ホットヨガ後のナッツは肉の代わりになる?消化率と食品ごとのたんぱく質評価

ホットヨガ後のナッツを肉やチーズの代わりに考えるときは、たんぱく質の量だけでなく、消化率と必須アミノ酸の構成も見たい。アーモンドとピスタチオの研究、評価法による結果の違い、豆類と組み合わせる食事の考え方を読み、持ち帰りやすい補食と夕食の役割を分けて考える。

レッスンで使ったタオルを片づけ、バッグからナッツの小袋を取り出す。ホットヨガの帰りにナッツを食べれば、夕食の肉やチーズも代わりにできるのか。持ち歩きやすさと、たんぱく質として同じ働きを期待できるかは、分けて考えたい。

答えの芯は「ナッツにもたんぱく質はあるが、同じ重さなら同等、とは扱えない」である。量に加えて、アミノ酸の構成と消化されやすさが関わるからだ。アーモンドでは消化率が比較的高くても、アミノ酸を含めた質の評価は低くなった研究がある。[4][10]

既存記事『疲労回復のナッツとチーズはどう選ぶ?運動後の間食に足したい燃料を読む』には補食の燃料の話を譲る。ここでは、ナッツで夕食のおかずを置き換えるときに、たんぱく質の量と質をどう比べるかを考える。

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同じ袋の重さと、同じたんぱく質量は違う

売り場でナッツとチーズを見比べるとき、まず袋や個包装の大きさが目に入る。ただ、食品全体の重さをそろえることと、含まれるたんぱく質量をそろえることは別の比較である。さらに、たんぱく質量をそろえても、アミノ酸の構成と消化率まで同じにはならない。動物性食品を植物性食品に置き換える食事モデルをまとめたレビューは、この区別の重要性を指摘している。[2]

このレビューは、子どもや高齢者の想定食も含め、食事を計算上で組み替える23研究を集めたものである。18〜39歳の女性の実際の摂取や体調を直接追った結果とは区別して読む。植物性中心の想定食では、動物性食品を含む食事よりたんぱく質摂取量が低くなる傾向があったが、各国の必要量は満たす場合もあった。一方で、植物性食品の割合が増すとアミノ酸の充足が下がる条件もあった。「植物性なら不足する」と「量さえあれば同じ」のどちらも、研究全体の姿を表さない。[2]

置き換え先も重要である。同じレビューでは、穀類より豆類、ナッツ、種子類を使うほうが、たんぱく質の量と質を確保しやすいとされた。ナッツは植物性食品の中で役割を持つ。そのことと、肉をそのまま小袋に入れ替えてよいことは同義ではない。比較する相手によって、食品の位置づけは変わる。[2]

たとえば帰宅後に食事をする予定なら、小袋は「夕食までの補食」として考えられる。夕食の主なおかずを丸ごと省くつもりなら、問うべきことが増える。何をどれだけ省き、代わりにどんな食品を食べるのか。その確認を飛ばして、ナッツという名前だけで置き換えを完成させないことが、食事モデルからの実用的な読み方になる。[2]

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消化率とアミノ酸構成は別々に読む

たんぱく質の質は、消化される割合だけで決まらない。食品中のアミノ酸の構成を必要な構成と比べ、相対的に足りなくなりやすいものも評価する。この評価で基準に対して最も不足側にあるアミノ酸を、制限アミノ酸と呼ぶ。アーモンドの分析は、量、消化率、アミノ酸構成を別々に見る意味をよく示している。[10]

2019年の研究では、アーモンドの品種を調べ、生体内と試験管内の方法で評価した。評価対象は食品であり、18〜39歳の女性が食べた後の筋肉の変化へ直接当てはめる値ではない。真の糞中たんぱく質消化率は85.7〜89.9%だったが、リジンが最も制限となるアミノ酸だった。アミノ酸構成を消化率で補正する指標であるPDCAASは44.3〜47.8となった。消化率の数字だけなら見落とす違いが、構成も合わせると現れる。[10]

ここで、消化率が約9割だから「必要なアミノ酸も約9割そろう」と読んではいけない。消化されやすさと、必要な構成に対して何が不足側になるかは別の情報である。また、PDCAASの値を、そのまま食品の重さに掛けて自分の筋肉になった量を計算することもできない。この研究が評価したのはたんぱく質の質であり、ホットヨガ後の筋肉増加量ではない。[10]

もう少し古い2005年のアーモンド研究では、成人の参照パターンで制限となったのは含硫アミノ酸だった。これも食品の分析であり、18〜39歳の女性に不足が生じたことを示す調査ではない。これはメチオニンとシステインを合わせた区分である。子どもの参照パターンでは、これにリジンとスレオニンも制限側として挙がった。どの年齢の必要な構成と比べるかで、同じ食品を説明する言葉も変わる。[17]

