ケフィアのダイエット効果はどこまで確かか 牛乳との比較で見えた体重と血糖の距離

ケフィアを飲むと体重は減るのか。牛乳と比べた女性の試験、血糖や脂質を調べたメタ分析、腸内細菌や運動に関する研究をたどる。体重が減った群があっても発酵乳ならではの効果とは限らない理由と、飲む量を増やす前に確かめたい測定値や研究の条件を整理する。普段の食卓で期待を広げすぎないための記事。

ケフィアをいつもの牛乳の代わりに選べば、体重管理にも違いが出るのだろうか。発酵という言葉には、同じ乳製品でも何かが上乗せされそうな響きがある。買い物で迷うときに知りたいのは、その期待が体重の試験で確かめられているかどうかだ。

過体重や肥満の閉経前女性を対象にした無作為化比較試験では、ケフィアを含む食事の群で体重や腹囲が減った。しかし牛乳を含む食事の群にも同様の変化があり、両群の間に統計的に明確な差はなかった。ケフィアの群が良かったという文と、牛乳より良かったという文は、同じ意味にならない。[2]

発酵乳を飲む楽しみまで、減量の成否で採点することはない。ただ、体重を目的に選ぶなら、血液や腸内細菌の変化を、そのまま痩せる証拠として受け取らない方がよい。人の試験をまとめた解析でも、インスリンに関する指標と体重の結果はそろっていなかった。[7]

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牛乳と比べた試験は、何を入れ替えたのか

ケフィアは、細菌と酵母が関わる発酵乳飲料である。[7]

肥満や代謝の研究を整理したレビューは、動物で得られた結果が人でも再現されるかを検討している。そこで大きな課題として挙げられたのが、発酵に関わる微生物の違いだ。同じケフィアという名前でも、研究を単純に横並びにしにくい。[1]

体重の問いに直接答えるFathiらの試験は、食事のエネルギーを減らす設計ではなく、体重維持を想定した食事の中で乳製品の内容と量を変えた。対照群は低脂肪乳製品を1日2サービング、牛乳群とケフィア群はそれぞれ追加の2サービングを含む計4サービングだった。サービングは研究で用いた食品の提供単位であり、ここから市販品の容器数を決めることはできない。[2]

対象は25〜45歳の女性75人で、期間は8週間、完了したのは58人だった。割り付けられた75人を含む解析で、牛乳群とケフィア群は対照群より体重、体格指数であるBMI、腹囲の減少が大きかったが、牛乳群とケフィア群の差は明確でなかった。体重だけでなく腹囲も追い、完了者だけの解析と、割り付けられた全員を含める解析の両方で同様の結果を得た。[2]

ここで効くのが、比較相手と食事全体の条件を見る習慣である。「ケフィアを飲む前より減った」だけなら、食事全体を整えたことも一緒に含まれる。「対照群より減った」なら、食事に加えた乳製品の違いを含む比較になる。さらに牛乳との比較を通って初めて、発酵した飲料を選ぶ固有の意味が問いやすくなる。この試験は、その最後の比較で優位性を確認できなかったのである。[2]

食事の設計で覚えておきたいのは、牛乳もケフィアも、対照の食事に低脂肪乳製品を追加した形だったことだ。対象者には外来で食事の計画が提供され、エネルギーは維持量に設定された。乳製品の量だけを見て、自分のいつもの献立にそのまま足す場面とは条件が違う。朝の飲料を替えるのか、食事の乳製品全体を組み替えるのかを考える際には、こうした食事の枠組みが判断の土台になる。[2]

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インスリンの数値が下がっても、体重の答えは別に残る

無作為化比較試験6件、計314人をまとめたYahyapoorらの系統的レビューとメタ分析は、単独の試験より広い範囲でケフィアを評価した研究である。結果は、空腹時のインスリンとインスリン抵抗性の指標に改善があり、体重には明確な効果が認められないというものだった。インスリン抵抗性は、インスリンによる血糖調節の働きにくさを捉える考え方で、この解析ではHOMA-IRという指標を用いている。[7]

