インスタント麺と体重 1日1杯の22か月で27kg減り、救急に来た女性と腹囲の研究

インスタント麺は太るのか。論文の「麺」は国ごとに中身が違い、カップ麺だけの週の回数と腹囲を比べた研究は見当たらなかった。韓国の女性の腹囲、ブラジルの女性の記録、山形のラーメンの回数、1日1杯で27kg減った症例を読み分け、回数の前に見る汁・組み合わせ・腹囲を確かめる。

「麺」という一字は、論文の中で同じ食べ物を指していない。韓国の女性を調べた研究の「麺」は、ラミョン、麺類、チャジャンミョンをまとめた食べ方の型だった。ブラジルの女性の記録では、インスタント麺は袋入りのスナックや塩味のビスケットと一つの問いに同居している。イランの研究が数えたのは、麺入りのスープである。[8][9][10]

検索窓に「インスタント麺 太る」と打つ人が知りたいのは、戸棚の奥にあるあの一杯のことだろう。ところが、あの一杯だけを取り出して週の回数と腹囲を比べた研究は、集めた論文の中に見当たらなかった。論文は、もっと大きな束か、もっと小さな場面でしか麺を測っていない。

束にしても答えがそろわない。韓国の女性では「麺」の型が腹部の肥満と結びつき、全身の肥満とは結びつかなかった。イランの追跡では、麺入りのスープと代謝症候群(メタボリックシンドローム)の関係は誤差の幅の中に沈み、有るとも無いとも言えなかった。同じ字の下で、二つの研究は別の場所に立っている。[9][10]

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「インスタント」の語がある論文は8本のうち3本

この記事で使う論文は8本ある。そのうち、論文の要約に「インスタント」の語が出てくるのは3本だけだった。台湾の食事の型の研究、ブラジルの女性の記録、インスタント麺のスープを試験食にした血糖の試験である。山形の研究は「ラーメン」、韓国の研究は「ラミョン、麺類、チャジャンミョン」、イランの研究は「麺入りのスープ」と書く。店の一杯と家の袋麺を分けて数えたと読める記述は、どの要約にも無い。[1][5][7][8][9][10]

この区別は揚げ足取りとは違う。飛ばして読むと、ある国の食べ方の型から出た結果を、自分の戸棚にそのまま運び込むことになる。戸棚のカップ麺と、休日に行列して食べる一杯と、韓国の家庭のラミョンを、一つの箱に入れて「麺」と呼んでいるのは、論文ではなく読み手の側である。

ブラジルの研究の問いは、粗さが分かりやすい。成人女性30,354人の2015〜2019年の記録を使ったコホート研究で、コホート研究とは、同じ人たちを時間を追って見ていく型の観察研究を指す。前日に何を食べたかを聞いた項目を、食べ方の目印として使っている。インスタント麺はその一項目の中にあり、袋入りのスナック、塩味のビスケットと分かれていない。2015年の登録の前日にこの項目に当てはまった組では、肥満の発生が9%高かった。相対リスクは1.09で、95%信頼区間は1.03〜1.15である。相対リスクは相手の組に比べて何倍起きたかを示す値で、信頼区間は本当の値がありそうな幅を指す。[8]

同じ解析には、妙な行も並ぶ。詰め物入りのクッキーや飴、菓子を前日に食べた組では、肥満の発生が9%低かった。菓子で肥満を防げると読む人はいないだろう。それなら、インスタント麺の9%にも同じ距離を置くのが公平である。聞かれたのは登録の前日の1日だけで、残業の夜のカップ麺がたまたまその日に当たれば「食べた人」、翌日にずれれば「食べなかった人」になる。[8]

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韓国の女性で関連が出たのは、体格より腹回りだった

韓国の研究は、健康とゲノムの調査に参加した女性3,742人の開始時のデータを使い、食品をどのくらいの頻度で食べるかを聞く質問票の答えを因子分析にかけた。因子分析は、一緒に食べられやすい食品を統計の力で束ねる手法である。できた束は四つ。肉や魚の「動物性食品」、ご飯、豆腐、キムチ、野菜、煮干し、海藻の「ご飯と野菜」、パン、卵、牛乳、乳製品の「パンと乳製品」、そしてラミョン、麺類、チャジャンミョンの「麺」である。[9]

結果は二段になっていた。一段目、食事の型は腹部の肥満と関連し、全身の肥満とは関連しなかった。二段目、腹部の肥満のリスクが高い側に並んだのは「麺」だけでなく、「ご飯と野菜」も同じ側にいた。逆の向きを示したのは「パンと乳製品」である。キムチと海藻の食卓が、ラミョンの束と同じ列に立つ。食事の名前から受ける印象だけでは、腹回りの話はできない。[9]

