キックボクシングのダイエットメニューは連打も記録、速さと心拍を分ける見方

短時間のパンチ回数が改善しても、長く続ける能力や心拍の反応まで同じように変わるとは判断できない。男性競技者の比較試験と格闘技の栄養研究から、測定時間、運動後の心拍、食事を分けて読む理由を示す。競技者と一般の女性の条件の違いを踏まえ、レッスンの記録やメニューの相談に生かす考え方を整理する。

曲のテンポに合わせてパンチを出し、休憩で腕時計を見る。隣の人より速く打てた日は、心拍も上がり、ダイエットのメニューとしても上出来だった気がする。グローブを外した途端、何回打ったかより「今日もきつかった」という感覚だけが残る。

しかし、速い連打ができることと、長く打ち続けられることは同じ成績ではない。男子大学生ボクサーの比較試験では、筋力トレーニングの方法による連打成績の差は短い測定で見られたが、長い測定では明確にならなかった。18〜39歳の女性にこの成績の差をそのまま当てはめることはできず、打つ間隔から心拍の上昇幅や体脂肪の変化も決められない。[1]

メニューを振り返るなら、連打の回数、続けた時間、休んだ場面、心拍を見た時点を別々に残すところから始めたい。既存記事「ボクササイズの連打は途中で息を吸える?腕の周期と呼吸の同調を読み解く」には呼吸のタイミングの問いを譲り、ここでは連打の成績と体への反応を同じものとして扱わない読み方を考える。

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連打の速さは、時間を添えて初めて比べられる

「今日はたくさん打った」という記録には、勢いは残るが比較の条件が残らない。短い連打を終えたのか、途中で構え直しながら長く続けたのかで、メニューの姿は違う。競技者を対象とした試験でも、連打の回数は測定時間を区切って評価している。[1]

男子大学生ボクサー28人を無作為に分けた試験では、10秒、30秒、1分の連続パンチを別々に調べた。無作為化比較試験とは、参加者を偶然の割り付けで異なる条件に分け、変化を比べる研究である。この試験の問いは、連打のテンポそのものを変えたときの心拍ではなく、筋力トレーニングの処方を変えたときのパンチ成績だった。男性競技者の比較なので、18〜39歳の女性にも同じ改善幅が生じるかは別に確かめる必要がある。[1]

日常の記録にも、この区別は持ち込める。たとえば「連打」とだけ書く代わりに、「同じ動きを続けた区間」「途中で止まった区間」を分けておく。回数を数えられない日なら、どの場面まで続けたかを言葉で残してもよい。これは研究で効果が検証された記録法ではなく、次に自分のメニューを説明しやすくするための工夫である。

打つ間隔を比べたいのに、前回は短い区間、今回は曲が終わるまでの区間を持ち出すと、違う試験を比較してしまう。研究が時間別に結果を示した意味は、ここにある。短い時間の速さだけを「連打の能力」全体の代表にしないことが大切だ。[1]

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短い連打で差があっても、長い連打まで同じではない

この試験では、両群ともスクワットなどの下半身の筋力トレーニングを週2回、8週間行った。一方は重りを動かす速度を使って負荷と終了時点を調整し、もう一方は最大挙上重量に対する割合を使って決まった回数を行った。速度を使う方法でも、単にパンチを速く打つ練習をしたわけではない。[1]

10秒間の連打回数の改善量は、速度を使った群のほうが平均4.47発大きかった。95%信頼区間は0.33〜8.62発である。30秒間では改善量の群間差が5.05発、95%信頼区間は0.14〜9.96発だった。信頼区間は、推定値がどの程度の幅を持つかを見る目印であり、平均値だけよりも結果の不確かさが分かる。[1]

ところが1分間の連打では、改善量の群間差は−2.65発、95%信頼区間は−13.97〜8.67発だった。幅の中に差がない場合も含まれ、どちらの方法が優れているかは明確にならなかった。短時間で見えた差を、そのまま長時間にも延長できない結果である。[1]

ここで「長く打つ練習には意味がない」と読むのも違う。比較しているのは、異なる筋力トレーニングを行った群どうしの改善量であって、短い連打と長い連打の価値を競わせたわけではない。また、多くの評価項目を探索的に分析し、複数の検定に対する正式な調整をしていないため、研究者も慎重な解釈を求めている。[1]

レッスンの感想に戻せば、「出だしは速かった」と「終わりまで動けた」は別々に書ける。どちらかを消して総合点だけを付ける必要はない。時計は律義に数字を出すが、メニューの採点基準までは決めてくれない。