空腹時インスリンの統合した平均差は−3.69マイクロ国際単位/mL、95%信頼区間は−6.30〜−1.07だった。HOMA-IRは−2.56で、95%信頼区間は−3.82〜−1.30だった。一方で、空腹時血糖、一定期間の血糖の状態をみるHbA1c、体重、血中脂質には明確な効果を認めなかった。改善が認められた項目はインスリン関連に集中していた。[7]

メタ分析は、複数の試験で得られた変化の差をまとめ、平均的な方向と大きさを調べる方法だ。この解析では試験ごとの違いを織り込むランダム効果モデルを用いた。95%信頼区間は、推定の不確かさを示す幅である。インスリンとHOMA-IRでは、その幅全体が低下する側にあった。[7]

血中脂質も一括りの成績ではなく、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロールをそれぞれ評価した。いずれにも統計的に明確な効果を認めなかったという結果であり、脂質の一部だけを選んだ結論ではない。検索は2021年6月までの研究を対象としていた。[7]

脂質と腸の指標には、ケフィア特有の差があったか

血中脂質を調べたFathiらの別の報告では、過体重や肥満の閉経前女性が、低脂肪乳、ケフィア、対照の食事に割り付けられた。ケフィア群は対照群に比べ、総コレステロールが10.4mg/dL、LDLコレステロールが9.7mg/dL低い群間差だった。しかし牛乳群にも同様の結果があり、ケフィアと牛乳の間には明確な差を認めなかった。総コレステロールとLDL以外にも、脂質の組み合わせを用いた評価が行われた。[10]

測定は食事を変える前と8週間後に行われた。ケフィア群と対照群の差は、非HDLコレステロールで−11.5mg/dL、総コレステロールとHDLの比で−0.4、LDLとHDLの比で−0.3だった。この報告は体重の試験と対象人数、年齢、食事の条件が重なるため、独立した成功例として数を積み上げず、脂質についての報告として扱う。[2][10]

腸の側から比較したのが、症状のない過体重の成人28人を対象にした交差介入試験である。同じ参加者について、ケフィアを補う3週間と牛乳を補う3週間を比べた。ケフィアでは、腸のバリア機能の異常に関わる血中の指標ゾヌリンに、牛乳より大きな改善が見られた。一方、脂質と血糖は両方で同程度に改善し、食欲、炎症に関するCRP、アディポネクチンには変化がなかった。[4]

気分の評価では、ケフィアの期間に前向きな気分がわずかながら有意に高まり、牛乳の期間には低下した。食欲には変化がなかったので、気分と空腹の評価は異なる方向を示したことになる。同じ参加者が両方の飲料を摂る交差試験は、別々の集団を比べる設計とは違い、本人の中で飲料の違いを調べる形だった。[4]

乳製品の比較を読む際には、「菌を加えたもの」と「何も飲まないこと」の比較だけを想像しない方がよい。ケフィアそのものの試験とは別に、プロバイオティクス入りヨーグルトを主に通常のヨーグルトと比べたメタ分析がある。糖尿病や肥満の人を対象とする9試験をまとめた結果、HbA1c、空腹時血糖、空腹時インスリン、インスリン抵抗性について明確な利益を示せなかった。発酵乳全体の印象から、個々の製品の効果を埋め合わせることはできない。[11]

このヨーグルトの解析では、介入群237人と対照群235人が対象だった。HbA1cの平均差は、糖尿病の人で−0.366、95%信頼区間は−0.755〜0.024、肥満の人では0.116、95%信頼区間は−0.007〜0.238である。どちらも幅がゼロをまたぎ、明確な差に至らなかった。ケフィアとは食品も比較条件も異なるが、発酵乳をひとまとめに評価する難しさが見える。[11]

数字で読むケフィアの比較条件

75人:閉経前女性を対象にした体重の試験で無作為に割り付けられた人数。完了者数とは区別する。[2]

−3.69マイクロ国際単位/mL:6試験・314人をまとめた解析の空腹時インスリンの平均差。体重には明確な効果を認めなかった。[7]

28人:ケフィアと牛乳を順に補い、ゾヌリンなどを比較した交差試験の対象者数。[4]

44研究:臨床研究を広く整理したレビューが解析対象とした件数。対象となる病気や研究方法には幅があった。[5]

200mL:女性サッカー選手の試験で用いられた1日量。摂取期間は28日間だった。[3]

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宮川涼 Founder

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