開始時の一時点のデータなので、この研究は食べ方と腹回りを同じ日に並べて見たにすぎない。「麺」の型を好んだのは若く学歴の高い人に多く、「ご飯と野菜」の型は年齢が高く所得と学歴の低い人に多かった。型の違いは暮らしの違いでもある。麺を食べたから腹回りが増えたとも、腹回りの増えやすい暮らしの中に麺があったとも、この一枚の写真からは決められない。[9]

それでも読者に手渡せるものはある。測る場所である。全身の肥満では関連が出ず、腹部の肥満で出たのなら、麺が気になる人の眺める数字は体重だけでは足りない。[9]

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台湾の健診では、麺は十の食品の一つだった

台湾の研究は、腎機能が低下した40歳以上の25,569人の健診データから、22の食品群をもとに食事の型を引き出した。方法は主成分分析と縮小ランク回帰の二つで、どちらも似た型を見つけている。揚げ物、保存食品や加工食品、つけだれ、肉、甘い飲み物、内臓肉、ジャムや蜂蜜、揚げた米や小麦粉の製品、インスタント麺、卵を多くとる型である。[7]

この型の点数と代謝症候群の関連は、オッズ比で縮小ランク回帰の型が1.70(95%信頼区間1.56〜1.86)、主成分分析の型が1.38(同1.27〜1.51)だった。オッズ比は、ある状態になる見込みの比である。同じ人たちの食事でも、束ね方で数字が動く。そしてどちらの値も十の食品の束全体についてのもので、インスタント麺の一品の値とは違う。腎機能が低下した中高年という対象も、健康な30代にそのまま重ねられない。著者らも、この方法が役に立つかどうかは、前向きの測定で確かめる研究が要ると書いている。[7]

夜のコンビニの袋を思い浮かべると、この束の感じがつかめる。カップ麺の横に、揚げ物の総菜と甘い飲み物が入っている日がある。麺の一杯を責める前に、袋の全体を見る。麺だけが悪者に見えるのは、袋の中でいちばん名前が目立つからかもしれない。

山形の6,725人が答えた、ラーメンの週の回数

山形の研究は、40歳以上の6,725人にラーメンを食べる回数を聞いた。月1回未満が18.9%、月1〜3回が46.7%、週1〜2回が27.0%、週3回以上が7.4%である。いちばん厚い欄は月1〜3回で、週3回以上は少数派だった。それでも、およそ3人に1人が毎週食べている土地の調査である。よく食べる人はBMI(体格を示す指標)が高く、若い人と男性が多く、喫煙、飲酒、糖尿病、高血圧の割合も高かった。週の回数は、ほかの条件と一緒に束になって現れる。[1]

背景の条件を調整した解析で、週3回以上の組の死亡リスクは、週1〜2回の組の1.52倍という値だった。追跡の間の起きやすさを比べるハザード比である。ただし95%信頼区間は0.84〜2.75で、1をまたぎ、高い側にも低い側にもありうるので、統計的に有意な差にはならなかった。分けて見ると、男性、70歳未満、麺の汁を半分以上飲む、酒を飲むといった条件の人でリスクの上昇が見られた。著者らの結論も「関連があるかもしれない」にとどまる。調べたのは死亡であって、体重の増減とは違う。週に何回までなら太らないという線は、この研究からは引けない。[1]

数字で読むインスタント麺

1.09:ブラジルの女性で、インスタント麺・袋入りスナック・塩味のビスケットのいずれかを2015年の登録の前日に食べた組の肥満の発生を、食べなかった組と比べた相対リスク。95%信頼区間は1.03〜1.15。[8]

0.91:同じ研究で、詰め物入りのクッキー・飴・菓子のいずれかを前日に食べた組の肥満の発生を、食べなかった組と比べた相対リスク。1を下回っても菓子の効能とは読めない。[8]

1.70と1.38:台湾の腎機能が低下した40歳以上で、インスタント麺を含む食事の型の点数が高いほど代謝症候群の見込みが高い向きのオッズ比。順に縮小ランク回帰の型、主成分分析の型で、麺だけの値ではない。[7]

7.4%:山形の40歳以上の参加者のうち、ラーメンを週3回以上食べると答えた人の割合。[1]

1.52:同じ研究で、週3回以上の組の死亡リスクを週1〜2回の組と比べたハザード比。95%信頼区間が1をまたぎ、統計的に有意でなかった。[1]

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宮川涼 Founder

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