古い研究が含硫アミノ酸を、新しい研究がリジンを挙げるため、どちらかだけを選ぶと「アーモンドは必ずこの成分が不足する」と言いたくなる。しかし対象品種や参照パターンなどの条件が異なる評価を、条件抜きで一致させることはできない。共通して読み取れるのは、消化率だけで評価を完結させず、アミノ酸構成も確かめる必要があるという点だ。[10][17]

2019年の研究では、その年に扱った品種だけでなく、2000〜2014年に行われた73件の分析による過去のたんぱく質・アミノ酸組成も検討した。過去のデータでもリジンが制限側に位置づき、組成や質の指標には時間を通じた持続性が見られた。単に新しい収穫年だから以前の評価が無効になる、という結果ではなかった。[10]

また、同研究の試験管内での評価は、生体内の評価と似た傾向ながら低い結果となった。測定方法が違えば、同じ食品にも異なる値が付く。インターネットで数字を見比べるときは、食品名だけでなく方法もそろえる必要がある。小数点まで書かれた数字でも、異なる方法の間を自由に移し替えることはできない。[10]

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ナッツをひとまとめにするとピスタチオを読み違える

アーモンドの結果を、そのままナッツ全体の判定にしてはいけない。2020年のピスタチオ研究は、ブタでアミノ酸の消化を調べ、消化可能な必須アミノ酸に基づく指標DIAASを算出した。18〜39歳の女性に同じ消化率が当てはまるかは、この動物実験だけでは判断できない。3歳を超える子ども、青年、成人向けの参照パターンで、生は86、ローストは83となった。研究者は、この方法では良質なたんぱく質源と評価している。[9]

DIAASでは、この条件の生とローストの双方でリジンが制限となった。一方、同じ研究で計算したPDCAASは生が73、ローストが81であり、こちらは2〜5歳の子どもの参照パターンを使い、制限アミノ酸はスレオニンだった。数字の大小を眺める前に、どの指標で、誰を参照して計算したかを読む必要がある。[9]

この並びは加熱の読み方にも関わる。ローストしたピスタチオでは、多くの必須アミノ酸の標準化回腸消化率が生より低かった。回腸とは小腸の終わりの部分であり、ここでの消化を調べた評価である。しかしPDCAASの並びは反対で、ローストのほうが高かった。「焼けば質が上がる」と単純化すると、同じ研究内の別の結果を取り落とす。[9]

だからといって、読者が小袋を買うたびに指標を計算する必要はない。実用上は、ミックスナッツという商品名だけでは中身を同じたんぱく質として扱えない、と覚えておけばよい。ピスタチオの評価をアーモンドの保証に使わず、アーモンドの評価をピスタチオの否定にも使わない。ナッツ売り場は一列でも、研究結果まで一列には並ばない。[9][10]

植物性は消化しにくい、にも条件がある

2021年のレビューは、元の食品の構造を保った豆類、穀類、ナッツなどの植物性たんぱく質について、消化率をおおむね80%、肉、卵、乳などをおおむね93%と整理した。ただし、人、ブタ、ラットなど異なるモデルや測定手順の研究を扱っている。18〜39歳の女性にこの数値をそのまま適用せず、食品群の傾向をつかむための数字として読む。これは手元の小袋専用の測定値ではない。[4]

対照的に、2025年の研究は、3つの研究施設で測定手順を統一し、成長期の雌ブタを使って97食品の真の回腸アミノ酸消化率を調べた。18〜39歳の女性で同じ値になるかは別に確かめる必要がある。食品群としての中央値は、乳製品、卵、魚介、肉、大豆製品などに加え、ナッツも、アミノ酸平均で0.90を超える群に入っていた。植物性という分類だけで低消化率と決められない結果である。[7]

これらの数字を引き算して「植物性の消化率が改善した」と読むことはできない。対象食品や測定する場所、方法が異なるからだ。さらに、後者の高い消化率は、必須アミノ酸の構成まで動物性食品と同じという意味ではない。レビューの大づかみな傾向と、統一手順で測った食品ごとの結果を、用途に応じて使い分けたい。[4][7]

日常の選択へ戻すなら、チーズは乳製品の食品群として研究の中に位置づくが、個々のチーズとナッツの必要な交換量は別に考える問題である。消化率の高い群に双方が含まれても、同じ重量の食品に入っているたんぱく質や、アミノ酸の構成まで一致したことにはならない。食品群の情報は見取り図であって、交換表ではない。[2][7]

数字で読むナッツのたんぱく質

85.7〜89.9%:アーモンドの真の糞中たんぱく質消化率。アミノ酸構成の点数とは別である。[10]

44.3〜47.8:同じアーモンド研究のPDCAAS。消化率だけでは出ない評価である。[10]

86と83:生とローストのピスタチオのDIAAS。ブタの消化データに基づく値である。[9]

97食品:統一手順のブタ試験で評価された食品数。食品間の違いを調べたものである。[7]

193人:食事ごとのDIAASを分析したニュージーランドのヴィーガンの人数である。[5]

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宮川涼 Founder

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