この時間のずれを残したまま読むことが、実験と暮らしをつなぐ出発点になる。[10][15]

数字で読む緑茶と運動後の回復

11件:酸化ストレスを扱う系統的レビューに採用された対照試験数。研究の質はいずれも中程度だった。[10]

400〜800mg:継続摂取で改善が示唆された、1日当たりのカテキン量。飲用の推奨量ではない。[10]

20人・15日間:筋肉痛を調べた男性の試験規模と摂取期間。筋損傷指標と痛みの結果は一致しなかった。[15]

16人・4週間:短距離選手の比較試験で、各摂取条件を続けた人数と期間。スプリント成績に改善はなかった。[18]

640mg:サッカー選手の単回摂取試験で使った緑茶ポリフェノール量。測定項目への有意な効果はなかった。[20]

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宮川涼 Founder

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