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心拍を見るなら、運動中と終わった後を分ける

心拍数は心臓が打つ頻度であり、パンチの回数とは別に測る値である。連打の回数を評価した試験の成績は、心拍の上昇幅を示す値としては使えない。回数に差があったという結果を見ても、自分の時計にどの数字が出るはずか、という換算表にはならない。[1]

心拍を扱った別の無作為化比較試験では、トレーニングを積んだ若い16人を、通常の練習に高強度インターバルトレーニングを加える群と対照群に分け、4週間の変化を調べた。高強度インターバルトレーニングとは、強い運動と休息などの区間を組み合わせる練習である。この試験は呼吸機能や最高酸素摂取量に加え、運動終了後の心拍回復を評価した。競技に向けて鍛えた対象の結果を、18〜39歳の一般女性のレッスンにそのまま当てはめることはできない。[6]

心拍回復の測定時点は、運動後1分、3分、5分だった。連打している最中の心拍と、止まってからの心拍を同じ欄に入れてしまうと、測っている場面を取り違える。腕時計の画面を開いたのが運動直後か、着替える前かは、記録に添える価値がある。[6]

この研究では一部の呼吸機能の改善が報告された。ただし、追加練習をした群は総練習量も多かったため、改善を高強度インターバルトレーニングという方法だけの効果とは断定できない。連打のテンポを速めたことだけに結果を結び付けるのは、研究の比較条件を飛び越える読み方になる。[6]

そこで自分のメモでも、「連打を変えた日」とひと括りにせず、休憩を短くしたのか、動く区間を長くしたのかを区別したい。心拍が違って見えた日に、何を変えたかを探すためである。数値を高くすることを目標にする前に、どの場面の値を見ているかをそろえよう。

研究のメニューは、そのまま自分の処方にはならない

大学生ボクサーの試験で行われたのは、パンチ回数を変える実験ではなく、筋力トレーニングの比較だった。速度を使わない群は最大挙上重量の70%で5回を4セット行い、速度を使う群は同じ割合に対応する速度を基準として、速度が10%落ちたところで各セットを終えた。負荷だけでなく、終える条件も違っている。[1]

この条件を読まずに「速く動かした群のほうが連打も増えた」とだけ受け取ると、筋力トレーニング中の速度とパンチのテンポが混ざってしまう。研究で比べた操作と、結果として測った能力は別のものだ。自分のメニューに移す前には、何を変えた研究だったのかを確認したい。[1]

また、対象は競技を行う男性であり、運動を始めたばかりの女性のレッスンを直接比較した試験ではない。初心者のメニューとして重さやセット数を写す理由にはならず、ここで借りたいのは、条件と成績を分けて記録する視点である。[1]

具体的には、音楽が速かった日、パンチの組み合わせが複雑だった日、足の動きも加えた日を、すべて「連打が遅かった」で片付けない。あとで指導者に相談するとき、動きの内容が残っていれば話の出発点になる。これは自分を細かく監視するための記録ではなく、感想を具体的な場面に戻すための記録だ。

パンチの力も同じ試験で測られていた。前の手のストレートでは改善量の群間差が6.97 kg、95%信頼区間は0.40〜13.54 kg、後ろの手では7.21 kg、95%信頼区間は3.56〜10.86 kgだった。これらは研究で示された打撃力の値であり、体重の減少量でも、持ち上げる重りの推奨量でもない。[1]

同じパンチでも、力を測った結果と回数を測った結果では単位が違う。力の差を見て「より多く打てる」と言い換えたり、回数の差を見て「より強く打てる」と言い換えたりすると、評価項目が入れ替わってしまう。研究の数字を読む際は、数値の大きさより先に、何の単位が付いているかを確かめたい。[1]

数字で読む連打と心拍の評価

男子大学生ボクサー28人:筋力トレーニングの方法を無作為に比較した試験の対象である。[1]

10秒の連打で改善量の群間差4.47発:95%信頼区間は0.33〜8.62発で、速度を使った群が大きかった。[1]

30秒の連打で改善量の群間差5.05発:95%信頼区間は0.14〜9.96発だった。[1]

1分の連打で改善量の群間差−2.65発:95%信頼区間は−13.97〜8.67発で、明確な群間差ではない。[1]

運動後1分、3分、5分:若い競技者の別試験で心拍回復を測った時点であり、連打の推奨時間ではない。[6]

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宮川涼 Founder

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